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■女子高校生・秋の嵐(6)

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和弥は金曜日に神社で待機していると、まゆりが来たので驚いた。
 
「平田さんを呼ぶのならちゃんと言いなさい」
と叱られたが、和弥は彼女が来るなんて聞いてない!
 
「あんた祭主なんだから祭りの間はセックス禁止だよ」
と花絵から言われたが
「しないよ。そもそも恋人でもないし」
と言っておく。
 
彼女が夜遅くなっても帰らず、秋祭りの最初の火始めの儀式も見学していたので、社務所に泊めないといけないかなあ。でも氏子さんに誤解されると困ると思っていたら、村山さんが
「うちに泊まりませんか」
と彼女を誘ってくれたので助かったと思った。まゆりは和弥がこの祭りで着る特別な衣裳を
「女の人の装束みたい」
と面白がっていた。
 
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「この袴も巫女衣裳みたい」
「巫女さんの緋袴とは色合いが違うよ」
 

「でも和弥君、そういう服が似合うね。いっそ女の子になる?可愛い服たくさん着れるよ」
「ああ可愛い服いいね」
「出口王仁三郎が木花咲耶姫(このはなさくやひめ)のコスプレしてたけど、和弥君、羽衣を着た天女くらいにはなるよ」
「なぜ羽衣?」
「だってこの神社やうちの神社の御祭神の豊受姫は若い頃、天羽衣(あまのはごろも)を着た天女だったから」
「うん。そういう伝説あったね」
 
「取り敢えずスカート買ってあげようか」
「スカートも袴みたいなものかな」
「同じようなもんでしょ。和弥君きっとスカート似合うよ」
「穿いてみようかなあ」
 
スカート実は穿いてみたことはある。小学生の頃、ひとりで留守番している時にこっそり姉のスカートを穿いてみたことはある。でもそのくらい多分普通だよねー。あの時はスカートって何て歩きにくいんだと思ったけど。今は袴に慣れてるからスカートでも歩けそうな気がする。
 
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(袴にはズボン型の馬乗り袴とスカート型の行灯(あんどん)袴があり、男性の和装では通常馬乗り袴を使用するが、和弥はどちらでも穿けるし、両方持っている。行灯袴は元々明治時代の女学生が穿き始めたものだが、着脱の容易さから、その後男性にも普及した。現代の男性用婚礼衣装の袴は行灯袴が多い。剣道や弓道をする人は男女とも脚を動かしやすい馬乗り袴を使用する)
 

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「穿いちゃえ穿いちゃえ。ついでに女の子になろう」
「あはは。それもいいかもね」
「だったら性転換手術受けちゃう?」
「そしたら君に精液渡せないし」
「いや、元が男であれば性転換して女になっても射精は出来るはず」
「原理がよく分からない」
 
(海外のyoutuberで性転換手術で女になった身体でクリトリス自慰により射精するシーンを公開している人は居る、実際前立腺があれば射精は可能なはず。精液は女子尿道口から出る。膣内からGスポットを刺激しても射精するはず。しかし睾丸が無ければ精液に精子が含まれてない気がする:但し性転換(睾丸除去)後最初の射精のみは精嚢に溜まっていた精子が使用されて有精子精液になる)
 
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まゆりと色々話をしていた時、何か白い物が上から落ちてきた。
「わっなんだ?」
 
見ると白いドレスのようである。リネン(亜麻)で出来ているようだ。
「天羽衣(あまのはごろも)だったりして」
「まさか」
 
“天(あま)”と“亜麻(あま)”の語呂合わせ??
 
「きっとそれを着なさいという神様の思し召しよ」
「え〜!?」
「それを着て祭主を務めればいいのよ」
「そんなことしたら顰蹙買って追放される」
「いや田舎の人は笑って受け入れてくれる」
 
ほんとに受け入れられそうな気がした。和弥はとりあえずこの羽衣?を部屋に持っていくことにした。
 

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まゆりが村山さんと一緒に退出したあと、和弥は社務所と続きになっている宮司住宅の自分の部屋に下がり、リネンのパジャマに着替えた。そういえばこの羽衣?も似たような素材でできてるなあ、やはりリネンっぽいなどと思う。
 
そのとき、突然和弥は思った。この服も実は寝間着なのでは?と。それで和弥は興味を持ってその羽衣?を着けてみることにした。自分の部屋の中なら誰に見られるでもないし。
 
(そうだね。女装は最初は誰に見られるでもない自分の部屋で)
 
それで、下着(白い綿シャツと青縞のトランクス)の上に羽衣を着てみた。着てみると意外に暖かいのに驚く。10月末の北海道はかなり寒いのだが、これを着ているとあまり寒くない。これって防寒服なのかもという気がした。それで和弥はその服を着たまま布団に入って休んだのである。
 
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普段のアパートでならオナニーしてその性的快感と軽い疲労から睡眠に入るのだが、お祭りの最中にそんなことはできないので、和弥は布団の中で目を瞑り、気持ちを安らかにして自然な眠りに落ちて行った。まゆりのことを考えると軽い性的な興奮を覚えて性器を少し触ってしまった。自分はあの子と生殖することになるのかなあ。まあ純粋に女性とみて充分可愛い子だけどね。よけい後継問題が絡んでなければ普通にアタックしてたかも知れない気もした。。ああ、でも指輪買ってあげなくちゃ、ダイヤの指輪って高そう、などと考えると現実に引き戻され、性的興奮も眠気も消えて行く。ああ、寝なきゃ。ちゃんと寝てないと明日身体がもたないぞ、などと思う。
 
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でも和弥はそのうち眠りの世界に入っていった。
 
夢の中では池に天女が8人降りてきて、水浴びをしていた。夢を見ながら、こんな夢を見るのは羽衣を着てるからかもと思った。それとともに、基本的に女に飢えてるのかなあ、などとも思う。でもクリスマスまでには返事すると言っちゃったし、ぼく今年の末くらいにはまゆりちゃんとセックスすることになるのかなあ。セックスなんてしたことないけど、うまくできるかなあと不安になる。しかも男の子を作るためには女性が気持ち良くなるようにしてあげなければならない。これは結構大変だぞと思った。
 

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しかしけっこう深く眠った気がした。
 
目が覚めて携帯のサブディスプレイを見ると5時である。和弥は不寝番の人たちに「お疲れ様です」と声を掛けてこなければと思った。それで布団を出るとそのまま神殿に向かう。この時、和弥は寝巻きのままのような気はしたものの、挨拶してから装束に着替えればいいと思った。
 
それで廊下を歩き、昇殿して、神殿の燈台の前に居る人たちに声を掛けた。
「みなさん、お疲れ様です」
 
最初に反応したのは花絵であった。
 
「あんた何て格好してるのよ」
 
へ?と思って自分の服を見る。それで和弥はやっと自分が羽衣を着ていることに気がついた。
 

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「わっ」
「あんた女装に目覚めたの?」
「いや、昨夜廊下に居たらどこからともなくこの服が落ちてきて。試しに着てみたら凄く暖かったから、そのまま着て寝てた」
「それはきっとその服を着て祭りを行ないなさいという神様の思し召しですよ」
「え〜!?」
「いや先代の宮司さん(常弥が来る前の宮司。1991死去)から聴いたことがあります。秋祭りの宮司衣裳は昔は羽衣みたいな服だったって」
「へー」
「この神社の御祭神の豊受大神は若い頃は天女で天羽衣を着ていたらしいです。それにちなむものだとか」
「風土記(ふどき)に書かれていますね。“びじのまない”という池で仲間の天女と一緒に水浴びをしていたら老人に羽衣を隠されてしまい天に戻れなくなった。それでその人の娘として育てられた。ずっと後に羽衣を返してもらい、天に帰って豊受姫神となられたと。“うけ”というのは食べ物のことで天女がいる間、老人は食べ物に困らなかったと言います」
 
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「それでずっと後に伊勢の天照大神(あまてらすおおみかみ)が私が食べ物に困らないように豊受姫を呼んでくれとおっしゃったので伊勢に勧請されて外宮(げくう)の御祭神になられたと」
 

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「そういう意味では漁協の若い人たちがこの神社でいつも会合を開いているのは大正解ですね」
「言えてる言えてる」
「食べ物の神様のお膝元ですからね」
「先代の宮司さんに聞いたのではですね、昔の宮司衣裳は羽衣だったけど、大正時代に宮司を務めた人がヒグマと取っ組み合いするような逞しい男で、羽衣の衣裳があまりにも似合わなかったらしいです。それでもう少しどうにかした装束は無いかとお伺いを立てたら、平安時代の女房が着たような服を頂いたらしいです。それで女の服には変わらないが、羽衣よりは着やすいといってそれを着るようになったとか」
「ああ、あれは女房装束ですか」
「赤い裳(も:スカート)も穿きますしね」
「なるほどー」
「どっちみち女の服なのか」
「きっとそれ明治時代までの衣裳が残っていたのが落ちてきたんですよ」
「あり得ますね」
「だからそれを着てお務めしてもいいと思いますよ」
「でもやはりいつもの年の衣裳に着替えてきます」
と言って和弥は拝殿を降りて自分の部屋に戻る。その途中で和弥はトイレに寄った。
 
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和弥は個室に入った。羽衣では小便器が使えないが、和弥はそもそも普段から個室を使い座ってトイレをする習慣がある。袴を穿いていると個室でする必要があるので、個室を使うことが多くなり、それに慣れると、袴でない時も、いつしか個室でするのが普通になった。
 
ともかくも和弥は洋式の便座に座っておしっこを出したのだが、違和感を感じる。いつもとおしっこの出方が違うのである。
 
それで股間を見て激しい衝撃を受ける。いつも見慣れているペニスが無くなっており、まるで女のお股にあるような陰裂がある。そしておしっこはその陰裂の中から出て来ていた。いやそれは“出てくる”というよりは“落ちてくる”と言ったほうがよいものであった。
 
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「嘘。なんでこういうことになってるの〜!?」
 
和弥はこれは何か悪い夢でも見ているのではと思った。それで自分の部屋に戻ると。普通のパジャマに着替えて布団に入り目を瞑った。
 

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