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■女子高校生・秋の嵐(4)

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「結局、北海道の神社に拝礼するなら、まずアベフチ神にご挨拶しろということなんだろうね」
 
「そういうことなんでしょうね」
 
「遙拝所の作り方を教えてくれた鳥井さんに電話して確認したら、あの文章を書いている最中に夢を見てその中で『旭岳神社を祭れ』と言われたらしいんだよ」
「チャネラーですね」
 
「念のため神社要覧で確認すると留萌P神社は元々アイヌの拝礼所だったことが分かって、ああこれかと思ったらしい」
「そんな歴史があったんですか。全然知りませんでした」
「祖父ちゃんも知らなかったと言ってた」
 
花絵も首を振っている。
 
「鳥井さんって凄い人ですね」
 
きっとそういう人だから和弥に声を掛けてきたのだろう。自分も含めて、この手の人間は神様の手駒としてよく使われる。(但し邪霊に利用されないよう気を付ける必要がある)
 
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千里はこの秋からコリンとサハリンの常駐場所を入れ換えることにした。コリンを姫路に置き、サハリンを深川に置く。これは千里Rが長い付き合いのコリンを手元に置いておきたかったからである。
 
それでこの日は、旭川空港に着いた後、サハリンのカローラに千里と和弥・花絵は乗った。3人はまず旭岳に行く。ロープーウェイで上に登り、鏡池のところで和弥が遙拝所の写真を掲げて旭岳に拝礼した。
 
拝礼が終わってからロープーウェイで下に降りようと駅まで行くと思わぬ人物が居た。
「あ、社長さん」
「ああ、村山さん」
 
中学時代に何度もCM撮影をした朝日ハウジングの社長・上川さんだった。誰かお客さんを案内していたようだ。名刺だけ千里も頂いたが“株式会社・西川・代表取締役・西川是蔵”と書かれていた。
 
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「そうだ。村山さん。僕の友人が兵庫でやっている姫路ハウジングというところで、君を使ったCMを撮りたいらしいんだよ」
と上川さん。
「声を掛けられましたが、同業他社のCMには出られませんと言いました」
「それ僕が許可出したから出てあげて」
「分かりました。社長さんがOKなら」
「やはり村山さんが出ていた時代が良かったよ。村山さんはまるで妖精みたいな不思議な雰囲気があって」
「お褒めいただきありがとうございます」
「今若い子にやってもらってるけど、ああいう神秘的な雰囲気は出なくて」
と社長さんは言っていた。
 

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ロープーウェイで下に降りてから、サハリンの車で留萌に向かう。夕方くらいに到着した。和弥はこちらでも遙拝所の写真を神前に提示して拝礼する。これで姫路に設置した2つの遙拝所が完成した、
 
和弥はP神社境内に建っている遙拝所の祠に先日頂いた銀杯とまゆりに書いてもらった額を収め、こちらの遙拝所も8割ほど完成した。残りの作業は姫路側ですることになる。
 
この日は夕方、もう七五三のお参りに来ている家族が居て和弥がご祈祷をしてあげた。千里が笛を吹いて善美が太鼓を叩いた。和弥は月末まで留萌に留まる予定である。(「若い神主さんまだ祝詞が下手ね」と言われていたのは聞かなかったことにした!まあ少しずつ上手くなるよ。下手であってもきちんと手順を守って必要な言葉を入れて奏上した祝詞はちゃんと効いたはずである。大神も笑顔であった。ついでに千里が娘さんとお母さんに憑いていた悪霊を粉砕したのは大神が呆れていた)
 
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14-15の土日はたくさん七五三の参拝客が来て、和弥は大忙しだった。笛と太鼓は千里と善美で演奏した。七五三の客は月〜金の平日にも来た。夕方以降は千里が笛を吹いたが、昼間の客には花絵が太鼓を叩き、善美が笛を吹いた(善美は私自信無いと言っていたが小鳩よりは上手いと思った)。小春は「年寄りをこき使うな」と言っていた。なお、普段の日の昼間は常弥の内縁の妻・菊子さんが太鼓を叩き、善美が笛を吹いているらしい。ただ菊子さんは正式の妻ではないからと言って、できるだけ“表”の仕事には関わらないようにしている。なお小鳩を使うと「小学生が学校にも行かずに何してる」と叱られる。
 

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10月27日(金)23:50.
 
P神社の社務所の囲炉裏でもう12年にわたって燃やし続けられている神聖な火が、“名誉巫女長”(に任命したと言われた)千里の手によりカンデラに移される。
 
(この火は元を糾すと千里が3歳の時にアトサヌプリから採ってきた火である。社務所の囲炉裏のほか門柱の左右のランプでも維持されている。このランプの火を維持するのは小鳩の仕事:給油する時、必ず左右に差を付ける。それによって左右同時に消える事態を防げる。この門柱のランプが左右とも消えたのは千里が中学1年の4月に死にかけた時だけ:その時は蓮菜が神社深部の大神様の居所の燈台から復旧した。神社深部に入れるのは人間では千里と蓮菜くらい)
 
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10月28日(土)0:00.神殿に設置された3つの燈台に和弥の手でカンデラの火が移され、今年もP神社の秋祭りが始まる。
 
(再掲)

 
 
燈台に火がともるとすぐに神社境内に設置された多数のlEDランプも点灯され境内は明るくなる。
 
神殿の火は3人の“内輪の人間”により祭りが終わるまで不寝番で消えないように守られる。今年この番をしたのはこの3人である。
 
望田啓(先代巫女長・梨花さんの夫)、田代君のお父さん、花絵
 
なお、不寝番と言っても3人のうち2人が起きていれば良いことになっているので交替で仮眠はできる。(他に最低1人残っていればトイレなどで中座するのは構わない)。
 
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昨年は蓮菜のお母さんがやってくれたが、田代君も長くこの神社に関わっているので、今年は彼の父がしてくれた。花絵は昨年「妊娠してなかったら頼む」と言われていた。妊娠していないのでやることになった。妊娠以前に夫が多忙すぎて殆ど帰宅しないので夫婦生活自体をしていない。主婦さえもしてない。
 
 
 

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この不寝番を身内の人間で担当するのは、きついのに責任が重いからである。過去に火が全部消える事故は起きたことが無いが本当に消えたらきっと千里が呼びつけられる(*4).
 
各燈台には目印の線が引いてあり、基本的には燃料がここより下になったら給油が必要である。給油する時、必ず油の量に差を付ける。それによって2つ以上が同時に消える事態を防止できる。但し、火が消えるのは燃料切れより風による場合が圧倒的に多い。風で火が消えた場合は、藺草(いぐさ)を細くまとめたものに消えてない燈台の火を移して再点火する。オリンピックの聖火みたいにライターで点火したりはしない。
 
(*4) 千里が中学卒業で留萌を離れることになった時、P大神は最初誰か後任の“雑用係”を選ぼうと考え、男の娘が便利なので、沙苗に目を付けていたが、Q大神に取られてしまった。それで千里を使い続ける!ことにし、千里Rのコピーrを作った。rの出没管理についてはGを呼びつけて「よろしく」と言った。
 
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元々P神社に深く関わっていたYではなくRからコピーしたのは、Yは元々C1(B)のコピーなので、コピーを更にコピーすると劣化することからオリジナルの1人であるR(C2)からコピーした。Bもオリジナル(C1)だが、BはQ大神のものになっているので、少しでもP神社と関わっていたRを利用した。
 
(実際BはQ神社の深部には入れるがP神社の深部には入れない。実はどちらにも入れるのはVのみ)
 
2003年4月に千里は最初A大神の手で2人にduplicateされた。これがC1とC2で、この2人はどちらもオリジナルである。C1が青になり、C2が赤になった。黄色はP大神の手で作られたC1のコピー。この時点ではまだ青はQ大神のものではなかった。後に青は貴司との関わりからQ神社の専属になってしまう。
 
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秋祭りが始まる。
 
朝9時、善美の太鼓・玲羅の龍笛にあわせて和弥が祝詞をあげ、秋祭りの象徴である姫奉燈が出発する。姫奉燈は4人の巫女に先導され、赤い小袖を着た10人の男性氏子さんに引かれている(姫奉燈には車輪が付いていて非力な人にも引ける)。姫奉燈を牽く氏子さんたちはお化粧もしている。夏祭りが男性的な祭りであるのに対して秋祭りは女性的なお祭りである。
 
この祭りの期間中神職が着る衣裳もこの祭りのための特別なものだが、ほぼ女性神職の装束のような赤系統の色が多数使われたものである。今年はこれを和弥が着ている。
 
今年、姫奉燈を先導した巫女は広海 千里 守恵 貞美 の4人である。広海が先頭で扇を持ち、千里が篠笛で木遣り歌を吹いた。夏祭りでは龍笛が主役であるが、秋祭りは篠笛が多く使われる。
 
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この篠笛は後に京都で不思議な女性と交換したものとは別である。あれは旭川の楽器店で買ったプラスチック製で青が主に使ったが、こちらは千里が小学生の時に留萌市内の文房時店!で買った物。女竹製である。赤が主として使った。
 
先導巫女は、純代・守恵・広海・千里の4人で2002-2005の4年間務めたのだが、この春に高校を卒業した純代が処女も卒業してしまったので代わりに貞美(高木紀美の妹)が加わった。千里に関しても処女を卒業したという情報もあったのだが、蓮菜が
「処女を卒業したのは青。赤はまだ処女」
と正確な情報をもたらし、赤の千里が先導巫女に留め置かれることになった。
「青?赤?」
「千里は何人かいるけど、髪ゴムの色と腕時計のベルトの色で区別できる」
「へー」

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「旭川に居てバスケットしてて、細川君とセックスしたのは青。赤は兵庫県に居て剣道してて、特に彼氏は居ない」
「細川君ってQ神社の副巫女長の息子さんね」
「うん。だから留萌と旭川のQ神社に居るのは青、このP神社に居るのは黄色か赤」
「ほほお」
「そういえば夏祭りで日本刀で藁を切ってた」
「それが剣道やってる赤だね」
「なるほどー」
「何人いるの?」
「本人に聞いても分からないと言ってる。少なくとも赤・青・黄色・緑・すみれ色・白・金色の7人は居る。それ以上は分からない」
「ふむふむ」
 
それで赤の千里は今年も先導巫女を務めることになったのである。
 

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歴代の先導巫女
1994 文代L 梨花 花絵 小春
1995 花絵L 梨花 美輪子 小春
1996 美輪子L 花絵 梨花 小春
1997 梨花L 乃愛 美輪子 小春
1998 乃愛L 洋子 美輪子 小春
1999 洋子L 守恵 美輪子 小春
2000 守恵L 朱理 美輪子 小春
2001 朱理L 純代 守恵 美輪子
2002 純代L 守恵 広海 千里
2003 広海L 純代 守恵 千里
2004 千里L 広海 純代 守恵
2005 守恵L 千里 広海 純代
2006 広海L 千里 守恵 貞美
 
なお紀美ではなく妹の貞美が加わったのは、「きっと妹の方が処女卒業も遅い」と言われてである。実際は河洛邑の色彩が強すぎる紀美の参加に宮司の常弥が抵抗感を示したのが主たる原因ではないかと千里は想像している。常弥は河洛邑の“内輪もめ”に巻き込まれたくないのである。紀美自身、そういう揉め事に巻き込まれるのを嫌がって留萌に逃亡してきた。しかし光辞の写しを置いているだけで昨年末の鳥居破壊事件(光辞強奪未遂事件)のようなことも起きている。
 
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夏祭りが賑やかな祭りであるのに対して、この秋祭りは静かなお祭りである。姫奉燈が戻ってきたあと、昼間は箏の演奏、小学校のコーラスサークルの演奏、愛好者による日本舞踊の奉納、今年から加わった地元の篠笛愛好会の演奏、等が続いた。15時には小学生巫女による巫女舞が奉納され、そのあと旭川のA神社さんから来てくれた人たちによる雅楽の演奏がある。保存会の人たちによるアイヌ舞踊、アイヌ音楽の奉納を経て18:00から21:00までの1時間置きに4回、先導巫女4人による巫女舞が奉納される、1日目の行事はここまでで終わりである。
 

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P神社の秋祭りは近年では“留萌の灯りフェスティバル”とも呼ばれ、祭りの間はC町とA町の道々に多数のカンデラが置かれて美しい風景になる。また小学校や幼稚園の校庭や園庭、公園などにカラーのカンデラで構成した絵なども作られる。このカラーのカンデラはカンデラの容器の蓋を小学生たちがマーカーで外側から塗ったものである。容器はガラス製なので燃えることは無い。セロハンを貼るアイデアもあったが、セロハンは燃えやすく危険なので色を塗る方式に落ち着いた。そもそもLEDは熱くならない。昔はろうそくだったから、結構危険だった。カンデラのカラー絵はLED化されてから登場したものである。小学校の校庭ではロウソク時代から絵を構成していたが、カラーは着けていなかった。(一度やった年もあったがカラーフィルムが燃えてしまい、危険だとして翌年からモノクロに戻した)
 
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