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■女子高校生・夏はスカート(1)

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2006年3月、翻田和弥は伊勢の皇學館を卒業したが、卒業式の後で姉の花絵は
「あんた、うちの引越荷物の整理手伝ってよ」
と言って和弥を自分の車で姫路に連れて行った。この車に平田まゆりが
「姫路に行くのなら乗せてください」
と言って同乗した。彼女と和弥が親しそうに話しているのを見て、花絵は祖父の常弥に電話した。
「和弥も神職の資格取ったからさ、すぐカズをP神社の禰宜に任命した方がいい」
 
(禰宜(ねぎ)とは神社で宮司(ぐうじ)に次ぐNo.2のこと。企業なら副所長。後述の権禰宜(ごんねぎ)は無役の神職。いわば平社員。宮司や禰宜はひとりだけだが、権禰宜は複数居ることもある)
 
「なんで?和弥はまだ2年大学院に通うんだから、それ卒業してからでもいいんじゃない?」
「それがやばいのよ」
と言って花絵は説明した。
・和弥が姫路に住む平田まゆりさんと親密になりつつある。
・彼女は姫路の立花K神社の跡取り娘である。
・彼女には男の兄弟とかおじとかがおらず、女の子ばかりだったが、彼女が「自分が宮司を継ぐ」と言って皇學館に入り神職の資格を取った。
・ひとつ間違えば彼女の祖父であるこちらの神社の宮司さんから「君がこの子と結婚して宮司を継いでくれ」とか言われかねない。
 
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「それは困る」
「だから先手を打とうよ」
「分かった」
 
それで常弥は北海道神社庁に連絡して和弥を4月1日付けでP神社禰宜に発令してもらったのである。和弥は禰宜になるのは2年後のつもりだったので驚いたが、常弥から
「私もいつお迎えが来てもおかしくないから」
と言われ、受けることにした。それですぐ留萌に戻り、神前に禰宜就任のご挨拶をした。彼は4月上旬まで留萌に留まり、そのあと授業が始まるので伊勢に移動した。
 
一方、まゆりも4月1日付けで立花K神社の禰宜に発令された。
 

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その日、A大神は千里Gに言った。
「千里。頼みがある」
 
普通は千里が色々大神にお願いしている。大神の方から頼み事というのは、極めて珍しいことである。
 
「一体何をすればいいんでしょうか。小泉首相をぶん殴ってこいとかいうのは勘弁してほしいですが」
「なぜ殴らねばならん。最近の首相にしてはよくやっておるではないか」
「だったらブッシュ大統領ですか」
「そんなことは頼まん。実はミンタラ木材の社長が亡くなったんだよ」
「ああ。とうとうですか」
「まあ私も長くないとは思ってたが。それで千里、新しい社長になってくれ」
「社長と言われても、私は製材のこととか全然分かりませんが」
「構わん。業務は社員たちが適当にやる。でも誰か人間を社長にせねばならんから」
「ああ」
 
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“適当にやる”ねぇ。確かに、あの製材所なんか適当そうだもん。採算が取れてるとは到底思えないし。千里が眷属に持ち込ませた樹木とかタダで製材してくれるから助かってるけど。しかしミズナラの木を持ち込んだのにヒバの製材を渡された時は仰天した。
 
 
それで、千里はミンタラ木材の社長になったのである。千里はその後全国で1000以上の製材所を保有することになるが、ここが第1号である。
 

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4月21日以降、姫路ではRとY2が分担して授業を受けるようになった。片方が教室に居る時はもう片方は司令室で休んでいる(寝ていたり漫画を読んでいる。笛やピアノの練習をしたり、Rは竹刀や真剣で素振りしていることもある)。
 
29日、R(ロビン)はA大神様に言った。
 
「ビクトリア(V)からは『自分で調整してね』と言われたんですが、なかなか大変で」
「そうか」
「夜梨子(Y2)から私に交替する時はいいんですよ。私が教室に行けば30mルールで夜梨子は自動的に司令室に移動されるから」
 
本来は30mルールで消えた子はA大神が設定した仮眠場所(亜空間)に飛ばされていたのだが、そこからの移動に毎回大神の手を煩わせることになり申し訳無いので、姫路司令室、旭川司令室(深川司令室旭川分室)に飛ばされるように設定変更してもらった。飛ばされた側も亜空間だと冬眠しているしかなかったが、司令室だと行動の自由がある。その代わり代謝もするし疲労もする。トイレにも行かないといけないし、食事・おやつも必要である。暇なので漫画やパソコンも必要である!
 
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「でも私から夜梨子に交替する時は大変なんですよね。私自身が司令室に移動して、司令室に居る夜梨子を教室に転送しないといけない。でも私が司令室に行った時点で夜梨子はそこに存在できなくなってしまう」
「ああ」
 
(R>B>Y。GはV以外の全員を消せる。Vは誰も消さないし、誰にも消されない。Rは“ロック”している時はGのそばに寄れる。ロックはG・Rと大神に設定・解除できる。またG自身がロックしていると誰も消さない)。
 
 
 
「何か主体と客体が、不確定性原理でいう観察の理論で影響し合って意図通りの結果を得るのに苦労するんですよ。でもグレースやビクトリアは旭川や留萌の調整だけで手一杯ですよね」
 
旭川ではFとB/Y1の分離・合体や交替などの作業、留萌ではr(スモールアール:Rの代理人)の出没管理や善美(子牙)の霊的作業の代行がある。FやY1がすべき作業をrにさせることもある。GやVが自分で代替することもあり、かなり複雑である。
 
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「だったら、姫路に誰かお前に代わって調整できる子を置こう」
「すみません」
 

それで5月1日にRが司令室に行くと、緑色のワンピースを着た千里が居る。
 
「グレース?」
「おはよう、ロビン。私は“ジェーン”。アルファベットではJ。大神からロビンちゃんと夜梨子ちゃんの交替作業を頼まれた。時間割と2人の担当を教えて」
「了解」
 
それでロビンはジェーンに時間割をコピーして渡し、自分の出たい授業に赤いマーカーを付け、出たくない!授業に黄色いマーカーを付けた。無印のところはどちらが出てもよい。
 
「OK。これで調整するね」
「よろしくー」
 
ロビンは、ジェーンが右利きなので、これはグレースのコピーかな?と思った。千里のRBYは左利きだが、ミラーであるGVは右利きだ(但しゆっくりとなら左でも字を書いたり箸程度は使える)。
 
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なお、姫路司令室地下の
仮眠場所は1階との間に大神の手で霊的なバリアを張り、RやJが1階にきても地下に居るY2を消さないようになったということであった
 
(つまりJはYを消せるようだ)。

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4月末。通常の牡蛎(真牡蛎)が出荷できるのは今月まで(Rの付く月)なので、岡山新鮮産業は青沼海産を含む牡蛎の養殖をしている配下の業者に(通年出荷可能な3倍体牡蛎“牡蛎小町”を扱っている所を除く)、水揚げ可能な牡蛎をできるだけ揚げて冷凍を作るよう指示した。再び生牡蠣が出荷できるようになる10月までは冷凍だけが頼りである(北陸新鮮産業で取り扱う能登の“岩牡蠣”は6〜8月くらいがシーズンになる)。
 

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4月28日、和弥はゴールデンウークは北海道まで帰省するのも大変だし、アパートで寝て過ごすつもりだったのだが、平田まゆりから電話が入る。
 
「翻田君、うちの神社で“姫祭り”というのがあるんだけど、男手が欲しいのよ。手伝ってくれない?交通費別で3万円払うから」
「まあいいよ」
 
それで和弥は大変な事になるとは思いもよらず、姫路まで行くことにしたのである。
 
交通手段は、まゆりが「私の車で迎えに行くよ」と言ったが、女性と、特に彼女とふたりきりの状態は作りたくない気がしたので花絵に連絡して迎えに来てもらった。その花絵からも
「あんた、まゆりさんから誘惑されても手を出しちゃだめだよ」
と改めて釘を刺された。
「それ物凄くやばいことになりそうだから逃げるよ」
 
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祭り期間中は花絵の家に泊めてもらうことにする。
 

姫路に行きK神社に行く。宮司さんにも挨拶したが、宮司さんは寝ていた。もう1年ほど、ほぼ寝たきりという話だった。和弥が
「お祭りのお手伝いをさせていただきます翻田和弥と申します。正階を持っております」
と言うと、宮司は何だか嬉しそうな顔をして
「ああ。よろしくお願いします」
と言った。和弥は嫌な予感がした。何かこの人、誤解してないよね?
 
(神職の資格“階位”は上から浄階・明階・正階・権正階・直階となっている。和弥は今年の3月に皇學館の学部卒業で正階を取得したが、このあと2年間大学院で学び、ひとつ上の明階を取る予定。まゆりは今年修士課程を出て明階を取った。後に花絵は権正階、千里は明階を取る)
 
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まゆりから
「本社にご挨拶に行こう」
と言われる。
「本社?」
「うちは有明町にあるK神社の分社なのよ」
「へー」
 
「これ着て」
と言って何やら衣裳を渡される。
「これは?」
「祭り期間中だけ翻田君をうちの神社の権禰宜に臨時に任命するから」
「あはは」
 
それで和弥は隣の部屋で衣裳を着けてきた。
 
そのあと宮司の親戚という越智総次さんという人が運転するクラウンで30分ほど掛けて本社まで行き、昇殿してご挨拶をした。本社の宮司で松岡さんという人から
「そちらはまゆりちゃんの彼氏?」
などと訊かれる.
「いえ。ただの友人です」
と否定したものの、松岡さんはボーイフレンドなのだうと思った気配がした。
 
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立花北町に戻る。(団地は橘丘新町だが、神社やセブンイレブンのある界隈は立花北町。神社やコンビニの東側に町の境界がある)

 
しかし和弥は本社まで往復して来て思った。
「この神社は分社ではなく遙拝所じゃん」
 

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「まずは明日(4/29)みどりの日は朝9時からの“姫様道中”の先導役をお願い」
 
姫様衣裳を着けた中学生が上臈衣裳の子3人を連れて町内を練り歩くというものらしい。
 
「道が分からないけど」
「私が先を歩きますから、翻田さんはその後を付いてきてください」
と越智総次さんが言う。
 
「分かりました。宮司さんの従弟さんでしたっけ?」
「まあ、そんな感じです」
 
正確には彼の奧さんが宮司の従妹である。
 
姫様と上臈に扮する子達を見て驚く。
「男の子?」
 

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「この祭りの姫様・上臈の役は中学生か5年生以上の男子が務めることになってるのよ」
「へー!」
「50年くらい前までは女の子だったらしいです。でも姫様衣裳って結構重たいから姫様役の女の子か倒れたことあるらしくて」
「ああ」
「それ以来、男の子がすることになったんですよ」
「ぼくもスカート穿いてくれとかシンデレラのドレス着ろと言われたらさすがに逃げるけど、まあ姫様衣裳くらいならいいかな」
「ああ。シンデレラのドレス用意しようか。プリンセス・パレードとかに改名して。お付きの子たちもイブニングドレスで。履き物は姫下駄じゃなくてガラスの靴ね」
「むしろ現代ならアクリルガラスとか使えば、丈夫なガラスの靴が作れそう」
「勘弁してください」
「シンデレラならかぼちゃの馬車に乗るからそれほどきつくない気がする」
「この祭りの姫様は馬に乗るんだよね」
「それで運動神経の問題もあるみたいです。おとなしい馬使うけど、女の子はうまく馬に乗ってられなかったりするから」
「ああ」
「それと実際にはそんなことないけど、女の子が馬なんかに乗ると処女膜が破れるのではと心配されたのもあったらしいです」
「まあ男の子には処女膜無いし」
「あったら大変だ」
{お嫁さんに行かされたりして}
「ウェディングドレス着なきゃ」
「やだー」
 
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