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■女の子たちの性別疑惑(8)

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その日、授業が始まって先生が出席を取った時、「村山」と呼ばれて千里が「はい」と答えたのに先生は席を見て
 
「あれ?村山は欠席?」
などと言う。
 
「居ますけど」
と千里が言ったら
 
「え? お前髪どうしたの?」
などと訊かれる。
 
「すみません。ウィッグです」
「ああ。びっくりした。昨日は丸刈りだったのに」
「えっと、これ規則違反になるでしょうか?」
 
「女子は肩に付かなければOKだから問題無い」
と先生は言って、更に
「本当はいつもの髪型の方が違反っぽい」
などと言ってから、点呼を続ける。
 

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結局その日、千里は毎時間、先生から髪を確認されることになる。
 
「どの先生も、ふだんの千里の髪型の方が違反だと言ってたよ」
とみんなに言われる。
 
「今後はずっとその髪型で居よう」
「ついでに月曜日から女子制服で出て来よう」
 
「そうそう。そもそも女子のベストをブラウスの上に着てるんだもん。そのブラウスをN高カラーのペールブルーのに替えて、下もスカートにすればいいんだし」
 
「千里学校が終わって神社に行く時はふつうの女子制服に着替えてるじゃん」
「まあそうだけど」
「その制服を朝から着ていれば問題無い」
 
「男子制服と女子制服の両方を持ち歩くなんて非効率的」
 
確かに効率的ではない気はする。
 
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その週末は七夕祭りである。神社の境内にはたくさんの笹を飾り、短冊を書いて結べるようにしていた。カップルの参拝客も多い。この日に結婚するカップルも居て、千里は神社内の結婚式場で、祝いの笛を吹いた。
 
お祭りは金土日と3日間続いた。土曜と日曜は22時まで奉仕したのだが、土曜の21時を過ぎた頃、境内に入ってきた客を見て、千里はドキっとする。
 
貴司であった。
 
貴司は祈祷受付の所に座っていた千里に声を掛ける。
 
「何時にあがるの?」
「22時だけど」
「そのあとちょっと散歩しない?」
「すぐ帰らないと叱られるよ」
 
千里はやむを得ない場合を除いて21時以降の外出は禁止と叔母から言われている。
 
「じゃ、千里のうちに一緒に行ってもいい?」
 
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千里はしばらく無言で貴司を見詰めていた。
 
「いいよ」
と千里は答えた。
 

お祭りは0時まで続くので、後のことは最後まで居残る目時さんに引き継いで巫女衣装を脱ぎ、ふつうのN高女子制服に着替え、少し考えてウィッグを蓮菜たちに買ってもらったショートボブのに変更して千里は22:15くらいに社務所を出た。境内で待っていた貴司が寄ってくる。
 
「お待たせ。寒かったでしょ?」
「大丈夫だよ。でもその髪は?」
「友だちがプレゼントしてくれたんだ」
「可愛いよ」
「ありがとう」
 
自転車に2人乗りしようよと貴司が言うので、貴司が前に乗り、千里が荷台に座って、美輪子叔母さんの家に向かう。千里はしっかりと貴司に抱きつく形で乗っていた。貴司の体温が千里の心を軟らかくした。
 
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「今の時期は自転車通学もいいだろうね。冬はできないけどね」
「冬も頑張るよ」
「雪道に自転車は無茶でしょ」
「私、雪道結構自転車で走るよ」
「きれいに固まってたら何とかなるけどシャーベットは僕でも無理。明け方とかブラックバーンになってたら自動車のスタッドレスでさえ無力だから」
「うーん。でも頑張ってみる」
「転倒して腰痛めたら、赤ちゃん産む時に大変だよ」
「・・・・・」
 
貴司から《赤ちゃん》なんて言われたらドキっとする。
貴司の赤ちゃん・・・産みたかったかも知れないなあ。
 
しばらくふたりを沈黙が包んだ。
 
「でも、この自転車、けっこうきしむね」
「年季物だから」
「少し油差したほうがいいよ」
「それ分からない」
「じゃ明日にもやってあげようか」
 
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「明日まで貴司、居るの?」
「うん。僕は明日夜7時の便で留萌に帰る」
「私は明日も夕方まで神社に行ってるけど」
「自転車の油差しは昼間に神社でしてあげるよ」
 
「今夜はどこに泊まるの?」
「千里んちに泊めてくれない?」
 
千里は返事をしなかった。しかし貴司は更に言った。
 
「そして今夜、セックスさせてよ」
 
ドキっとする。心臓の鼓動がにわかに高くなるが、身体を密着させているのでその鼓動が貴司に伝わっているよな、と千里は思った。
 
結局、千里は貴司の問いかけに返事をしないまま、自転車は美輪子の家に着いた。
 

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「ただいま」
と言って家に入って行く。貴司が一緒なのを見て
 
「あら、細川君、いらっしゃい」
と美輪子は笑顔で言った。
 
「お邪魔します」
 
そして千里は美輪子に訊いた。
 
「ね、おばちゃん。今夜彼を泊めてもいい?」
 
美輪子は少し考えた。でも笑顔でこう答えた。
 
「いいんじゃない? でも避妊はちゃんとしなさいよ」
 
すると貴司が
「ちゃんと持って来てます」
と答えた。美輪子は頷いていた。
 

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美輪子も今日は残業していたということで、冷凍ストックのお肉を解凍して、ホットプレートを出してお好み焼きをした。千里がキャベツを刻み、生地を混ぜるのは貴司がやってくれた。
 
「細川君、おうちでも料理するの?」
「ほとんどしません。だいたい母がしてくれるので」
「妹さんがいたよね? 妹さんたちは?」
「全然手伝いませんね。僕よりしないから、結局僕が刺身を切ったり、カレーの鍋にルーを入れて掻き混ぜたり程度はしてますけど」
 
「刺身を切れるのはポイント高い」
などと美輪子は言う。
 
のんびりと夕食を取った後、叔母さんが先にお風呂に入ると言い入ってから、その後千里たちに「ごゆっくり」と言って、自分の部屋に入ったので、千里と貴司はその後、千里→貴司の順にお風呂に入った。
 
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貴司がお風呂から上がって千里の部屋に行くと、千里はもう布団に入っていた。
 
「お願いがあるの」
と千里は言った。
 
「今お祭りの最中なの。だからセックスすると巫女としての仕事に差し支えるから、セックスは明日にしてくれない?」
 
「明日は何時までなの?」
「朝10時から夕方18時まで」
「じゃ、もう1泊させてくれる?」
「うん」
「月曜日の朝1番の汽車で帰るよ」
 
その晩は結局一緒のお布団で抱き合うようにして寝た。
 

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翌日、千里は朝から神社に出たが、貴司は街に出て自転車に差す油を買ってきた。神社にやってきて、千里に一言声を掛けてから、自転車に油を差してくれた。その後、午後は旭川市内の友人などと会っていたようである。
 
今日も祈祷で笛を吹いていたし、結婚式も2件やった。
 
1件目の結婚式の後で斎藤さんから
 
「今日の千里ちゃんの笛、物凄く優しい」
と言われた。
 
「多くの神社では巫女は未婚の女の子だけですよね。結婚したら力を失うのでしょうか」
と千里は訊いた。
 
「人によると思うよ。生理中は精神的に乱れる人が多いからだいたい休ませるけど、結婚して出産した後でも大きなパワーを維持する巫女さんは、たくさん居る」
と斎藤さん。
 
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「斎藤さんもそうですもんね」
「うん。留萌の細川さんもそうだね」
「はい」
 
「あの男の子、もしかして細川さんの息子さん?」
「そうです」
「恋してるんだ?」
「はい」
と千里は笑顔で答えた。
 
「いいお返事するなあ。そういえば細川さん、千里ちゃんのこと、娘のようなものですと言ってたけど、義理の娘だったんだね」
「結婚できる所まで行けたらいいですけど」
 
「まあ10代の恋はなかなか結婚まで辿り着けないけど、行ける所まで頑張ればいいんだよ」
「そう思っています」
 
「今日の千里ちゃんは恋の力でパワーアップしているみたい」
「えへへ」
「七夕は恋人たちの祭典だからね。それにふさわしい笛だと思うよ」
「そうですよね!」
 
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「でも千里ちゃんが実は男の子だってこと、私はしばしば忘れちゃう」
「あ、自分でもよく忘れてます」
「やはり」
 

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お仕事を夕方であがる。18時ジャストに境内にやってきた貴司と一緒に帰る。今日もショートボブのウィッグをつけている。
 
「自転車のスタンドもスムーズに上げられるようになってる」
「うん。そこも何か硬くなってるみたいだなと思って油差しといた」
「男の子って凄いなあ。うちはお父ちゃんは船に乗って出ていてほとんど不在だったし、この手のものが全然分からなかったよ」
「女家族だったんだね」
 
「うん。その状態に慣れてたから、妹とか、お父ちゃんという男の人が家にいるので緊張するとかこないだ電話で言ってた。あの子、お風呂上がった後裸で歩き回っていたし」
「中学生の女の子として、それはどうかと思う」
「だよねー」
 
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「お父さんの仕事先、見つかりそう?」
と貴司は訊いた。
 
「全然ダメみたい」
と千里。
 
「実家からの送金途絶えてるんじゃ?」
「うん。入学した時に、4月分と言われて3万円渡されただけで、5月も6月ももらえなかった」
「それで学費は自分で稼いでいるんだ?」
 
「結果的にはそういう形だねー。バスケ部が結構思った以上にお金が掛かっているけど、私バスケの特待生だから辞められないし」
「まあ特待生の辛さだな。N高の場合は勉強でも上位に居ないといけないし」
 
「そうなんだよね。どうかした学校の特待生は、勉強をほとんど免除されてひたすら野球とからしいけど、それはもう高校生じゃない、なんて、うちの理事長さんは言うんだよね」
「僕もその意見に賛成」
 
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「貴司勉強してる?」
「赤点にはならないようにしてるよ」
「S高は赤点取ったら部活禁止だもんね」
「そうそう」
 

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貴司をもう1泊させたいと言ったら、美輪子に何か言われるかなと思ったのだが、その晩、美輪子は帰宅していなかった。千里が晩御飯にシチューを作りながら待っていたら、20時頃に
「今夜は仕事で徹夜になりそう」
というメールが入る。
 
「お疲れ様。じゃ適当に食べて寝てるね」
と返信したら
 
「避妊はちゃんとしろよ」
というお返事が帰って来た。
 
貴司にそのメールを見せると、笑っていた。
 
御飯を食べた後、昨日と同じように、千里→貴司の順でお風呂に入る。千里は貴司がお風呂に入っている間に部屋のファンヒーターにスイッチを入れ、裸になってお布団に入り、電気を消した。
 
やがて貴司がお風呂から出てくる。
 
「千里? 寝てるの?」
「キスしてくれたら目を覚まします」
「まるでシンデレラだね」
「白雪姫では?」
「あ、間違った!」
 
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貴司がそっと千里の唇にキスをする。それで千里は目を開ける。
 
「私たち、また恋人になっちゃう?」
「うん。なってほしい」
「私、丸刈りだけどいいのかな?」
「慣れた」
「私、男の子だけどいいのかな」
「それが嘘だというのは確定済み」
「じゃ、私が声変わりしちゃうまでで」
「千里が声変わりするのは20年後くらいかなあ」
「明日かも知れないよ」
「まあ、声変わりが来たら来た時で再協議ということで」
「了解」
 
それで貴司はお布団の中に入ってきて千里を抱きしめた。貴司も最初から裸だ。
 
「千里、喉仏が無いよね」
「だからこの声だと思うよ」
「千里、やはり少し胸がある」
「気のせい、気のせい」
「やはり千里、おちんちん無い」
「それも気のせい」
「千里、オナニーはしないの?」
「結婚したら教えてあげる」
「千里ヒゲとか生えないんだっけ?」
「女の子の舞台裏は男の子には開示できません」
「まあいいけどね」
 
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再度貴司は千里にキスした。
 
「えっと、僕の入れられる場所あるよね?」
「ちゃんと誘導するよ」
「でもそれどこなの?」
「内緒」
「やった後でさ、フェラもしてくれない?」
「いいよ」
 
千里は貴司にディープキスをして、ふたりは身体を強く密着させお互いの腕を相手の背中に回して絡め合うようにした。
 
 
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女の子たちの性別疑惑(8)

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