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■女の子たちの国体・少女編(8)

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やがて時間になるので下に降りて行き2次会に出席する。2次会は立食パーティーで、人数もかなり増えている。最初に雨宮先生が音頭を取って乾杯した後、上島ファミリーの歌手・ユニットの演奏とメッセージを録画したビデオが流される。各ユニット3分単位で切り替えられていくが、上島ファミリーというのは50組くらい居るらしい。よくそんなに多数のユニットに楽曲を提供できるものだ。
 
大西典香や百瀬みゆき、篠田その歌にAYAといった面々の歌・メッセージも流れる。そのAYAのメッセージの後、司会を務めていたアルトさんと同じ事務所の後輩・満月さやかが「次はこの9月にメジャーデビューしたローズ+リリーです」という。
 
ふーん、新人歌手か、と思って何気なくスクリーンに投影されている映像を見ていたのだが、千里は「え?」と思った。
 
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ふたりの女の子が歌っているのだが、その片割れがKARIONの蘭子だったのである。嘘?蘭子がKARIONを辞めたという話も聞かないけど、まさか掛け持ち?と悩む。一瞬似た別人かとも思ったのだが、声は少し変えているものの、伝わってくる《波動》が間違い無く蘭子だ。どうなってるんだろう?後から美空に電話して聞いてみよう、と千里は考えた。
 
ローズ+リリーのメッセージが流れた後、司会の満月さんは
「ローズ+リリーは本日北陸方面にキャンペーンに行っているためこちらには来れないとのことでしたが、ご祝儀と色紙を頂いております」
と言って、その色紙を雛壇の所に置いてきていた。
 
千里はそれを見ていて、ふと思い起こした。昨夜雨宮先生はピアニストを頼もうと思っていた女子高生が新潟とか金沢とかに行っているなどと言っていた。もしかしてその女子高生って、このローズ+リリーのふたりのことだったりして?そうだ。確か蘭子はピアノが超絶うまいと美空が言っていたもん。
 
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「あ、洋子さんだ」
と千里の近くに居た秋風コスモスが言った。
 
「やはり、あれ柊洋子ちゃんですよね?」
と千里は訊く。
 
「ええ。ですよね? とうとうデビューなさったんですね。昨年ファーストアルバムの制作をした時、私たくさん洋子さんに歌唱指導して頂いたんですよ」
 
ああ。秋風コスモスちゃんはKARIONは知らないのかな?とチラッと思う。まああのユニットは3万枚くらいしか売れてないみたいだから、知る人ぞ知るなんだろうな。
 
「へー。そんなこともしてたんですか?」
と千里は言いながら、コスモスと一緒に映像の中の2人が可愛く手を振っているのを眺めていた。
 

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千里は12日も同じホテルに後泊し、13日体育の日に旭川に戻った。
 
そして連休明け10月14日は3年生2学期(後期)の始業式であった。
 
千里は女子制服に身を包んで東体育館に並び校長先生の話を聞いていて、この学期で高校生活も終わりかと思うと感慨深けであった。そういえば私、男子制服ってどこにやったっけ? 最近見てない気がするけど。
 
千里の男子制服は以前は自分の部屋のハンガーに掛けてあったはずだが、しばらく見ていないような気がした。
 
「実際には12月で事実上授業は終わりって感じだよね」
と京子が言う。
 
「1月に入るとすぐセンター試験だもん」
と花野子。
 
「ひたすら入試を受けて関東・関西を転戦という人もあるみたい」
「頑張るなあ」
「いやもう今月から早い所は推薦入試とかやってるし、専門学校系では本入試やるところもあるし」
 
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この日の放課後、南体育館にバスケット部の男女1−2年生全員と、3年生の女子の中から、暢子・千里・留実子・薫・夏恋・寿絵の6人、そして3年男子の北岡・氷山・落合の3人が集まった。
 
「そういう訳でこれからウィンターカップ道予選の選手選考をします。現時点で選手に決まっている人は1人もいません」
と宇田先生は言った。
 
「すみません。男子も3年生が入るんですか?」
と質問が出るが
「3年生を出してもいいとお許しが出たのは女子だけ」
と北岡君。
「僕たち3人は試験官ね」
と氷山君。
「どちらかというと性転換してでも、ウィンターカップに賭けたい気分」
と落合君。
「落合、どっちみち男子バスケ部からは引退してるから性転換してもいいぞ」
と北岡君。
「病院紹介しようか?」
と千里も言う。
「うーん。5年くらい考えさせてくれ」
と落合君。
 
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「ちなみに私も試験官です。私も出たいけど3年生は最大3人らしいから、それなら暢子・千里・サーヤがいいと思うから」
と夏恋が言っている。
「右に同じ〜」
と寿絵。
 
「それで、試験内容は、マッチアップ、レイアップシュート、フリースロー、スリーポイントシュート、リバウンド、パスの6項目。各5点で合計得点で優秀な方から男女15人を選びます。但し女子は村山君や歌子君が15人の中に入った場合、村山君はアジア大会と日程がだぶっていて道大会に出場できず、歌子君は資格制限のため全国大会に出場できないので、結果的にもう1人選考して女子は16人になります」
 
と白石コーチが説明する。
 
「まずレイアップシュート、フリースロー、スリーポイント、リバウンドで点数を出します。レイアップシュートはゴール下に北岡君に立っていてもらいます。彼は何もしません。ただ立っているだけです」
 
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と白石コーチは説明するが190cmの北岡君が立っていると何もしなくても威圧感はたっぷりである。
 
「この4つでの得点を見て、残る2つの種目で挽回不能な人はそこで脱落です。残る人でパスの試験に進みます。これは女子は氷山君にディフェンスされている状態で向こうにいる根岸(寿絵)君にパスを出す、男子は白浜(夏恋)君にディフェンスされている状態で向こうにいる落合君にパスを出す、という内容です。ここでまた最後の種目で挽回不能な人は脱落します。最後のマッチアップは女子は北岡君とのマッチアップ、男子は若生君とのマッチアップです」
 
「北岡さんに勝たないといけないんですか!?」
と女子から声があがる一方で
「若生さんに勝つなんて無理です!!」
と男子たちからは声が上がる。
 
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「誰も若生に勝てなかったら登録選手ゼロで不戦敗だな」
「ひぇー」
 
「これ最初にやる人が不利で最後にやる人が有利だと思う」
「試験官が疲れてくるからね」
「じゃ上級生が先で、1年生が後にしよう」
 
「若生先輩はトライアウト自体にも参加するんですよね?」
「うん。だから最初に若生君が北岡君に挑戦して、その後で試験官になる。まあ若生がそこまで残っていたらだけど」
 

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それで試験を始める。全員に成績用紙を渡してから、レイアップ、フリースロー、スリー、リバウンドを4つのゴールで並行して行い、全員その4箇所を回っていったん体育館中央に集まるという流れにした。試験を受けているのは男子が20人(2年生8人・1年生12人)と女子が40人(3年生4人・2年生15人・1年生21人, 2年生は湧見昭子を除く人数)である。
 
女子ではここまでの4種目20点満点で16人が11点以上だったので0点の子は脱落ということになったものの、さすがに0点の子はひとりもおらず、全員次のパス試験に進む。
 
氷山君が目の前にいる状態で寿絵にパスを出すのだが、氷山君はひじょうにディフェンスが巧いので、カットされる子、スティールされる子、ファウルを取られる子が相次ぐ。パス試験を終えて成績16番目が15点だったのでこれで9点以下の子15人が一挙脱落した。
 
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最後に北岡君とのマッチアップをする。北岡君は2度以上のフェイントを掛けた子は全員通すように言われているので、暢子・千里・薫は余裕で全勝である。雪子も当然全勝。絵津子・ソフィア・不二子の「新鋭3人組」も全勝だった。留実子は5回の内1回負けた。揚羽・リリカも1回負けた。しかしこの付近はそれまでの成績が高得点なので余裕で枠内に入った。愛実は北岡君を1回も抜けず「出直します」と敗北宣言をした。
 
結局女子の16人は次の顔ぶれとなった(括弧内は成績)。
 
千里(27),ソフィア(27),絵津子(26),暢子(25),揚羽(25),リリカ(25),不二子(25),薫(24),志緒(23),留実子(22),雪子(21),結里(20),蘭(20),海音(20),永子(19),耶麻都(19)
 
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次点 紅鹿(17)
 
ポジション別にするとこうなる(括弧内は背番号)。
 
PG.雪子(5) 永子(14) SG.結里(11) ソフィア(6) 千里(17) SF.絵津子(7) 海音(13) 薫(17) PF.志緒(10) 蘭(12) 不二子(8) 暢子(16) C.留実子(18) 揚羽(4) リリカ(9) 耶麻都(15)
 
結局地区予選に出ていたものの道大会に出られないのは来未、紅鹿、愛実、の3人ということになった。トライアウトの点数は紅鹿17点、来未16点、愛実14点である。地区予選に出ていなかった子でここに食い込んで来た子はひとりも居なかった。出ていなかった子で最高は1年生の久美子で12点である。彼女はフリースローとレイアップを全部入れたのだが、リバウンドとマッチアップが全滅。パスとスリーが1回ずつ成功した。しかしレイアップを全部入れたのは偉いと南野コーチから褒められていた。
 
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次点の紅鹿がマネージャーとして同行する権利があったのだが、紅鹿は自分よりポイントガードの愛実をベンチに座らせて勉強させた方がいいと言ったので、その次の点数の来未の同意も得た上で、マネージャーは愛実ということになった。
 
背番号は主将の揚羽が4番、副主将の雪子が5番、そして3年生が16以降を付けるほかは今回のトライアウトの成績順とした。8,9の所は学年順で言うとリリカが8で不二子が9になるところだが、リリカが「新鋭3人組」を連番にしてあげようと言ったので、不二子に8番を渡した(地区大会では絵津子7, ソフィア9, 不二子14)。
 
なお、男子の15人は次のようになった(括弧内は学年とポジション)。
 
4.水巻(2.PF) 5.大岸(2.SF) 6.湧見(2.SG) 7.国松(1.C) 8.浮和(1.SF) 9.浦島(2.SF) 10.秋尾(1.SG) 11.服部(2.C) 12.二本柳(2.PG) 13.道原(晃,2.PF) 14.道原(宏,2.PF) 15.武蔵(1.PG) 16.小村(1.PF) 17.三瀬(1.PF) 18.辻口(1.SF)
 
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女子と同様に、主将・副主将の4,5番以外はトライアウトの成績順に背番号を与えたので従来の番号とは大きく異なるものとなった。地区大会のメンバーから1年生の引田君(PF)と沢井君(C)が落選し、代わりに中学時代は柔道部だったという三瀬君(さすがに体格がよいがスピードが無いのが課題)、これまで運動は何もしていなかったという辻口君(167cm,58kg)が割り込んだ。
 
辻口君は運動能力は低くても熱心に練習する姿が男子部員にも女子部員にも好感されていたのだが、今回スリーを3本入れたのとマッチアップで最後に暢子に挑戦したので暢子が疲れていて2回抜くことができたのが効いてギリギリで枠に滑り込み、初めて試合のベンチに座ることになった。
 
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「今回のテストって、シューティングガードに有利、ポイントガードに不利だった気がする」
「男女ともシューターの点数が高くて、ポイントガードの点数が低いよね」
「ポイントガードは背の低い子が多いから、リバウンドとか無理だもん」
「そのあたりが次回の課題かなあ」
「次回もあるんですか?」
「来年のインターハイの枠決めの時に」
 

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「女子は村山と歌子は同じ17番なのか」
とメンバー表の下書きを見て、氷山君が言う。
 
「薫は道大会だけに出られて千里は全国大会だけに出られるから」
と暢子。
 
「男の娘連合かな」
と落合君。
 
「でも千里はちんちんが付いてなくて私はちんちんが付いてる」
と薫は言うものの
「いや、たぶん薫にもちんちんは無い」
と暢子が言う。
 
「そのあたりは個人情報保護法ということで」
と薫は言った。
 
 
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