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■女の子たちのウィンターカップ高2編(8)

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12月28日は女子の3位決定戦と決勝、男子の準決勝が行われる。
 
女子では愛知J学園が東京T高校に20点差を付けて圧勝し、優勝した。これでインターハイ・国体・ウィンターカップの3冠である(しかもインターハイ・国体は2連覇)。この試合、花園さんはスリー8本を含む36得点をあげ、チームの得点の半分近くを稼いでいる。彼女は2回戦で45点、3回戦でも40得点を取っていたが、T高校のような強い所相手に36点取ったのはそれより凄いと千里は思った。
 
この試合を観戦していたN高校のメンバーは次第に口数が少なくなり、最後の方は無言になってしまった。
 
「あんなに強い札幌P高校に勝った愛媛Q女子高を東京T高校は圧倒したのに、そのT高校が愛知J学園にこんなに大敗するって、愛知J学園はどんだけ強いんですか?」
と1年生の蘭が言う。
 
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「J学園を高校生のチームと思っちゃいけないよ。プロに近いチームと思った方がいい」
と暢子は言う。
 
「なんでインターハイでは私たち、あんなに接戦を演じられたの?」
 
「そりゃ、向こうが君たちを舐めていたからだよ」
と薫が言う。
「全くこちらを研究していなかったというのも大きいよね」
と千里は付け足す。
 
「今のうちとJ学園が対戦したら、向こうが本気を出せばトリプルスコアだよ」
と暢子は言ったが、薫は
 
「いやクアドルプル・スコアかクイントプル・スコアだね」
と言う。
 
「2倍がダブル(double)で3倍がトリプル(triple)までは分かるけど、その先が分からない」
という質問が出る。
「4倍はクアドゥルプル(quadruple), 5倍がクイントゥプル(quintuple), 6倍セックストゥプル(sextuple)」
とまで寿絵が言ったところで
 
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「セックス!?」
という声が出るのはお約束。
 
「ラテン語で6はセックスだから」
「わっ」
「じゃ6人でのセックスはセックス・セックス?」
「6人でってどうやるの?」
 
南野コーチが「コホン」と咳をして、話は元に戻る。
 
「7倍はセプトゥプル(septuple), 8倍はオクトゥプル(octuple), 9倍はノヌプル(nonuple), 10倍はデクプル(decuple), 100倍はセントゥプル(centuple)」
 
「あれ?1倍は?」
「シングル(single)」
「あ、そうか!」
 

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「でも札幌P高校だって普段対戦していた時とこないだの道大会決勝では全然違ってたでしょ。これまでP高校は道大会までは全然本気を出していなかったんだよ。インターハイでJ学園に接戦を演じたうちを本格的なライバルと認めて本気を出した。でもインターハイ準決勝でのJ学園は延長戦になるまではあまり本気じゃなかったからね」
と千里。
 
「でも来月中旬の北海道遠征ではJ学園は本気で掛かってくるだろうね」
と寿絵。
 
「でもそれを返り討ちにしようってんで、この合宿なのさ」
と暢子。
 
「返り討ちにできるんですか?」
「君たちは強い!」
 
「よし、頑張ろう」
「今日は練習10時までやりましょうよ」
「まあ、そのくらいの時間帯まではいいんじゃないの?」
 
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この日は女子の表彰式も行われた。(男子の決勝と表彰式は明日29日に行われる)
 
優勝・愛知J学園、準優勝・東京T高校、3位・山形Y実業、4位・愛媛Q女子高と表彰される。千里はここに来て表彰されたかったなという思いが強くこみあげてくる。N高校は特例を使っても夏のインターハイまでで部活は終了なので、来年は千里はここに来ることができない。雪子や揚羽たちに期待するしかない。
 
最優秀選手はやはり花園さんであった。優秀選手5名には、J学園の日吉さん(PF)・入野さん(PG)、T高校の森下さん(C)、愛媛Q女子高の鞠原さん(PF)、山形Y実業の三山さん(SF)が選ばれた。表彰こそ無かったものの、得点女王・スリーポイント女王は花園さん、リバウンド女王は森下さんと発表された。
 
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ふと観客席を見渡していたら、札幌P高校の佐藤さんと目が合った。熱い視線が交換される。近くには、片山・竹内・尾山・宮野・徳寺・河口といったP高校の主力も揃っている。
 
別の場所には岐阜F女子高の前田さんや大野さん、また別の所には福岡C学園の橋田さんや熊野さんたちの姿も見られる。きっとみんな、今の自分と似た心境にあるのではと千里は思った。
 

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ウィンターカップの女子の日程が終了し、オールジャパンは1月1日からなので、一時帰省したい人はこの日の便で旭川に帰り、12月30日にまた出てきてもいいよとは言われたものの、帰る部員はひとりも居なかった。全員熱い試合に感動して自分たちも強くなりたいという気持ちに動かされ、28日も、29-30日もひたすら練習に励んでいた。何人かの部員の保護者が宿舎を訪れ、激励して差し入れなどもしてくれた。
 
唯一、薫だけが実家が東京なので、29日と30日の晩は実家に泊まり、31日の朝再度出てくることにした。
 
29日は男子の試合が終了したので北岡君たちが帰ることになる。ウィンターカップ観戦が主目的で来ていた明菜たち数人の自費参加組も一緒に帰る。
 
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その男子が帰る前に合宿所で男子vs女子の試合をした。薫と昭ちゃんはこの日は男子チームに入れた。またこの日帰る予定の明菜・萌夏に主審・副審をさせた。
 
「おまえら気合いがすげー!」
と落合君が途中で声をあげる。
 
暢子も留実子も、ずっと試合に出られずにいたことから溜まっていた鬱憤を晴らすかのように、激しいプレイをする。雪子もハイレベルな試合をたくさん見たことから、コントロールが進化している。多くの部員は毎日試合を見た後の練習で進歩しているのだが、雪子の場合はむしろウィンターカップの試合を観戦している最中に進歩しているのである。千里も見ていてこみ上げてきていた熱い情熱をぶつけるかのようにゲームに全力を注ぎ込んだ。
 
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結果40分の試合で86対64という大差で女子が勝利する。
 
留実子は190cmの北岡君とのリバウンド争いで7割くらい勝利していた。結果的にはこのリバウンド勝負が勝敗の分かれ目になった。
 
「参った。旭川に戻って鍛え直す」
と北岡君は言った。
 
「総合選手権で社会人チームを倒して優勝しただけのことあるよ、おまえたち」
と氷山君も完敗の弁である。
 
「今日の試合で、私、自分の欠点がどこにあるか再認識した」
と暢子とのマッチアップで完敗した薫は言う。
 
「そりゃいつも一緒に練習してるから、欠点もよく分かる」
と暢子は答えた。
 

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なお「自費参加組」は往復交通費が自己負担ということになっていたのだが、宇田先生はその全員に実際に掛かった交通費を返してあげることにしたと言った。
 
「実は合宿を見に来たOGさんが少し寄付してくれたんだよ。今渡すと落としたらいけないから、旭川に戻ったら川守先生から受け取って」
と先生が言う。
 
「実は貯金を使って、親からお年玉の前借りもしてたんで嬉しいです」
などと浦島君などが言う一方で
 
「先生、済みません。実は現金使い果たして。1万円でいいですから今下さい」
などと落合君が言う(帰りのチケットをこちらで買って渡してあげた)。
 
明菜などは単純に喜んで
「親には返してもらったこと内緒にして、へそくりにしちゃおう」
などと言っていた。
 
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29日の夕方。その病院で女子高生くらいかなという感じのふたりが医師から説明を受けていた。
 
この説明は過去にも聞いているのだが、医師はそのことは気にせず丁寧に分りやすく説明を繰り返す。
 
「疑問に思ったことは何でも聞いてくださいね」
「たとえばですよ。いったん切断しておいて、それを冷凍保存か何かしておいてまた後でくっつけるなんてことは可能ですか?」
「事例はありますよ。でもくっつけたものが機能するかどうかの保証はできません。単純なパイプカットでさえ、復元手術がうまく行かないことがありますし。アメリカでは実はそういう例はあるのですが、実際あとで再接合を希望する人はほとんどいないといいますね」
 
「もう覚悟を決めなよ。ああいうことになった以上、ちゃんと女の子の身体になるしかないよ」
と、もうひとりの女の子は言った。
 
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「お母ちゃんも許してくれたんでしょ?」
「うん。さっさと手術しろと煽られた。お母ちゃん、ひとりで先生の説明を聞きに来たらしい」
 
「ええ。いらっしゃいました。2時間近く話し合いましたよ。あの場では口頭であなたの治療に同意なさってましたが、書類は書いてもらえました?」
「ええ、一応」
と言ってその子は承諾書と書かれた紙を出す。
 
「じゃ、やっちゃおうよ。今は単純に切断して、後で落ち着いてから女性器を作る方法がたぶんベストですよね? 冷凍保存しておいたものが使えたらそれを使い、使えない場合はS字結腸法で」
と彼女は言った。
 
「ええ。それなら回復期間も短いですよ」
と医師は答えた。
 
「明日なら手術できるんでしょ?」
「ええ。あなたの予約は一応明日に入っています。今日今から入院すれば明日手術可能です」
 
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30日は山本先生が全員のメディカル・チェックをして、身体に問題が生じていないかを確認した。練習が続いて疲労も溜まっているので、自分でも気づかない内に筋肉に炎症などが起きているケースもあり、しっかり湿布を貼って休むように言われていた。(薫だけは31日にメディカル・チェックを受けた)
 
「千里ちゃん、腕の筋肉も足の筋肉も凄いこわばってる」
と先生から言われる。
「瞬発力付けるのに反復横跳びかなりやってるし、シュート練習毎日1000本やってますから。一応休憩の時はアンメルツ塗ってるんですけどね」
「あんまり筋肉付いたら彼氏が嘆かない?」
と葉月が茶々を入れる。
 
「どっちみち3月には別れる予定だし」
「えー!?」
「彼が遠くに就職したら関係維持は無理ですよ」
「確かにねー」
 
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「暢子ちゃんもかなり筋肉硬い」
「練習長時間やってますから」
 
「今日はみんな、温泉に入りに行こう!」
「あ、それもいいですね」
 

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千里たちはその日結局バスで1時間ほどの温泉まで出かけた。(人数を言うと温泉旅館が送迎バスを出してくれた)結局その日は温泉に泊まり、暢子などは着いてすぐ、夜中、朝と3回温泉に入っていた。千里も夜と朝と2度入った。昭ちゃんは当然のように、川南たちに連行されて女湯に入っていた。胸が無いのだが、多人数の集団の中で入っているので不審がられることはなかったようである。しかし味を占めてひとりで女湯に入って通報されないか心配である。
 
大晦日は温泉から戻った後、練習は2時間くらいにして、その後、年越しそばを食べた。それからみんなでエステに行き、腕や足を中心にマッサージをしてもらった。「気持ちいい!」という声が多数上がっていたが、マッサージしてもらいながら眠ってしまう子も多かった。
 
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「ここって女性専科なんだね」
「まあエステは女性専用が多い」
「薫は普通に居るな」
「私、女の子だもん」
 
薫は今朝実家から戻って来て合宿に再合流した。
 
「昭ちゃんは?」
「連れ込もうとしたんだけど逃げた」
 
その日の夕食では一足早くお餅やおせちを食べた。
 
「この合宿、実は交通費や施設の借り賃より、食費の方が高かったりして」
「1日の食費が20万掛かっているらしいよ」
「ああ、そのくらい掛かっても不思議ではない」
「みんなよく食べるもんね〜」
 
「私たちが居ない間、実家の食費が浮いてたりして」
「でもいつもの調子で作りすぎて困ってたりして」
 
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