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■女の子たちのウィンターカップ高2編(3)

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高胤は去って行くふたりの女の子の後ろ姿を見ていた。そしてディレクターに一言断ると、某所に電話を掛けた。
 
「どうもどうも。柿田です。例の話ですが、お受けします。ええ。私ちょっと旭川という町に興味が湧きました」
 
なお、ディレクターはその日の夕方、カメラがいつの間にか故障していて、ここだけではなく、この後行った3ヶ所、更には前日・前々日函館と札幌で撮影した全ての撮影データが消えているのに絶句し、結局この「不思議探訪・北海道編」は放送されることは無かった。
 
(せっかく高いお金を掛けて北海道まで来たので、谷崎潤子と北海道のローカルタレントにラーメンとか蟹を食べさせて、食の番組を作って放映した。火喜多高胤はこの事件を機に番組を降りた)
 
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ただ、例の放火魔がおかしくなった発端という噂の立っていた《おいでの木》の問題を火喜多高胤が解決したらしいという噂だけが立った。その場所には祠と鳥居が作られ、毎日老人が祝詞を捧げる姿が見られた。
 
そして数年後、その老人がオーナーになっている製麺所のラーメンが全国的に話題になり、ライセンス生産品が全国のスーパーに並ぶほどになったが、その話題になり始めたきっかけは実はこの事件で代替制作した食の番組で、谷崎潤子がいかにも美味しそうにここのラーメンを食べていたからなのであった。
 

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2007年12月は23日(日)が天皇誕生日、24日がその振替休日となるため21日金曜日が最後の授業であった。むろんバスケット部は、21日の放課後も、22日土曜日もしっかり練習をした。
 
22日に千里がバスケの練習を終えて帰宅すると、留萌に住む母が来ていた。
 
「お母ちゃん、いらっしゃーい」
「あんた正月帰って来られないというから、ちょっと出てきた」
と母は言う。千里が女子制服を着ていることについては、スルーしている感じだ。
 
「うん。年末年始は東京に行きっぱなしになっちゃうんだよ」
「大変だね。取り敢えずこれこないだお父ちゃんに貸してくれた分」
と言って母は封筒を渡すが、千里は
 
「こないだも言ったようにお母ちゃんのへそりにしなよ」
と言う。
「そうかい。それじゃ、美輪子に千里の下宿代の足しに」
「ああ、もらえるならもらっておこうかな」
と言って美輪子は封筒を受け取る。
 
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「それから、これクリスマスプレゼント」
 
と言って母は何やら包みをくれる。
「わあ、ありがとう。開けていい?」
「うん」
 
それで開けると赤いタータンチェックのマフラーであった。
「可愛い! ありがとう!」
 
「最初男の子用のマフラーを選んでたんだけどさ、あんたが男物のマフラー巻いてるところ想像したら、なんか変な気がしたからつい女の子用のを選んでしまった」
 
「うん。私、女の子だもん」
という千里の言葉に叔母は頷いているが、母は渋い表情をしている。
 

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「もう晩ご飯は食べた?」
と千里が訊くと
 
「実は私もさっき帰って来た所なのよ。だからお姉ちゃん(千里の母)少し待たせちゃった」
と美輪子。
 
「大して待たなかったけどね。それで何か食べに出ようかと言ってたのよ」
と母。
 
「そしたら、ごめん。ちょっと私お風呂入ってからでいい?練習でたくさん汗かいてるから、それを流してから行きたい」
と千里が言うと
 
「それが実は風呂釜が壊れちゃって」
「えーー!?」
「修理に部品取り寄せたりして3日くらい掛かるらしい」
「きゃー」
 
「だからいっそ、スーパー銭湯にでも行こうかと」
「あ、それもいいね」
 

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それで美輪子の車に乗って、駅の近くのスーパー銭湯に行くことにした。千里は制服を脱いで、普段着のフリースとロングスカートに着替えていた。
 
受付で美輪子が3人分の料金を払うと、受付の人は赤いタグの付いた鍵を3つくれる。それでおしゃべりしながら脱衣場の方に行く。「女」と書かれた赤いのれんをくぐった所で母がぎょっとした顔をする。
 
「千里、なんであんたこちらに来るの?」
「え?だって、この鍵はこちらのロッカーにしか合わないよ」
 
と言って鍵の赤いタグを見せる。
 
「あんた女に見えるから、受付の人が勘違いしたのね。交換してもらっておいでよ」
「別にこちらでいいと思うけど」
 
と言って千里は平気な顔で女湯の脱衣場に入っていく。母は「えー?」という顔をして見ているが、美輪子は笑っている。
 
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母が見ている前で千里はスカートを脱ぎ、フリースやその下のトレーナーを脱いでしまう。スリップも脱いじゃう。すると美しいボディラインにブラジャーとショーツを着けた女体が現れる。母が息を呑んで千里を見つめている。
 
「まあ、千里が男湯の脱衣場でこの姿になったら従業員さんが慌てて飛んでくるよね」
と美輪子は言う。
 
更に千里はブラジャーもショーツも脱いじゃう。胸にはDカップのバストがあるし、お股には何もぶらさがるものは無く、ただ茂みだけがある。
 
母はしばらく絶句していた。
 
「あんたいつの間に女の子になっちゃったの?」
「えー?私は昔からこうだけど」
と千里は普通の顔で言う。
 
「だいたい女の子の身体でなきゃ、貴司と結婚できる訳無いじゃん」
「そのあたりどうなってんだろ?と私実はよく分かってなかった」
 
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「この子の友達の話聞いてると、この子、小学4年生の頃以降、いつも女湯に入っていたみたいだよ」
と美輪子。
 
「下は偽装だよ。おっぱいは本物だけどね」
と千里。
「おっぱいは大きくしていたのか。でもそちらは偽装できるもんなの?」
と母。
「ああ、やり方は聞いた。うまいよね」
と美輪子は取り敢えず話を合わせてくれた。
 

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美輪子も全部脱いでしまうので、母も脱いで3人で浴室に移動する。各々身体を洗って湯船につかる。
 
「10月にはお父ちゃんが、久しぶりに千里と会って、男同士、お風呂の中でゆっくり話したみたいなこと言ってた気がするけど」
「あれは焦った。男湯なんて入ったの、たぶん10年ぶり。幼稚園の時以来」
「でもこの子、その日、村山さんが眠っちゃった後、女子のお友達と遭遇してその子と一緒に女湯に入ったらしい」
 
「あんた、どちらにも入るの?」
「私は女湯にしか入らないよ。私自分のことは女だと思っているから。お父ちゃんの件は、あの場で揉めたくなかったから一種の緊急避難だよ。実際問題として胸とお股を隠して大変だった」
 
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まあ本当は隠していたのは胸だけだけどね。
 
「確かにこの見た目なら、女湯に入っても違和感無いかも知れないけど。でも、見付かったら痴漢として突き出されるんじゃない?」
 
「男湯に入ったら突き出されるね」
と言って千里は笑っている。
 

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千里が女湯の中であまりに平然としているので、母も深くは追求せず話題は父の仕事の件や玲羅の進学の件になっていく。要するにお金の話だ!
 
「ふーん。村山さんの講師のお給料は月5−6万か」
「ホタテの養殖の方も今はまだ月3万なのよね。でも通信高校に行ってるし、他に職業訓練を受けていて、資格試験とかも度々受験してるから、それで教科書代や交通費がかなり掛かってる」
 
「それは今後に必要だと思う。お父ちゃん英検の4級取ったと言って嬉しそうにしてたね」
「うんうん。こないだは今夜は英語で話すぞとか言って玲羅とずっと英会話してた」
「それだけ意欲があるのはいいことだよ。この年でそれだけ勉強する村山さんは偉いと思う。今は経済的に大変かも知れないけどさ」
 
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「玲羅はもう私立で確定だけど、どうも入学金・授業料以外に寄付金とかも必要みたい。場所も遠いから定期代もかかりそうだし」
 
「それお母ちゃん遠慮無く言ってよ。私が出すからさ」
「あんたお金あるの?」
「あるってほどじゃないけど、貯金はしてるから」
「そうか。健康保険の被扶養者の枠を越えちゃったんだもんね」
と母。
「パートの人とか、越えそうになると自主的に休んだりして調整しているよね。でもこの子の場合はそこまで考える余裕が無いよ」
と美輪子は言ってくれる。
 
「本当はお金あったら美輪子叔母ちゃんに下宿代払わないといけないんだけど」
と千里。
「千里の食費くらい私が持つからいいよ」
と美輪子。
「じゃ済まないけど、その時は頼むよ。でも美輪子に送金できなくて本当にごめん」
と母。
 
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「気にしない気にしない。お互い様。取り敢えず今日6万もらったし」
 
「でもあんた、千里を下宿させてるから結婚を先延ばししてるんじゃないよね?」
「そんなことはない。千里が居ても平気で彼氏泊めてるし」
「うん。私も彼氏泊めてるし」
「先々週だかも泊めてたね」
「あれはチームメイトが入院したりして大会からの帰りが遅くなって汽車が無かったからね」
 
「うーん・・・」
 

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12月23日日曜日の練習はお休みになった。
 
15時に学校の南体育館・朱雀に男女バスケ部員が集まる。この体育館をいよいよ解体するので、その解体祓いをするのに同席した。
 
解体祓いというのは建物を取り壊す前に、そこを守っていた神様たちにいったん天にお帰りになってもらう儀式である。これ無しでいきなり解体工事を始めると、神様たちは突然自分の居る場所を破壊されて怒ってしまう。建設を始める前の地鎮祭を省略したとしても、解体祓いを省略するのはまずい。
 
市内の神社から来た神職さんが塩と酒を備えて祝詞を唱える。塩を体育館のあちこちに撒く。
 
儀式を見ながら、みんなここで、楽しくもありまた時には辛い練習をした日々を思う。解体祓いの儀式で、天に帰って行くこの建物の守護神たちに千里は小さく手を振って見送った。
 
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千里があらためて館内を見回すと、何だかひとり居眠りしてまだ帰ってない神様が居る。千里の意向を受けて《りくちゃん》が肩をトントンとすると、『あれ?』という感じであたりを見回し、神職さんの祝詞の声を聞いて慌てて旅立って行った。
 
それを見送っていたら神職さんと目が合った。神社関係の集まりなどで会ったこともあり、一応知り合いなので会釈すると『今のありがとう』という感じの視線を送ってきたので千里は微笑みで返事をした。
 

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その後、市内の中華料理店に行き、今年1年を総括して夕食を兼ねた食事会をする。宗教的な理由で解体祓いに出席できない人はパスしてこの食事会から合流してくださいと言っておいたのだが、実際には全部員が解体祓いから出席した。クリスチャンである某部員も「神様はみな尊いものだ」と言って解体祓いに来ていた。この辺りはおそらく宗派によっても許容的な所とそうでない所があるのだろう。
 
食事会は3年生の一部も出席し、久井奈さんや真駒さんが1−2年生に激励の言葉を述べた。暢子と北岡君が来年に向けての抱負を語った。千里、寿絵、雪子、揚羽、氷山君、落合君、水巻君、大岸君も短いスピーチをした。
 

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食事会が終わると、これから始まる長期の東京遠征に参加するメンバーは旭川駅に移動し、他のメンバーは帰ることになったが、駅までは来てお見送りしてくれた部員もいた。
 
この遠征は今日12月23日から、最短で1月1日まで、最長で1月13日までの長い日程になる。
 
参加者は、女子はオールジャパンのベンチメンバーを含む、先日の層雲峡合宿の参加者全員+アルファ、男子は若干の希望者ということになっている。オールジャパンは1月1日からなのだが、その直前12月23-28日にウィンターカップが開かれる。それで、ウィンターカップを観戦しながら合宿をしようという魂胆なのである。
 
費用については、女子で先日の層雲峡合宿に参加したメンバーについては全額学校持ち、それ以外のメンバーと男子については交通費(往復5万円)のみ個人負担で宿泊費・食費は学校持ちということにした。宿舎は理事長さんのツテで、都内の私立高校V高校という所の研修施設を安価に利用させてもらえることになっており、どっちみち冬休みなのでということで、そこの第二体育館を終日練習に使わせてもらえることになっている。
 
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女子の合宿メンバー以外で自費参加したのが、3月いっぱいでの引退を表明していた2年生の萌夏と明菜、そして男子で参加したのが、2年の北岡・氷山・落合、1年の水巻・大岸・浦島といったメンツで、浦島君以外は現在のN高校男子のチーム中核選手である。彼らはウィンターカップの男子の試合を中心に見学するほか、おそらく「力仕事」に動員される。
 
なお、薫と昭ちゃんは「女子枠」で帯同している。むろん費用も学校持ちである。この2人は先日から女子バスケ部にも男子バスケ部と「兼部」ということにして在籍させている。
 

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女の子たちのウィンターカップ高2編(3)

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