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■女の子たちの秋期鍛錬(8)

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羽田までの機内でぐっすり寝ておく。飛行機は予定通り羽田に着いたがあまり時間の余裕はないので急いで乗り換え通路を通り、福岡行きに乗り継ぐ。乗り場に行くともう搭乗案内中であった。本当にぎりぎりくらいの行程だ。千里は福岡行きの中でもひたすら寝た。恐らく土日はまた不眠不休になる。
 
福岡空港には少し遅れて着いたが、福岡空港−博多駅間は乗り継ぎが便利なので何とか指定された有明に乗り込むことができた。しかしここまでぎりぎりで乗るというのが続いた。
 
熊本までもひたすら寝ておく。そして電車は時刻表通り熊本に着く。千里は化粧水シートで顔を拭いてから電車を降りた。
 

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駅の外に出て見回す。ああ多分あの人だ、と思って寄っていく。
 
「こんばんは。高倉さんですか?」
と30歳くらいの女性に声を掛ける。
 
「ああ、あなた醍醐さん?」
「はい、そうです」
「結構若いのね。もっと年食ってるかと思った」
「ははは、若く見られるけど23歳なんです」
と千里は冗談で言ったのだが
 
「ああ。そうなの。最近の若い子の年齢はよく分からないや。でも女子高生みたいな服着てるのね」
「そうですね」
 
どうも23歳というのを真に受けられた感じもあった。うーん。やはり長旅で顔が疲れているかなと千里は思った。
 
それで彼女に連れられて車の方に行く。
 
「この車を用意しておいたから」
と言われる。この車は知ってる。マツダRX-8だ。
 
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「凄い車ですね」
「私、MT車の動かしかた忘れててさ、レンタカー屋さんに教えてもらってやっとエンジンの掛け方思い出したよ」
 
へ? そんなんで大丈夫か? 宮崎までの道をと千里は不安になった。
 
「じゃ後はよろしく」
と言って彼女は車のキーを千里に渡す。
 
「え?」
と言って千里は受け取ってしまったが、
「高倉さんが運転してくださるんじゃないんですか?」
と尋ねる。
 
「そういう話は聞いてないけど。醍醐さんが運転するんでしょ? 私はレンタカー借りて駅前まで持っていってというのだけ頼まれたから」
「えーー!?」
 
「聞いてなかったの?」
「聞いてませんでした!」
 
「運転が凄いうまい子だから、とにかくパワーのある車を借りておいてとだけ言われたんだよね。あ、MT車大丈夫よね?」
「あはは、何とかなるかな」
と千里は答えてしまう。
 
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「じゃ、安全運転で。あ、そうそう。これも必要になるだろうからと言われて持って来た」
と言って何か四角い黒い箱状の機械を渡される。
 
「これは?」
「インバーター。知らない? 車のシガレットの所にこの先を挿すとここから電源が取れる。けっこうヒューズが飛ぶから、予備のヒューズもね」
 
「あ、はい。ありがとうございます」
「インバーターは後でメール便か何かででも返却して。それじゃ私、そろそろ旦那が帰ってくるから御飯食べさせてあげないといけないから」
「はい、ありがとうございました」
 

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千里は高倉さんがタクシーに乗って帰っていくのを見送るが、インバーターと車のキーを手にしたまま途方に暮れる。
 
『《きーちゃん》、MT車って動かせる?』
『大丈夫だよ。昔はMT車しかなかったから』
『助かった。よろしく』
 
『千里、途中食料とかの調達ができない道を通るから、ここで少し食べ物と飲み物買っておいた方がいいぞ』
と《りくちゃん》が言う。
 
『でもここにこの車駐めといて駐車違反の紙貼られないかな?』
『ここは大丈夫だよ。念のため俺が見てるから』
『じゃよろしく』
 
それで近くのコンビニに行き、パンとおにぎり、緊急用のカロリーメイト、それにペットボトルと紙パックのお茶に眠気覚まし用の缶コーヒーとクールミントガムを買った。お茶はペットボトルのを飲み終えたら紙パックのをそれに注いで飲む。
 
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そして車に乗り込む。
 
『なんか全然形が違う』
『ペダルが3つあるけど、左側のがクラッチ』
『これか。何に使うの?』
『これでエンジンの動力をタイヤに伝える加減をコントロールするんだよ』
『へー。じゃ見学してるから、よろしくー』
 
それで身体を《きーちゃん》に預ける。《きーちゃん》がエンジンを掛ける。ギアはNに入っている。それをLに変えて、アクセルを軽く踏む。クラッチを緩めると車はゆっくり発進する。ギアを2、そして3に移動させる。
 
『AT車と全然違うね!』
『クラッチを少しあげるタイミングが難しいんだ。それで初心者はすぐエンスト起こしちゃう』
『後でそこだけ練習させて』
『うん。折角だから覚えるといいよ』
 
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カーナビには既に青島が入力されていたので、その指示に従って走って行く。市内の道を走って行き、御船ICから九州自動車道に乗る。そして車はひたすら南下する。千里は水分が欲しかったので少しお茶を飲んでいたが、その内いつの間にか眠っていた。
 
えびのPAでいったんトイレ休憩して、運転は《こうちゃん》に交替する。そして午前2時頃、宮崎の山之口SAに到着した。
 
『ここからどのくらい?』
『1時間も掛からないよ。道が混んでなければ』
『混むの?』
『日曜日の昼間とかは下道に降りた後がかなり悲惨。でも夜中は大丈夫だよ』
『じゃ4時半くらいまでに着けばいいだろうし、3時すぎまで休む?』
『うん、そうしよう』
 
それで再度トイレに行った後、ドアをロックし、後部座席で横になってぐっすり寝た。
 
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起きてから《きーちゃん》に教えてもらってMT車の発進の仕方をだいぶ練習した。
 
『これ難しいけど、うまく行くと楽しい』
『クラッチ操作のタイミングはひたすら練習あるのみだね』
『免許取ったらMT車買おうかな』
『ああ、千里には合ってるかも』
 
この先の青島までは高速を降りるまで千里が運転し、インターを降りたら《きーちゃん》が運転することにした。
 
『でも車って幾らくらいするの?』
『このRX-8は350万円くらい』
『結構するね。こないだのボルボは?』
『あれは500万円』
『たっかーい。さすが外車。じゃ最初に運転したマジェスタは?』
『あれは700万円くらい』
『きゃー。もっとするのか。そうだ東京で私が運転したヴィッツは?』
『あれは150万円』
『それでもそんなにするのか。でもあれ、かなり小さい車だよね?パワーも全然無かったし』
 
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『あれは登録車の中ではいちばん小さいクラスだよ』
『登録車って?』
『乗用車は大雑把に言って登録車と軽自動車に別れる。登録車がまた普通乗用車と小型乗用車に別れる。このRX-8とかマジェスタとかは普通乗用車。ナンバープレートの分類番号が3で始まるから俗に3ナンバー。ヴィッツは小型乗用車。分類番号は5または7で始まるから俗に5ナンバー。軽自動車はナンバープレートが黄色い奴だよ』
 
『ああ。黄色いナンバープレートの車走ってるね。何の区別だろうと思ってた。それが軽油で動く軽自動車って奴?』
『それは雨宮さんのジョークだよ』
『えーー!?ジョークだったの?』
『あの人、生き方そのものがジョークっぽい』
『確かにね。性別もジョークみたいだし』
『そういう訳で軽油で動くかガソリンで動くかは関係無い。小さい車が軽』
『なーんだ』
『排気量660cc以下・車幅1.48m以下・車長3.4m以下。他にも規定があるけど、だいたいそのサイズの車が軽自動車』
『そうだったのか』
 
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『千里のお母さんが運転しているヴィヴィオも軽自動車』
『あれかなり小さいもんね。なるほどあのサイズが軽なのか。あれ幾らしたんだろう』
『定価は100万円だけど千里のお母ちゃんは10万の中古を買っている』
『ああ。我が家の家計じゃそのくらいが限界だろうな』
 
『女性ドライバーには軽を好む人が多いんだけどね。取り回しやすいから』
『ふーん』
『でも小さい車しか運転してないと大きな車が運転できなくなる。大きな車を運転している人は小さな車は楽に運転できる』
『それ何となく分かる気もする』
『だから千里もこのRX-8くらいの車を買った方がいい』
『なるほどー』
 

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インターを降りるまでの区間、千里は快適にドライブを楽しんだ。最初は大変な気がしたギアチェンジも慣れるとほとんど無意識にできるようになる。千里はAT車でもDと2を結構切り替えながら運転していたので、それの延長のような感じであった。
 
『千里、カーブを走る時に、カーブの手前からカーブに入るくらいまでは減速して、カーブの後半は加速するようにするといい』
『へー』
『その方が運転手自身も同乗者も身体の負担が小さくなるから』
『ふーん』
 
『曲がりの加速度が増える時に、直進の加速度を落とす。逆に曲がりの加速度が減る時に、直進の加速度を上げる。すると加速度が相殺されるんだ』
『なるほど』
 
『スローイン・ファストアウトというんだよ。それからカーブの入口と出口はできるだけ曲がりの外側、カーブの途中は曲がりの内側。だから右に曲がる時は左側に寄って曲がり始め、途中では右側に寄り、最後は左側に出る。そうすると、カーブの曲率自体が小さくなる』
 
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『へー』
『あとで図を描いてみると分かるよ。アウト・イン・アウトというんだよ』
『やってみる』
 
上り坂の走り方も教えてもらう。
 
『千里、坂に入った直後にスピードが低下する』
『あ、それどうすればいいんだろうと思ってた』
『スピード落ちてからギアを落とすから、そこでショックが来るでしょ』
『うん』
『つまり坂に入った時に減速が掛かって、そのあとギアチェンジでショックが掛かって2度身体に負担が来る。だから坂に掛かる直前にギアを落とせばいいんだよ』
『あ、そうか』
『坂に入る前少し慣性で走行させている状態にして、その時ギアを切り替えて坂の手前でアクセルを踏み始める。すると速度もほとんど変化しないし、身体にはほとんどショックが来ない。これAT車でも同じだから』
『やってみる』
 
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宮崎ICを降りた後、運転は《きーちゃん》に交替して国道220号を南下する。昼間は混むと聞いたのだが夜間はスイスイと走ることができた。やがて4時過ぎに青島に到着した。
 
『これどこに駐めればいいんだろ?』
『みんなこの辺に適当に駐めてるよ』
『じゃ適当に』
 
ということで千里が練習を兼ねて青島に渡る橋のそばに駐車した。
 
『天文薄明が始まったら起こすから少し寝てなよ』
『そうする』
 
それで車のロックを再確認した上で、後部座席に横になってしばらく寝た。
 
 
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