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■女子大生たちの縁結び(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2014-07-20
 
2009年春。千里は故郷の北海道を出て、千葉のC大学に入学した。これまで性別曖昧な中高生生活をしていたので大学に入ったら、キッパリ女子大生生活にしようと思っていた千里であったが、初日から思わぬトラブルがあり、男装で学校に出て行く羽目になる。それで
 
「女子ですよね?」
と訊かれて千里はつい
「ボク男ですよ」
と答えてしまった。
 
千里がそんなことを言うのでその日は男子のグループに誘われて飲み会に行ったものの場違いを再認識。誘った男の子たちも「この子は違うようだ」と思ったようで、その後一切男子からは誘われなくなった。そして週明け、千里は女子のクラスメイトから和菓子の食べ放題に誘われたのを機に、女子のクラスメイトたちと親しくなっていった。
 
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「あ、動かないで、動かないで」
と後ろの席で朱音が言う。
 
千里は今日は教室で腕を取られて指にマニキュアをされていた。
 
「今度は左手ね。右手今塗ったばかりだからすぐには物に触らないようにね」
 
と言って朱音は今度は反対側の手にもマニキュアを塗っていく。
 
「どう? きれいでしょ」
「うん。なんかピカピカしてていいね」
「千里、色白だから、こういう淡い色のエナメルが似合う気がするよ」
 
2009年の春。千里はこんな感じで、しばしば朱音や友紀たちの《おもちゃ》にされていた。
 

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その日は朱音・友紀・玲奈と4人でファンシーショップを覗いてから甘味処に行くというコースになった。
 
「こないだ美緒、例の彼氏と一緒に歩いてるの見たよ」
「え?じゃ縒りを戻したの?」
「あ、その件聞いてる。恋人としては別れたんだけどセフレになったんだって」
「はぁ!?」
「どういうこと?」
「なんかセックスの相性が凄くいいらしいのよ。各々その後恋人作ったけど満足できなくてすぐ別れちゃって」
「ちょっと待て。あの後、恋人作って更に別れてって、交際期間は何日間なんだ?」
「で、そんな時ばったり会って、ホテル行こか?うん、行こか、と話がまとまったらしくて」
「懲りない子だなあ」
「さすがに今度はちゃんと付けてやったらしいよ」
「そりゃやる以上は付けなきゃ」
「でお互い凄く気持ちよかったらしくて、また会おうよということで」
「でも恋人じゃないんだ?」
「そうそう。お互いにセックスを処理するだけの目的」
「よく分からん」
 
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千里はそんな話を聞きながら、蓮菜が田代君とセフレ状態に陥っていると言っていたことを思い起こし、自分もまた貴司と友だちと言いながら何度かセックスしたことも思い起こしていた。
 

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「桃香、今日も教室で見なかったね〜」
「あの子、かなり遅刻が多いというか、丸1日出て来ない日も多い」
「朝が弱い性格みたいね。起きて時計を見たら4時で、朝の4時か夕方の4時かで悩んだとかこないだ言ってたし」
「桃香が朝の4時に起きることはないと思う」
 
「おかげで、だいぶ代返してあげてるなあ」
「出席取る授業は出てないと単位もらえないもんね」
 
女の子同士(千里も含む)のネットワークで出席すべき授業に来てない場合はお互いに代返してあげている。朱音もけっこうバイトで休むので友紀や真帆が代返している。千里はこの時期は男声を使っていたので、彼女たちの代返は利かないはずなのだが、真帆や友紀が代返して先生から咎められたことはないらしい。
 
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ファンシーショップで千里がシナモロールのメモ帳やボールペンなどに触って吟味していたら、友紀から
「千里、こういう店に慣れてるっぽい」
などと言われる。
 
「あ、ボク、中学の頃、シナモロールのお財布使ってたんだよね」
「へー!」
「あ、でもシナモロールって男の子キャラだから、男の子が使ってもぎりぎりセーフなのかも」
「確かにそうかも」
 
「でも今使ってるのも、なんか可愛いよね」
「ああ、これ?」
と言って千里は愛用のミッキーマウスのトートバッグの中からお財布を出してみせる。
 
「ちょっと見せて」
「これ、LizLisaだ」
「うん。高校時代に恋人からバースデイプレゼントにもらったんだよ。別れちゃったけど、お財布はそのまま使っている」
 
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「うーん・・・」
と言って、朱音たちが悩んでいる。
 
「ね、その千里にプレゼントしてくれた恋人って、男の子?女の子?」
「え?えへへ、えへへへ」
 
千里の反応に朱音たちは顔を見合わせていた。
 

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甘味処では朱音は抹茶パフェとコーラ、友紀は黒蜜トコロテンとみたらし団子のセット、玲奈はクリームあんみつと磯辺焼きのセット、千里は白玉ぜんざいと抹茶のセットを頼んだ。
 
「千里が少食なのはだいたい分かったな」
という声が出る。
 
「甘いのが苦手で辛党ってわけじゃないよね?」
「うん。お酒は基本的に苦手〜」
「一度男の子たちの飲み会に行ってたよね?」
「1度だけね。ひたすら烏龍茶飲んでた」
「なるほど」
「でも男の子たちの話題に付いていけなかったよ」
「ふむふむ」
 
「やはり千里って女の子と話してることが多かったんだ?」
「そうだね〜。ボク、小学校の頃から女の子の友だちしかできたことないよ」
「ああ、やはりそういう傾向か」
 
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「千里女装するよね?」
「そんなの、しないよぉ」
「いや、それは絶対嘘だ」
 
「スカート穿いたことない?」
「無い無い」
「スカート貸してあげるから穿いてみない?」
「勘弁して〜」
 
「千里ウェストはいくつ?」
「59かな」
「・・・・・」
 
「69じゃなくて?」
「ズボン買うのに困るんだよねぇ。63くらいからしか普通置いてないから」
「・・・・・」
 
「ちょっと整理しておきたいのだが」
と考えるようにして玲奈が言った。
 
「59とか63とかいうズボンって、それ紳士用かなぁ」
「紳士服のズボンだと73か76くらいしか無かったと思う」
と千里。
 
「つまり千里はメンズのズボンを穿いてるのかなぁ、それとも?」
「えー?ボクがメンズ穿く訳ないじゃん」
「ふむふむ」
 
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「そういう訳で、私が両親の代理込みで結婚式に出席することになったから」
と千里は従姉の愛子に電話して言った。
 
6月下旬に愛子の姉・吉子が結婚するのである。
「うん、聞いた聞いた。よろしくねー」
と愛子は答える。
 
「でも、びっくりしたよ」と千里は言うが
「私もびっくりしたー」と愛子も言う。
 
「彼氏はどんな人?」
「私も実はよく知らないんだけどね」
「うん」
「化学製品を色々作っている会社に勤めているらしい」
「合成樹脂とか化学繊維とか?」
 
「あ、そんな感じみたい。実は今年の春に転職したばかりらしいのよね」
「あらあら」
「それで向こうもまだ職場に慣れる前だしというので結婚には消極的だったらしいけど、できちゃったからにはちゃんと結婚するって」
 
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「結婚に消極的なら、ちゃんと避妊もしなきゃねー」
「あ、それは私も姉貴に言った」
 

「それでちょっと相談なんだけどね」
と千里は言った。
 
「私、何着て出席すればいいかなあと思って」
「うん?」
「高校時代に2度知り合いの結婚披露宴に出た時は制服で出たんだけどね。礼服作んなきゃいけないかなと思いつつ、どんなの作るべきかと少し悩んでいて・・・」
 
その千里の躊躇うような言い方で愛子は察してくれた感じであった。
 
「《どんなの》じゃなくて《どっち》かを悩んでいるんでしょ?」
「うん、まあ」
「男物か女物かということだよね?」
「うん。実はそうなの。こういうこと相談できるの愛子ちゃん以外に無いなあと思って実は今日は電話したのよ」
 
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「あのさぁ、千里」
「うん」
「千里、まさか男装とかして結婚式に出るつもりじゃないよね?」
 
千里は相好を崩す。
 
「レディスでいい?」
「私はそのつもりだったよ」
「披露宴は何時からだっけ?」
「結婚式が夕方5時半からで披露宴は6時半から」
「じゃイブニングドレスになる? それとも和服?」
 
「うちの母ちゃんはもちろん黒留袖だし、おばちゃんたちは色留袖らしいけど、私たちの世代は洋装にしようよ。和装は大変だしさ。それで実は女性親族の衣装をまとめて頼もうかと言っているんだよ。面倒くさいじゃん。うっかり序列と服のレベルが合ってなかったらやばいしさ」
「ああ、それ難しそう」
 
「だから身長とスリーサイズ教えて」
「身長は168cm, スリーサイズはB80W60H85くらいかな」
「了解」
「あ、念のためバスト88くらいにしてもらった方がいいかも」
「了解了解」
 
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私の体形って《ある問題》の後遺症で突然変わることあるからなぁ。サイズが足りなかったら、パッド入れるならブレストフォーム付けて行くなり、すればいいし、と千里は思ってサイズを言い直した。
 
「でも千里さ、高校の時に制服で結婚式に出たって、それ男子制服?女子制服?」
「え? あははは」
「ふーん、女子制服を着て出席したのか」
「えへへ」
 

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「ところで、結婚式の場所はどこだっけ? 茨城(いばらき)って聞いたけど、水戸かどこか?」
「違う違う。大阪の茨木(いばらき)だよ」
「えーー!?」
 
「音で聞いたら分からないよね」
「でも何でそんな遠い所の人と。高校か大学の時の知り合い?」
「ううん。ネットで知り合ったんだよ。ふたりとも考古学だか民俗学だかに興味があるらしくて」
「へー」
「一緒に田舎の方をフィールドワークしてたらしいよ」
「ほほぉ」
 

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ところで大学の1年生の授業には体育の時間もある。千里は前期はソフトボールを選択した。体育の授業の服装は、特に指定の体操服とかは無いのでジャージなど動きやすい服装であれば何でも可ということだった。
 
授業の前後に着替える子と、体育のある日は朝からそういう服を着てきている子とがいたが、千里は着替えるのは色々問題があるよなと思って、朝から着てきていた。
 
授業は男女合同である。千里が選択した時間にソフトボールをやる子は全部で24人いたので12人ずつでチーム分けした。内野4人・外野6人に投手・捕手ということにする。
 
「この中で野球とかしてた人?」
と訊かれるが誰も手を挙げない。
 
「じゃ中学や高校で野球部じゃなくても運動部だった人?」
と訊かれるが反応無し。
 
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ところがそこで宮原君が
「あ、村山君、バスケット部だったとか言ってなかった?」
と千里に声を掛ける。
 
「うん、まあ」
 
それで取り敢えず投げてみてよと言われてピッチャーズプレートに行く。他の子が適当に内外野に散る。やれやれ、結局やることになるのか。それでホームベースの所に座った紙屋君のミットめがけて投げる。
 
バン!という鋭い音がして、一瞬紙屋君が体勢を崩しボールをこぼす。
 
「あ、ごめーん」
と千里は言ったが
「いや、今のは僕の体勢が悪かった。次はちゃんと捕る」
と言って投げ返すので、再度投げる。今度は紙屋君もちゃんと捕る。
 
「村山、ウィンドミルができるんだ?」
と1塁に入っている渡辺君が言う。
 
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「うん。小学校の時に習った」
「凄い。それにボールが速い!」
と渡辺君。
「うん。速いしボールが凄い重たい。さすが元運動部。これ簡単には打てないよ」
とキャッチャーの紙屋君は言った。
 

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ゲームが始まると、実際、誰も千里のボールを打てない。相手チームは三振か内野ゴロばかりである。もっとも内野を守っているのがみんな素人ばかりなので後逸したりして何度かランナーが出たものの、後続をピシャリと押さえて、2塁も踏ませなかった。
 
一応3回まで投げたところで、紙屋君と交代し(キャッチャーは渡辺君がして)、千里は4回以降はショートに入ったが、千里は守備範囲が広いし、ショートの深い所に飛んだ球を1塁に矢のような速度でしかもストライクで送球するので、普通ならヒットになってそうなものもかなりアウトにした。
 
千里のすぐ後ろ、左センターの位置で守っていた友紀が「立っているだけで済んで楽だった」などと言っていた。
 
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「村山君、すごくコントロールがいいね」
と千里の玉を受けていた紙屋君が言う。
 
「ミットを構えている所にジャスト来るから、ほとんどミット動かす必要が無かったんだよ。内角ギリギリとか外角ギリギリとかにもピタリと入れてきてたし。あれでみんな三振の山を築いてた」
 
「そうね。ボク、デッドボールを出したことないから」
「あ、けっこうソフトボールやってたんだ?それとも野球?」
「ソフトは昔少しやってた。小学校の時、野球部に入れてくださいと言ったら、野球部は男子だけだからと言われて、女子のソフトボール部の練習に参加してたんだよね。正式部員じゃなかったんだけど」
と千里はうっかり言ってしまう。
 
「・・・・」
「村山、やはり女なんだっけ?」
「え?男ですけど」
 
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と千里は言ったものの、紙屋君と渡辺君が顔を見合わせている。少し離れた所で宮原君や友紀が何だか頷いていた。
 

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千里は大学に自転車で通学しているのだが、その途中に市民体育館がある。そこがずっと気になっていたのだが、ある日とうとう千里はその体育館の駐輪場に自転車を駐め、中に入ってみた。
 
中でバレーをやっているグループ、卓球をやっているグループ、マット運動をやっている人などがいる。
 
千里がそれをじっと見ていたら、受付の人が
「どちらのグループですか?」
と訊いた。
 
「あ、いえ個人なんですけど」
「予約はしてます?」
「いいえ」
「でしたら、こちらに名前書いてください。何の競技をしますか?」
「あ、えっと、バスケットの練習していいですか?」
「17時までの1時間ならバスケットのゴールの所使えますよ」
「ではお願いします。バスケットのボールも借りられますか?」
「ええ。ではコート使用料が200円とボール代50円で」
「はい」
 
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それで千里はお金を払い、ボールを借りて体育館の中に入った。今日はシューズを持って来てないので裸足になる。ボールをドリブルする。興奮する感覚が一瞬にして戻ってくる。それでコートの中を走る。そしてスリーポイントラインの外に立つ。ボールをセットして、撃つ!
 
ボールはリングには当たったものの、外側に落ちてしまった。
 
うーん。やはり数ヶ月のブランクのせいかな。筋肉も完璧に落ちちゃってるし。少し鍛え直さなきゃ。
 
ネットの下で弾んでいるボールを見て、千里は微笑んだ。
 

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