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■女子大生たちの縁結び(6)

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二次会は新郎新婦のネットの友人で関西方面に在住の人、新郎が所属するバスケット部の部員ほぼ全員が来て、祝福してくれた。立食パーティー形式にしたので、食欲旺盛なバスケマンたちがたくさん食べていたが、料理もどんどん追加していた。
 
友人の中にエレクトーンのセミプロの人がいて、伴奏を一手に引き受けてくれてそれで歌を歌う人も多かった。貴司も『Best Friend』を歌っていた。千里は貴司から預かったヴァイオリンでセリーヌ・ディオンの『To Love You More』を演奏した。
 
愛子や美輪子などと話をしていたら、バスケ部監督の船越さんが寄って来た。
 
「ね、ね、君さっきの長距離からのシュート凄かったね」
「中学高校時代にバスケットをしていたので。実は中学の時のそちらのチームの細川選手の後輩なんですよ」
「そうだったんだ!」
「高校時代は別の高校になったので、インターハイ行きを掛けて対決したこともあったんですよ。細川さんが勝ちましたけど」
「じゃ、君もかなりの強豪に居たんだ!」
 
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と言ってから少し考えている。
 
「えっと・・・細川君と対戦したの?」
「そうですけど」
「だって男女なのに?」
「ああ、彼、その頃は女の子だったんですよ」
「えーーー!?」
 
愛子も美輪子も吹き出していた。
 

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千里が船越さんと何やら話しているので貴司が寄って来た。
 
「監督、この子はインターハイBEST4まで自分のチームを連れていったんですよ」
と貴司が言う。
 
「BEST4!? 凄いじゃん」
「ええ。しかもその中心選手です。毎回チームの得点の3割くらいひとりで稼いでましたから。スリーポイントの達人だったんですよ」
 
監督はマジで驚いている様子。
 
「今はバスケしてないの?」
「してないです。中学高校の6年間で燃え尽きたかなと思って」
「今はお勤め?」
「いえ、大学生です」
「そちらの大学にはバスケ部無いの?」
「あるみたいですけど、やるつもりはないです。うちが貧乏だから学費稼ぐのにバイトもしないといけないし、理系なので勉強も忙しいし」
 
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「関西のどこかだっけ?」
「いえ、千葉です」
「千葉市内?」
「はい」
「千葉に僕の友人が監督やってる女子バスケのクラブチームがあるんだけど顔出してみない? 僕が紹介状書いてあげるよ」
「時間無いですよー」
「練習はパスして試合に出るだけでもいいからさ」
 
そういえばこの監督は元々関東の大学バスケ部の監督をしてたんだったと貴司から聞いていた話を思い出す。それで結局、一度顔だけでも出してみるということになり、監督が紹介状を書いて貴司に託すという話になってしまった。
 

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二次会の後、新郎新婦が新婚旅行に出発する(実際には今晩は京都市内のホテルに泊まり、明日から移動する)のをホテルの玄関で見送り解散した。貴司が千里に声を掛ける。
 
「新幹線で来たのなら新大阪か京都まで送って行くけど」
「自分の車で来たよ」
「車はどこに駐めてるの?」
「千里(せんり)中央」
「・・・・」
「貴司のマンションの近くだよ」
「・・・・」
 
ふたりはしばらく見つめ合っていた。
 
「そこまで送って行くよ」
「うん」
 
貴司と並んで出て行くのを、美輪子が笑顔で見送っていた。
 

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ホテル近くの駐車場に貴司のアウディが駐めてある。千里は例によって
「助手席は彼女専用で」
と言って後部座席に乗り込む。
 
「今何時だっけ?」
と言って貴司がG-Shockの腕時計を見る。千里はその腕時計を見詰めていた。
 
「10時半か。まだ結構お店開いているだろうから、どこかで軽く夜食でも食べていこうよ」
「そうだね」
 
貴司が車を出発させる。
 
「でも千里かなり車に乗ってるね?」
「うん。今8000kmくらい」
「凄っ。あっという間にこちらが抜かれそうだ」
「ずっとドライブノート付けてるからいつどこに居たかも全部分かる」
「それは良いことだと思う」
「貴司はどのくらい走った?」
「まだ15000kmくらいだよ!」
「少ないね」
「いや千里が多いだけだと思う」
「そうかな。毎日練習で100km程度走ってるだけなんだけど。後は何度か長距離走ったから」
 
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「千里ってハマると本当に熱心に練習するよね」
「最初だけね」
「うん。そこが千里の問題点なんだけどね」
「私、飽きっぽい性格なのかも」
「ああ、それはそうだと思う。ただ千里ってその最初のスタートダッシュで普通の人が何年も掛からないと到達できない所まで行っちゃうんだよな」
「ああ、私時々自分でも天才じゃんと思うことある」
「いや、千里は天才だと思う」
「貴司には負けるけどね」
 

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道路沿いにあったお寿司屋さんに入った。
 
「大丈夫?ここ結構人目があるけど」
「うーん。まあ見られたら見られた時だな」
「ふーん」
 
千里が言ったのは、貴司の顔は大阪近辺では知られているので、貴司が彼女以外の女性と食事などしている所を誰かに見られてブログに貼られたり、あるいは彼女の知り合いが見て変に思ったりしないかという問題である。ただし千里としては問題になってくれた方がいい!
 
特上2人前を注文する。
「私、あまり食べきれないよ」
「残ったのは僕がもらうよ」
「うん」
「でも高2の頃は千里けっこう食べてたのに」
「今ちょっと訳あって食事制限してるんだよ」
「ダイエット?」
「ううん。お医者さん(ということにしておこう)の指示なんだよ」
「千里、どこか身体悪いの?」
「私、昔から血糖値が高めなんだよね。だから今1日1400kcalにしてる」
「1400は厳しい! 僕はその倍は食べてると思う」
「貴司はスポーツ選手だもん。もっと食べていいと思う」
 
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「うん。チームの中では僕がいちばん少食みたい。ステーキ3〜4枚お代わりする奴とか、ラーメン4杯くらい食べる奴とかいるし」
「それはまた凄い」
 

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貴司とゆっくり話すのは5月末に一緒に敦賀までドライブした時以来だ。1ヶ月ぶりなので、貴司はその間にやった試合の話や、チームメイトの笑い話などを楽しく話す。千里は主として聞き手にまわり、相槌などを打ちながら聞いていた。
 
でも本当に貴司ってバスケットが好きなんだなというのをあらためて感じる。中学の頃以来、ふたりでデートして話すことといったら、いつもバスケの話ばかりだった。
 
「でも大阪まで走ってきて、結婚式・披露宴に出て疲れたでしょ。なんか色々と雑用とかもしてたみたいだし」
「うん。荷物運んだり、人を運んだりしたよ」
「それはお疲れ様。汗も掻いたんじゃない?」
「うん。結構掻いた。おうち帰ったらシャワー浴びなくちゃ」
 
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「あ、何だったらうちでシャワー浴びてかない?」
「うちって・・・貴司のうち?」
「うん」
「行っていいの?」
「友だちだし」
「そうだね〜。友だちのうちのシャワー借りるくらいいいかな」
 

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それでお寿司屋さんを出て府道2号に乗り、千里(せんり)ICを降りた後、千里(ちさと)が駐めている駐車場の方には行かず、貴司のマンションに行く。マンションの地下駐車場にアウディを駐め、エレベータで33階に上がる。
 
貴司の部屋はその階の31号室(3331号室)である。
 
「ここの住所書く時って、自分の名前と生年月日を書く気がするんだよね」
と千里は言う。
「まあね。千里は平成3年3月3日0時1分生だから」
と貴司。
 
「貴司予言してあげる。貴司ここに住んでる限り結婚できないよ」
「あはは、そうかもね」
 
貴司が鍵を開けて中に入る。千里も「お邪魔しまーす」と言って一緒に入る。
 
「バスルームそちらだから。シャワーでもいいし、お湯を溜めてもいいし」
「けっこう暑いしシャワーでいいよ」
「バスタオルは脱衣場に積み重ねてるの適当に使って」
「了解」
 
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千里がシャワーを浴びて、新しい下着に交換し、普段着のカットソーとスカートでバスルームから出てくると、貴司はネットをしていた。
 
「あれ?それ新郎のmixiのページ?」
「そうそう。たくさんお祝いメッセージが書き込まれている」
「いいよね〜。こうやって手軽にお祝いができるというのは」
「うん。祝電はそれなりに価値あるけど、お金が掛かるもん」
 
ちなみに貴司と千里はマイミクにはなっていない。貴司の母のページあるいは貴司と同学年のバスケ部で千里の中学の時の先輩でもある久子のページを通してお互いのページに到達できるし、お互いの日記は「友人の友人まで」の公開にしているので、互いに相手の日記はいつも見ることができる。
 
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「貴司もシャワー浴びてきたら?」
「うん。そうする。あ、その間ネット見ててもいいよ。Taka2のidを使って」
「いいの?じゃ借りようかな」
「Taka2のパスワードはrumoi33だから」
「・・・・あのさ、そういうの彼女に知られたら振られるよ」
「あはは。バレないって」
 
などと言って貴司はバスルームに消えた。
 

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千里は取り敢えず自分のメールチェックとmixiのホームのチェックをした上でこちらも吉子のページにお祝いのメッセージを書き込んでおいた。
 
その後、ニュースなどを見ているうちに貴司もバスルームから出てくる。
 
「千里何だったら仮眠してから帰る? ベッド使っていいよ。襲ったりしないから」
「貴司のその手の言葉もあまり信用できないけどなあ。でもベッドに私の匂いを付けたら彼女に悪いから、毛布貸してよ。ここのカーペット暖かそうだからカーペットの上で少し仮眠してから帰ろうかな」
 
「だったらソファで寝るといいよ」と言われたので千里は毛布を借りてソファで仮眠することにした。貴司が灯りを消してくれた。
 
「千里、もう寝ちゃった?」
「なあに?」
「実はさ・・・」
「ん?」
「彼女と1回したんだけど」
「うん」
「実は到達できなかった」
「ふーん」
「彼女は気にしないでって言った。向こうは僕が初めてなのかと思ったかも」
「女の子とするのは初めてなんじゃない?」
 
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「でも千里とは何度もして毎回逝ってたのに」
「ヴァギナって鍛えてないと、基本的に緩いんだよ。だから私のスマタで逝くより逝きにくいと思うよ。スマタだと圧力の加減がしやすいもん」
「でも千里のヴァギナでも毎回逝ってた」
「私にヴァギナは無いけど」
「話が面倒になるから、そういう嘘はやめといてよ」
 
「まあ私にヴァギナがあったとしたら締める練習頑張ってしてたと思うな。普通の女の子のヴァギナ以上にコントロールが難しいんだよ。元々身体についてた器官じゃなくて、無理矢理身体に開けた穴だからね」
「どうやって練習したの?」
「だから私、ヴァギナ無いってのに」
「だから、そういう無意味な嘘はやめてってのに」
 
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「まあ気合いだね」
「そのあたりはよく分からないな」
「貴司も性転換してみると分かるよ」
「うーん。性転換すると彼女と結婚できなくなるからな」
「貴司が性転換したら私がレスビアン婚してあげるよ」
「なんか良く分からない世界だ」
「うふふ」
 
「でも次する時は何とか到達したい」
「セックスしてること忘れるといいよ。彼女とは結合してるだけ。オナニーで到達するつもりになればいいんだよ」
「なるほど、それはひとつの考え方だ」
 
「テンガとかで練習してごらんよ。うつぶせになってテンガに入れてそれでピストンして、彼女とつながっていることイメージして、それで逝く練習。それで逝けたら、逆に彼女としている時は彼女のこと忘れてテンガでやってるつもりになれば逝けると思う」
 
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「それ何だか合理的な気がする。テンガ買って来ようかな」
「ふふふ」
 

「だけど自分の元奥さんに新しい彼女とのセックスを相談するもんなんだ?」
「逆にこんなこと相談できる人がいない」
「ああ。確かにね。男の人同士だと女性側の事情が分からないだろうし」
 
「でもそしたら千里、僕が気持ち良く逝けるように、色々してくれてたんだ?」
「セックスは恋人同士、夫婦同士の最高のコミュニケーションだよ。でもただの男の快楽と思ってる人、男にも女にも多い」
「だよねー。でも相性もあるんじゃない?」
「あると思うよ。私と貴司はセックスの相性が良かったんだろうね」
「うん。そうだと思う」
 
「念のため言っとくけど、貴司が他の恋人と付き合っている限りは私は貴司からたとえ求められてもセックスNGだからね」
「いや、さすがに自制する」
「3月に一度去勢されて懲りたでしょ?」
「あれはホントにごめん」
「もう毛は生えそろった?」
「何とか」
「良かったね」
 
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「今も本当は千里とセックスしたくてたまらないけど我慢してる」
「それは彼女のためにも我慢してもらわなくちゃ」
「ね」
「ん?」
「そばでオナニーしてもいい?」
「それは勝手にやって。私は寝る」
「うん、ごめん。おやすみ」
「おやすみ」
 

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女子大生たちの縁結び(6)

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