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■女子大生たちの縁結び(3)

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「髪が長いね」
「伸ばしたいんだけどね。まだまだ短いからウィッグ」
「金曜日より長い気がする」
「うん。何種類かのウィッグを気分次第で使うんだよ」
 
「僕さ、クラス分けの日に村山君見た瞬間、村山君が女装している姿を想像しちゃったんだよね。この子、ほんとに女装しないのかなぁ、ってずっと思ってた。けっこう女装するんでしょ? なんか不自然さが無いもん」
 
「うーん。まあ、好きかな。でも私、女の子の声が出せないんだよね。だから声を出すような場面のある場所には行けないんだよ。だからハンバーガー屋さんとかは、指で差してオーダーするの」
 
「へー。でも実際、声聞かない限りはバレないと思うよ」
 

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「ね、村山君って苗字で呼ぶのもあれだし」
「千里って呼んでいいよ」
「じゃ、僕のことも清紀って呼んでよ」
「うん」
 
結局彼の車に乗って東京ドイツ村まで行った。
 
「へー。ドイツ村なんて初めて来た」
「実は僕も初めて」
 
「ガソリン代・高速代を清紀君が出してくれたから入場料は私が出すよ」
と言って入場券とアトラクションの回数券を買う。回数券は取り敢えず1綴り買い、使ったらまた園内で買えばいいよねということにした。
 
「だけど《東京》を名乗るには東京から随分遠いね」
「東京ディズニーランドとか新東京国際空港とか、看板に偽りがあるよなあ」
 
取り敢えず中に入り園内を散歩した。
 
「・・・・」
「ね?」
「うん」
「どのあたりがドイツなのかな・・・」
「僕もよく分からない」
 
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ずっと歩いて行くとスーパーチェアというのがあったので一緒に乗る。
 
「まぁ普通の遊園地と思えば」
「そうだねー」
 
などと言いながら歩いて行くと、やがて観覧車がある。
 
「観覧車って、遊園地の最後に乗りたいけど」
「ここが一番奥っぽい」
 
取り敢えず乗る。
 

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「でも男の子と一緒に居る感じがしない」
と紙屋君は言う。
 
「まぁ、そんなこともあるかもね」
と千里は答える。
 
「実は本当に女の子なのに、男の振りをしてたなんてことはないよね?」
「どうかな?」
と言って千里は微笑む。紙屋君がドキッとするのが分かった。
 
「清紀君、将来何になりたいの?」
「理学部ってあまり明確な進路が無いんだよね。学校の先生というのは一応考えているから教職に必要な課程は取っておくつもりだけどね。研究者になるほどの頭は無いし。コンピュータのソフト技術者か、あるいは専門とは無関係に一般の営業職なり技術職なり」
 
「教職考えている人は結構居るけど、あれも狭き門だもんね」
「まあ門が広い所は辞める人も多い」
「確かに」
 
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「千里ちゃんは何になりたいの?」
「私ね・・・・実は大きな問題があってさ」
「うん」
「男として就職する自信が無いんだよね」
 
「・・・千里ちゃん、教室でもだいたい女子とばかり話してるよね」
「うん。中学や高校でもそんな感じだったんだよ」
「いっそ、女として就職しちゃったら? 女で通りそうな気がする」
「高校の友だちに、いつもそれ唆されてた」
 
「・・・・千里ちゃん、恋愛対象はもしかして男の子?」
「まあ、女の子と恋愛したことは無いよ。女の子とは友だちにしかならないから」
「なるほどねー」
 

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「金曜日は何か楽譜書いてたね。バイトなの?」
「そうそう。譜面をとりまとめて1曲1万円という割と美味しい商売」
「へー。そんなのがあるんだね」
「ふつうは音楽大学の学生とかがやるんだけどね。ちょっとコネでやらせてもらってるんだよ」
「ああ、コネはいいなあ」
「でも音楽理論はかなり勉強したよ、さすがに。あまり有名なところでなければ音楽大学に合格する自信あるよ。芸大とかは無理だけどね」
「楽器は何かするの?」
「ピアノはまあまあ弾くけど、ほぼ自己流だよ。ヴァイオリンは弾くけど下手だし。あとはフルートくらいかなあ」
「いろいろ、やってるじゃん!」
 
その日は結局、園内を散歩したり、ボートを漕いだりして時間を過ごした。(ボートに3回乗って回数券を使い切った!)お昼は園内でピザを食べたが、メニューもドイツとは関係無さそうで物産コーナーにはドイツならぬ千葉の物産が並び、ふたりで「うーん」と悩んで眺めていた。
 
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帰りはアクアラインを渡り、海ほたるで休憩してお茶を飲んだ後、対岸の川崎に出て川崎市郊外のファミレスで夕食を取った。最後は千葉駅まで送ってもらったが
 
「また会ってくれる?」
「いいよ」
と会話を交わして、握手して別れた。
 

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6月中旬の水曜日、千里が市民体育館でジャージにバッシューを履き、マイボールでドリブルやシュートの練習をしていたら、そこにやはりバスケットをやるっぽい女の子が3人入って来た。
 
「すみませーん。こっちのゴール使ってもいいですか?」
と訊かれるので千里は
「どうぞー。私はこちらのゴール使ってますから」
と答える。
 
それで彼女たちは千里が使っているのと反対側のゴール付近で練習を始めた。そして10分ほど練習していた時、再び彼女たちが声を掛けてくる。
 
「そちらひとりですか?」
「そうですよ」
「よかったら2on2やりませんか?」
「あ、いいですね」
 
千里も実はパスする相手が欲しいと思っていたのである。
 
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それで向こうの浩子さんという人と千里が組み、夏美さんという人と夢香さんという人相手に2対2の攻防戦をする。
 
千里が浩子の方を見ずにいきなりパスしたりするので、最初彼女も「わっ」という感じで、あやうく取り損ねるところだったが2度目からはしっかり取ってくれるようになる。
 
「千里さん、フェイントすごーい!」
「夏美、全部抜かれてたね」
 
「ちょっと組合せ変えません?」
ということで、千里・夏美 vs 浩子・夢香の対決にする。浩子は確かに夏美より、かなり上手い感じだ。それでも千里は100%浩子を抜いた。
 
「かなわない! もしかしてプロですか?」
「ただの素人ですよ」
「いや、素人は有り得ない」
 
「高校時代にバスケ部だったんですよ」
「今はどこかの企業チームかクラブチーム?」
「どこにも入ってないです」
「お勤め?」
「大学生ですよ」
「そちらの大学にはバスケ部は?」
「あるみたいだけど、やるつもりはないです。理系なんで勉強が忙しいんですよ。だから時間の取れた時だけ、ちょっとひとりで汗流してるんです」
 
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「だったらもしよかったら、時間の合う時だけでも一緒に練習しません?ひとりじゃ、パスとかリバウンドの練習できないでしょ?」
「うん。それはあるんですけどねー」
「私たち、だいたい毎週月曜・水曜・金曜のこのくらいの時間に練習してるんです」
「じゃ、たまたま出会ったら」
「ええ、それでいいです」
 
「クラブチームか何か作ってるんですか?」
「千葉ローキューツって言うんですけどね」
「ローキューツ?」
「籠球とcuteを合成したことばで」
と浩子が頭を掻きながら言う。
 
「あ、いいんじゃないですか?」
「メンバーは登録してる人は15人くらい居るんですけど、練習に出て来てるのはだいたいこの3人で」
「たまに出てくる子があと1人」
「まあその子が凄く巧いんだけど」
「今度彼女が出て来た時に手合わせしてくださいよ」
「残りは試合の時の人数合わせに近い状態で」
「ああ、クラブ活動って、そんなものかもですね」
「もうひとり上手い人がいるけどずっと入院してるんですよね」
「それは大変ですね」
 
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千里は1時間だけの練習ということで借りていたのだが、結局ローキューツの練習に合流する形で、3時間近く一緒に汗を流した。
 
かなり汗を掻いたので体育館付属の更衣室で着替えてから帰るが
「ちょっとお茶でも飲んできません?」
と誘われた。
 
結局マクドナルドに入るが、千里が「あ、クーポンあるよ」と言って先日桃香からもらったクーポンを出すので、それを使ってみんな適当に注文した。運動した後なのでお腹が空いたのか、ビッグマックのセットとか、クォーターパウンダーとか頼んでいる。千里もベーコンレタスバーガーのサラダセット(ドリンクは爽健美茶)を頼み、途中でドリンクはお代わりした。
 
「千里さん、凄くうまい」
「パスもシュートも正確」
「スリーポイントが凄いですね。ほとんど外さない」
「まあ、フリーで撃てばですね」
「私たちのレベルではフリーになっちゃう!」
 
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「高校は結構強い所に居たのでは?」
「そうだなあ。インターハイには行きましたけど、あえなく強豪に負けて帰ってきました」
「いや。インターハイに行けるのが凄い」
「ですよー。ふつうはインターハイなんて、漫画か何かの世界だもん」
「うちじゃ浩子だけだよね?インターハイ行ったのは」
「1度だけね。強豪同士が潰し合って棚ボタで行けたけど1回戦であえなく負けて帰って来た」
 
「千里さん、あれだけスリーを入れられたらシューティングガードでしょ?」
「私、身長も無いし、体格も無いから、ゴールの近くに寄ったら勝負にならないから、遠くから撃つの専門で」
「いや、あれだけスリー入れられるのなら近くに寄る必要ないです」
 
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「うちのチームに欲しいなあ」
「試合の時だけでも出てきません?」
「あはは。その件はまた後日検討ということで」
「バスケ協会の登録証持ってますよね?」
「ありますよ」
と言って千里はバッグの中からカード入れを出して、そこから登録証を出す。
 
「おっ写真付きだ」
「選手で写真まで付けてる人は珍しいですね」
「私と似た名前の人が居て、少しトラブったんですよ。それで写真を付けておくことにしたんです」
「ああ、そういうこともあるんですね」
 
「へー。北海道の高校ですか」
 
とカードの裏を見て浩子が言う。カードの裏面には《旭川N高校バスケット部(女子)》と書かれたシールがまだ貼られている。
 
ああ、さすがに千葉では北海道の高校の名前は知られてないよなというので千里も少し気楽である。
 
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「選手登録されてるんだったら、今月中にチーム登録したら試合に出られるよね?」
「うんうん」
「もし他のチームに登録するつもりがなかったら、登録だけでもうちに登録してくれません?」
「うーん。それはさすがに少し考えさせて」
「じゃ、月末にもう一度連絡していいですか?」
「いいですよ」
 
それで千里は浩子と携帯の番号とメールアドレスを交換した。
 

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6月20日(土)。紙屋君と3度目のデートをした。
 
先週2度目のデートでは東京に出て渋谷の町を一緒に歩いたり、新宿のライブハウスで食事をしたりした。この日はディズニーランドに行こうよと言われ、朝から舞浜まで出かけて行った。ドイツ村に行った時は目的地を知らなかったので花柄のワンピース、先週は東京の街ということでゴシック系のドレスを着て行ったが、今日は動きやすいようにオリーブデオリーブのポロシャツとミニスカである。靴もミズノ製のピンクのウォーキングシューズである。
 
パスポートおごるよと言われたものの、高いし悪いよということで割り勘にする。その代わり食事はおごってあげるよということだったので、それは受け入れる。
 
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ドイツ村と違って楽しめるアトラクションがたくさんある。軽くスペースマウンテンに乗ってから、ホーンテッドマンション、イッツアスモールワールドなどを見て歩く。アトラクションに乗ることが目的ではなく、楽しい時間をすごすことが目的なので、あとはあまり並ばなくても良さそうなところがあれば入ってみるというパターンで、半分は散策目的という感じになった。
 
和食の店で海鮮丼を食べてお昼御飯にした後は、アトラクションにも乗らずに偶然空いたベンチに座り、いろいろおしゃべりした。話の内容は彼の中高生時代の話が主で、千里はもっぱら相槌を打っていた。
 

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「なんか結構曇ってきたね」
「まだ早いけど出ようか」
と言って午後4時頃、園外に出た。
 
「少し早いけど、晩御飯でも食べようか?」
「そうだね」
 
というので、車で少し走って習志野市内のイタリアンレストランに入り、パスタとピザを食べた。ワイン飲む?と訊かれたが、未成年だし清紀君は運転するから飲めないし、私ひとりだけ飲むのは悪いよと言って、コーラで乾杯した。
 
食事が終わる頃になって言われる。
「ね、ホテル行かない?」
 
ドキっとする。今日は3回目のデートだ。私は他人にはさんざん3回目のデートまでにはセックスしちゃえよ、などと煽っている。
 
「私、男の子だよ」
「構わないよ。コンちゃんも持ってるし」
 
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無言の同意をした感じになった。彼の車で、何だかお城みたいな形をしたホテルに行った。中の部屋に入ると中身もファンタジーな作りである。童話の世界にでも入り込んだような感じ。女の子受けする感じだ。
 
「先にお風呂入りなよ」
と言われる。
 
まあここまで来ちゃったら仕方無いよな。でも私の身体見たらびっくりされるかな・・・。そんなことを考えながらシャワーを浴びた。一応服を着て浴室から出てくる。
 
「じゃ、ベッドの中で待っててよ。僕も汗流してくる」
「うん」
 
それで彼が浴室に入った間に千里は服を脱ぎ、裸になってベッドにもぐりこんだ。やがて彼が浴室から出てくる。灯りを消しているが、窓から入るわずかな光で見る感じ裸のようだ。
 
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「寝ちゃった?」
「起きてるよ」
「していいよね?」
「うん」
 
それで彼はベッドの中に入って来た。
 
「あれ?千里ちゃん、おっぱいあるんだ?」
「うん」
「へー。豊胸手術とかしたの?」
「ううん。ホルモンだよ」
「ホルモンでここまで大きくなるって、かなりやってたんだ?」
「そうだね。中1の時からだから」
「すごーい」
 
と言ってその乳首を舐めてくれる。きゃー、結構気持ち良い。これ貴司よりうまいかも。と思いながら千里は彼に乳首を舐められていた。彼は右の乳首を舐めながら左の乳首は指でいじってくれる。これもまた気持ちいい。あーん私入れられる前に逝っちゃいそう。
 
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女子大生たちの縁結び(3)

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