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■女子大生たちの妊娠騒動(8)

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友紀が代表して付き添いで診察室に入り、美緒と一緒に先生の話を聞いてきたが、漏れてくる声を聞いていると、美緒は女医さんから、かなり叱られているっぽかった。妊娠7週ということで、明日中絶の手術をすることになったが、今日の夜9時以降は絶食ということであった。
 
「避妊のことでだいぶ叱られた」
と本人も少しへこんでいるが
「当然!」
とみんなから言われている。
 
「でも手術代が無いや。どうしよう? 学生ローンとかで借りようかな」
などと言うので
「それはダメ!」
とみんなの意見。
 
「その彼氏に出させることはできないの?」
と朱音が言うが
「無理だと思う。貧乏学生だから」
と美緒。
 
「それに彼、私がいろんな男の子とセックスしてたの知ってるから、自分の子供じゃないって言われそう」
「うーん。それはそういう乱れた性生活してた美緒が悪いという気もする」
 
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友紀が提案する。
「こういうのお互い様だしさ。みんなでカンパしない?
玲奈も
「うん。そうしよう。私が失敗した時は、みんな助けてよ」
と言う。
 
全員同意して、みんなで分担して出すことにする。朱音が桃香(寝坊してまだ自宅に居た)に電話したら、桃香も協力するということだった。それで諸経費込みで14万円掛かるところを、この7人で2万円ずつ出すことにした。
 
(最終的には、桃香に再度強く言われた美緒が彼氏と連絡を取ったら彼氏は申し訳ないと謝り、自分も貧乏なのでとは言いつつ3万出してくれたので、それを美緒を除く6人で5千円ずつ分けることになった)
 
「あ、ごめん。今日の診察代も持ってないんだけど」
などと美緒が言うので
「今日の分は私が出しとくよ」
と言って千里が支払いをしてあげた。
 
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病院を出る段になってから、ふと真帆が入口の所の表示に気付く。
 
「あれ?この病院って、男性の立入禁止なんだ?」
と言うと、受付の所に居たおばちゃんが
 
「そうですよ。だからこういう所に不慣れな女の子でも、安心して受診できるようになっているんです」
と言う。
 
一瞬6人の間で視線が飛び交う。正確には千里を除いた5人の間で飛び交う。が・・・「まあ、いいよね」と玲奈が言い、他の子も頷いている。
 

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近くのマクドナルドに入る。
「病院代を千里が出したから、ここのお勘定は私が持つよ」
と朱音が言う。
 
すると美緒が
「たくさん食べていい?」
などと言う。
 
「まあ少々はいいよ」
と朱音。
「いや、明日手術だし、体力つけとかないといけないからクォーターパウンダー食べちゃおう」
と美緒。
「おお、元気だ」
 
「うん。でも少し反省した。やはり次からはちゃんと付けてもらおう」
「セックスする以上は付けるのが当然というのを徹底しなきゃ」
 

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「しかし男子禁制のレディスクリニックに千里が居ても、咎められなかったね」
と真帆が言う。
 
「男の子がひとり混じっていると、妊娠させた彼氏かなと思われるかもという気もしたんだけど、女友だちのひとりと思われていたようだ」
「私も男の子の千里が支払いをしたということは、その人がお腹の中の子の父親と思われるかもと思ったんだけど、そもそも女性と思われていた感じだ」
 
「待合室でも全然浮いた感じ無かったしね」
「千里、レディスクリニックとかに居て、居心地悪くなかった?」
「ううん。別に」
「こういう所に来たことはないよね?」
 
「こういう独立したレディスクリニックは初めてだけど、総合病院の婦人科なら高校時代に行ったことあるよ」
 
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「・・・・・・」
 
「それって誰かの付き添い?」
「まさか恋人を妊娠させたとかじゃないよね?」
「ううん。ボクが受診したんだけど」
 
「ちょっと待て」
「男の子が婦人科を受診するってどういう状況よ?」
 
「え?男で婦人科を受診するってことないんだっけ?」
と千里が訊くと
「普通有り得ない!」
と言われて、千里は、あれ?まずかったかな?と思った。
 

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「まあ、そういう訳で自己紹介どぞー」
と花野子が言った。
 
その日、千里たちは東京都内のスタジオに集まっていた。
 
「福岡出身、△△△大学の希美です」
「鹿児島出身、Y国大の香奈絵です」
「東京出身、△△△大学の真乃です」
 
それで千里たちもひとりずつ自己紹介した。
 
「希美ちゃんにベース、真乃ちゃんにピアノ、香奈絵ちゃんにドラムスをお願いしようと思っている」
と花野子が言う。
 
「香奈絵ちゃん、体格がいい」
「中学、高校で柔道やってたんですよ」
と香奈絵は言っている。
 
「やはりどうしてもドラムスは体育会系だよね〜」
「するとどういうパート振りになるのかな?」
 
「リードギター梨乃、リズムギター鮎奈、ベース希美、ドラムス香奈絵、ピアノ真乃、大正琴が私」
と花野子が説明する。
 
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「花野子は大正琴なのか」
「いや、これの音に結構ハマってるんだよね。孝子のお母さんから借りっぱなしで悪いけど」
「いや孝子のお母さんはきっともう忘れている」
 
孝子は京都の大学に行っている。関西方面に行ったメンツでもやはりバンド結成の動きがあるらしい。
 
「歌も入れるの?」
「うん。私と希美ちゃんでデュエットする。希美ちゃん、なかなか歌が上手い」
「ほほぉ」
 
「それでさ、札幌組も2人大学の友だち引き込んで5人編成にしたらしいのよね」
「へー」
「それで新メンバー入れたから Kittens からは離れて Northern Fox という名前にするらしい」
「ネコがキタキツネに変身したのか」
「まあ、キツネの皮をかぶったネコかも」
「ふむふむ」
 
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「それでこちらも名前を変えようかと」
「ああ。いいんじゃない?」
「何て名前にするの?」
「ゴールデンシックス」
「ああ。6人だもんね」
「ノーザンフォックスと韻を踏んでるな」
 
「ついでにメンバーのニックネームも考えちゃったよ」
と花野子はノリノリである。
「どんなの?」
 
「私がカノン、梨乃はリノン、鮎奈はアンナ、希美がノノ、香奈絵がカーナ、真乃はマノン」
 
「何だか格好いい」
「よし。取り敢えず合わせてみよう」
「今から練習初めて、夏頃にCD作れたらいいかなあ」
 
「楽曲は少し待って。ここしばらく忙しかったから」
 
と千里は言う。ゴールデンウィーク前まで雨宮先生から頼まれた仕事をしていたので、すぐには新しい曲が書けないのである。千里は《創作の源泉》を貯めるのに最低でも1週間、できたら2週間掛かるのを意識していた。3曲続けても書けるが、それをやると次の曲を書くまで1ヶ月程度の空隙が必要だ。モーツァルトみたいな人って、やはり元々の出来が違うんだろうと千里は思う。モーツァルトはわずか4日で交響曲を1本書きあげたなどという恐ろしいエピソードもある。
 
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「大丈夫大丈夫。取り敢えずしばらくは麻里愛が書いてくれた曲と、1曲私が書いて、美空ちゃんに意見聞いて調整した曲で練習してるから」
 
「お、花野子、作曲したんだ」
「だけど美空ちゃんも、ビッグになっちゃったね〜」
「こないだ蓮菜たちも入って演奏した『trois ans』、聞かせたらいい出来だって言ってたよ。契約上直接関わることはできないけど、意見とかは聞かせてくれるって」
「それは頼もしい」
 
「よし、それでは練習を始めよう」
ということで、全員位置に就いた。
 

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「ふーん。じゃ、その彼女に今は激ラブなんだ?」
と千里は微笑みながら貴司に言った。
 
「いや、まだそんな段階じゃないよ。1度ゴールデンウィークの試合の合間に食事しただけで」
と貴司は何だか焦ったような顔で言った。
 
千里は5月下旬、貴司と会っていた。半ば運転の練習を兼ねて深夜の東名・名神を大阪までインプで走ってきたのである。正確には貴司が大津駅まで電車で出て来たので、朝そこで貴司を拾いふたりでドライブをしていた。千里は渋滞を避けるのも兼ねて、R367の山の中を走る道を通って今津まで行き、そこから更にR161で敦賀まで北上してお寿司屋さんでお昼を食べた後、また南下してマキノピックランドまで戻って来ていた。途中インプのような車で走ると(ドライバーにとっては)《楽しい》区間がたくさんあった。
 
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今日は会った時にキスしてくれなかったし、その後も何だかよそよそしい感じだし、車内で休憩してても自分を襲わない!?しというので、これは多分あれだろうなと思い、道中はバスケの話ばかりしていたものの、マキノまで来てから「彼女できたの?」と笑顔で訊いたところ、貴司は最初申し訳なさそうな顔をして、新しい恋人の存在を告白した。
 
「私も今新しい恋人と付き合ってるから、貴司もその彼女と付き合っていいんだよ」
と千里は言う。
「でもどんな人?」
 
「前の彼女とはある意味正反対。淡泊な雰囲気で恋人というより友だち感覚で付き合ってしまいそうな気分。本人の弁では料理とかも好きみたい。手作りクッキー食べたけど美味しかった」
「貴司って、元々女の子と話すの苦手って言ってたし、そういうポジションで付き合える子との方がうまく行くかもね。セックスした?」
 
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「まだしてないよぉ!」
「3回目のデートまでの間にセックスしちゃいなよ。それ過ぎると、今度はお互いに言い出しにくくなるよ」
 
「千里、僕が他の女の子とセックスしても平気?」
「私は平気だよ。その件は私、中学の頃から平気だって言ってたはずだけど。そもそも私、貴司の赤ちゃんを妊娠してあげられないしね」
 
「その割りには、他の女の子とのデートは、いつも邪魔されてたけどね」
「ふふふ」
「それに千里って本当に妊娠できないのかというのも疑問があってさ」
 
ふたりはしばらく沈黙した。
 
「でも私も今の恋人と次のデートではセックスすると思うから」
と千里は言った。
 
「そっかー」
と貴司は残念そうに言う。
 
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「でも千里の彼氏ってどんな人? 同級生?」
「まだ内緒」
 
「でも千里、まだその携帯のストラップ付けてくれてるんだね?」
「貴司もまだ付けたままじゃん」
「これさ。元々は僕たちの結婚の印だったけど、僕たちの友情の印ということに再解釈しない?」
「いいよ。私はそれで。だったらずっと付けておく」
 
千里は結果的に桃香ともお揃いになってしまうなというのをチラっと思った。
 
「でももし僕、彼女と結婚することにした時は外すかも」
「私も今の恋人と結婚する気になったら外すかも」
 
「じゃえっと・・・」
と貴司は千里とどういう形で《接触》すべきか悩んでいる。
 
「握手しよう」
と千里が笑顔で言うと
「うん」
と貴司も言って、ふたりはしっかり握手した。
 
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千里は考えていた。今私振られたんだよなぁ。でもなんで私こんなに冷静なんだろう、と。思うに高校進学の時に貴司といったん別れた時も、私ってすごく余裕があった。いまだにあの時の自分の気持ちが理解できない。今も私悲しくなったり、貴司の新しい彼女に嫉妬してもいいはずなのに、何なのだろう?この自分の余裕は??
 
「そうだ。これ持っててくれない?」
と言って千里はインプの荷室に置いていたヴァイオリンケースを貴司の前に出す。
 
「このヴァイオリンは千里にあげたものだよ」
と貴司は戸惑うように言う。
 
「うん。私のもの。だから貴司に預ける」
「そう来たか」
 
「弦は4月に千葉に出て来てから新しいナイロン弦に張り替えてるし、一応貴司と会う前に朝、草津PAで調弦しておいた。まあ貴司は絶対音感持ってるから自分で調弦できるだろうけど」
「いや実はだいぶやってなかったから、もう僕、絶対音感が怪しい」
「だったら、これで少し鍛え直すといいかもね」
「でも・・・」
 
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「貴司さあ、こないだは彼女がいるのに私とふたりきりになったら暴走しちゃったじゃん」
「あれは本当にごめーん」
 
あれはお互いに会ったのが1年ぶりだったこともあったのかも知れないなと千里は思う。
 
「だからさ、性欲暴走しそうになったら、私の代わりにこのヴァイオリンを抱きしめてよ。抱いて寝てもいいよ」
 
「何それ? 僕は楽器を抱いて寝る趣味はないけど」
「だってヴァイオリンの胴って女の子の身体の形してるって言うしね。ウェストがくびれてるんだよ」
「首長女だ」
「ろくろっ首だよね。男がいつ来るかいつ来るかと待っている内にのびちゃったんだよ」
「ああ、昔は特に女は待つだけだったしね」
 
「貴司が結婚する時に私に返して」
「でも千里、ヴァイオリンの練習はしないの?」
「貴司が結婚したら、練習するよ」
「千里って、本当に練習嫌いだからなあ」
「うふふ」
 
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軽食を取った後、お散歩したが、ここは本当に気持ちのよい場所である。メタセコイアの並木も美しい。ふたりとも夕日が迫る光の中で、たっぷりと自然の美味しい空気と景色を満喫した。それで暗くならない内に帰ろうということになる。
 
「また会ってくれるよね?」
と貴司が訊く。ふーん。恋人を作っても私と会いたいのか。貴司にとって私って何なのだろう?とは思ったが千里は自分の心の欲求に従うことにした。
 
「友だち同士会うのは問題無いはず」
と千里も言う。
 
それでふたりは手をつないで駐車場まで戻った。
 
「ね、千里、お願いがあるんだけど」
「なあに?」
「帰りは僕に運転させてくれない?」
 
 
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女子大生たちの妊娠騒動(8)

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