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■女子大生たちの妊娠騒動(7)

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「ケイの方は逆に開き直ってる感じだわ」
と雨宮先生は言う。
 
「偉いですね。ケイちゃんがそれなら、やがてローズ+リリーの復活はあるでしょう」
 
「今のもその無課税なんたら?」
「山天大畜の二爻変。山火賁へ行く。大きな利益をもたらす案件だけど、今は一時停止。でもやがて超ビッグスターになりますよ。大畜はお金がたくさんある状態。賁(ひ)は活火山です」
 
「ああ。あの子たちはそのくらいの素材かもね。だったら、あんたも一口乗る?」
「投資ですか?」
 
「そそ。彼女たちのプロジェクトの運営会社を作っちゃおうという魂胆な訳。そもそもマリが自信喪失した背景には、自分たちの意志と無関係に過密スケジュールで働かせて精神的に消耗したというのもある」
 
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「普通の十代の歌手は親の同意を取り付ける段階で本人も歌手をするんだという意志を固めていく。でもあの子たち、親の同意を取らずにデビューさせちゃったからその段階を経てない。趣味のサークルでもしているのと似た感覚のまま、いきなり売れちゃって、何も覚悟していない状態でプロとして行動せざるを得なかった。ちょっと同情しますね」
と千里は言う。
 
「やはり親の同意取ってないのが一番まずかったね」
 
「そういうことならマリの精神的疲労は理解できます。ケイはKARIONの水沢歌月としても音楽活動してたからプロ意識はあったでしょうけど、マリは無垢でありすぎたんです」
 
「ふーん。ケイが水沢歌月だってことを知ってるんだ?」
「・・・・それって、もしかして非公開ですか?」
「非公開どころかトップシークレット。★★レコードでも知っているのは多分2〜3人」
「へー! だって演奏を聴けば波動で分かるじゃないですか」
「いや、千里、普通の人は波動なんて分からないんだけど」
「そっかぁ」
 
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「まあ、それで今度は彼女たちが自分たちのペースと自分たちの考えで働ける環境を作ってあげようということ。色々な会社が彼女たちに便宜を図ってあげられるように多数の会社の相乗りにするけど、主導権を本人たちが取れるように資本金の67%はケイ本人が出す」
「あの子、そんなにお金があるんですか?」
 
「持ってるんだなあ。実はあの子、数年前からあんたと似たような仕事をしていたのよ。私と違って物凄く売れてるソングライターのだけどね。それで実はケイの所属をめぐっては何年も前から数社で争奪戦をしてたんだ。だからその数社で相乗りしちゃおうというのも背景にある」
 
「談合か。便宜を図ってあげるというより利益の共有ですね。で、出資額はどのくらいですか?」
 
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「私は2本出すつもりだけどね。今準備中だから実際の設立は多分来年」
「受験が終わってから稼働ですか。それ実際に利益が回収できるのって更に数年先ですよね」
「うん。桃栗3年柿8年の気持ちが必要」
「じゃ、取り敢えず先生がお出しになる額の2割程度で」
「よしよし」
 
この時千里は「2本」の単位を1桁勘違いしていたので、あとで慌てることになる。しかし、それで結局、千里はサマーガールズ出版の0.4%の株主になることになる。
 

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連休中は千里はずっと千葉市内L神社で巫女として奉仕していた。この時期は4月29日の田植祭、5月5日の端午節句祭が連続して行われる。千里は境内で早乙女たちの踊りの奉納が行われるのを見、境内に設けられた五月飾りの展示エリアなども見て歩いた。脇参道には鯉のぼり100匹が泳いでいる。
 
「千里ちゃん、小さい頃は兜とかを飾って鯉のぼり立てて、端午の節句をしたのかな?」
と辛島さんが訊く。
 
辛島さんと宮司さんには千里の性別は話してあるが、辛島さんは「でも既に性転換してるんだよね?それなら全然問題無い。それに巫女として問題があるなら既に以前奉仕していた神社で問題が起きていたはず」などと言って、性別は気にすることないと言われた。着替えなども他の巫女さんたちと一緒にふつうに着替えている。
 
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「私が生まれた年だけは鯉のぼり立てたらしいです。でもその年だけだったらしいですね。うちの母って面倒くさがり屋さんだから。雛祭りも妹が生まれた年1回だけだったらしいし」
 
「千里ちゃんのお母さんって、アバウトっぽくて親近感を感じる」
「物事にこだわらない性格ですね。だから私も自由に生きてこられたのかも」
 
「それって世間的にはダメな母親かも知れないけど、子供にとっては良い母親だよ」
と辛島さんは言う。
 
「むしろ私、近所の女の子と仲良くなって小さい頃からよく一緒に遊んでいたから、幼稚園の頃とか小学1〜2年生くらいに、その子の家で一緒に雛人形の前で撮った写真なんかが残ってますよ」
 
「ふーん。面白い。だけど雛祭りとか女の子ばかり集まっているだろうから、その中に男の子がひとりいると、それも微笑ましいよね」
 
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「そうですね。でも私、幼稚園の頃とか女の子の服を着ていること多かったから、その手の写真ではみんな女の子の格好なんですよね」
 
辛島さんは少し悩んでいる。
 
「千里ちゃん、本当は最初から女の子だったってことは?」
「だったらいいですけどねー」
 

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「なんか今日は変な天気だね」
と連休なので多数の昇殿祈祷をこなしている若手の神職さんが言う。
 
「ああ、そういえばだいたい晴れてるのに朝から何度も突然の雷鳴とかありましたね」
と別の神職さん。
 
その時、27-28歳くらいの巫女・田口さんが言う。
「雷鳴は、千里ちゃんが龍笛を吹いている時に鳴っている気がする」
 
すると「そういえばそんな気がする」と言う人が何人かいる。
 
「ああ。留萌でも旭川でも私よく言われてました」
と千里は平然と言う。
 
「ね、もしかして千里ちゃんの龍笛って、本当に龍を呼んでいたりして?」
と辛島さん。
 
「だったら龍の来る神社ということで宣伝しちゃいましょう」
と千里は笑顔で言った。
 
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千里は###銀行の店頭でも支店長代理さんと会話したように、証券会社の口座を作ろうと思っていた。それで連休前に某ネット証券会社の口座開設のための書類を出していた。それの本人確認の電話が連休明けにあった。
 
その場で訊かれる。
「村山様。性別が男性と記入されていたのですが、村山様、本当に男性の方なのでしょうか?」
「え、えっと・・・」
「こうしてお声を聞いておりますと、女性の方の声に聞こえるのですが」
 
私、男声でしゃべっているのに何で〜?とは思ったものの、千里は
「すみませーん。間違って記入したみたいです」
と答えてしまう。
 
「では性別は女性に訂正しておいてよろしいですか?」
「はい。お願いします」
 
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ということで、書類では男の方にチェックを付けておいたものの、結局女性としてこの証券会社には登録されることになった。
 
なお、この証券会社では未成年が口座を作る場合、保護者が同じ会社に口座を持っている必要があったので、4月中に母に口座を作ってもらっておいた。但し母は「株なんて分からん!」と言っていたので、結局そちらの口座も千里が管理している。
 

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連休明け、健康診断の結果が出ましたので、各自自分のID/PASSで学校サイトにログインして確認してくださいという掲示が出ていた。重大な病気の可能性などがあり、再検査が必要な人だけ郵便でも通知するらしい。何人かパソコンをいつも持ち歩いている子が教室でチェックしていたが千里は後で自宅で見ようと思った。
 
ところが友紀がパソコンを持っていて、そこに他の女子も集まっている。彼女のパソコンでみんな自分の検査結果を見ているようである。
 
「あぁ、私鉄分が低いみたい」
「やはりホウレン草とかトマトとか食べないといけないよ」
 
そんなことで騒いでいた時、真帆が
「ね、ね、千里はもう自分の見た?」
などと声を掛ける。
 
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「あ、まだ見てない」
と言うと
「ここで見られるよ」
などと言われる。
 
いや、他の人には見られたくないんですけど!?
 
取り敢えずそばに寄って行く。
 
「このパソコンはIDカードリーダー付いてるから、学生証を読み取らせれば、ID/PASS入力しなくても、ちゃんとアクセスできるんだよね」
 
しまったぁ。パスワード忘れたと言うつもりだったのに。
 
仕方無いので千里は学生証をそのカードリーダーに掛ける。写真を見られたくないので、写真付近に指を置いて読み取らせたが、特にそのことには気付かれた感じはなかった。
 
「特に異常数値は無いみたいね」
と言われる。
 
検査項目で異常値の出た所は反転表示になるようになっている。
 
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「へー。鉄分の数値高いね。えらーい」
「RBC(赤血球数)が470, Hgb(ヘモグロビン)も14.2で充分高い。千里、貧血とかあまり無いでしょ?」
「中学の頃は何度か貧血で倒れたことあるけど、最近は無いかな」
「少食な割りには偉いね」
 
「でも千里、HbA1cが高い。少食を装ってて、実は隠れてドカ食いしてない?」
「それ以前にも血液検査された時に言われたことあるけど、隠れてドカ食いはしてないよ。私の身体って物凄く燃費がいいみたいだから普通に食べててもカロリー過多になりやすいみたい」
「ああ、そういう体質なのか」
 
血糖値に関してはかなり気をつけているのだが、やはりまだまだかなと千里は自戒する。
 
「男性ホルモン・女性ホルモンも正常値だね」
「千里はきっと女性ホルモンが高くて男性ホルモン低いと思ったのに」
 
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彼女たちは千里の性別がFと表示されていることに気付いていない。どうか最後まで気付きませんようにと千里は祈った。千里の女性ホルモン値・男性ホルモン値は、あくまで「女性として正常」な値である。
 
「Hcgも0.5か。千里、妊娠はしてないみたい」
「私、妊娠はしないと思うけど」
「いや、気をつけておかないと危ないよ」
「Hする時は確実に避妊を」
 
そんなことを言っていた時、美緒が教室に入ってくる。
「何やってんの〜?」
というので、
「こないだの健康診断の結果を見てるんだよ」
と朱音が答える。
「美緒も見てごらんよ」
 
「そこで見られるの?」
ということで、美緒が自分の学生証をカードリーダーに掛ける。
 
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おかげで千里の健診数値チェックはそこまでで終了した。千里はホッとした。ところが美緒の数値を見ると、反転表示している所がある。
 
「・・・・」
「美緒・・・」
 
「なあに、この数値は?」
と本人。
 
「ここはHcgってホルモンの量なんだけど」
「何のホルモン?」
「これ正常値は0.7以下なのに、美緒のは20000もある」
「超異常?」
などと言いながらも、本人はこの数字の意味が分かってないっぽい。
 
友紀が周りを見回す。男子学生が居る場でこの話はできない。
 
「ちょっと教室の外に出よう」
と言って、友紀はパソコンを閉じて、その場にいる女子5人(友紀・真帆・朱音・千里・美緒)だけで外に出た。
 
そして友紀は美緒に言った。
「あんた妊娠してる」
 
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「えーーー!?」
と本人は超絶驚いていた。
 

少し遅れて来た玲奈も入れて6人で話し合い、とにかくも産婦人科に行くことにする。美緒の健診シートには欄外に「妊娠しています。検診は受けていますか?」というコメントが入っていた。
 
2時間目の授業をサボって、一緒に学校から少し離れた所にある病院に行った。あらためて、おしっこを取られ検査結果を待つ間、待合室で話し合う。
 
「だけど生理来てなかったら気付かなかったの?」
「先月中旬、小さな出血があったんだよ。それが生理だと思ってた。あれ?今月は軽いなとは思ってたんだけど」
「それ着床時出血っていうやつだよね」
「つわりとかは無かった?」
「そう言われてみると、こないだから何度か吐き気がした」
 
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「ほんとに妊娠してたらどうすんの?産む?」
と友紀が訊くが
「まさか。中絶。中絶」
と本人は言っている。
 
「入試の時に知り合った彼?」
「だろうな。この時期、他の子とはしてないし」
 
「えっと・・・美緒って割とセックスするんだっけ?」
「うん。結構してたけど、妊娠したのは初めてだよ。危険日は避けてる自信あったんだけどなあ」
「いや。それは、やる時はちゃんと付けさせなきゃダメ」
 

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