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■桜色の日々・小6編(8)

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やがて、年も暮れ、新しい年がやってきた。
 
年明けてすぐに女の子たちは中学の制服の採寸をしていた。私は令子とカオリの採寸に付き添いで行ったが、ふたりが採寸されるのを憧れるように見ていた。 
令子が「ハル、女子制服を作らないにしても寸法だけは測ってもらったら?」などというので、お店の人もそれでもいいですよ、といって私の寸法を測ってくれた。「お姉さんのお下がりとか着る予定なのかな?」とお店の人は言う。私はその採寸表の写しを大事にしまった。
 
「一応その採寸表の番号でデータベースには入れておくからね。作りたいと思ったら言ってくれれば、2〜3週間で作れるから」とお店の人は言った。
「でも、あなたホントに細いねぇ」
 
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この頃、私はまだウェスト57cmであったが、成長期だしということで、お店の人の勧めで作るならウェスト59cmか61cmにした方がいいと言われたので私は61cmということでウェストは記入していた。バストも当時はA70のブラを付けていたが、制服ではB75ということにした。バストがBサイズまで成長するとは思えなかったが、身長があるから、そのくらいの方がバランスが取れると言われた。 
2月のバレンタインでは、私も令子もカオリも特に本命チョコというのは渡さなかったのだが、義理チョコを欲しがっている男子がたくさんいたようなので私は一口チョコ、カオリもミニチョコのファミリーパックを買って、男子たちに1個ずつ配ってまわった。令子はそういうのがあまり好きではないので「義理チョコ?そんなのしないよ」などと言っていた。
 
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教室では一応一口チョコだけをみんなに配ったのだが、それまでに私に個人的にラブレターをくれていた子たちには、ブラックサンダーを個別に相手がひとりでいる所を狙って渡しておいた。ひとりの子からは「本当に付き合えない?」とかなりマジな顔で言われたのだが、私は「ごめんね、恋愛とか自分にはちょっと早い気がして」と言った。その子からは後日再度ラブレターをもらった。 
あまりにも熱心だったので、私は付き合えないけど1度だけデートしようか、と言って、一緒に町に出て数時間散歩をした。私はこの時、初めて個人的な外出でスカートを穿いた。そんなことをしたのは小学校時代にはこれが唯一の体験だ。(と令子に言ったら「ダウト!」と言われたのだけど)
 
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3月3日は水曜日だったが、ひな祭りなので、学校が終わったあとカオリの家にクラスの女子の大半が集まって、ひな祭りをした。一応女子全員に声を掛けたのだが、用事があったり、自分の家でどこか外食に出たりするなどということで欠席した4人を除いて12人が集まった。カオリは私や令子と特に仲が良いものの、基本的に誰とでも気軽に話して、派閥を作らない性格なので、カオリに呼びかけられたらというので、多くの子が集まってくれた。またカオリの家は広いので、この人数が集まっても全然平気なのである。
 
私たちは12畳ほどある広い仏間にいたのだが、そこに五段飾りの雛人形が飾られているので、その前でみんなで記念写真を撮った。
 
「最近はこんな大きな雛人形を飾る家はあんまり無いよね−」
「そうそう。うちのお母さんの時代とかは、狭い家でも結構大きなの飾ってたらしいけど、最近は大きな家でも、男雛・女雛のセットだけ飾る家が多いよね」「うちの雛人形はおばあちゃんが生まれた時に買ったんだって」とカオリ。「それっていつ頃?」
「おばあちゃんは昭和24年生まれだよ」
 
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「その時代だと、逆によほどお金持ちの家だけじゃない?こんなの買ったのは」
「そうみたい。おばあちゃんの実家は大工さんで、当時は戦後の復興期で建築も多くて景気良かったみたい。でも、おばあちゃんが中学生の頃に大手の建築会社が作るツーパイフォーとかの安い家に押されて仕事がなくなって倒産しちゃって、この雛人形もいったん債権者の人に持って行かれたんだけど、親しい人だったんで、おばあちゃんが結婚した時にお祝いにといって返してくれたらしい」「わあ、じゃおばあちゃんのホントに想い出の人形なんだね」
 
私はその雛人形たちが、私たちをとても優しく歓待してくれているような気がして、じっと人形たちを見つめていた。三人官女のひとりがこちらを見てニコッとしたような気がして、ドキッとした。その時私はその官女から何か言われたような気がした。
 
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甘酒を飲み、ひなあられを食べていたところにカオリのお母さんが、ミニ雛ケーキの皿を両手に持って入ってきた。
 
「よく冷えてるよ」とお母さん。「まだあるから食べたら持ってくるね」「わあ、可愛い!これどこに売ってあったの?こんな小さいの」
「これ、昨日、ハルと好美と3人で作ったんだよ」とカオリ。
「えー?すごい」
「最近、ハルがお菓子作りにすごく凝ってて」
「へー」
 
「ちなみに私は見学と味見係ね」と令子。
「ああ、令子、こういうの苦手だもんね」
「私は時々男に生まれてたら楽だったろうなって思うよ」と令子。
「それで私と性別逆だったら良かったのにねって、ほんと子供の頃から言われてたよね」と私も言う。
 
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「でもハルは最近、料理もお菓子作りもどんどんレパートリーが増えてるみたい」
「うん。去年の秋から、晩御飯をお母ちゃんと1日交替で作るようになったからね。土日は朝昼をお母ちゃんが作って、晩御飯は私が作る」「へー、花嫁修業?」
「そうそう。私、けっこう花嫁さんになる気あるし」
「おお、頑張ってね」とあちこちから声が掛かった。
 
「でも私も中学、セーラー服で行きたかったなあ」と私は嘆くように言った。「ああ。残念だね。学生服買ったの?」
「買った。でもズボンのサイズが合わなくて困った」
「だろうね!」
「結局通販で買ったんだよね。実はコスプレ衣装を通販しているショップ」
「もしかして女の子がガクランのコスプレする用?」
「そうそう」
「実際、ハルが学生服を着ること自体、ほとんどコスプレかもね」
「あ、そんな気がする」
 
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「ね、ハル、ひな祭りだし、私の中学の制服、ちょっと貸してあげようか?」
とカオリが言い出した。
「えー?だってカオリもまだそれあまり着てないんじゃない?」
「私とハルの仲だもん。構わないよ」
「ああ、ハルのセーラー服姿、見たい見たい」
 

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そういう訳で、私はカオリと一緒に2階にあるカオリの部屋に行き、セーラー服を借りた。
 
「着方分かる?」
「だいたい分かると思うけど・・・このスカーフはどんな感じにするのかな?」
「ああ、それ私もまだよく分かってないのよね。こんな感じかなあ」
とカオリはスカーフを結んでくれた。
「ありがとう」
 
「だけど、今日はハル、女の子下着だったのね」
「うん。スリップも付けてて良かった。ブラとショーツだけの時が多いんだけど寒いかなと思って出がけにスリップ着て来たんだよね」「最近は体育の時も女の子下着つけてるけど、もうそちらの方が多くなった?」
「うん。冬は厚着で下着の線が見えないのをいいことに、女の子下着つけてる率が高い」 
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「もしかして、女の子下着の数、増殖してる?」
「してる。最初はお小遣いで少しずつ買ってたんだけどね。最近、お母ちゃんが買ってくれる時もあるんだよね」「へー」
「お母ちゃん、何か楽しそうに見せて、お父ちゃんには内緒だからね、なんて言われる。お母ちゃん、やたらと可愛いの買ってくるんだよね。スカートもけっこう買ってもらった。今6着くらいあるよ」「ほほお」とカオリは楽しそうな顔をした。
 
「こないだ○○君とデートする時に穿いたってのも、そのスカートね」
「うん。桜色のプリーツスカート穿いてったんだよね」
「ああ、ハルって桜色が好きだよね」
「うん。ちょっと思い入れがあってね」
と言って私は一瞬遠い所を見る目をした。
 
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一緒に下に降りて行くと歓声が上がった。雛人形の横に立って記念写真。また他の子と並んで、記念写真を撮った。
 
「でもハル、髪の毛はどうするの?」
「入学式の前日に切る。悲しいけど」
その頃、私は胸くらいまで髪を伸ばしていた。
 
「ちょっと可哀想」
「高校卒業するまで6年間は女の子封印かなあ」と私は言ったが
「あ、それ絶対無理」と好美に言われた。
 
「ハルは学校では仕方なく男の子の制服着てても、学校から1歩出たら女の子に戻っちゃうだろうね」と環。
「うんうん。あるいは早々に性転換しちゃうかだよね」と朱絵。
「ね?ひょっとして既に性転換済みってことは?」
「性転換してたら、堂々とセーラー服着て通うよ」と私は笑って言った。 
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やがて、卒業式の日が来た。男の子も女の子も中学の制服を着ている子が多かったが、私はふつうの服で出席した。こういう服で学校というものに出られるのはこれが最後かと思うと、私はちょっと悲しい気分になった。
 
教室に戻り、先生から卒業証書をひとりずつもらう。私は例によって女子の最後に「よしおか・はるねさん」と呼ばれて出て行き受け取った。結局この6年生の1年間、私の名前はずっと女子の方に入ったままだったのである。そもそも森平先生は私の名前が本当は「はると」と読むことを最後まで知らなかったっぽい。 
先生からお話があったあと解散となる。私立に行く数人(うちのクラスの女子では潤子と多美の2人)以外は全員同じ中学に進学するので、またすぐ会えるのだが、それでもやはり卒業というのは不思議と涙が出てくる。
 
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私が教室を出て、何となくそのまま帰りがたい気分で中庭の池のそばに立っていたら、「どうしたの?吉岡さん」と男の子に声を掛けられた。
 
振り向くと学生服を着た荻野君が立っていた。彼は6年では1組になっていたので、この1年は話す機会が少なかった。それでもけっこう顔を合わせれば話していたのだが。
 
「なんか寂しいなと思って・・・・」
「また中学ですぐ会えるじゃん」
「そうだけどねー」
「吉岡さん、今日、学生服を着なかったんだね」
「学生服着たら、男の子になっちゃうから。まだ男の子にはなりたくないの」
「学生服なんてコスプレでもするつもりで着ればいいと思うよ」
「うん、女の子の友だちからも言われた。これが中学の卒業式なら、荻野君の第二ボタン欲しいところだな」と私は笑って言った。
 
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「これからこの制服使うから、まだ第二ボタンはあげられないけど、予備のボタンならあげようか?」「え?ほんと?」
荻野君がポケットから取り出して差し出すボタンを私は喜んで受け取った。「嬉しい・・・大事に取っておく」
 
「いろいろ辛いこともあるだろうけど、頑張ろうよ」
「そうだね」
「吉岡さん、友だちに恵まれてるし、女の子の友だちに言いにくいことあったら、僕でよければいつでも相談に乗るし」「うん・・・ありがとう。あ、そうだ。これ受け取ってくれないかな?」
と言って、私はホワイトチョコレートの包みを荻野君に渡した。
「ホワイトデー?」
「そう。ホワイトデーの前に卒業式があるってひどいよね」
「せっかくだし、もらっておこうかな」
 
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私は荻野君としばし見つめ合っていた。
 

中学は4月9日が入学式だったので、前日の8日に私は行きつけの美容室に行って髪を短く切ってもらった。凄く短くなった髪を見て、私はとても悲しくなった。(私は5年生の頃から理容室ではなく美容室に行くようになっていた)
 
少し鬱な気分で学生服を身につけ、登校する。うちの小学校と隣の小学校の2校からこの中学には進学してきているので、クラスは40人で6クラスあった。令子とカオリとも違うクラスになってしまったが、荻野君、環、好美などとは同じクラスになった。
 
担任の先生が入ってきた。男の先生で「館茂(たて・しげる)」と名乗った。最初の出席を取る。私は鬱な気分だったので、ぼーっとしてそれを聞いていた。ふと気付くと、点呼はいつの間にか男子が終わって女子のほうに進んでいた。あれ?私呼ばれたっけ? この時は私も上の空だったので、あまり深く考えなかった。女子も最後のほうにさしかかり「雪下さん」と私の前の席に座っている好美が呼ばれて「はい」と返事をする。そしてその次に「吉岡さん」と私の名前が呼ばれた。
 
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「はい」と私は返事したが、ぼーっとしていたので、中学の校内で使うつもりで最近少し練習していた男の子っぽい声ではなく、いつもの女の子っぽい声になってしまった。
 
先生はこちらを見るとこう言った。
 
「なぜ君は学生服なんか着てるの?ふざけないで、ちゃんと女子の制服着なさい。それ、お兄さんから借りたの?」 
私はそれまでの鬱な気分が吹き飛び、ちょっと楽しい気分になった。
「済みません。ちゃんと着換えて来ます」
と言ってスポーツバックを持って席を立つ。
 
5分後、《女子トイレ》で手早く女子制服に着替えた私が席に戻ると、教室内にどよめきが起きる。先生は満足そうにこちらを見たが
 
「君、髪を少し切りすぎてるね。まるで男の子みたいな長さだよ」と言った。「そうですね。ちょっと切りすぎました。でも切りすぎたのは仕方ないから伸びるのを待ちます」と答えた。
「それがいいね」
と言うと、先生は、中学生活を始めるにあたっての注意を色々話し始めた。 
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