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■桜色の日々・小6編(2)

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やがて開会式が始まり、私は女子の衣装でファイフを吹き、鼓笛隊の行進をした。スカートなんて、そうそう穿くものでもないので、こういう体験は快感だ。しかも校外行事だから親は見に来ていないので気楽である。
 
行進した後、グラウンドの端のほうに留まり、開会式が進むのを待つ。そして、30分くらい掛けた開会式が終わってから、また退場する選手の先頭を鼓笛隊で歩いた。
 
お役目が終わってから先生たちは
「ご苦労さん。このあと6月の野球大会、それから9月の運動会でもやるから、よろしくね」などと言っていた。
 
「でも長時間立ってたから、トイレ行きたくなった」と好美。
「あ、トイレ行こう行こう」とカオリ。
「あ、ハルも行かない?」と典代。
「うん。実はトイレ行きたいなと思ってた所。でも・・・」と私が言うと「じゃ、行こう、行こう」とカオリに腕をつかまれ、女子数人で一緒にトイレに行くことになってしまった。当然女子トイレである。たくさん人がいるのでトイレも長い列が出来ていて、私たちはトイレの外で列に並んだ。
 
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「かなり長い列だなあ」
「我慢するのが辛くなる時があるよね」
「男子トイレも列ができてるみたいね」と好美が体育館の通路の少し先の方を見て言う。
「でも男子の方は回転率がいいんじゃない?」
「どうしても女子の方が時間かかるよね」
「女子トイレの個室、もっと作ってくれたらいいのに」
「だいたい男子トイレの小便器の数と、女子トイレの個室の数が同じらしいよ」
「それじゃ女子トイレに列ができる訳だよね」
「こういうの設計するのがだいたい男だからね。女のこと分かってないよね」
 
「だけどハル、こういう場になじんでる感じ」と典代。
「あ、それ私も思った」と由紗。
「学校では男子トイレ使ってるみたいだけど、学校外では女子トイレも結構使ってるんでしょ?」と、みちる。
「うーんと・・・」と私は答えに窮した。
「あ、否定しないし。図星だね」とカオリ。
「学校でも女子トイレ使っていいのにね。ハルったら、まだ名簿が女子の方に入ったままだし」と好美。
「先生、すぐ気付くと思ったのに、まだ気付かないね」と私も笑って答えた。「本人、特に困ってないみたいだし、私たちから言うことないよね?」と令子。
 
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サッカー大会のあった次の月曜日、先生が予定が変わったことを告げた。
 
「来月の野球大会でも鼓笛隊をする予定だったのですが、他にもやりたいという学校が出たので、そちらに譲って、うちの学校ではチアリーダーをすることになりました」と先生。
 
「チアリーダーなら女子だけですか?」
「いえ、それでは人数が半分になってしまうので、男子もショートパンツで、やってもらいます」
「男子もボンボンとか振るんですか?」
「男子は銀色系、女子はピンク系ね。バトンも男女混合」
 
以前はけっこう男子と女子の扱われかたが凄く違っていたのに、去年くらいから男女共通でいろいろさせられることが多くなった気がしていた。私みたいな性格の子には生きやすい時代だよな、と思ったりもする。
 
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「ハル、バトン回すのうまいね」と好美が言うので
「あ、去年令子とカオリと3人でかなり練習したんだよね」と私は答える。
「へー。でも令子、あまり回せてないじゃん」
「言ってくれるな」と令子は言いつつ、またバトンを落としてしまう。
 
「ハル、カオリ、典代、はバトン組だね」と、学級委員のみちるが言う。私たちは放課後、バトン組、ポンポン組、と分けるのに、バトンがどのくらい使えるかをテストされていた。
 
「でもさあ、チアって聞いたのに、なんでバトントワリングまであるの?」
「サービスじゃない?」
「先生たちもごっちゃになってるよね」
「ヨサコイとソーランがごっちゃになるのよりマシな気がする」
「ヨサコイは北海道でソーランは徳島だよね」
「逆!」
「ついでに、徳島じゃなくて高知!」
「え?あれ、徳島の踊りって何だっけ?」
「阿波踊りだよ」
「あ、そうか!」
 
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「でもさ、チアの衣装のスカートの下、私何穿けばいいのかなあ」
と私が言うと
「やっぱり、ハルはスカート穿く気満々だ」とカオリから言われる。
「え?」
 
「さっき先生、女子はスカートタイプでもショートパンツ・タイプでも、どちらでも好きな方着ていい、って言ってたよね」
「あれ?そんなこと言ってた?」
「言ってた、言ってた」
 
「でも、ハルはスカート穿けばいいと思うよ」
「うんうん。スカート似合うもん、ハルって」
「あはは・・・」
「私はスカート好きだからスカートタイプの衣装着るつもりだけど、下はブルマ穿くよ」とみちる。
「私のブルマ、貸してあげるよ」と令子が言うので
「ありがとう。助かる」と私は言った。
 
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チアの隊列としては、バトン組とポンポン組が交互に並び、各々何種類かのアクションをしていくことになった。男子の一部はポンポンもバトンも持たずに女子の方より動きの大きなアクションをすることになった。
 
また、最初の頃は男女ともダンスだけの予定だったのだが、みんなが順調に踊りを覚えていったので、先生が「スタンツ(組体操)もやってみようか」と言い出した。
 
クライマックスで学年全体から5〜6組のチームが出て来て、ピラミッドを作ることになる。
 
「ハルって体重、何kg?」とみちるから聞かれたので「38kgだけど」と答える。
「軽〜い。ピラミッドの最上段に乗ってよ」
私は当時は身長159cm, 体重38kgくらいであった。
 
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「うん。まあ、いいけど」
「ハル、180度開脚とかできる?」とみちる。
「え?できるよ」
と言って、私は左右に足を開き、ぺたんとお股を床に付けてみた。
「すごーい。楽々やっちゃうね」
「去年、カオリと令子と一緒に練習したんだよね」
「じゃ、カオリと令子もできるの?」
 
「私はできるよ」とカオリは言って、やはり180度左右に足を開いてみせる。
「令子は?」
「できないよ、悪かったね」
 
「じゃ、ハルとカオリは180度開脚してトップね」
「ちょっと待って。どういうスタンツなの?」
「えっとね。こういうの」
と言って、みちるが絵を描いてみせる。普通に2段に重なったスタンツが2組並びその各々の頂点に180度開脚して両足を乗せる大技である。
 
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「ハイ・スプリットというんだよ。最下層は男子にやってもらう」
「無理〜、こんなのできる訳無い!」と私もカオリも言う。
「やってみなきゃ分からないじゃん」などと、みちるは言っている。
 
ともかくも、私たちはバトンやポンポンを持って踊る練習と、この組体操のアクションとを毎日放課後に2時間くらい練習した。ポンポンはテープを渡されて女子が手分けして男子の分まで作ることになり、私も4個作ってといわれてテープを渡された。
 
家で作っていたら、風史兄が「面白いもん作ってるな」と言った。
「うん。月末の野球大会でチアリーダーやるんだよ、うちの学校の6年で」
「へー。今時は男子もチアやるのか?」
「ああ、男女共同なんとか言って、最近は男女同じことをするのが多いよ。フォークダンスでも去年からオクラホマ・ミキサーは無くなって、代わりにマイムマイムやってるし」
「しかし、チアって、男子もミニスカート穿く訳じゃないよな?」
「まさか。男子はショートパンツだよ。女子も半分くらいはショートパンツ」
「ああ、最近の女の子って、そもそもスカートあまり穿かないもんな」
「うん。クラスの女子でも、スカート穿いてる子って少ない」
 
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風史兄が私の耳元で小さい声で訊いた。
「でハル、お前はチアでどっち穿くの?ショートパンツ?それともミニスカ?」
「あ、えっと・・・・」
風史兄は私が答えをためらったのを見て笑い、「まあ、母さんとかが見に行くんでなくて良かったな」と言った。
 

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来週が本番という時になって、チアの衣装を着て、練習をしてみることになった。市の方から予算が出たらしくて、おそろいのトレーナーに、ショートパンツやミニスカートが搬入されてきた。男子はもちろん全員ショートパンツだが、女子もショートパンツ派が多くて、ミニスカートは私も含めて6人だった。
 
私はもちろん!女子と一緒に着換えた。こういうシチュエーションでは、私も女子と一緒に着換えるのは何だかふつうになってしまった。わいわいガヤガヤとおしゃべりしながら着換えていたが、好美が
「でも、ハルもそろそろ女子の下着をつけてもいいんじゃない?」
などという。
「ハル、お小遣いとかもらってないの?お小遣いで買えばいいのに」
などと典代も言っている。
「うーん。お小遣いは今4000円ほどストックあるけど」
「だったら買えるじゃん。今度、一緒に見に行かない?」
「えー? でも洗濯とかに困るし」
「あ、それ私がやってあげるよ」と令子。
 
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スカートを穿いているのは、私の他にはふだんからスカート派のみちる、潤子、など。カオリはふだんはパンツ派で、めったにスカートを穿いている所を見ないのだが、スタンツのトップになる子はできたらスカート穿いてと言われて、ミニスカの衣装を着ていた。私は令子から借りたブルマをミニスカの下に穿いていた。
 
「だけど、吉岡って、ブルマなんか穿いても、チンコ付いてないみたいに見えるな」
などと集合場所で少し練習していたら、坪田君が言う。
 
「ああ、私が今預かってるから」とショートパンツ姿の令子が言った。
「え?我妻がチンコ預かってるの?じゃ、今、我妻はチンコ付いてる?」
「うん。付いてるよ」
「どれ、触らせて」などと言って手を伸ばして来たので、坪田君は令子のキックを顔面にくらっていた。
 
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「だけど、チアの衣装の吉岡って、ちょっと可愛いよな」と山崎君。
「ああ、可愛いよね。さっき着換えてた時も『なんでそんなに可愛くなる』ってみんなに言われてたよ」とカオリ。
「ほんとにハルって、こういう可愛い系の服が似合ってるよね」とみちる。
「ふだんの服装では、こんなに美人になるようには思えないのに、女の子の服を着ると、突然美人になるんだよね」と令子が言う。
「女装美人なんだな」と木村君が言うが
「いや、たぶんハルは本来女の子なんだよ」とカオリは言った。
 

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その週の週末、私は令子とカオリに誘われて町に出た。
 
「そろそろ覚悟決めた?」とカオリ。
「うん。覚悟決めた」と私。
「まあ、おちんちん切れって話じゃないからさ。でも、ホントに女の子下着、1枚も持ってないの? もし持ってて隠し場所に困ってるんなら、それも一緒に預かってあげるよ」と令子。
「うん。1枚も持ってない」
「ホントかなあ」
 
その日、私はふたりに付き添われて、女の子下着を買いに出て来ていた。今週の水曜日から始まる野球大会の開会式で、私たちはチアリーディングを披露するのだが、その時、ブルマの下に女の子パンティ穿きなよ、とカオリたちに唆されて結局、一緒に買いに行くことになったのである。
 
「でも持ってなくても、女の子の下着を付けたことはあるんでしょ?」とカオリ。
「小学1年の時、ハルをよくうちで女装させてたけど、その時は私の下着を貸してたよ。その後は分からないけどね」と令子。
「えっと・・・・」
「ああ、否定しない所見ると、やはり時々付けてるね」とカオリ。
「私も絶対そうだと思う」と令子。
 
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そんなことを言いながら、スーパーの女性用下着売場に来た。
「ハル、自分のサイズは分かってるの?」
「うん。ショーツは大人用のSでいい。ブラはA70」
「なるほど。そのサイズを普段付けているということね」
「いや、そんなことは無いんだけど・・・」
 
「でも女の子の下着って可愛いよね」と私は売場で、胴体だけのマネキンが着ているブラとショーツを見ながら言った。
 
「うん。そういうの可愛いよね」とカオリ。
「可愛いのは、それなりにお値段も可愛いけどね」と令子。
 
ふたりはついでに自分たちの下着も選びたいようで、3人で「これ、いいね」
「これも可愛い」「これ、似合わない?」などと、けっこう言い合っていた。私は、ああこういうの楽しいなと思い、ほんとに自分もこのまま女の子になりたい気分になっていた。
 
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結局カオリは薄い黄色地に緑のハートマークがたくさん入っている上下セットを、令子は少し大人っぽいレース使いのベージュの無地上下セットを、私は白地に赤い星のマークがたくさん入ったジュニアっぽい上下セットを選んだ。
 
「じゃ、これ私が一緒に洗濯して持っておくね」と令子。
「うん。ありがとう」
 

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野球大会の日は、朝から現地集合だった。私は早めに家を出て令子の家に寄り、令子の部屋で、女の子下着を身につけた。
 
「ああ。なるほど、そうやって穿くのね」
私がショーツを穿くと、令子が感心したように言った。
「ちゃんと、下に向けないと、飛び出しちゃうから」
「そうだろうね。でも、そうやって穿くと、まるで付いてないみたいに見える」
「うん。そうなるのが割と好き。でもブラはほんとに付けたことないの。後ろのホックを留めてくれない?」
「いいよ」
 
と言って、私がブラの肩紐を腕に通すと、令子はホックを留めてくれた。
「ブラだけでも家に持って帰って、毎日練習するといいよ。やってれば、ちゃんと自分で留められるようになるよ」
「そ、そう?」
 
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「じゃ、行ってまーす」と令子のお姉さんたちやお母さんに挨拶して、ふたりで出かけた。私たちは歩きながら小声で話した。
 
「だけど、ハルも今の所、まだ声変わりしてないね」
「うん。男の子っぽい声も出せないことないけど、とりあえずこうして令子たちと話している時は、そんなに男っぽくない声で話せてるし。でも声変わりしちゃったら、自分でもショックだろうなという気がする」
 
「今の内にタマタマ取っちゃえば、声変わりしなくて済むんでしょ? というかハルのタマタマも実は偽物なんじゃないの?」
「偽物かもしれないけど、私をどんどん男に変えて行くんだろうな・・・・」
「偽物なら取っちゃえばいいのに」
「そうだね・・・」
 
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私は令子から、そんな感じで煽られて、少し遠い所を見ていた。
 

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