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■桜色の日々・小6編(6)

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みんなも私には一応「付いて」はいるものの「機能」が無いことをあの「解剖」
で知ったので、私が裸になって着換えていても、気にならないようであった。実際には、私は「それ」が他の子たちの目に触れないように、充分気を使って着換えていた。
 
自分たちの番が近づいてきた11時頃に着換えてから令子やカオリたちと一緒にプールに出て行ったら、ばったりと体育の先生に会った。先生は私がスクール水着を着ているのを見て
「お、吉岡、今日はちゃんと水泳に参加するのか?」と言う。
 
「1学期は全部見学して済みませんでした」と私が謝ると、そばにいたカオリが
「先生、晴音(はるね)は男子用の水着を着たくなかったから、見学してたんですよ」と弁解してくれた。
 
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「ああ!」と体育の先生は言ってから
「吉岡も自分が女子だと思っているんだったら、別に女子用水着を着てもいいんじゃないか? そんなので悩んでいたんだったら、俺でもあるいは誰か女の先生にでも相談すれば良かったのに」と言われる。
「ほんとですよね。そういう所がこの子って馬鹿なんです」とカオリから言われた。
 
「でも、女子用水着を着けた吉岡を見て、俺は何も変に思わなかったぞ。むしろ吉岡が男子用の水泳パンツ穿いてたりしたら『お前、胸隠さなくていいのか?』とか言ってた気がする」と先生。
「ほんと、そう思いますよね!」とカオリも言った。
 

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水泳大会では、1〜3年生は25mプール片道、4年生以上は25mプール往復の50mで全員タイムを測られる。ただし25m,50m泳ぎ切れない子は、途中で停まって、そこで申告すれば、何mを何分何秒で泳いだかを記録される方式になっていた。また泳ぎに自信のある子は、200m(4往復)、800m(16往復)にも出場できることになっていた。私は16往復までは自信が無かったので200mに申し込んだ。
 
午前中、1年生から順に泳ぎ、6年生はもうお昼近くであったが、私は50mのタイムを他の数人の女子と一緒に泳いでタイムを計られた。(6年生は自分たちの番が来るまで、計時係や、途中で停まった子の泳いだ距離を確認する係、データをパソコンに入力する係などを交替でしていた)
 
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給食をはさんで午後からが長距離のタイム測定であった。女子は私同様に800mには自信がないという子がけっこういて、200mに出ている子の方が多かった。(夏休みに私の練習に付き合ってくれていた令子とカオリは800mに出ていた)私は一緒に泳いだ6人の中では2番目にゴールした。
 
計時係の子にタイムを書いてもらって引き上げてきたところで体育の先生に声を掛けられる。
 
「吉岡、水泳うまいじゃないか」
「夏休みにだいぶ練習したんで。でもまだ800mを泳ぎ切る自信無かったから」
「クロールのフォームもいいし、クイックターンも出来るんだから、基本的には距離関係無いだろ?」
「でも体力が」
「お前、体力はありそうだけどなあ」
 
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体育の先生に会釈をして更衣室の方に行こうとしていたら、桜下先生にも呼び止められた。
 
「ハルちゃん、水泳頑張ったね」と先生。
「ありがとうございます。夏休みにカオリと令子がだいぶ教えてくれたんで」
「女子用水着も自然だよ」
「はい」
 
「お股も付いてないみたいに見えるね」と小さい声で先生が言う。
「アンダーショーツで押さえてますから」と私も笑って返事をする。
「ハルちゃん、女子更衣室だよね?」
「男子更衣室じゃ着換えられません」
 
「だよねー。でも女子更衣室で着換える時、あそこはどうしてるの?」
「着換え用のタオル持ってるから大丈夫です」
「そっか!最近はみんなあれ使うよね」
「それでも夏休みにはいちど解剖されましたけど」
「あらら」
「手で押さえて、必死で隠しました」
「大変ね!」と先生も笑って言った。
「もう解剖されるのは慣れっこです。既にクラスの女子のほぼ全員にあそこは見られちゃってるし」
 
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「あはは・・・って笑っていられるのは田舎の学校のいい所だわ」
「あ、都会の学校だと何か大変な騒ぎになりそうですね」
「うんうん。でもハルちゃんが明るい子だからってのもあるよ。弱い子だと泣いちゃったりして、いじめたみたいな雰囲気になりかねないし」
「ああ、いじめと思ったことはないですね。解剖されても『あん、やられちゃった』としか、私思わないし」
先生も笑顔で頷いている。
 
「でも、私みたいな子が、曖昧な状態で存在できてるのも田舎だからかなって気もします」
「ああ、それもそうだろうね。都会の学校だと、男か女かどちらかハッキリさせろみたいな雰囲気になりがちだろうし、テレビ局が取材に来ちゃったりしてるかもよ」
「嫌です−。それ」
 
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「でも解剖されちゃったりすると、大きくなっちゃうだろうからますます隠すの大変でしょ?」
「あ、それは大丈夫です。私のはどうやっても大きくならないから」
「・・・それって、いつ頃から?幼稚園や1年生の頃から大きくならなかった?」
「大きくならなくなったのは去年の夏くらいからです。実際には一昨年の冬くらいからめったに大きくなることはなくなったけど。多分ですね・・・」
「うん」
「自分の性同一性って言うんですか? 自分は女だという気持ちが強くなったから、男性の機能は心理的に封印というかむしろ停止させてしまったんだろうと思います」
「なるほどね。女性ホルモン飲んでるわけじゃないのね?」
「飲みたいけど、入手できません」
「ふーん。。。。もし本気で飲みたいなら調達してあげてもいいけど」
「ほんとですか?」
 
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「既に男の子の機能が消えてしまってるんなら、女性ホルモン飲んでも構わない気もするなあ」と桜下先生は言った。
 

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水泳大会の記録表を母に見せると「お前頑張ったね」と言われた。
 
「だって、お前、去年までは毎年空白だったじゃん」と母。
「うん。今年は夏休みに友だちに誘われて、たくさんプール行ったから」
「去年の夏も行ってたよね」
「うん。でも去年の水泳大会はまだ自信無かったら休んじゃった」
「今年は少し自信できた?」
「うん、少しだけ」
 
「そうか。良かった良かった」と母は笑顔で言ったが、ふと成績表の一番上に私の名前が印刷されている横に「女」と印刷されているのに気付くと眉をひそめた。
 
「あら?性別が間違ってるね」
「ああ、別に気にしなくてもいいんじゃない?」
「そうだよね。本人見たら、男って分かるだろうし」
 
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などと会話していた時、少し離れた所で漫画を読んでいた風史兄が笑ったのを私は目の端で見た。
 

9月はずっと学芸会の劇の練習をしていたが、その間に運動会もやってきた。
 
私は学年別の徒競走(100m)、フォークダンス、それに鼓笛演奏に出場した。家族が見ている所でやるのはちょっと問題あるよなぁ、とは思ったものの、ここは開き直ることにした。去年までも結構、そのあたりはあれこれ誤魔化してきている問題だ。
 
午前中の徒競走は、男子と女子と交互に走ったのだが、私は女子の組で走って6人中の3位であった。各組とも3位までは記念品がもらえるので、私は3位の賞品の鉛筆をもらった。お昼の休憩で家族の所に行き、記念品を見せたが、父が「なんでお前、女子と一緒に走ったの?」と訊く。
「ああ、人数の都合だよ。僕、名簿の最後だから調整されちゃうんだ」
と言うと
「あ、そうか」と納得した様子であった。
「晴音(はると)は去年も女子と一緒だったけど、最下位だったね」と天尚兄。「今年は3位だから少し進化したね」と母。
「だけど、女子と一緒ならぶっち切り1位でもいいのに」と父は少し不満そう。「うん、僕、足遅いから」と私は答えたが、風史兄はニヤニヤしていた。
 
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午後最初に行われる5〜6年生のフォークダンスは、今年は1曲目がおさかな天国の歌による桜下先生のオリジナル振り付け、2曲目がマイムマイムで、どちらも男女関係無く同じ踊りをするタイプだったので、私もあまり目立たなくて済んだ。実は男女交互に並んでいて、私の両隣は男の子だったのだが、たぶん、そのことには両親は気付くまいと踏んでいた。訊かれても、また男女の人数の都合だと言い逃れることもできる。
 
そして最後は運動会のラストの演目となる鼓笛隊であった。これには私は女子の衣装をつけてファイフを吹く。これは言い逃れのしようがないなあ、と思いつつ、親のことは忘れて小学校の運動会最後の出場を私は楽しむことにした。
 
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指揮者を務める1組の多絵がメジャーバトンを振り、その後ろに各クラスから1人ずつ出ている女子の旗手が旗を持って行進する。その後を楽器ごとのセクションが続いた。ベルリラを持つ女子4人、大太鼓の男子2人、小太鼓の男子12人、ピアニカの女子14人、アコーディオンの男子10人、木琴の女子14人、トランペットの男子2人、ユーフォニウムの女子1人、トロンボーンの女子2人、リコーダーの男子40人ほど、そして最後にファイフの女子20人ほど。
 
楽曲は入場口から「亜麻色の髪の乙女」を演奏しながら入ってきて校庭の中央に整列する。それから「ボギー大佐」を演奏しながら、楽器セクション単位に別れて隊列を作り、様々なフォーメーションを作る。そして最後に校舎側に横2列に長く並ぶと、うちの学校の盆踊りの歌を演奏する。「踊れる人は出てきて踊ってください」という声に、全校生徒、その家族などが一斉に飛び出してきて、鼓笛隊の演奏に合わせて踊った。6年2組の井上先生が台の上に登って模範演技をする。運動会のラストはこうして最高の盛り上がりを見せて閉幕した。
 
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そのまま家族などは下がり、生徒達は学級ごとに整列しなおして、閉会式に移った。はちまきの色分け対抗の点数が発表され、赤組の優勝が告げられると歓声があがっていた。
 
6年生は鼓笛隊の衣装のまま閉会式に出たが、終わると着換え用の教室に戻り、ふつうの服に着替えてから家族の所に行った。もちろん私は4組の教室で他の女子たちと一緒に着換えた。私はみんなが脱いだ衣装をまとめて用具室に持って行く係だったので、教室の中を巡回し、あまりのんびりしている子には「はーい、さっさと脱いでね」などと促したりして回収した。女の子の下着姿を見ても私は何も感じないし、向こうも私に見られるのは全然平気な様子である。最後に服を校庭の端にある用具室まで行ってきてから家族の所に行ったのでかなり遅くなった。
 
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「ただいまー」と言って両親や兄たちのいる所に行った。
「お疲れ−」
「お前、鼓笛隊はどこにいたの?探したけど分からなかった」と母。
「え?笛を吹いてたけど、気付かなかった?」
「うん。そんな話聞いてたから、探してたんだけど、見つけきれなかった。写真撮ろうと思ってたのに」
 
まあ、リコーダー組の男子の集団を探したって、そこには居ない訳だし。でも気付かれなかったら、まいっかと思いながら家族と一緒に家に戻った。
 
家の中で、母が夕飯の支度をし、父は新聞を広げて読み、大学受験を控えた天尚兄が食卓で問題集をしていた時、漫画を読んでいた高1の風史兄が、意味ありげな笑みを浮かべて、母の手伝いをしながら食卓を片付けていた私のそばに寄ってくる。そして自分の携帯を開けて、1枚の写真を見せた。
 
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女子の鼓笛隊衣装をつけファイフを吹いている私の写真がきれいに写っていた。
「それ、記念に欲しい。あとでUSBメモリか何かにちょうだい」
「いいよ」と兄は言い「父ちゃんたちには内緒にしといてやるから」と耳元で囁いた。私は笑顔で「ありがとう」と言った。
 

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学芸会の練習の方は、練習が進んでいくうちに更に出場者が増えていった。最後は、配役決めのクラス会で「私はお芝居は・・・」などといって配役拒否していた子まで、うまく乗せられて新年会に参列する貴族役(セリフは無い)で出場することになり、結局クラス全員参加のお芝居になった。
 
そのあたりは他のクラスでも似たような傾向になり、「オズの魔法使い」をするクラスでは、オズの所に並んでいる人たちとかの役が増殖。「小公女」をするクラスではセーラの同級生が増殖(男女共学校の設定になっていた)、「あしながおじさん」でもクリスマスパーティーの客が増殖して、どこも全員参加に近い形になっているようであった。
 
その学芸会は10月の中旬に行われた。
 
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「晴音、お前、今年も女の子役なの?」と母が言う。
「うん。女王様の役だよ。嫌な性格の役だから、女子の方で希望者がいなくて。他に、アーニャの母と姉の役も希望者いなかったから、令子と好美が引き受けた」
「ああ、令子ちゃん、好美ちゃん、あとカオリちゃんあたり、お前と仲良しだよね」
 
「うん。カオリは美人だからね。去年も一昨年も主役だったんだけど、当日になって風邪で休むんだもん。おかげで、私が白雪姫にモルジアナに演じたけど。でもカオリ含めて4人で割とまとまってるし、学級委員のみちるとも割と仲がいいから、そのあたりで実質学芸会の実行委員みたいな感じになって練習の進行とか背景の絵のCG作成とかもしたし、他の子が嫌がる役も自分達で引き受けたんだよね」
「なるほどねぇ」
 
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桜色の日々・小6編(6)

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