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■桜色の日々・小6編(7)

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果たして、その年の学芸会の日はカオリは急に風邪で休むこともなく、無事、アーニャ役を務めてくれた。おかげで私は初めて予定通りの役を演じることになった。出番を前に女子の控え室で女王の衣装に着替えてから他の子とおしゃべりしていたら、森平先生が来て
 
「吉岡・・・さん? あなたそういう衣装付けると凄く美人度が上がるのね!あ、ごめんなさい。生徒に美人とか言ったらセクハラになるんだった」
「ハルは男の子だからセクハラ関係ないですよ」と令子。
このあたり令子は私のことを都合によって男の子扱いしたり女の子扱いしたりする傾向がある。
「でも、この子、こういう衣装が異様に似合うんですよね」
 
カオリが寄ってきて「ハル〜、毎年代役やらせちゃってごめんね。今日は頑張るからね〜」などと言ってハグした。
 
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「あ、先生、カオリとハルが並んでるところ、記念写真撮ってください」
「うんうん」
といって首から提げていたデジカメで先生は撮影している。
 
「でも、西本さん、吉岡さんをハグしちゃうのね・・・」
「だって女の子同士だもんねー」と言ってカオリは更に令子、好美、みちる、ともハグしてから、他の子たちの方へ行った。
 
「あの子、けっこうハグ魔だよね」と、みちる。
「首に抱きつくのも、よくやるよね」
「私がハグとかされてるのを見た男子が恨めしそうにこちら見るんだよね」と私。「カオリ、ひょっとして女の子が好きなのかもね」と令子。
「ああ、それあるかも」と私も言う。
 
「あんな美人なのに、今まで1度も恋人作ってないもんね」と好美も言う。「ラブレターは山のようにもらってるみたいだけどね」と私が言うと
「ハルだって、かなりラブレターもらってるでしょ。男の子たちから」と令子。
「あはは、あれ冗談なんじゃないかなあ」
「そんなことないって。結構真剣にハルのこと好きな男の子いるよ」
「うーん。。。」
 
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やがて学芸会で私たちのクラスの番になる。
 
まず、幕の前に下手からアーニャ(カオリ)、上手から老兵士(高岡君)が登場する。ふたりとも薪を乗せたソリを引いている。老兵士は寒い中で薪を集めているアーニャを気遣い、ついでのように、森の奥で大晦日の夜には12の月の精が集会をする伝説があることを話す。
 
幕が開くと、お城である。わがままな12歳の女王(私)は、死刑囚の助命嘆願に来た大臣(山崎君)の申請を却下して即刻死刑を執行するよう命じたり、家庭教師(みちる)が教える計算問題の解答をねじ曲げていい加減な答えを正解ということにして、文句あったら死刑にするからね、などと言ったりする。
 
大晦日なので、年越しの挨拶に来ている人たちが多く、東の国の大使、西の国の大使や、多数の貴族・貴婦人たちから様々な贈り物をもらうが、唐突にスミレの花が欲しいと言い出す。家庭教師や大臣が「スミレの花は春にならないと咲きません」と言うが、女王は
 
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「私がスミレの花が欲しいと言っているのよ。スミレの花を摘んで持ってきた者には、そのカゴに同じだけの金貨を授けると、お触れを出しなさい」
と命じる。(こういう命令の仕方があまりにもハマっていたので、私は坪田君から『SMの女王様になれるな』と言われた。私は意味が分からなかったので聞き直したのだが、令子が『後でゆっくり教えてあげるから』と言った)
 
暗転して登場人物交替。プロジェクタで投影している背景は粗末な小屋になっている。、エレーナ(好美)と母(令子)が火が消えてしまったペチカの前で震えているところに、薪を積んだソリを引くアーニャが帰宅する。エレーナと母があれこれ文句を言いながらも薪をペチカに入れて火をつけると3人はひとごこちする。そこへ、お城の広報兵の声が響き、スミレの花を摘んできた者には、そのかご一杯の金貨を授けるという。エレーナと母は顔を見合わせ、アーニャに、カゴを持たせて、スミレの花を摘んでこいと言う。
 
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「無理です。スミレの花は春まで咲きません」と困惑するアーニャ役のカオリ。
「だけど摘んでくれば、金貨がどっさりもらえるんだよ。さ、行って摘んでおいで」と母役の令子。
 
アーニャは抵抗できずに暖かい家から追い出されて、雪の降る森の中へ歩き出す。幕が下りてその幕の前を上手から登場し、半ばよろけながら歩くカオリ。やがて倒れてしまうが、カラスとリスが下手から出て来て「寝ちゃダメだよ」
と言って、松ぼっくりを投げて起こす。目が覚めて立ち上がったカオリは「あれ?向こうの方に焚火があるような気がする」と言って下手へ歩いて行く。
 
幕が開くと、真っ白な背景の前に焚火があり、12人の月の精たちが集まっていた。そこに上手からカオリが登場し「すみません、あまりにも寒くて。しばらく、ここで休ませてもらえませんか?」と尋ねる。快くその願いを受け入れる12月の精(笹畑君)。そして月の精たちが、なぜ大晦日のこの吹雪の晩に森に来たのか尋ね、アーニャ(カオリ)が、母と姉に言われてスミレの花を摘みに来たこと、摘まないと家に帰れないことを話す。
 
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同情した4月の精(木村君)が、今の時間を担当している1月の精(坪田君)に少しだけ自分に時間を譲って欲しいというが、4月に譲るには2月と3月の許可も必要だと言われ、4月は1月・2月・3月に許しを乞うて、4月の気候を呼び出す言葉を唱えた。
 
ずっと流れていた吹雪の効果音が消えて、ビバルディの「四季・春」のメロディーが流れる。プロジェクタで映している背景も真っ白な雪景色から春のものに切り替えられる。
 
「あ、ここにスミレの花が!」とカオリは嬉しそうに言って花を摘み、かごに入れた。月の精たちに御礼を言って帰ろうとするが、4月の精はアーニャに指輪を渡して、この指輪を持っていれば、また会えるよと言い、自分たちを呼び出す歌も教えた。
 
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暗転。アーニャはスミレの花をかご一杯に摘んで帰宅するが、疲れたのでそのまま倒れるように眠ってしまう。その間にエレーナと母はアーニャが摘んできたスミレのかごを持ちお城に行こうとするが、その時、アーニャが指輪をしているのに気付き、値打ち物の指輪のようだといってエレーナがアーニャの指から外して、自分の服のポケットに入れた。
 
暗転。お城ではもみの木に飾りが付けられ、マロース爺さん(サンタクロース)の扮装をした人がみんなにフレゼントを配ったりして、新年会が行われていた。そこにエレーナと母がスミレの花を持ってきて女王(私)は喜ぶが、どこで摘んで来たのか?という問いにふたりは答えに窮す。そして女王は、私をそこに連れて行けと言い出す。
 
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「連れていくのがいいか?それとも死刑になるのが好きか?」
という私の問いに、令子と好美は「分かりました。ご案内します」と答える。
 
暗転。アーニャの家。大臣や家庭教師など、お付きの者たちを引き連れて、一行がここに来る。アーニャはまだ寝ていたが起こされる。指輪が無くなっているのに気付き「お姉ちゃんが取ったの?返して。あれがないと、あそこに行けない」
と言うが、エレーナは指輪なんか知らないという。
 
それでもその場所に連れて行けという姉たちや女王たちのことばに、渋々歩きはじめるアーニャ。幕が下りてその前での演技。一行は歩いて行くが、指輪がないとどうにもならない。やがて吹雪が来て、お付きの者たちがあるいは離れ離れになり、あるいは逃げ出していく。
 
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「なぜこんな吹雪なのじゃ?スミレの咲く園はまだか?」と私。
「姉が指輪を隠してしまったんです。あれがないと辿り着けません」とカオリ。「お前が隠したのか?指輪を返してやれ」と私。
「そんなの知りません」と好美がしらばっくれていたが、やがて切れて「こんな指輪!」と言って、ポケットから出した指輪を投げ捨ててしまう。
 
その時、カオリが4月の精から習った歌を歌った。
 
幕が上がる。背景は春の情景で、春を告げる調べ(アルルの女のメヌエット)が響く。12人の月の精たちがひとりずつ登場して杖をかかげると、季節が順にやってきた。それぞれの月を象徴する音楽が流れていく。プロジェクタで映す背景も、その季節のものに切り替わっていく。夏が来て秋になり、やがてまた冬がやってきた。ふたたび凍える一行。
 
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7月の精(環)が「お前たちは何をしにここに来たのか?」と問う。
「申し訳ありません。森の中で道に迷ってしまったのです」と家庭教師。「それは難儀だね。まあ、新年だし、願いなら聞いてやるよ」と7月の精。
 
女王(私)は「私たちをお城まで案内しなさい。褒美に金貨をたくさんあげる」
と言うが、7月の精は「私たちはたくさん持っている。金貨などいらない」
と答えた。
 
家庭教師(みちる)が「女王様、褒美をあげるとか命令するとかではなく、ちゃんとお願いをしてください」と言った。
「お願い? 私はそんなことしたことがない。いつも命令していた」
「でも、ここはお願いをする必要があります」
 
私は「私たちを助けて。このままだとみんな凍え死んでしまう。この者たちは私の大事な者たちなのだ」と言ってから少し間を空けて「お願いします」と言う。「よいだろう。お前の願いは聞き届ける」と環。
 
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「他の者たちも何か願いがあるか?」と10月の精(美奈代)が問うた。
 
「春には春が来て、冬には冬が来て欲しいです」とみちる。
「うん。そうなるであろう」
「私は、暖かい所に行けたら充分です」と老兵士(高岡君)。
「うん。すぐに暖かい所に行けるだろう」
「私は犬の毛皮のコートでも着たい」とエレーナと母。
「そうか。犬の毛皮が着たいか?」と美奈代が言うと、ふたりは「あれ?」と言いながらしゃがみこみ、四つん這いになって女王のソリの前に座った。
 
「あら?このふたり犬になっちゃった」と家庭教師。
「ちょうどいい。こいつらにソリを曳かせましょう」と老兵士は言うと、ソリに女王と家庭教師を乗せ、2匹の犬にソリを曳かせて、上手に去って行った。
 
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「お母ちゃんとお姉ちゃんが犬になっちゃった・・・・」
「春になったら元に戻るから大丈夫だよ」と4月の精が言う。
「あのふたりも少し反省したほうがいいからね。あるいは放置していてもいいけど。あのふたりを元に戻してもいいと思うなら、あとでお城に行って、あの2人の犬を返してもらって、君のうちで飼ってあげるといい」
「取りに行きます」とアーニャが言うと4月の精は満足そうに頷く。
 
「そうだ!私、指輪を無くしてしまったんです。ごめんなさい」とアーニャ。「指輪というのはこれかい?」と4月の精は、さきほど姉が投げ捨てたはずの指輪を見せた。
「ああ!」
「指輪はちゃんと僕が受け取ったよ。それに僕たちを呼び出す歌を歌ってくれたからね。そうだ、僕たちから君にもプレゼントをあげる」
 
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12人の精がアーニャ(カオリ)を取り囲み、ぐるぐる回る。輪が解けると素敵なドレスを着て、銀色のティアラを付けたアーニャがいた。4月の精が寄ってきて指輪を再度渡した。
 
「ありがとうございます」と言うとアーニャは月の精たちの歌を歌う。12人の月の精たちもそれにあわせて一緒に歌って、幕が下りる。
 

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劇を見ていた母は例によって他のお母さんたちの会話を他人事のように聞いていたという。さすがに3年目になると、かなり開き直りの気持ちが出来てきたとも言っていた。
 
「主役のカオリちゃん、やっぱり可愛いわね!」
「ほんと美人よね、あの子。ミスコンとかに出したい感じ」
「女王様役の子も可愛いかったね」
「ああ、あの子、はるねちゃんって言うんだって」
「へー。一昨年は白雪姫、去年はモルジアーナをしていた子よね」
「そうそう。あの子も凄い美人ね」
「でもどこんちの子だったっけ?」
「さぁ・・・」
 
などという会話が飛んでいたらしい。
 

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「ねえ、晴音(はると)、あんた本当に女の子の服が似合うんだね」
と家に帰ってから母は私に言った。その日は父はまだ仕事から帰ってきておらず、ふたりの兄は模試を受けに行っていて、私と母のふたりだけで、私たちは一緒に夕飯の支度をしていた。カレーを作るのに、母がタマネギを炒めていて、私はジャガイモの皮を剥いていた。
 
「うん。私、女の子の服って、けっこう好きかも」
「お前さ、父ちゃんや天尚がいる所では『僕』って言うけど、私や風史しかいない所では『私』って言ってない?」
「うん。友だちと話す時もだいたい『私』って言うよ」
 
「お前、男の子の友だちより女の子の友だちの方が多いよね。うちに連れてくるのって女の子の友だちばかりだし」
「そうだね。令子やカオリとは特に仲がいいから、お互いの家によく遊びに行くし」
 
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「ひょっとして女の子になりたいとかないよね?」
「けっこうなりたいかも。ほんとは中学にはセーラー服で通いたい気分」
「それは父ちゃんが腰抜かすよ」
 
「ねえ、お母ちゃん、私料理いろいろ覚えたいんだ。教えてよ」
「そうだね。お前よく台所の手伝いしてくれてるしね。じゃ、お前が早く帰ってきた日は晩御飯作るのしてもらおうかね」
「うん」
 
それで私はこの頃から晩御飯を作るのをよくやるようになり、たくさん料理も覚えたし、魚をさばいたり、漬け物を漬けたり、昆布巻きを作ったり、焼き豚や腸詰めのソーセージを作ったり、小麦粉からピザの生地を作ったり、ロールパンやメロンパンを焼いたり、そばを打ったり、などというのも中学2年生頃までには、かなりできるようになっていった。
 
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また、それまで時々令子やカオリの家でだけしていたお菓子作りも、ふたりを自分の家に呼んでこちらでもするようになった。
 

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