広告:まりあ†ほりっく 第3巻 [DVD]
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■桜色の日々・小6編(3)

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令子と一緒にバスに乗って会場に向かう。バスには既に知っている子が何人か乗っていたので、そばに行っておしゃべりをしていた。そのあとバスにはどんどん女の子の友だちがたくさん乗ってきて、会場に着くころは、かなりの人数になっていた。
 
みんなでおしゃべりしながら、更衣場所に指定されている卓球場に入った。今日の会場では女子は隣接する卓球場で、男子は武道場で着換えることになっていた。
 
「でも、今日はハルも素直にこちらに来たね」と好美。
「うーん。さすがに少し慣れたかな」と私は言う。
「もう、男子とは一緒に着換えられないだろうね」とカオリ。
 
「そうかも知れない・・・」などと言って、私が着ていた服を脱ぐと
「おぉ、女の子下着を着けてるんだ!」と好美が嬉しそうに言った。
 
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「こないだ、一緒に買いに行ったんだよ」と言うカオリも、その時に一緒に買った下着をつけている。
「へー。とうとう、ハルも下着は女の子になったのね」
「いや、今日だけ特別」と私は照れるように言った。
 
「胸が無いのはまあいいとしても、下も無いみたいに見えるけど」
「有るように見えるのに、ここに居たら、痴漢でつかまるよ」
「でも、こないだのサッカー大会の時は男子下着なのに、女子と一緒に着換えたじゃん」
「あの時はね・・・・でも、こういう状況では今度から多分ちゃんと女子下着をつけておくよ」
「うん。それがいい、それがいい」と好美は笑顔で言った。
 

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開会式が始まる。
 
他の学校の鼓笛隊が先頭を歩き、私たちの学校のバトン組がそれに続いて、鼓笛隊の音楽にあわせてバトンを回したり振ったりしながら行進した。バトン組以外は控えていて、選手たちが入場した後、入ってくる予定になっている。選手たちの入場が続いた。サッカー大会は選手が男女いたが、野球の選手は男子だけなので、少し雰囲気が違っていた。何か硬い感じの空気が流れている。
 
選手が皆入場すると、開会式の式次が始まる。私たちはいちばん端で、鼓笛隊の人たちと一緒に待機していた。サッカー大会の時は、何となく開会式もアバウトな雰囲気で短かったのに、野球大会はピリリとした雰囲気で時間もかかる。結局1時間くらい私たちはそこで待機していた。
 
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やがて、鼓笛隊と選手団が退場し、私たちのパフォーマンスの時間となる。
 
バトン組以外の生徒が走って入場してくる。音楽が流れ、私たちはこの1ヶ月間練習したアクションをした。ふたつの大きな輪の形に整列して、音楽に合わせてバトンやポンポンを使って踊る。男子たちの中の数人が輪の中で走ったり、トンボ返りしたりしていた。
 
やがて音楽がクライマックスになると、女子の中でスタンツに参加するメンバーが輪の中から走り出る。最初3〜4人の単位で1.5段や2段のスタンツを作った。その間も残った輪の中のメンバーはずっとダンスしている。
 
そして最後のクライマックス。スタンツをしていた子たちが全体で2つの集団になった。私とカオリが180度開脚して、左右の子の肩の所に足を置いた状態になり、その私たちを支えている子たちが、他の子たちに各々支えられて持ち上げられる。
 
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ハイ・スプリットの大技の完成だ。観客席から思わずどよめきが漏れる。
 
私とカオリはそのままジャンプして降りて、下で待機していた子たちに受け止められた。そしてそのままスタンツを崩して元々居た輪の中に戻ると、全員駆け足で退場した。大きな拍手が鳴っているのを背中に聞いた。
 

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「成功したね!」と言って私たちは更衣室に戻ると、みんなで手を取り合って喜んだ。あの大技は、さすがに成功率が悪くて、昨日の段階でも2〜3回に1度しか成功しない感じであった。本番でやるかどうか、指導してくれていた1組の桜下先生もかなり迷ったようであったが、失敗してもいいからやってみようということでやったのである。
 
私の方とカオリの方と、両方が同時に成功したのは、初めてだったので、本当にみんな喜んでいた。思わずハグしている子たちもいる。私もたくさんハグした。
 
一緒に更衣室まで来た桜下先生も
「両方成功したのは凄いね。またやりたいね」
などと言っていたが、カオリは
「もう2度と成功しない気がする」などと言う。
「私もそう思う!」と私も言った。
 
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そんなことを言いながら着換えていたのだが、先生が私の着替え途中を見て
「あれ?ハルちゃん、今日は女の子下着なんだね」
などと言う。
「ハルは女の子だもん。下着も女の子ですよ」などとカオリが言った。「ああ、そうだよね!」と桜下先生も笑って言った。
 
「でも、ハルちゃん、先月鼓笛隊の衣装を着てた時も可愛いって思ったけど、今日のチアの衣装付けた姿は、物凄く可愛かったね」と先生。
「でしょ?私もちょっと嫉妬しちゃう」などとカオリ。
「トップ(スタンツで一番上に乗る役)になる子は顔で選んだと思われたろうな」
とみちる。
「うんうん。カオリとハルはうちの学年の2大美人だもんね」と2組の学級委員の稀代美も言った。
 
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私の性別のことに担任の森平先生が気付いたのは、1学期も終わろうとしていた7月の初旬であった。何でも通知表の準備をしていて、だいたいの成績を付けて教頭先生と話していた時に「何で吉岡君は女子の方に入れられてるの?」と言われ「へ?」となったらしい。
 
「えー?でもあの子、鼓笛やチアで普通にスカート穿いてましたし・・・」
「ああ、あの子、そういう服を着るのが嫌いではないみたいだね」と教頭先生。
 
それでも信じられなかったようで、先生はその日のクラス会の時間、教室に入ってくると
 
「あの・・・・もし私勘違いしてたら、ごめんなさい。吉岡さんって男の子なんだっけ?」とみんなに聞いた。
 
「戸籍上の性別は男みたいですが、実態は半分女の子みたいなものです」と学級委員の木村君が言う。
「そうだったの?御免なさい!名簿、男子の方に移しておくね」
 
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「先生、本人は女子の方に入れられても、全然問題無いみたいですし、むしろ女子の方に入れられていたいみたいですから、良かったらそのままにしておいてください」と、もうひとりの学級委員である、みちるが言う。
 
「えっと、そうなの?」と先生に訊かれたので、私は
「はい。それでいいです。女子のほうに入れられてる方が好きですから」
と答える。
「そう?じゃ、このままにしておこうかしらね・・・」と先生は言った。
 
そういう訳で、1学期の通知表の表紙で、私の名前の横にある性別欄は、プリンタで「女」と印刷されたのが、手修正で「男」と書き直されていた。それを見て母は「あら、ここの性別、先生ったら、間違えたのね?」と言った。
 
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「よくあるミスだよ」と私は答えたが、そばで風史兄がニヤニヤと笑っていた。
 

2学期が始まってすぐ、6年生は修学旅行があった。行き先は1泊2日で広島方面であった。私の班分けに関しては、先生が学級委員の2人と相談した結果、女子の班に入れた方がいいということになったらしく、私はカオリ・令子・みちる・好美と同じ班に入れられた。この5人で同じ部屋に泊まる。令子は「ハルの女の子下着持ってくるね」と言い、私も「うん」と頷いた。
 
朝、バスに乗って国道54号を南下し、三次でお昼を食べる。そのあと高速に乗って、広島まで行き、その日は広島城と原爆ドームを見て、宿に入った。明日は宮島に渡る予定である。
 
私は当時、男の子のクラスメイトでは、木村君や山崎君など仲の良い子たちとはもちろん、何かときつい事を言う坪田君などとも、ふつうに会話はできていたが、やはり令子やカオリなど女子の友人たちとの方が気楽におしゃべりできたので、バスの席も令子と隣同士にしてもらえて、ほんとにこの旅行を楽しむことができた。
 
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この旅行の間、トイレに関してはみちるから「基本的に女子扱いにしてるし、女子トイレ使いなよ」と言われた。ふだんの学校生活では、みんな私の性別のことを知っているから、私が男子トイレを使っていても何も言わないが、知らない人がたくさんいる所では、私の男子トイレ使用は無用の混乱を招く、と言われた。
 
「だって、ハルって、ふつうにそういう男の子の服を着ていても、女の子に見えちゃうからさ。観光地とかで、女の子が男子トイレに並んでいるの見たりしたら変に思われるよ」とみちるは言っていた。
 
「普段でも女子トイレ使っていいのにね」とカオリなども言う。
 
実際、この旅行中の休憩時間には、私は女子の友人たちに「さ、さ、トイレ行くよ」
と言われて腕を取られて女子トイレに一緒に行った。私も女子トイレを使うこと自体は何の抵抗も無いので、連れて行かれるのをいいことに、おしゃべりしながら女子トイレの列に並んでいた。
 
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宿でそれぞれの部屋に入って少しくつろぐ。
 
「そういえば、そろそろ学芸会の出し物決めなきゃいけないよ」
と学級委員をしている、みちるが言った。
「また、何か劇をやるの?」
「うん。その線だと思う。何がいいかなあ?」
 
4年生の時は、白雪姫・シンデレラ・裸の王様・浦島太郎で、私たちのクラスは白雪姫をし、私は白雪姫の母親役のつもりが当日、白雪姫役のカオリが風邪で休んだため、急遽代役で白雪姫をした。
 
5年生の時は、アリババと10人の盗賊・アラジンと魔法のランプ・セロ弾きのゴーシュ、青い鳥、で私たちのクラスはアリババと10人の盗賊をし、私は最初出る予定は無かったのだが、直前になってモルジアナを演じることになって、またまた母は「穴があったら入りたい気分」で私の演技を見ることになった。
 
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「今年はどんなのが演目の候補になってるの?」
「こないだ各クラスの学級委員で集まって話したのではね、アルプスの少女ハイジ、十五少年漂流記、小公女、秘密の花園、オズの魔法使い、不思議の国のアリス、杜子春、ライオンと魔女、ピーターパン、。。。。とかいったあたり」と、みちる。
 
「長い話ばかりだ」とカオリ。
「うん。それは適当に短くまとめる」
「小公女なんて、登場人物が女の子ばっかりじゃん」と好美
「それは男子を女装させればいいよ」
「なるほど」
「スカート穿かせてあげるなんて言ったら、やりたがる男の子たくさんいるよ」
などとみちるが言うので
「そうか?」と令子と突っ込む。
 
「そんなの私だけじゃないの?」などと私が言ったら
「ハルは女の子だから当然スカート穿いてもらう」と言われた。
「ラビニア役とか希望者がいないと思うから、してもらうと助かるなあ」
「うん、いいよ。でも、カオリ、当日休まないでよね」と私は言った。
 
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やがて夕食の時間になり、みんなで大広間に行った。ちょうど給食当番になっている子たちで部屋の端の方に置いてあるご飯やおかずを持ってきて、みんなに配ることになる。私も当番だったので、御飯の入っている容器を持ってきて盛り始めたのだが。。。。同じ当番の山崎君に肩をトントンされる。
 
「どうしたの?」
「なんかさ、あのあたりで『男に盛られるより女に盛られたい』って言うんで、僕は女子の方に盛って回るから、吉岡、男子の方に盛ってやってよ」
「えー?私も男なのに」
「いや、充分可愛い女の子だよ。じゃ、よろしく」
 
ということで、私は男子の方のテーブルに行った。
 
「吉岡、なんか今日は特に可愛いじゃん」と坪田君。
「そう?普通だと思うけど」
「いや、普段より明らかに可愛い。スカート穿かないの?」と田崎君も言う。
「そんなの持ってないよ−」
などと私は言いながら、男子たちに御飯をついでまわった。
 
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その後で自分の席(カオリたちのそば)に戻り、御飯を食べる。
 
「でも、さっき向こうの方で男子たちにも言われてたけど、今日のハルはなんか凄く女っぽいよね」と好美。
「えー?」
「あ、私もそれ言おうと思った」と、みちる。
 
「多分、女の子下着をつけてるからだよ」と令子。
「へー。あ、そういえばチアやった日も女の子下着つけてたね」
「ふだん、令子に預かってもらってるの」と私は言った。
「ああ、親には内緒なのね?」と美奈代。
「うち、けっこうハードな男家系だからなあ。テレビでニューハーフのタレントさんとかが出てると『化け物だな』とか、お父ちゃん言ってる」
「わあ、カムアウトしづらそう」
 
「でも、それならこんな日には思いっきり女の子して、スカートとかも穿けばいいのに」
「今日はスカート持ってきてないの?」
「スカートなんて、そもそも持ってないよ」
「あれ?そうだっけ」
 
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「確かにハルが自分のスカートを穿いている所は見たことないけど、本当に持ってないかどうかは私も知らない」と令子。
「いや、持ってると思うなあ。私たちにまで隠さなくてもいいじゃん。ね、持ってるんでしょ?」
「持ってないよぉ」
「ほんとかなあ」
「私が少し余分に服を持ってくれば良かったね。こういう機会だし、ハルにはスカート穿かせてあげたかったね」と令子。
「いや。別にいいよ」と私は言うが
「え?でも、ハルはスカート好きだよね?」などと好美からも言われる。
 

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桜色の日々・小6編(3)

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