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■夏の日の想い出・事故は起きるものさ(8)

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マンションに戻ると、もう千里と青葉が来ていた。
 
「見付けましたよ。このハガキです」
と言って青葉が見せてくれたのは、洋服屋さんのDMである。
 
「それが呪いの仕掛けなの〜?」
「この洋服屋さんで冬子さん、洋服を買ったことあります?」
「いや。知らないお店」
 
「たまたまここの洋服屋さんのハガキを入手して、呪いの仕掛けを設定して冬子さんの住所を書き投函したんです。だいたい料金別納と書いてあるのに切手が貼られて消印が押されているの変でしょう?宛名も手書きだし」
 
「ほんとだ!でもさすがにDMまでは警戒しないよ」
「だからこの呪いってプロの仕業なんですよ」
 
「ネズダベさんがそういう呪詛のプロなの?」
「違います。ネズダベさんは呪詛のプロに利用されただけ。精神を乗っ取られたんですよ」
「じゃ彼も犠牲者?」
 
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「恐らくはですね。薬物か何かやってて、邪悪な霊に憑依されたんです」
 
「さっきレコード会社に居て続報が入って来て聞いた。車から違法な薬物が見付かって、軽傷で済んだ3人が逮捕されたらしい」
 
「つまりこの事件の主犯は薬物ですね」
と青葉は言った。
 

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それで千里と青葉は帰るということであったが、私は千里に先ほどレコード会社で聞いた話をする。
 
「千里にも直接連絡あると思うけど、専任のドライバーチームを付けるということだから」
 
「私には必要ないなあ。私、眠りながら運転するの得意だし」
「それは危険すぎる!」
 
青葉が呪詛の道具を処分しますと言って持って出ようとしているのを見たら郵便物は5通もある。
 
「それは?」
「全部呪詛の道具です。まだ効力を発揮していなかったものですが。犯人はバラバラだけど、それぞれ相応の報いを受けてもらいます」
 
「別口もあったの〜〜〜?」
「冬子さんほどの有名人になったら、たくさん逆恨みする人もいますよ。それに警戒しなきゃ」
と青葉。
 
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「定期的にこの部屋、チェックさせた方がいいよね」
と千里も言っている。
 
「ちー姉、やはりそのあたりは本当に分からないみたいね」
「うん。私はそういうのが苦手」
 
「東京方面に居る人で誰か適当な人がいないかなあ・・・・」
と青葉は悩んでいた。
 

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1月24日(土)。「ときめき病院物語」の撮影が始まったと聞いたので、私と政子は撮影の見学に出かけた。アクアの保護者ということなのだろう。支香も現場に来ていた。
 
それで撮影しているのを見ていたら・・・・
 
「ね、アクアちゃん、セーラー服着てる」
と政子が嬉しそう?な声で言う。
 
「あの子、結局、女の子役になったんですか?」
と支香に尋ねたら
 
「いや、それが院長の息子役と娘役を1人2役でやることになっちゃって」
と言って笑っている。
 
「へー!!」
「監督が、アクアちゃん、女の子の格好してあんなに可愛くなるなら、その姿を見せないのはもったいないとか言って。事務所は渋ったんですけどね」
 
「まあ渋るでしょうね」
と言って私は田所さんが嫌そうな顔をしている様の想像がついた。
 
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1シーン取り終えた様子で、セーラー服姿のアクアがこちらに来たものの私たちの顔を見て
 
「きゃー見ないで」
などと言っている。
 
「どうせこれ全国に放映されるんだけど」
と私。
 
「アクアちゃん、かぁいいよ。もう女の子になろうよ。おちんちんなんて要らないじゃん」
と政子。
 
「要ります!」
とアクア。
 
「無くても構わないよね?」
と政子が私に訊くので
「ふつうの男の子は無くなると困るんじゃない?」
と答えておく。
 
「私、冬休みが終わった後、学校で随分からかわれたんですよー」
などと本人は言っている。
 
それでアクアが着換えて来て、今度は学生服姿で別のシーンを撮るようである。彼女、もとい彼のそばにセーラー服の少女が居る。
 
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「あの子はアクアちゃんの妹役か何か?」
と政子が訊く。
 
「アクアが1人2役なんでボディダブルが必要なんですよ。だから顔は映さないんだけどね」
「なるほどー」
「でも可愛い子ですね。顔を映してあげたくなるくらい。名前分かります?」
「スーツアクターなどと同じで、俳優ではなくスタッフ扱いなんですよ。それで芸名は付いてないけど、アマギ・セイコちゃんって子だそうです」
 
「セイコちゃんか。可愛い名前ですね」
「本人も可愛い女の子だし。そのまま芸名でもいい感じ」
 
などと私たちが言っていたら
 
「違う、違う。あの子は男の子」
と支香が言う。
 
「え〜〜〜!?」
「セイコなのに男の子なんですか!?」
「だってセーラー服着てるじゃないですか!?」
 
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政子があまりに大きな声を出したので監督から睨まれた。
 
「アクアがセーラー服を着ている時はセイコちゃんが学生服を着てるよ。ふたりは体型が凄く似てるから同じ服が流用できる。もっともセーラー服・学生服ともに、各々の専用のを用意しているけどね」
 
「すみません。どういう字ですか?」
と尋ねると、支香はメモ帳に《天月西湖》と書いた。
 
「なんか格好いい」
「苗字もかっこいい」
 
「彼を妊娠したのが分かっ時、逆算すると、ご両親が中国の西湖に旅行に行っていた時受精した計算になったんだって。それで生まれてくる子が男でも女でも西湖という名前にすることにしたらしいよ」
 
「格好良いけど、音で聞いたら可愛い女の子を想像します」
「小さい頃からかなりからかわれていたらしい。まあ、それはうちの龍虎もそうだけどね」
 
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「でも西湖ちゃん、セーラー服を着ているとふつうに女の子に見える」
「うちの龍虎は学生服を着ても女の子に見えるよね」
「ですです!」
「でも西湖ちゃんはもう声変わりが来てるんだよ。年は小学6年生でうちの龍虎より1つ下なんだけどね」
「それは残念」
と政子は言ってから
「支香さん、龍虎ちゃん、眠っている間に病院に運び込んで去勢手術しちゃいましょうよ」
などと言っている。
 
支香は笑って、
「それ例の川南ちゃんから、かなり言われているみたい」
 
「かな?」
と政子が訊くので、龍虎の古い知り合いのお姉さんだと説明しておく。千里との関わりまで説明するとややこしくなる。
 
「あ、そうだ。例の女子制服は出来たんですか?」
と私は訊いた。
 
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「うんうん。試着した写真もらった」
「見せてください」
と政子が言うので、支香が自分のiPadを開いて見せている。
 
「可愛い〜!」
 
「アクア、女子として学校に行くことになったの?」
と事情を知らない政子が訊く。
 
「いや、その川南のお友達の夏恋という子が、アクアに女子制服をプレゼントしたんだよ。本人はそんなの着て学校に行ったらからかわれる、と言ってたけどね」
 
「いや、もうそれは今更だと思う」
と政子が言うので、私も支香も頷いた。
 

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私たちがドラマの撮影現場を見に行った翌日。12月に買ったエルグランドとリーフが納車されてきた。
 
「わーい!早速試乗、試乗」
というので、リーフの運転席に政子が乗り、私が助手席に乗って、深夜のドライブに出かけた。東京都内は昼間は凄まじく車が多いので、夜間の方が練習によいということで勧めたのである。
 
「ふーん。結構慣れた感じの運転するじゃん」
と私は言う。
 
「やはりあの事故が悔しくて悔しくて、なんか自分に対して怒りがこみあげてきたからさ。最近ずっと脳内ドライブしてた。私、これから半年で6000km走るから」
「へー。1ヶ月1000kmか」
「毎日33km走ればいけるよね?」
「うん。6000kmって凄そうだけど、そう考えると充分達成可能だよね」
「頑張るぞー」
 
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と言って政子はしっかり車を運転していた。
 
「そうそう。私が付き合えない時は、例の番号に電話して。誰かドライバーさんが来てくれるから。私たちのドライバーは第1優先は佐良しのぶさんって人だから」
「しのぶちゃんかー」
「35-36歳くらいかな。国際B級ライセンス持ってる、凄い上手な人」
「へー!」
「私の代わりにその人に助手席に乗ってもらってアドバイス受けるといい」
「よし。たくさん教えてもらおう」
「あ、そうそう。例の事故のことはその人も含めて誰にも言わないようにね。マーサが事故を起こしたなんて聞いたら、氷川さんが飛んできて『免許証、お預かりします』と言われるよ」
「それは困る。よし誰にも言わない」
 
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エルグランドが来たので、ここまで4年半乗ったカローラフィールダーは売却することにし、友人(というよりほぼ親戚)の佐野君が高く買い取ってくれるところを見付けたので、そこに持っていくことにした。
 
佐野君が「お前ら最近忙しいみたいだし、疲れてるだろ?俺が運転してくよ」と言うので、遠慮無くお願いする。フィールダーに取り付けていたETCを佐野君と麻央が協力して取り外し、エルグランドに取り付けた。ついでにハンドルの所にぶら下げていた《二見浦の蛙》はリーフの方に移す。
 
それでフィールダーを佐野君が運転し、私と政子は佐野君の恋人・麻央が運転するインテグラの後部座席に並んで乗り、中古車屋さんに向かった。
 
郊外に出て結構走る。都内とは思えないような自然豊かな!景観の所を走っていた時のことであった。
 
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「あっ!」
と私たちが乗る車を運転していた麻央が大きな声を挙げた。
 
「佐野君!」
私たちも声を挙げる。麻央が車を脇に寄せて停める。
 
佐野君の運転するフィールダーが突然何かを避けるかのように左に急ハンドルを取り、道路脇の斜面に滑落したのである。
 
崖の下3mほどの所でフィールダーが横転して炎が上がっている。私は青くなった。
 
「トシーー!」
と麻央が必死の声で叫ぶ。麻央が崖を降りようとしたのでそれを留めて、
 
「マーサ、麻央をつかまえておいて」
と言って、私は崖を慎重に降りようとした。
 
が、その私の目の前に佐野君の顔があった。
 
「へ?」
「あ」
 
佐野君は崖を50cmも降りない所に居た。一緒に上に上がる。
 
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「トシ!」と叫んで麻央が佐野君に抱きついて泣いている。
 
「佐野君、怪我は?」
 
彼はしばらく自分の身体のあちこちを見ていた。
「大丈夫みたい」
 
「どうなってんの?」
と政子が訊く。
 
「分からない。気付いたら、そこに居た」
と佐野君は言う。
 
「トシ、シートベルトしてた?」
「してたよ」
「それでなんで車外に投げ出された訳?」
「分からん。突然目の前に人が飛び出してきた気がして急ハンドル切った。それより唐本すまん。車を」
 
「いや、佐野君が無事なら問題無い。どうせ廃車にしても良かったから」
 
そう言いながら、私は確信していた。この車は本当はこないだの夜に燃えてしまったんだと。
 

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車はすぐに鎮火したのでJAFを呼んで引き上げてもらった。売却予定だったからあまり燃料は積んでいなかった。その割には燃え方が激しいのでJAFの人は首をひねっていた。
 
「ここ私有地だろうか?」
「いや。多分国有地ですよ。黙ってたらバレませんよ」
とJAFの指定工場の人は言っている。
 
結局バッくれるのか!
 
車の廃車の処理はその人の工場にそのままお願いすることにした。
 
そちらの工場まで一緒に行き、手続きの書類を書いた上で、麻央がインテグラを運転してとりあえず八王子市内の料亭に寄ってもらった。
 
「なんかすげー。こんなところ初めて」
などと佐野君が言い、麻央が微笑んでいる。
 
この料亭の座敷で遅めの昼食を食べながら、私は、佐野君がこの事故で私に負い目を持ったりしないよう、先日の事故の話をした。
 
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「凄く不思議な体験だったんだよ。目の前で車が燃えていたと思った。ところが、ふと気づくと車は何事もなかったかのように、単に道路外に逸脱しただけだったんだ。積んでいた6000万円のヴァイオリンも無事だった」
 
「じゃさっきの事故は・・・」
「たぶんあの時の事故の辻褄合わせ」
「不思議なこともあるもんだなあ」
「でもそれならあの車の燃え方が納得行くよ。神戸まで走るつもりなら燃料たくさん入れてたんでしょ?」
と麻央が言う。
 
「うん。近くのGSで満タンにしてから出発したから」
「今日は中古車屋さんまで行く分のガソリンしか入れてなかったもんな」
 
「じゃ、やっぱり私が燃やしちゃったのね」
と政子。
「気にすることないよ。それで中田、たくさん練習する気になったんだから」
と佐野君。
 
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「あの時はたぶん呪いが成就する前に政子が事故を起こしちゃったから、呪いはターゲットを見失って術者に戻って行ったんだよ。だからフィールダーが私たちの身代わりになってくれたようなもんなんだよ。結局マーサのナイスプレイ。フィールダーちゃんには悪かったけど」
と私は言う。
 
「それなら納得が行く。だったら私たちを守って燃えてしまったフィールダーちゃんのためにも頑張って運転も歌も練習する」
と政子。
 
「うん。事故ってさ、どうしても起きちゃうけど、それをバネに努力すれば次は簡単には事故を起こさないように自分が成長できるんだよ」
 
と佐野君が言う。
 
「じゃ、利春はこの後せめて半年は事故を起こさないようにしない?」
と麻央が言うと、佐野君は頭を掻いていた。
 
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■夏の日の想い出・事故は起きるものさ(8)

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