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■夏の日の想い出・走り回る女子中生(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2013-09-06

 
これは2004年の10月から12月頃に掛けての物語。「風の歌」のすぐ後くらいからの物語である。
 
2004年。中学1年の時の私の生活の中心は学校の陸上部であった。私は陸上部の練習にはだいたい9割程度出ていたし、この練習をこなすことで私はそれまで奈緒・アスカ・静花など多数の友人から「課題」だと言われていた、筋力と体力を獲得して行っていた。
 
この時期、私は静花(松原珠妃)のバックバンドからは外れており、ライブにも音源製作にも参加していない。昨年の9月以降、バックバンドには正ヴァイオリニストが定まっていたので、出る必要も無かったし、私を高く評価してくれていた兼岩さんが社長を退任してしまったことから縁が薄れたというのもあった。
 
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なお、七星さんはこの年の4月に松原珠妃のバックバンドに2代目正サックス奏者として参加しており、それから2008年3月までの4年間、そこで活動をしている。つまり七星さんが参加したのは私が離れた後なので、私と七星さんはこの時期に接触はしていない。
 
一方で私はドリームボーイズのバックダンサーの方はずっと続けており、いつの間にかリーダーの葛西さんに次ぐ古株になってしまって、勝手にサブリーダーということにされていた。月数回しか出てないのに!ドリームボーイズのダンスチームの振付は振付師の人と葛西さん、ベースの大守さんの話し合いで決められるが私もその打合せにしばしば出て行っていた。
 
葛西さんは私のダンススキルアップのため、色々基本的なトレーニングの課題を課した。それで私は踊り自体のスキルアップとともに、やはりこちらでも、筋力を鍛えられていった。
 
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民謡の方では5月に風帆伯母から「若山富雀娘(ふゆすずめ)」の名前をもらって、主として伴奏やお囃子の仕事をこなしていた。私自身も民謡の大会に出ないか?と随分言われたのだが、大会に出るほどの練習をする時間が取れない気がしていたので遠慮していた。一応、名古屋の風帆伯母の所には月1〜2回新幹線で通ってお稽古を付けてもらっていたが、この時期、唄と三味線に加えて胡弓も見てもらっていた。
 
私は2004年7月に○○プロの丸花社長にたまたま歌っている所を見られ、もし歌手になる気があったら声を掛けてと言われた。そしてその3ヶ月後、再度丸花さんに偶然遭遇し、授業料安くするから、うちのスクールでボイトレとかのレッスン受けてみない?と言われた。レッスンを受けたからといって○○プロからデビューしなければならないこともないし、ということだったので私はちょっと授業に出てみることにした。芸能スクールに行くのは、小学5年生の時に★★レコード系列の音楽学校で「ヴァイオリン初心者コース」を4ヶ月ほど受講して以来、1年半ぶりであった。
 
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初日、私は学校の制服(当然セーラー服!)を着て、赤坂の○○プロまで出かけて行った。受付で「とても優秀な子なので、この子をよろしく」と自筆で書かれた丸花さんの名刺を見せて
 
「こちらでエントリーしてくれと言われたのですが」
と言った。後から考えると、私のこの言い方が悪かった。
 
受付のとっても美人なお姉さん(こんな美人を受付に置いている所がさすが大手プロだなと思った)は
「それでは隣の赤い煉瓦のビルの2階にある203スタジオに行ってください」
と言い、私の制服の胸に桜の花のバッヂを付けてくれた。
 
それで言われた通り203スタジオに行くと、たくさん椅子が並んでいて30人くらいの女性が並んでいた。雰囲気的に高校生から女子大生くらいの年齢層という感じだ。スクールに入学する人たちだろうか? などと思いながら、私もそこに座る。
 
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私の後からも10人くらい入ってきて、結構な人数になった。さすが大きな芸能スクールは違うなと思う。愛知で静花が通っていた地元の芸能スクールなんて全校生徒が50人くらいだった。
 
やがて椅子が並んでいる所の向こう側に置いてあるテーブルの所に30代くらいの男性が3人入ってきて、真ん中の人が
「○○プロ、制作係長の前田と申します。本日の選考会に参加して頂きありがとうございます」
と言った。
 
選考会?? 何それ? と思ったものの、もしかしてこのスクール、入試があるのかしらと思う。そんな話は聞いていなかったのだが、まあ自分の力があれば、芸能スクールの入試くらい楽勝だろうと思い直す(うぬぼれとも言う)。だいたい、入試程度に落ちるようなら、丸花さんとしても歌手デビューを勧めたりしないだろう。ちょっと気合入れてやるか、と考える。
 
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「ここに集まっておられる方は、一次審査を合格した方と、特に推薦のあった方です。結構なレベルの方々が集まっておられるものと思います」
 
などと前田さんは言う。
 
へー。なるほど。私の場合は社長の推薦で一次審査省略ということなのかな?
 
「それではひとりずつ歌を歌ってもらいます。アカペラでもいいですし、伴奏音源を持ってきておられる方はそれを流してもいいですし、そこにあるビアノまたは持参のギターなどでの弾き語りでもよいです」
 
と言われ、ひとりずつ名前を呼ばれて出て行く。
 

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確かに一次審査を通った人というのがよく分かった。みな結構うまい。でも多くの人が30秒くらいで打ち切られて「お疲れ様でした。またの機会に挑戦してください」などと言われている。きびしー!
 
私の前に20人ほど歌ったが、この場に残るよう言われたのは3人だけだった。
 
「唐本冬子さん」と呼ばれて「はい!」と返事をして出て行く。
 
「ピアノをお借りします」
と言い、審査員さんたちが頷くのを確認してからピアノの前に座る。
○○プロのビッグスター保坂早穂の『ブルー・ラグーン』を弾き語りする。8年前にRC大賞を取った作品である。ブルー・ラグーンというのはアイスランドにある美しい温泉であるが、とても透明感のあるこの曲は抜群の歌唱力を持つ保坂の歌で200万枚を売る大ヒットとなった。音域が2オクターブ半あるとんでもない曲であり、これをちゃんと歌える人は少ない。それだけに歌唱力のある人にとっては「魅せる」ことのできる曲だ。
 
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私は審査員さんたちが、驚くような表情でこちらを見ているのに満足しながら歌った。先に歌唱テストを合格した3人がこちらを睨んでいる。ふふふ。こういう視線大好き!
 
結局フルコーラス歌った所で拍手までもらい
「歌唱テスト合格です。こちらで待機してください」
と言われた。
 
結局歌唱テストに合格したのは7人であった。
 

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その後、ひとりずつ審査員の前の椅子に座らされて簡単な面接を受けた。
 
「歌手になりたいと思ったのはいつ頃からですか?」
「小学2年生の頃です」
「目標とする歌手はいますか?」
「保坂早穂さんです」
「どんな歌手になりたいですか?」
「歌そのもので魅せる歌手になりたいです」
 
その他、趣味とかふだん聴いている音楽のジャンル、友達の人数とかまで聞かれた。
 
この面接で2人落とされ、5人になった。落とされた2人はしばしば質問に言いよどんだりしていた。こういう場では、どんな答えでもいいから速やかに答えることが大事だ。テレビなどで司会者に突然マイクを向けられて何も答えられなかったら、タレントとして失格である。
 
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「それでは次に水着審査をします。水着に着替えてきてください」
 
私はびっくりした。
 
「済みません。そういう審査があると知らず、水着を持ってきてません」
と私は正直に言った。
 
審査員さんたちが顔を見合わせて何か話している。
 
「普通は持ってきてないというのは言語道断なのでお帰り頂く所ですが、今日は特別に貸してあげます。サイズは何ですか?」
「ありがとうございます。Sです」
 
「ああ、確かに君、細いもんね」
 
ということで、Sサイズのピンクのビキニ!を貸してもらえた。
 

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更衣室に指定された所に行き、ビキニの水着に着替える。他の4人も着替えているが全員無言だ。何か緊張するなぁ。
 
とにかくもビキニ姿になり、私は審査会場に戻った。審査員さんが1人しかおらず2人は席を外しているようだった。少し待ってくださいと言われる。
 
しかし芸能スクールに入るだけで、水着審査まであるとは! どういう少数精鋭主義なのだろう?
 
ここで待機している時に、初めてひとり18-19歳くらいの子が声を掛けてきた。
「あんた、胸小さいね」
 
「すみませーん。小学4年生並みの胸だと友達から言われています」
「あはは、ほんとに小学生並みだね!」
と彼女も笑っていた。
 
「あ、私、唐本冬子です。三池ムタ子さんでしたっけ?」
「よく覚えてるね!」
「私、人の名前覚えるの得意だから。もしかしてアンネ=ゾフィー・ムターから取られた名前とか?」
「そうなの!よく分かるね」
「どうせなら、アンネちゃんの方が良かったのに」
「私もいつもお父ちゃんにそう文句言ってた! 私の小学生の頃のあだ名とか分かる?」
「うーん・・・・炭坑節とか?」
「凄い!正解!」
「大牟田の三池炭鉱ですもんね」
「そうそう、それそれ」
 
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私たちの会話でかなり場の空気が和らいだ感じもあった。部屋に残っている審査員さんが、何だかメモしていた。私たちの待っている時の雰囲気も多分審査対象なのかな、という気がした。
 
やがて前田さんたちが戻ってきて水着審査が始まる。
 
審査は審査員の前を水着で歩き、決めポーズを取るというものである。特にウォーキングの美しさを確認するのが目的のようである。着衣では誤魔化せても、水着では身体の動きが全て見えてしまう。また、そもそもの体型もチェックされている感じだ。私、胸が無いのは不利かなあ・・・
 
と思ったが、この5人は全員ウォーキングに関しては合格だったようである。
 
「ちょっとダンスしてもらいます。**先生にお手本を踊ってもらいますので、その通りに踊ってください」
 
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最初に先生がひとりでお手本を踊ってくれて、次はそれを見ながらダンスした。水着のまま踊らせているので、そんなに激しい動きではないが、ここで1人23-24歳くらいかな? という感じの人が動きが悪すぎるとのことで落とされた。
 
そういう訳でここまで4人が残った。元の服に戻っていいと言われたので、更衣室に行き、着替えてからスタジオに戻った。
 

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「お疲れ様でした。今日はとても良いオーディションができました。審査結果は追って郵便でお知らせしますが、3日以内に結果が届かない場合は連絡してください。最優秀の1名は今回非常にポイントが高かったので、そのまま早い時期にCDデビューという線で検討します。他の方もこの最終審査まで残った方は、しばらく特別特待生として無料でレッスンを受けて頂いて、状況次第では来年中くらいのデビュー、あるいはグループでのデビューなども考えたいと思います」
 
と前田さんは言った。へ? と思う。
 
「あの・・・すみません。これ、○○ミュージックスクールの入学審査じゃなかったんですか?」
と私は質問した。
 
「は?何それ?」
と前田さん。
 
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「いえ、私は丸花社長から、○○ミュージックスクールの優待生にするからしばらくレッスン受けてみてよと言われて、今日こちらに来たんですが・・・」
 
「○○ミュージックスクールに入学審査なんて無い。希望者は誰でも入学できる。というか、これは○○プロ2005年第1期ニューフェイス・オーディションだったのだけど」
「えーーーー!?」
 
「だいたい音楽学校の入学審査で水着審査なんかやるわけないじゃん」
「いや、○○プロさんは大手だから、付属の学校に入るのも狭き門なのかなと」
 
「でもなんで君ここに来たの?」
「受付でこちらでエントリーするように言われたのですがと言ったらここに来るように言われました」
 
「その言い方が曖昧。スクールにエントリーと言わないと。君が来た時間がちょうどこのオーディションの受付時間だったんで、受付の子がてっきりオーディション参加者だと思ったんだろうな」
 
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「済みません、お騒がせしました」
と言って、私はぺこりと頭を下げた。
 

「ちょっと来てくれる? 他の方、ちょっと待っててください」
と言われて、小部屋に連れ込まれた。
 
「ぶっちゃけた話。君、実は今回のオーディションでダントツ1位だったんだけど」
「えーーー!?」
 
「来年の年末の大きな賞が狙える逸材だと審査員全員の意見が一致した。水着に着替えていた間に、上司にも聴いてもらったんだけど、これは凄いという意見で、ぜひ2月か3月くらいのデビューで検討したいと。水着を特例で貸したのも歌唱のポイントが物凄かったからだよ。だから君さ、スクールに通うとかまどろっこしいことせずに、即デビューする気無い?」
 
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「済みません。私、いづれ歌手になりたいですけど、今はまだ自分の技術をもう少し鍛えたいんです」
 
「確かに、まだ君の歌唱力は未完成という感じだね。でも今の君の歌でもかなり売れると僕は思う。楽曲次第ではミリオン狙える。歌手しながらレベルアップもできるよ」
 
「・・・・私の先輩で1年前に歌手デビューした人がいるんです。保坂早穂さんは目標だけど、遠すぎる目標です。当面、私はその1年前にデビューした先輩に追いつきたいんです。今の自分の歌唱力でデビューしたら彼女から『その程度でプロ歌手を名乗るな』と馬鹿にされます。ですから、大変申し訳ないですが、もう少し鍛えてからのデビューにさせてください」
 
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