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■夏の日の想い出・走り回る女子中生(4)

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「待って、待って。自分で脱ぐから」
 
仕方ないので私は学生服もズボンも脱いでしまった。
 
「あれ? 女の子下着を着けてる!?」
「この子、そういう子なんです」
 
と言いながら倫代もセーラー服とスカートを脱いじゃう。
 
「あんたら、何やってんの?」
と先輩が呆れて言う。
 
「冬、私のセーラー服を着て、弾いてみてよ」
と倫代が言う。
「えーっと・・・」
 
「私と冬の仲だし、私の服、着てもいいよね?」
「あ、うん」
 
それで、倫代のセーラー服の上下を身につけた。
 
学生服を着ている時は何だか自分がその学生服という箱の中に閉じ込められているような感覚があるのだが、セーラー服を着ると、自分が開放される気分になる。何か行けそうな気がした。
 
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「セーラー服着たら、女の子に見えちゃう」
「というかさっき学生服を着ていた時の方が、何か違和感があった」
などと先輩たちが言う。
 
ピアノの前に座る。再度譜面を読む。頭の中に音符が元気に踊る。よし!
 
それでまずは『怪獣のバラード』を弾いた。ダイナミックな音がピアノから放出される。ほんっとに楽しい曲だ。でもこれ演奏能力を要求する曲だ。
 
左右の腕がピアノというフィールドの中で左右に振れる。10本の指が自由に動き回る。これは私が弾いているのではない。こんな曲、初見に近い状態では「自分で弾こう」としたら弾けない。私という存在が、楽譜とピアノを結ぶ仲介者(触媒)になるのだ。
 
弾き終わると、凄い拍手をもらう。
 
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「凄い! さっきと別人!」
 
「インテラパックスも行ってみよう」
と下着姿の倫代。(一応教室には暖房が入っている)
 
譜面を見ながら演奏する。しっかしこれは超絶難曲だ。でも、譜面とピアノをつなぐ仲介者になった私の腕と指は華麗にその曲を弾いていく。グランドピアノの52の白鍵と36の黒鍵の上を、私の10本の指が踊り回る!
 
超絶難曲だけど超絶快感!!
 
終わるとまた拍手をもらうが、2年生の人から訊かれる。
 
「上手いじゃん! でもさっきの演奏は何?」
「そうそう。なんでさっきはあんなにたどたどしい演奏だったの?」
「冬は女の子の服を着ると変身するんです」
「何それ?」
 
「天王はるか、みたいなものですね。男の子の格好している時もそれなりに凄いけど、女の子の格好になるとスーパーヒロインになる」
 
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ポリポリと私は頭を掻いた。
 
「だから、冬にはセーラー服を着せて出演してもらいましょう」
「それで今みたいに弾けるなら全然問題無い」
 
「あ、ごめん。下着姿じゃ寒いよね」
と言って私は倫代のセーラー服を脱ごうとする。
 
「待って。冬、そのセーラー服ずっと貸しておくからさ。練習に毎日それで出てきてよ。ってか今年いっぱいその服で通学しない?」
「えっと・・・・」
 
「私が代わりに冬の学生服着て通学しようかな」
と倫代が言うと。
 
「学生服着てたら下手くそなんだったら、セーラー服着ててもらわないといけないね」
と先輩たちも言う。
「私、洗い替え用の予備を持ってるから、そのセーラー服持ってこようか」
「あ、お願いします」
 
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何だか勝手に話が進んでる!
 
「ボク、今月来月は超絶忙しいんだけど」
「昼休みにも練習してるからさ、その昼休みだけでもいいよ。放課後の練習は冬の演奏を録音しておいて使う」
「うーん・・・・クリスマス会はいつ?」
「12月25日土曜日」
 
「ごめん。その日は、HNSレコード主宰の2005年ニューアイドルフェスタに出る」
「冬、アイドルとしてデビューするの?」
「まさか。来年2月にデビュー予定の、篠田その歌って子の伴奏をするんだよ」
「それ何時?」
 
「何組か出演するイベントだから、時間がずれる可能性あるんだよね。一応17時くらいの予定だけど、18時近くまでずれる可能性はある。ステージは10分くらいなんだけど」
「場所は?」
「新宿」
 
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「じゃ大丈夫だ」
「こちらのクリスマス会は、中学生は夕方になる前に終わるから。うちの出番はプログラムの順番から考えて14時頃」
「場所は市民会館ね」
 
「取りあえず今日はそのセーラー服のまま帰っていいよ」
「え?じゃ倫代は?」
「冬の学生服を着て帰宅する」
「お母さんが仰天するよ」
「コスプレだって言うから大丈夫」
 
「でも冬もセーラー服のまま帰ったら仰天されるかな?」
と小学校の合唱サークルでも一緒だった日奈が訊いたが
 
「ああ、冬がセーラー服で帰宅しても、お母さんは何とも思わないと思う」
と倫代は言った。倫代はもう私の学生服上下を着ちゃってる!
 
「あ、冬が否定しない」
「図星だったみたい」
「実はセーラー服持ってたりして」
 
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「あ、否定しない!」
「冬、自前のセーラー服持ってるなら、それで通学しておいでよ」
「持ってない、持ってない」
 
「いや、さっきの表情の感じでは絶対持ってると思う」
と日奈。
 
「まあいいや。ホントにそれ貸してあげるから」
と倫代。
 
「明日、私が予備の制服持ってくるね」
と先輩。
 
「それで交換すればいいね」
「ということで、冬は年末まで、セーラー服で通学してね」
「えっと・・・」
 

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まあ、仕方ないので、その日はその借りたセーラー服のまま、赤坂に行き、芸能スクールのレッスンを受けたあと、夕方から○○プロ所属のアイドル歌手のバックダンサーをした。
 
この時期のスクール通いでは、授業料を1割にしてもらっている上にバックダンサー、コーラス、ピアノやヴァイオリンの伴奏で報酬をもらうので、私の秘密のお小遣いはどんどん増殖して行っていた!
 

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翌日、私が合唱部の練習でピアノを弾いていたら、吹奏楽部の貴理子が入ってきた。
 
「こちらに冬ちゃん来てない?」
「ああ、そこでピアノ弾いてる」
「あれ? セーラー服だ。とうとうセーラー服で通学するようになったの?」
と貴理子。
「ああ、昨日去勢したから」
と倫代。
 
「だったら好都合だ。冬をちょっと借りられない?」
「うーん。じゃ、30分までならいいよ」
「じゃ、借りまーす。冬ちょっと来て」
 
といって吹奏楽部の練習をしている音楽練習室に連れて行かれ、そちらでクラリネットを吹く。
 
「あれ?誰かと思ったら唐本君?」
「あ、そういえば9月の大会の時もセーラー服着てたね」
「どうしたの?」
「性転換したそうでーす」
「あ、じゃ、セーラー服でいいんだね」
 
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ということで私のセーラー服姿は吹奏楽部員たちに何の問題もなく!受け入れられてしまった。
 

その日はアスカとの練習日だったので、結局そのセーラー服のまま学校からアスカの家に直行した。この時期はだいたい《Rosmarin》はアスカの家に置きっ放しで、伴奏の仕事には《Flora》を使用していた。
 
「あれ、いつも着てるセーラー服と少し違うね」
とアスカから言われる。
 
「いつも着てるのは姉のおさがりでデザインが昔のなんです。デザインが変わっちゃったので。これが今のデザインなんですよ」
「ああ、じゃとうとう自前のセーラー服を買ったんだ?」
「いえ、借り物です」
 
「買えばいいのに。冬って、どう考えても学生服着ている時間よりセーラー服着ている時間の方が長い」
「その学生服を没収されて、年末までセーラー服で通学するよう言われました」
 
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「そりゃ冬は女の子だからね。学生服を着ているほうがおかしい」
「男の子ですよー」
「おちんちんが付いてないんだから、女の子で間違いない」
「付いてますー」
 
「いや、付いてないことは確認済み。もし付いているというのなら私にそれ見せなよ。写真に撮ったりはしないからな」
「人に見せるようなものじゃないから」
「それ、最後に人に見られたのは、いつ?」
 
「うーんと・・・・小学2年生の時にお医者さんに見られたかな」
「ふーん。それでそのお医者さんに切ってもらって、無くなったのね」
「切られてません。切ってあげようかとは言われたけど」
「切ってもらえば良かったのに」
「切って欲しかったんですけど」
 
「切られるの嫌だって言ったの?」
「切ってくださいと言った」
「じゃ、やはり切られたんだ?」
「切ってくれなかったんですー」
「私にまで嘘つかなくてもいいのに」
「うーん・・・」
 
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「だいたい今目の前に何か書類があって性別欄があったら冬はどちらに丸付ける?」
「女に丸付けます」
「つまり冬は女だということだよ」
 

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ところで、私が倫代のセーラー服を借りてそのまま帰宅した日、その姿を見た母は、特に何も言わなかった。姉があとから
 
「あれ? これ私のセーラー服じゃない」
と言っただけである。
「倫代に借りた−」
「ああ、倫代ちゃんね」
 
というだけで会話は終わってしまう! そして翌朝、私が朝ご飯の後でセーラー服を着て出てきても母は特に何も言わず、笑顔で
「いってらっしゃい」
と送り出してくれた。(父は深夜に帰宅したし、朝は先に出かけていた)
 
朝の内に合唱部の先輩から予備の制服を貸してもらい、女子更衣室で!着替えて、倫代の制服は返す。倫代はホントに学生服で登校してきていたが、それでセーラー服に着替えた。
 
「倫代、学生服で帰宅して今朝も出てきて何か言われた?」
「お前何やってんの?とは言われたけど、コスプレということで納得してもらった」
「納得されるのか!」
「冬は何か言われた?」
「何も言われなかった・・・・」
 
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「多分、冬がセーラー服を着ているのが自然過ぎたんだよ」
「うーん・・・」
 

「ところでこの学生服は年末まで私が預かってていいよね?」と倫代。「返してよぉ」と私。
「でも学生服をいつ着るのさ?冬」
「えっと・・・・通学に着る。あと授業中」
「他の子には言ってないけど。冬さ、確かに朝出てくる時は学生服だけど学校から帰る時はたいていセーラー服じゃん」
「う・・・見られてたのか」
「普通気付かない。単にセーラー服を着た女の子が下校している姿にしか見えないから。冬、色々習い事とかしてるみたいだけど、そのお稽古先にセーラー服で行ってるんでしょ?」
「うん・・・まあ」
 
「授業中も多分冬がセーラー服着ていても誰も何も言わない。試しに今日1日学校でもセーラー服で過ごしてごらんよ」
「うーん・・・」
 
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それで私はその日、セーラー服で授業を受けたのだが・・・・・
 
先生たちは本当に何も言わなかった!
 
そもそも、私がセーラー服を着ていることに気づいてないのではないかという気がした。
 
女子の友人たちからは「どうしたの?」と訊かれたので、私が合唱部のピアノを弾くのに、セーラー服を着てないとちゃんと弾けないからというので、合唱部のクリスマス会が終わるまで、セーラー服を着ているように言われたと説明した。何かとんでもない話のような気もしたのだが、友人たちは納得してしまった。
 
「じゃ、冬ちゃんこれからはずっと女子制服で授業受けるのね?」
「来月末までだよぉ」
「いや、遠慮しなくてもいいのに」
「誰もセーラー服姿の冬ちゃんは変に思わない」
 
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男子の友人たちからは
「ああ。とうとう、そちらに行っちゃったか」
「トイレは女子トイレ、更衣室は女子更衣室を使えよ」
などと言われる。
 
「いや、普段も唐本が男子トイレに入ってくると、ギクっとするからな」
「男子更衣室で唐本が着替えてる時は、そちら見ないように気をつけてる」
「俺、唐本の姿を思い浮かべてオナニーしちまったことある」
「ちょっと、ちょっと」
「いや。それ変態じゃない。普通の反応」
 
まだこの時期はあまりその生態をみんなにカムアウトしていなかった《吟ちゃん》が、何だか熱い視線をこちらに向けていたので、まさかこの姿見て好きになられたんじゃないよな?と思い、ドキドキした。
 

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なお、私は中3の夏にもしばらく女子制服で通学していて、この時は先生に呼ばれて自分の性的な志向を主張して、女子制服での通学を認めてもらったのだが、この中1の年末頃の女子制服使用については、後から先生たちに聞いてみても、全然覚えていないと言われた。
 
「まあ、男の子がセーラー服を着ていたら目立つから先生も気付くけど、冬は女の子だから、女の子がセーラー服を着ていても誰も変に思わず、何も言われなかったんだろうね」
などと後に倫代からは言われた。
 
若葉からも似たようなことを言われた。
 
「人はね、普段と違うものを見ると、あれ?って思うんだよ。だから例えば秋元君とかがセーラー服を着ていたら、そういう秋元君をみんな見慣れてないから、どうしたの?って言う。でも冬がセーラー服を着ていても、そもそも不自然じゃないし、そして実は冬って結構以前から校内でもセーラー服を着ていて、それをみんなが目撃しているでしょ? だから、普段見慣れているものを見ているだけなのよ。だから、誰も何も感じないんだよね」
 
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「うむむ・・・」
 
 
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■夏の日の想い出・走り回る女子中生(4)

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