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■夏の日の想い出・月の三重奏(8)

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そして更に1月4日(土)には、トラベリングベルズのDAI(鐘崎大地)さんが結婚式を挙げた。この時期は、ほんとに結婚式ラッシュであった。
 
「七星さんたちから数えて結婚式三重奏だね」と政子は言う。
「『Triple Moon』にふさわしいね。月は結婚の象徴でもあるし」と私。
「ああ、Honey Moon だしね」
 
DAIさんのお相手は高校の時の同級生ということで、卒業後連絡が途絶えていたものの、1年ほど前に偶然再会して、それで交際するようになったということだった。
 
DAIさんは最初12月中に結婚するつもりだったのだが、国士館ライブや武芸館のワンティス代理ライブが入ってしまったので、1月に延期してくれたのである。近藤さんたちがローズ+リリーの休養期間に結婚したのと同様、DAIさんもKARIONの休養期間に結婚しようということだった。
 
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トラベリングベルズのメンバーで、TAKAOさんとMINOさんはこのバンドに参加した時から既に結婚していた。HARUさんは2010年に結婚しているので、メンバーの中で独身はSHINさんだけになる。
 
「独身が俺だけってちょっと寂しいなあ」とSHIN。
「社長がSHINさん、まだ結婚しないのかなあ、とか言ってたね」と私。
 
「まあアイドルのバックバンドに独身の男が居るのはあまり好ましくないというのはあるんでしょうけど」と和泉。
「とは言われても、俺、彼女居ない歴=年齢だし」
 
「SHINさんはノーマルなんですか?」と小風が訊いた。
「俺、ホモに見える〜?」
「うーん。どちらかというと女装っ子指向とか?」
「あ、そうそう。スカート穿かせると似合いそう」
「髪長くしないんですか?」
「俺、そちらの趣味は、ねぇよ〜」
「あ、やはり、おねぇ、なの?」
「ちがーう!」
 
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ところで2010年のHARUさんの結婚披露宴には、私は堂々と参加している。実は結婚式場所属のピアニストみたいな顔をして、ずっとピアノの前に座っていて、新郎新婦の入場では結婚行進曲を弾いたし、お色直し後の再入場・キャンドルサービスでは当時出たばかりのKARIONの新曲『白猫のマンボ』を弾いた。また、余興で歌う人たちのピアノ伴奏を務めた。
 
披露宴には、芸能関係者や数人の芸能記者も来ていたが、参加者同士はお互い顔を見たりするものの、誰も式場スタッフにまでは注意を払わないので、私がその場にいたことは、ほとんど誰も気付かなかったのである。当時は私の写真がそんなに出回っていなかったこともある。その時、唯一人私に気付いたのが余興で歌を歌おうとしてピアニストに曲名を告げた青島リンナだった。
 
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彼女は私に気付いて、ギョッとした顔をしたが、私が口に指を立てて「しー」
というポーズを取ったので、笑って「『My Favorite You』お願いね」と言い、彼女の持ち歌を私のピアノ伴奏で歌った。
 

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さて、私は今回のDAIの結婚式には、政子を連れて2人で出席した。KARIONとローズ+リリーは充分仲良しなので出ても悪くないハズ、ということで押しかけて行った形にした。私たちが出るという話を聞いて、XANFUSの2人まで出席したので、最初2〜3人しか居なかった芸能記者が、披露宴が終わる頃には20人くらいに増えていた。
 
私たちやXANFUSの写真ばかり撮られて、新郎新婦にはちょっと気の毒ではあったが。
 
ちなみに政子は披露宴の美味しい料理が食べられてご機嫌であった。今回は余興では私たちは『花園の君』を歌った。KARIONは『アメノウズメ』を歌い、XANFUSは『The Ball Lover』を歌ったので、超豪華な余興になり、青島リンナから「あんたたち、凄すぎるよぉ」などと言われた。
 
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なお、この3曲は式場のピアニストが弾けなかったので、『花園の君』の伴奏は和泉が、『アメノウズメ』と『The Ball Lover』の伴奏は私が務めた。
 
「ケイちゃんって、『アメノウズメ』は水沢歌月っぽく、『The Ball Lover』はパープルキャッツの noir っぽく弾いたね」
と Ozma Dream のジュリアに言われた。
 
「ケイってコピー演奏の天才だから」
と政子が言って笑っていた。
 
ところで、この結婚式でも、加藤課長が乾杯の音頭を取ってくれた。
 
「加藤さん、私が結婚する時も乾杯の音頭を取ってください」
と私は言ってみたが
「それはきっと、町添部長がしたいと言うよ」
と加藤さんは言った。
 

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「ところで私、金額見てなかったけど、サトさんとDAIさんの御祝儀はいくら包んだの?」
と政子は後で訊いた。
 
「七星さんはもうスタッフというより独立したミュージシャンと考えていい状態だから芸能人同士ということで300万包んだけど、サトやDAIは彼らたちの年収を考えても一般人に近いから、まあ普通の相場かな、ということで、どちらにも70万包んだよ。サトはローズクォーツで身内、DAIもKARIONで身内だしね」
と私は答えた。どちらもマリ・ケイの連名である。
 
「うーん。。。私も一般の御祝儀の相場が最近分からなくなりつつあるけど、70万って、一般人の相場とは懸け離れている気がするよ」
と政子。
 
「そうだっけ??」
 
でも後で和泉がDAIさんの結婚式に50万包んだと聞いて、ちょっとホッとした。(小風と美空は10万ずつ包んだらしい)
 
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DAIの結婚式があった翌日。某テレビ局が「08年組特集」という3時間の企画番組を放送した。08年組の5つのユニットに30分(CMなどを除いて25分)ずつ時間を割り当て、最初の30分は、解説者としてドリームボーイズの蔵田さん(39歳)と、ナラシノ・エキスプレス・サービスの海野さん(42歳)という、上の年齢の男性ミュージシャン同士の対談をさせていた。
 
同世代の見方、女性の見方とは、全然切口が違うので、結構面白い対談になったようであった。
 
「8人とも歌がうまいけど、色気が無いよなあ」
「そうそう。エスコートしたくなるけど、デートしたくはならない」
 
などと、セクハラまがいの発言もあったが、08年組の10代・20代のファンからは「おじさんたちだし〜」と比較的許容的な反応が出ていたようであった。
 
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「だけど、あの子たち、ちょっと関わりが無いこともないんだよなあ」
と蔵田さん。
「ケイちゃん、うちのバンドのバックダンサーを何度かしてもらったこともあるんだよ。振り付け覚えるのが凄く速くて。急な欠員が出た時とかに随分重宝した。それで覚えてた」
 
「うちのバンドのバックダンサーには、AYAちゃんがいたことあるんだよ。何か個性の強そうな子だなと思ったんで、俺も記憶に残ってた」
と海野さんも言う。
 
「あの子たちって、デビューしたのは2008年でも、その数年前くらいから結構この世界にはまり込んでいた感じだよね」
「まあ昔風に言えば、下積みを数年やった上でデビューした感じだよね」
「それだけにポッと出のアイドルとは一線を画すパワー持っているんだろうな」
 
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「冬、ドリームボーイズのバックダンサーの件については少し追求したい」
と政子はテレビを見ながら言った。
 
「はいはい、女の子の格好で踊ってましたよ」
と私は答えた。
「今日は素直じゃん! どうしたの?」
「まあ、お正月だしね」
 
「じゃ、お正月ついでに、この写真についても追求したい」
 
と言って政子が(最近ある理由で買い換えた新しい)iPhoneの画面に表示させたのは、ビキニの水着を着て、青い海を背景に立っている私の写真だ。
 
「ぶっ」
「ねぇ、ねぇ、これ何年生の時の写真? このきれいな海は沖縄か奄美か。多分中学生くらいだよね?この感じ。トリミング加工されてるみたいで、サイズが変則的だし、撮影日時がJPEGのデータから消されてて分からないんだよね」
 
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「さ、さあ、どうだろうね。他人の空似じゃない?」
 
「それはあり得ない。これ絶対冬だよ。でさ、このビキニ着ている胸がどう見てもBカップはある気がするんですけどぉ」
 
「さあ、知らないなあ。きっと他人の写真だよ。私のおっぱいは中学生の頃はほとんど無くて、平らな胸だったよ」
「また、バレてる嘘をつかないでよ。話が面倒」
 

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蔵田さんと海野さんの対談の後は、XANFUS, AYA, ローズ+リリー、スリーピーマイス、KARIONの順に編集されたライブビデオが流された。XANFUSはパープルキャッツ、AYAはポーラスター、ローズ+リリーはスターキッズ、KARIONはトラベリングベルズと一緒に、それぞれ演奏したもので、12月上旬に各々の時間の空きを使って各事務所の責任で収録・編集して放送局に持ち込んだものを無編集で放映してもらった。
 
スリーピーマイスの3人はアイスホッケーのゴールキーパーが付けるようなお面を付けていた。またKARIONのバックバンドの中でもキーボード奏者も猫のお面をしていた。
 
KARIONの編集ビデオの最後には1分半ほど、和泉とスイート・ヴァニラズのLondaの短い対談が入っていた。
 
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「今日のビデオで顔を隠しているキーボード奏者が水沢歌月=蘭子ちゃんだよね?」
「はい、そうです」
 
「蘭子ちゃんって、実はKARIONのデビュー以来、ずっとキーボード弾いていたんだって?」
「そうなんです。だからトラベリングベルズの最古参メンバーなんです」
 
「トラベリングベルズはすると、最初和泉と蘭子が入って、それからTAKAOさんとSHINさん、それからHARUさん、DAIさん、MINOさんの順序かな?」
「はい、その順序で、KARIONがデビューしてから半年ほどで、だいたいメンバーが固まりました」
 
「歌の方にもそしたら、実はかなり頻繁に参加してたんじゃないの?」
とLondaが訊く。
 
「水沢歌月は、∴∴ミュージックと何かの契約とかを結んでいる訳ではなくてあくまで私との友情に基づいて楽曲の制作や伴奏をしてくれているだけなので基本的に、情報をあまり出さないでほしいという本人の希望もありまして出していなかったのですが、実はこれまでに発表したKARIONの四声の曲、ほぼ全てに蘭子は歌唱参加しています。参加していない曲を数えた方が早い。あの子、器用なので毎回声や歌い方まで変えて歌ってるんです。実は様々な声の出し方の練習も兼ねていたらしくて、中には当時は出たけど今はもう出ない声もかなりあるみたいです」
 
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この和泉の発言に、見ていたKARIONファンがかなり衝撃を受けたようであった。あちこちのファンサイトで行われていた、蘭子が参加している四声の曲はどれとどれか?という議論を全て水泡に帰すような発言だ。
 
しかし、KARIONファンは更に次の和泉の言葉に、もっと大きな衝撃を受けることになる。
 
Londaが
「KARIONの四声の歌って結構多いよね。最初ラムコがいた時は別としてデビュー以降は3人しか居ないのになんで四声で編曲するんだろうと昔から不思議に思ってた。四声の曲ってどのくらいの比率かな?2〜3割?」
と訊いた。
 
それに対して和泉はこう答えた。
「五声や六声以上の歌以外の全てが四声です。実はKARIONがこれまで発表した曲の中に三声しか使われていない曲は存在しません。どの部分が蘭子の声かというのについては『KARIONのボーカル収録ではいっさい多重録音はしていない』
というのと、私の声も蘭子の基本の声も、合唱部で鍛えた均質で、訓練している人なら、誰のでも似たように聞こえる声であるということをコメントしておきます。ですから実はKARIONは《4つの鐘》という名前の通り、最初からいづみ・みそら・らんこ・こかぜ、4人のユニットだったんです」
 
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和泉はそうにこやかに答えて最後に「時間です」という小さな声に応じてカメラに向かい笑顔で手を振り、それでKARIONのビデオ、そしてお正月の08年組特集の放映は終了した。
 
 
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