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■夏の日の想い出・月の三重奏(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2013-08-18
 
2013年12月。大学生として最後の師走。
 
私と政子、それに小風・美空・和泉の3人、そしてOzma Dreamの2人も12月2日の月曜日に卒論を提出し、卒業できることがほぼ確定した。槇原愛は模試の成績が良かったので、本気でM大学を受けることにした。結果的に槇原愛は和泉たちの後輩ということになりそうだが、和泉たちの卒業と入れ替わりで入学することになる。
 
なお、私たちの大学の友人では、小春と博美は12月の最初の週に論文提出できたが、礼美はまだ完成しておらず「期限までに何とか頑張る」と言っていた。
「バイトしばらく休ませてもらった方がいいよ」
と私たちは真剣に礼美に言った。
 

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さて、私たちの卒業がほぼ確定したことで、町添さんは速攻で私たちのライブを入れてしまった!
 
12月下旬の3連休に、KARION, ローズ+リリー、ついでに XANFUSのライブを3日連続でやろうという企画である。
12月21日(土)がXANFUS, 22日(日)がKARION, 23日(祝)がローズ+リリーで、会場は両国の国士館と聞いて、私は驚いた。
 
「よく、そんな会場がこんな時期に取れましたね!」
「ああ。1年前に押さえておいたから」
「凄い!」
「ケイちゃんといづみちゃんの卒論提出が遅れていたら、キャンセル料が大変だったよ」
「ひゃー!」
 
などという会話はしたものの、町添さんのことだから、万一の場合はXANFUS3日間、あるいは1日はスリファーズやスイート・ヴァニラズあたりにやらせるつもりだったのではないかという気がする。
 
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実際私たちも和泉たちも「3日間ともスケジュールを空けておいて」と言われた。つまり、どうもお互いの公演にゲスト出演する演出があるようである。多分、卒論と関係のないXANFUSは最初からこの3日間を全部リザーブされていたのであろう。
 
イベントの詳細は私たちが卒論を提出したその日、12月2日(月)に発表され、チケットは7日の土曜日に、XANFUSが朝10時、KARIONが昼12時、ローズ+リリーが14時に発売されたが、3公演とも各1分で売り切れた。座席数は各7500席であるが、一般発売されたのが7000席で、残り500席はFM放送などの招待枠。内300席が、福島・宮城・岩手の放送局で募集された(最寄り新幹線駅からの往復券付き:今回のスポンサーになった電器メーカーの好意による)。
 
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しかしXANFUSとローズ+リリーの瞬殺は当然だが、KARIONも瞬殺したことに、私も和泉も驚いたのだが「まあ、電話を掛ける側のノリだね」などと町添さんは言っていた。
 
これまでのKARIONの実績からすると、7500席のソールドアウトには1時間近く掛かりそうな気がしたのだが、元々これら3ユニットのファンはお互いに結構重なっている部分もあるので、多分XANFUSの座席が取れなかったファンが、そのまま2時間後のKARIONに賭けたのであろう。
 

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「ところで水沢歌月はKARIONのライブのピアノを弾くよね?」
と和泉が言ったが
「それはいつものようにパスで」
と私は答える。
 
「あるいは私たちと一緒に並んで前面で歌う?」
「そちらもパスで」
「覆面してもいいよ」
「うむむ!」
 
「出場しないと、水沢歌月の正体しゃべっちゃうぞ」
「それはあと何年か待って」
「ふーん。何年か待ったら発表してもいいんだ?」
「えーっと」
 
「蘭子が出なかったら、蘭子は男の娘だって言いふらすのはどう?」と小風。「写真付きでね」と美空。
「待ってよ〜」
 

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12月4日(水)。スターキッズが3枚目のアルバム『Moon Road』を発売した。2012年5月の『Prelude No.5』(12万枚), 同年12月の『Phantasia Ecostic』(22万枚)に次ぐもので、前作と同様に全ての楽曲をアコスティック楽器で演奏している。
 
楽曲はマリ&ケイが2曲提供し、近藤さんが2曲書いた他は七星さんが残りを全部書いている。七星さん自身のサックスまたはフルートがメロディーを演奏するインストゥルメンタルのみの楽曲構成にしたのも前作同様である。
 
「要するに歌が入っていると、BGMとして使用するのに邪魔なんだよなあ。私たちのCDってBGMとして使う人が多いから」
などと七星さんは言っていた。
 
一部の楽曲にフィーチャーされているクラリネットは名前をクレジットしていないが実は私が吹いたものである。またタイトル曲『Moon Road』にフィーチャーしたヴァイオリン三重奏は、私と松村さんと鷹野さんである。
 
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ちなみにジャケットでは、満月・半月(上弦)・三日月の写真を並べた前に、鷹野さんがヴァイオリン(撮影用にアスカのヴァイオリンAngelaを借りた)、七星さんがフルート(ムラマツ24K純金)、近藤さんがギター(Gibson J-185)を持っている所が写っていた。
 
このCDは、スターキッズ自身のファンクラブでの告知の他、ローズ+リリーのファンクラブでも情報を流したこともあり、好調な売れ行きを示していた。
 
「この感じだと前作より売れるかも」
などと加藤課長などは言っていた。
 

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そして・・・・この12月4日、スターキッズの近藤さんと七星さんが結婚した。
 
この日ふたりは午前中に「新譜発表・結婚記者会見」なるものを★★レコードで開いた。記者会見の冒頭、巫女さんが出てきて記者たちの前で三三九度をやっちゃった。更に指輪の交換までやっちゃう。居並ぶ記者たちは何となく拍手をしたが・・・ 
 
「あの・・・今のは?」
という質問が出る。
 
「私たちの結婚式です」
「今のが結婚式だったんですか!」
 
「記者前結婚式ですね」と近藤さん。
 
七星さんも笑顔で
「私は新譜を持って新婦になります」
などと駄洒落を飛ばしていた。
 
「おふたりはいつ頃からのお付き合いでしたっけ?」
「ローズ+リリーの『After 2 years』を2010年9月に制作したのですが、その時知り合って親しくなりました」
「その縁でスターキッズを結成したんです」
 
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「それではローズ+リリーのおふたりがキューピッド代わりなんですね」
「はい、それで今日の夕方、午後6時から開く披露宴では、ケイちゃん・マリちゃんに仲人をしてもらいます」
 
「仲人って普通、夫婦の人がするのでは?」
「あのふたり、夫婦並みに仲が良いですから、それで充分です」
 

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そういう訳で、披露宴では私とマリが黒無地の和服を着て仲人を務めた。披露宴に参列するのは、マキの結婚式、姉の結婚式の他、友人の結婚式にも2度ほど出ていたが、仲人をするなんてのは初めてだ。
 
しかし『記者前結婚式』をやっちゃったのにも象徴されるように色々型破りな披露宴であった。七星さんは「披露宴の主役の花嫁がずっと席にいないのは間違っている」と言い、お色直しはしないことにした。どうせ2度目の結婚式だしなどと言って、両親への感謝文も無し。余興では花嫁自らピンクゴールドの可愛いサックスでスタンダードナンバーの『Misty』を吹いた。
 
「婚礼衣装を普通に着るとさ、締め付けがきつくて、とても楽器吹けないから、吹ける程度にしといてくださいと着付けの美容師さんにお願いした」
などと言っていた。
 
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ちなみに七星さんはそれまでふつうのゴールドのサックスを使っていたのだがこの披露宴でピンクゴールドのを吹きたいと言って、これまで使っていたのと同じサックスの色違いのを買っちゃったのである。今日発売するCDが売れたら、その印税で払うからお金貸してと言われて、私は笑って立て替え払いしておいた。
 
なお、乾杯の音頭は★★レコードの加藤課長が取ってくれた。
 
仲人の私たちも『言葉は要らない』を私のピアノ伴奏で歌った。更に政子は私が白いワンピースを着て、従姉の披露宴で歌っている所の写真をスライドに掛けちゃった。「中学生の時のケイの写真でーす」などと言っていたが、どこでその写真を入手したんだ!?
 
近藤さんの友人代表は鷹野さん、七星さんの友人代表は山森さんが務めてくれて、山森さんは某遊園地が所有する、移動可能なパイプオルガンを会場に持ち込み、メンデルスゾーンの結婚行進曲(『夏の夜の夢』より)、クラークの『トランペット・ヴォランタリー』、バッハの『主よ人の望みの喜びよ』、と弾いてくれた。
 
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ちなみに「移動可能」とは言っても、高さが2.5m, 幅が8mほどある巨大なもので、外から実際の会場まで運び込むことが可能かどうかを式場の人と一緒に事前に慎重に計算した上で実現したものであった。遊園地側も宣伝になるからと言って演奏中の写真を撮影することを条件に無償で貸し出してくれたものである。
 
このオルガンのストップの操作は、私の古い友人でもあるオルガニスト、夢美が務め、夢美もついでに1曲『展覧会の絵』を弾いた。夢美の演奏に山森さんはそばで自らストップ操作をしてあげながら頷くようにしていた。実力を認めてくれているのだろう。
 
夢美は、それ以外にもこの披露宴の余興で歌を歌う人たち(多くは現役の歌手)の伴奏をエレクトーンでしてくれていた。これは私が頼んだものである。
 
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実は彼女は4年ほどヨーロッパで留学兼武者修行をしていて、この秋に帰国したのを捕まえ、徴用したのであるが、ずっとヨーロッパに行っていても、日本のポップスをしっかりキャッチしていたようで、「私の曲分かります?」
と少し不安げに言う、やや売れてない歌手の曲もきれいに弾いてあげていた。
 
「私は日本にいるのに、ここまでレパートリー無いわ」
と言って山森さんがまた感心していた。
 

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さて、近藤さんと七星さんがこの時期に結婚したのは、ローズ+リリーの休養中でないとハネムーンの時間が取れないからというのもあった。でも実はふたりが結婚を決めたのは11月の中旬で、話を決めてからわずか半月での挙式となった。無論七星さんは妊娠はしていない(ふたりは子供を作るつもりは無いなどと言っていた)。更にふたりは同居もしないという話だった。お互いに別々のスケジュールで仕事をこなしているので、一緒に住むことがストレスになるんだ、と七星さんは言っていた。
 
「日常生活と性生活は別」
 
などと七星さんは言う。
 
「冬ちゃんたちは、日常生活と性生活と創作活動が渾然一体みたいだけどね」
「あはは、すみませーん」
 
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「でも、浮気の心配は無い?」
と政子が心配したが
「ああ、浮気は子供を作ったりしない限り自由ということで申し合わせた」
などと七星さんは言う。
 
「近藤さんが浮気しても平気なんですか?」
「別に構わないよ。私も気に入った男とは寝るし」
と、どうも開き直っているようだ。
 
「わあ、凄いなあ」
と政子は言うが
 
「良い子は真似しないように」
と私は釘を刺した。
 
なお、当初ふたりは結婚式も挙げないなどと言っていたのだが、私と政子で唆して、新曲発表と同時に結婚発表、即日挙式、などということをしたのであった。それでこの日に結婚式披露宴があることを予め知っていたのは、ふたりとごく親しい人たち、多分20人くらいだけであった。
 
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またふたりは新婚旅行代わりに、全国のライブハウスで演奏するなどと言って結婚式の翌日から12月20日まで16日間に全国16ヶ所のライブハウスに出演するスケジュールを入れていた。
 
(21日からは国士館ライブがあるので、それで拘束されるが、結果的には5日から23日まで19日間連続ライブするようなもの。なお、ワンティス公演の伴奏者候補からスターキッズを外したのはこのライブハウスツアーが入っていたため、上島先生・雨宮先生との合同練習が困難であったためである)
 
「何ならふたりだけで全国回って演奏してきたら?」
などと新婚旅行に付き合わされることになる鷹野さんが呆れて言っていたが、近藤さんは
「いや仕事にすれば、新婚旅行の旅費が経費で落とせる」
などと訳の分からないことを言っていた。
 
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突発的に結婚を発表して夕方から披露宴などと言ったので、平日でもあり、来たくても来られない人もかなりあったようだが、結果的にはそれで来場者を絞ることができた感もあった。ふたりはどうせ来る人少ないからと言って、30人キャパ程度の会場を想定していたのだが、私は万一の時は動員掛けるから100人規模の会場を確保するよう言った。
 
近藤さんも七星さんもスタジオミュージシャンとしての活動が長いし、現役でもあるので、その関係の人がたくさん来てくれたし、比較的名前の売れた歌手の顔も結構並んでいた。その人たちが中央テーブルに挨拶に来るので、結果的に私たちもその人たちと色々会話を交わした。
 

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夏の日の想い出・月の三重奏(1)

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