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■夏の日の想い出・月の三重奏(6)

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「今年はこの3組のCDが08年組ジョイントのものも入れてシングル合計1300万枚、アルバム合計760万枚売れていて、金額にすると370億円。これはXANFUSの最新アルバムの先週末までの速報値の分まで入れた数字ですが、とにかく当社の売上の6割を占めています」
 
と町添さんが言うと「おぉ」という声が出る。
 
「万一ここで爆弾テロでも起きたら、★★レコードやばいですね」
「怖いこと言わないで下さい」
「売上の6割が無くなったら社員も半分リストラ?」
「いや、私たち3組以外にも、マリ&ケイ作品歌ってるアーティストいるからここで全員死亡すると、その歌手やユニットの売上も消える」
「★★レコード倒産するかも」
「だから怖いこと言わないでください」
 
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「でもそれだけ売上あがってたら、★★レコードからボーナス出ないんですか?」
という声が掛かるが
「そのあたりは後で当社と事務所さんとの相談で」
と町添さん。そういう予算は確保できそうな雰囲気である。
 
「でも私たちボーナスなんてのとは無縁だよねぇ」
「何年か前に金一封もらったことはあったけど」
「そのあたりはみなさんと各々の事務所さんとの話し合いで」
 

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各ユニット毎に座っていたのは最初だけで、途中からどんどん入り乱れ始める。政子は夢美のそばに言って、私の昔の話を聞き出そうとしていたが、
「そういうのは本人に訊いてください」
と言われていた。
 
「川原さん、ヨーロッパはどの付近を回っていたんですか?」
と更紗が訊く。更紗も主として夏休みなどを利用して何度かドイツやフランスに留学してきている。
 
「一応向こうのお家はブリュッセルに確保しているんだけど、実際には色々回って、あちこちのパイプオルガン弾かせてもらいましたよ。ベネルクス内はもとより、ドイツ、オーストリア、フランス。あのあたりって、あまり国境を越えるって意識ないから、いつの間にか他の国に入ってたりしますね」
「ああ、確かに、確かに。特にユーレイルパス持ってると楽チン」
 
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「学校は結局どうしたんですか?」
と政子が訊く。
「一応、日本では高校に入りはしたけど、中退扱いですね。向こうでは音楽ばかりやってたから、私、学歴は無しです」
「音楽歴があれば充分でしょ」
と更紗も言う。
 
すると政子が突然大きな声で言う。
「加藤さん!夢美ちゃんのCD出してあげてください!」
すると加藤さんが
「いいよ」
と即答した。
 
「おお、すごい!」
「商談まとまった」
「マリちゃん、プロデュースしてあげてよ」と加藤さん。
「了解!やります」と政子。
「おお!」
 
「だけど私、正直このまま日本の音楽大学を出るべきか、大学出ることにはこだわらずにヨーロッパのハイレベルな音楽を吸収してくるべきか悩んでるんですよね」
と更紗。
 
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「凜藤さんくらいの腕があったら、できるだけ若い内に様々な先生に就いて鍛えるのがいいと思う。音楽ってひとりの先生にずっと付いてて習ってもダメですよ」
と夢美が言うと、更紗は大きく頷いていた。
 
「ただ、凜藤さんの学校は国際的にもかなりハイレベル」
「そうなんだよね! それで悩んでしまう。私アスカ先輩みたいにうまく辻褄合わせをして、こちらの大学の単位もちゃんと取りつつ、実質1年の半分近くはドイツで過ごして指導を受けるみたいな器用なことできそうもないし」
 
「そういうのも凄いね」
「アスカ先輩は、そういう辻褄合わせの術は冬さんから学んだとか言ってた」
「あはは」
 
「冬子さんも、随分色々な人からヴァイオリン習ってるよね?」
「あ、そのあたり詳しく」
 
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「実を言うと、私に最初ヴァイオリン教えてくれたのは、夢美ちゃんのお姉さんなんだよ」
と私は古い時代の事情を明かす。
 
「それっていつ頃?」と政子。
「私が小学1年だから、冬子さんは小学2年生かな?」
「それは初耳だ! 冬って中学生の時からヴァイオリン始めたんじゃなかったんだっけ?」
と政子。
「いやぁ、正式に習ってた訳じゃ無いから」
 
「道理で。中学から始めたにしては上手すぎると思いました」
と松村さん。
「あはは」
 
「最初うちの姉が教えてたけど、すぐ姉では教えきれなくなって、私が1年くらい教えたんですよね」
と夢美。
 
「小学1年生が小学2年生に教えてたんだ!?」
「でも当時の夢美ちゃんは、音楽教室の中学生より上手かったよ」
「なんか凄い世界だなあ」
「更紗さんだって、小学校の低学年の時期既にそのくらいでしょ?」
「まあ、そんなものかな」
 
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「私は、その後、東京に転校してレッスンが途絶えたんだよね」
と私は言う。
 
「それで中学になってから、アスカ先輩に習うようになったんですね?」
 
「まあね。正直本気で練習するようになったのはアスカさんに教えられるようになってからだと思う。3年半ブランクあったから思い出すのに少し掛かったけど。でもアスカさんも私も忙しいから最初の頃は週に1回やってたけど、その内、アスカさんが日本に居る間だけ、月に1回程度という感じになっちゃった。一方で中学時代は民謡習いに毎週名古屋に行ってたから、その時、夢美ちゃんにも何度か会って指導してもらってるね。アスカさんも夢美ちゃんもどちらも凄かったけど、アスカさんは雲の上の人だから、結構実力の距離が近い夢美ちゃんの指導は実用的だった」
 
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「並行してスクールでも鍛えてますよね?」
と更紗から尋ねられる。
 
「ローズ+リリーで忙しかった時期を除いて、一応毎週顔出して、弾いてるの見せて、いろいろ注意を受けたり程度かな。あまり下手だとアスカさんに申し訳無いから、アスカさんに教えてもらえるレベルに自分を上げるために通ってたんだよ」
 
「でも私、冬子さんが女の子じゃないなんて、一度も思ったこともなかった。私が高校1年の時にドイツに居た時、例の騒動をニュースで聞いて知って『うっそー』と思ったんだよ」
と夢美が言うと
「やっぱり・・・」
と政子は納得するように頷いた。
 
しかし松村さんが少し考えている感じだったが言う。
「その小学3年から中学1年まで4年近く中断してたって話は嘘だと思う。中断期間なんてほとんど無かったと思う。ケイちゃんのヴァイオリンって、才能のある人が小さい頃からずっと練習を続けていて、初めて到達できるレベルを越えている」
 
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「ああ、やはりまだ隠していることがあるな? 素直に吐くように」
と政子。
「えっと・・・」
 
と私はちょっと困った。
 
「きっと、女の子の冬ちゃんを知ってる人の話をしないといけないから隠してるんだよ」
と夢美。
「同感、同感」
と更紗。
 

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近藤さんや鷹野さんは、TAKAOさん・SHINさんたちと飲み比べをやっていた。後で倒れなきゃいいけど、と私たちは遠くで見ていた。mikeさんたちは七星さん、滝口さん、氷川さんたちとグループができて、途中から小風も引き込まれていた。美空はマイペースでデザートを食べながら、XANFUSのふたりと話し込んでいた。Voice of Heart の子たちはバラバラで積極的にあちこちのグループに声を掛けて顔を売っていた。確かにこれだけのメンツと同席できるのは、営業の大チャンスだ!
 
私とマリは神崎・浜名組の所にも行った。
 
「どもどもー」
などと挨拶なのか挨拶でないのかよく分からない言葉を掛け合う。
 
「私たち最近3Kって言われてるらしいね」
「ああ、神崎・浜名、歌月・和泉、ケイ・マリで3Kってのでしょ」
「でも無理矢理っぽい。普通の並べ方と違うし。作曲者だけ並べた訳でもないし」
 
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「でも以前事務所で偶然遭遇した時に5分くらい立ち話しただけだから、ゆっくり話す機会もそのうち持てたらと思ってたんでちょうど良かった」
 
「でもどうせなら和泉ちゃんも呼んでその若手三巨頭会談にしよう」
「おお、呼ぼう」
「3巨頭で3Kか?」
 
ということで浜名さんが「いづみちゃーん、こっちこっち」と呼ぶ。私たちがこちらに回ってきた時点でかなりアルコールが入っていた雰囲気だったので、気が大きくなっているようだ。
 
呼ばれてシレーナ・ソニカの2人と何やら話していた和泉がこちらにやってくる。
「水沢歌月さんが居ないのが寂しいけど、これで三巨頭って感じだね」
「三巨乳の方が良かったな」
「3巨乳でも3Kだ」
 
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「胸か・・・」
と言って浜名さんが見回す。
「この中でいちばん大きいのはケイかな? それFくらいあるだろ?」
「うん、Fのブラ付けてる」
「シリコン入れてるんだっけ?」
「一時期入れてたけど抜いちゃったから、これはリアル」
「よく育てたなあ」
 
「浜名さんもEはあるよね?」
「去年まではD付けてたんだけどね。織絵(音羽)から、そのブラ絶対小さいと言われて、最近はE付けてる」
と浜名さん。
 
「いづみちゃんも結構あるよね?」
「ごめーん。これ上げ底。実物はCしかないよ」
と和泉。
 
「Cしか無いと言われると、Bカップの私の立場が無い」
と神崎さん。
 
「マリちゃんもDくらいかな」
「そうそう。高校時代は私ケイに勝ってたのに、大学に入った頃からどんどん大きくなって抜かれてしまった」
「高校時代はケイは全く胸無かったの?」
 
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「私もそう信じていたんだけど、どうもケイは中学生の頃、既にCカップあったっぽい」
「さすがにCカップは無い。中学生の頃はAカップだよ」
 
「ああ、やはりかなり昔からホルモンやってたんだ?」
と浜名さんが訊くが
 
「ケイは小学5年生の時からホルモンやってたんだよ。それで声変わりもせずにソプラノボイス維持してるんだよ。これここだけの話ね」
と和泉が答えるので
 
「なぜ和泉ちゃんが知ってる?」
とツッコミが入る。
 
「いづみちゃんは、冬の小学生以来の親友と、高校時代同級生だったからね」
と政子が舞台裏を明かす。
 

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「水沢歌月さんはバストどのくらい?」
と浜名さん。
 
どうも完全にバスト論議になっている。
 
「彼女もFカップあるよ」と和泉。
「すげー」
 
「じゃ、ケイも歌月さんも浜名も巨乳ということで、三巨乳会談でもいいな。まあ今日は歌月さんはいづみちゃんが代理ということで」
と神崎さんが言う。
 
「3人とも、おっぱいで曲を書いているんだったりして」
「男の子に揉まれると曲ができるとか?」
 
「ああ、私は男の子とHしてると詩ができることある」
と政子が大胆なことを言う。
 
「ああ、それは私もやったことある。彼氏からぼろくそ言われたけど」
と神崎さん。
 
「いづみちゃんは、そういうの無いの?」
「私、彼氏いないから」
「偉ーい!」
「今回の3組の中で恋愛禁止ルール守ってるのはKARIONの3人だけだしね」
 
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「でも恋愛経験はあるんでしょ?」
「Hまではしてないけど、付き合ったことはあるよ。中学生の頃。中学生だからキスもしてない。その後、高校は女子高だっだし、1年生の秋からKARION始めちゃったから、もう8年間彼氏無しだなあ」
「ああ、私も2年くらい恋愛してないや」
と浜名さん。
 
「ここだけの話さ、『アメノウズメ』は歌月が男の子とHしながら書いたらしい」
「しながら??」
「バックでしながら、ボールペンで五線紙に書き綴ったと。私と小風で本人少し締め上げて吐かせた」
「すげー」
「さすがにそういう経験は無い」
「彼氏も寛容だなあ」
 
「私もHの最中に詩を思いついたら、そこでHは中断しちゃうなあ」
と政子。
「でもどうやって締め上げたの?」
「ああ、言わなかったら水沢歌月の写真バラまくぞと脅しただけ」
「なるほど!」
 
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「しかし曲の出来た経緯を絶対に公表できない話だ」
「でも『DOWN STORM』も何だか凄い状況で書いた曲だという噂が」
 
「ああ、噂になってるね。具体的なことは誰も知らないみたいだけど」
「あれは私が手術されながら書いたんだよ。部分麻酔だったから頭は起きてたし、手は使えたから。執刀医の先生が呆れてたけど。万一血圧とかが下がったら中止してねと言われながら書き上げた」
と浜名さん。
 
「それはまた凄い状況だ」
 

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