広告:女声男子-3-ガンガンコミックスONLINE-険持-ちよ
[携帯Top] [文字サイズ]

■夏の日の想い出・月の三重奏(5)

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8 
前頁 次頁 時間索引目次

↓ ↑ Bottom Top

(C)Eriko Kawaguchi 2013-08-19
 
ローズ+リリーとスターキッズが下がり、代わりにKARIONとトラベリングベルズが入ってくる。そしてXANFUSの『Dance, Don't Love』と『Triple Moon』を歌った。ここでピアノはKARIONのマネージャー、花恋が弾いた。花恋はこんな大きな会場での演奏は初体験だったが、あがらずにしっかり演奏することができた。
 
『Triple Moon』のギター三重奏は、TAKAOさんと、いづみと、もうひとり覆面をした女性が上手から出てきて弾いたので会場がざわめいた。それで演奏が終わり、いづみが挨拶をして4人がバンドメンバーと一緒に下がった(覆面の女性だけ上手に、他は下手に)後、代わってXANFUSの音羽と光帆が登場するが、ここで光帆がマイクを持ち
 
「今私たちの『Triple Moon』のギターを弾いてくれた人ですが、TAKAOさん、いづみちゃん、そしてらんこちゃん、つまり実は森之和泉・水沢歌月の共演でした」
 
↓ ↑ Bottom Top

と発言したので会場は「えーーー!?」となった。(さすがに昨日の今日なので覆面を見て、もしかしたら・・・と思った人もかなりあったようであった)
 
「そしてね。実を言うと、水沢歌月は一昨日の私たちのライブにも出てたんだよね。どこに出たかは内緒」
と光帆が言うと、会場は再び
 
「えー!?」
という声で埋まる。
 
かなりざわめいていたが、続けて神崎美恩と浜名麻梨奈が、パープルキャッツとともに登場すると会場は普通に拍手と歓声で沸く。そしてパープルキャッツの伴奏で、音羽・光帆・神崎・浜名の4人でKARIONの『僕の愛の全て』と『海を渡りて君の元へ』を歌った。
 
元々はどちらも割と静かな曲ではあるが、XANFUSに掛かると、どちらもダンスナンバーに変身していた。
 
↓ ↑ Bottom Top


XANFUSが下がった後、4人の女子が入ってくる。
 
客席は少し戸惑う空気もあったがすぐに
「コトちゃーん」「ひとえちゃーん」
という声が掛かり、琴絵と仁恵が手を振った。この2人はローズ+リリーの熱心なファンには充分顔が知られている。あと2人の名前は知られていない感じだったが
「ローズ+リリーちゃーん」
という掛け声も掛かって、小春と博美は会場に手を振った。
 
そして4人で演奏を始める。
 
小春がギターを弾き、博美がカホンを打ち、仁恵がエレクトーンを弾いて、琴絵はカスタネットを持ってダンスする。(仁恵はエレクトーンでキーボードパートとベースパートを同時にひとりで弾いていることになる)
 
曲は『神様お願い』である。
 
↓ ↑ Bottom Top

歌は、小春と仁恵のふたりで歌っている。カホンを打ちながら歌うのはやや大変である。琴絵にはさすがに歌わせられない。
 
客席は結構乗ってて、手拍子をしっかり打ってくれた。
 
演奏が終わった所で私と政子が出て行く。
 
「3月11日の福島突発ライブに来られた方がもしこの中におられたら、見たと思うのですが、こちらの『ローズ+リリー』さんと組んで、実は路上こっそりライブというのを一時期かなりやりました。このふたりが歌いながら演奏しているように見せて、実はふたりは演奏だけしていて、歌は観客に紛れ込んだ私とマリが歌っていたんですね」
 
かなりのざわめきがあった。
 
「ということで、私たちの友人たちです。ギター小春、カホン博美、エレクトーン仁恵、カスタネット&ダンス琴絵でした」
 
↓ ↑ Bottom Top

暖かい拍手があった。
 
「実はですね。小春が一昨日のXANFUSのチケットを幸運にもゲットできまして見に行って感動して、博美は昨日のKARIONのチケットをやはり運良くゲットできて、見て感動して、ふたりが凄く感動したから今日のチケット何とかならない?などと言うもので、相談してみたのですが、関係者枠も全部使い切ってて、席がどうにも無いということだったので、客席が無理ならということでステージ上の席を用意しました」
 
と私が言うと爆笑が起きた。
 
「小春のXANFUSライブのレポート、博美のKARIONライブのレポートはいづれも今朝『千葉情報』のサイトにアップロードされています。今日のライブレポートも明日の朝までには入っていると思います」
 
↓ ↑ Bottom Top

と言うと、小春がOKサインを出す。
 
「それでは再度、私たちの友人4人に、よろしければ拍手を」
と言うと、また大きな拍手があった。
 
それで4人が下がり、スターキッズが入って来て、後半に入る。
 

↓ ↑ Bottom Top

後半はいつも通り、電気楽器を使って演奏していく。
 
『ファレノプシス・ドリーム』『薔薇のささやき』『Spell on You』『影たちの夜』
『キュピパラ・ペポリカ』『恋座流星群』『ハッピー・ラブ・ハッピー』『疾走』
『間欠泉』『夜間飛行』
 
そして『ピンザンティン』でお玉を振って歌って幕が降りる。
 
アンコール。KARIONとXANFUSも入って来て、7人が並ぶ。月丘さん・夢美・noir・花恋が入って来て、4台のキーボードで、三味線・尺八・胡弓・箏の音を出し、七星さんが龍笛を吹いて『200年の夢』を7人で歌った。
 
そしてセカンドアンコール。
 
いつものローズ+リリーのライブのように、私とマリだけ残して全員下がるが、光帆だけは残る。スタッフが光帆に愛用のフルートを渡す。
 
↓ ↑ Bottom Top

私がピアノの前に座り、マリは私の左側に立つ。いつものポジションだ。光帆はピアノの横に立っている。
 
『あの夏の日』を演奏する。
 
華やかな音が私の弾くスタインウェイ・コンサート・グランドから響いていく。それに光帆のフルートが彩りを添える。
 
いつもなら七星さんにお願いしているパートだが、今回の3日連続ライブで光帆はパートのやりくりの都合で「素人ベース」と「素人キーボード」を演奏したので、光帆が得意な楽器での見せ場を作りたいと思い、ここでの演奏をお願いした。
 
しかし、ピアノの音って色彩豊かなんですね、と以前加藤さんが言っていたが本当にそう思う。電子キーボードやパイプオルガンと違い、音色はひとつの筈なのに実際弾くと、オーケストラを弾いてるのに近い感覚がある。
 
↓ ↑ Bottom Top

私もマリもその華やかな音に乗せて楽しく歌う。ふたりで初めて一緒に書いた曲。実際の詩は私が書いたのを政子が添削、加筆修正したものだが、実質的にはマリの詩だと思っている。それまで暗い詩ばかり書いていた政子が、私と出会うことによって書けた明るい詩だ。だから、この曲がやはりローズ+リリーの原点。
 
私たちはとても明るい終止でこの曲を歌い終えた。
 
大きな拍手と歓声の中、私たちは光帆も手招きして三人で前面に並び挨拶をする。そして幕が降りた。
 

↓ ↑ Bottom Top

ライブが終了した後、らんこ=水沢歌月の件で、あちこちのKARIONのファンサイトの掲示板、2ch, twitterなどが騒然としていた。
 
「取り敢えずらんこがギターも弾けるということは分かった」
「あの演奏、かなり上手かった。プロ級」
 
「しかし、らんこは初日のどこに出ていたんだ?」
「もしかして『花園の君』で演奏した覆面の弦楽器奏者の一人がらんこでは?」
「ということは、らんこはヴァイオリンも弾ける??」
「もしかしてトラベリングベルズで、らんこって、ピアノとヴァイオリンの両方を弾いているのでは?」
 
「ちょっと待って。アンコールで覆面の人がぞろぞろ出てきた時、9人いなかった?」
「えー? うそ!?」
 
本当は覆面の魔女2人、覆面の弦楽器奏者6人で、8人だった筈なのである。しかし、結構な人数が
「あ、俺もあれ? っと思って人数を数えたら9人いた」
という書き込みをしていた。
 
↓ ↑ Bottom Top

「じゃ、あそこに水沢歌月が紛れ込んでいたのか?」
「じゃ、ヴァイオリンを弾いた訳ではない??」
「いや、どうだろ??」
 

↓ ↑ Bottom Top

ロリータ・スプラウトの件に関しては、翌日★★レコードで記者会見を開いた。
 
ロリータ・スプラウトを始めた経緯を説明し、これまでプロフィール等を伏せていたことを詫びた。その場で、音声変形システムを稼働させて私とマリで歌ってみせると、記者席から「凄い」という声が起きた。またロリータ・スプラウトの4人のキャラの似顔絵を公募することも告げた。
 
「でも、そうするとローズ+リリーって、実はほとんど休養していなかったのでは?」
という質問が出る。
 
「実はそうです。本当に休んでいたのは2009年1月から3月くらいまでですね。その後、『長い道』の制作に入り、その後『雪の恋人たち』の新録音をしています。ここで『長い道』は実際にはかなり私たち自身が制作に関わっていますしタイトル曲の『長い道』は実はスタジオで新たに私たちの歌を録音したものです。『雪の恋人たち』は、伴奏も歌も全部私たちで演奏して録り直したものでした。当時は諸事情で明かせなかったのですが。そしてそれが終わるとロリータ・スプラウトのファーストアルパム制作に入り、年明けて2010年になってからはラジオ番組やってますし」
 
↓ ↑ Bottom Top

「ケイが休んでいたのって、2010年春に豊胸手術と去勢手術をした少し後と、2011年春に性転換手術をした少し後くらいですね」
とマリも笑顔で答えた。
 
「でもさ、タイで性転換手術終えて帰国したら、作曲依頼のメールが★★レコードから20曲分、来てたんだよ」
と私が言うと、記者たちから笑いが漏れる。
 
「音楽家って24時間365日勤務だね」とマリ。
「まあ、それ好きでやってるから」と私。
 
「じゃ、ロリータ・スプラウトというのはマリさんのリハビリのためのプロジェクトだったんですね」
「そうです」
 
「ではもう無くなるのでしょうか?」
「いいえ。毎年1〜2枚のアルバム制作は続けたいと思います。これはこれでロリータ・スプラウトというブランド名ということで」
 
↓ ↑ Bottom Top

記者たちは頷いている。
 
ひとりの記者が質問した。
 
「これを録音した時にですね。ケイさん・マリさんの未加工の生の声って、保存してないのでしょうか?」
 
私は同席していた則竹さん・加藤さんと顔を見合わせた。加藤さんはこちらに任せるという雰囲気だ。
 
「録音は存在します」
と私は答えた。
 
「それをリミックスして発売する予定は?」
「現在のところ、そういう計画はありませんが、もし要望が出てくれば検討してもよいと思います」
 

↓ ↑ Bottom Top

時間を戻して、昨日ライブが終わった後。
 
XANFUS, KARION, ローズ+リリー合同の打ち上げを行った。
 
大人数である。XANFUS, 神崎・浜名, パープルキャッツの4人で8人、KARION, Voice of Heartの4人、トラベリングベルズの5人 で12人、ローズ+リリー、シレーナ・ソニカの2人、スターキッズの7人、松村・更紗・夢美で14人。演奏者だけで34人。
 
これにXANFUS事務所の斉藤さんと白浜さん、KARION事務所の畠山さんと花恋、UTPの花枝と窓香で事務所関係者6人、★★レコードの南・滝口・氷川・加藤・町添に、今回のイベンターとなった★★レコードの子会社、★★公演事務の担当者2人と部長さん、でレコード会社関係8人。
 
以上合計48人で、もう「打ち上げパーティー」の雰囲気である。
 
↓ ↑ Bottom Top

圧倒的な数の女子組からの要望で「椅子に座れる場所」ということで、結局ホテルの披露宴などに使う会場を使い、丸テーブルに椅子で、適当に座って食べたり飲んだりしてね、ということになっていた。
 
「飲み放題・食べ放題ですか?」
とTAKAOさんが質問していたが
 
「一部『放題』にしないと怖いメンツがいるので、食べ放題、ついでに飲み放題になってます。テーブルに書いてある料理と飲物の種類でしたら、好きなだけ取ってください。但し明日の新聞に載るようなことはしないでくださいね」
と加藤課長が言う。
 
町添さんが乾杯の音頭を取って、みんなビールや烏龍茶で乾杯した。
 
↓ ↑ Bottom Top

前頁 次頁 時間索引目次

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8 
夏の日の想い出・月の三重奏(5)

広告:Shreanu-Beach-Queen防透インナーショーツ-ビキニタイプ・ローライズ用