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■春練(1)
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(C)Eriko Kawaguchi 2018-09-29
8月23日(木)に盛岡まで行き、文月・彪志と和解した青葉はその日はお食事会(出席者:文月・彪志・千里3・青葉)をしたホテルに彪志と2人で泊まり、翌24日のお昼は彪志の実家に行って一緒にお昼ごはん(ふたりで“上等な”お弁当やお総菜を買って帰った)を食べて、午後は文月と一緒にショッピングなどを楽しみ(この間彪志は放置)、夕方の新幹線で高岡に帰還した。
盛岡19:13(はやぶさ38)21:00大宮21:30(かがやき519)23:15富山23:33-23:50高岡
むろん大宮までは彪志が同行している。
翌日8月25日は、自宅近くの県高岡総合プールで富山県水泳選手権大会が開かれたが、青葉は女子800m,400mメドレーでぶっち切りの優勝、400m自由形でも竹下リルと結構競ったものの、最終的には2秒差を付けて優勝した。200mと200mメドレーは竹下に敗れて2位であった。
「青葉ちゃん、ほんと進化した。パンパシフィックで金メダル取った訳だよ」
といづれの競技でも3位に入った宮内さんが言っていた。
「友香ちゃんも次はリルちゃんに勝とう」
「なんか才能の差を見せつけられている」
「あの子も来年くらいには日本代表を争うようになるだろうね」
「結局、青葉ちゃん国体には出ないのね?」
「国体選考会の日は代表合宿やってたから」
「そうだったのか!」
8月23日の緩菜の出産を機に気力を回復した千里1は毎日常総ラボに出かけて南野鈴子と基礎的な練習を重ねていた。出産の傷も1ヶ月ほどで痛みが少なくなってきた。千里1は毎日搾乳をして、それを《いんちゃん》や《たいちゃん》が緩菜の所に届けていた。美映は初期の段階で何度か搾乳あるいは直接授乳を試みたものの全くお乳が出ないので諦め、冷蔵庫の中にいつの間にか入っている搾乳したお乳を、何の疑問もなく緩菜に飲ませていた。
彼女は細かいことは気にしない性格である。
《きーちゃん》は千里1が寝ている間に緩菜の所に転送して(あるいは緩菜を千里1の所に転送して)直接授乳をさせていた。それで緩菜は時々母から直接おっぱいをもらっている感覚があるものの、千里1はそのことには気付かなかった。また《きーちゃん》は美映が寝ている間に緩菜を京平の所に転送して兄妹のふれあいを体験させておいた。京平が
「かわいい!」
と言って嬉しそうにしていた。
なお、緩菜のお股はその後明確に陰裂が形成されてしまい、実際問題として女の子にしか見えないので、美映はこの子を男児として出生届けを出したことは取り敢えず忘れて!?女の子用のベビー服を買ってきて着せていた。
ところで・・・。
桃香は2016年11月に、妊娠直後に失職して以来、光熱費は千里が支払い、桃香の生活費は朋子からの仕送りに依存していた。但し実際にこの仕送りの原資は千里が提供していた。千里が直接、生活費を桃香に渡さないようにしたのは、桃香が千里に過度に依存しないようにするためである。
しかし千里が2018年3月に結婚したので、光熱費の支払いは桃香が直接するようにし、その分朋子は仕送りを増額した。実際には今まで千里が出していた生活費と光熱費は青葉が肩代わりした。
7月4日に信次が亡くなって以来、桃香は千里のことが心配なので週に2度は千葉の川島家に寄っていたのだが、8月24日、千里が突然元気になったのに驚く。
「千里どうしたの?」
「私も子供の母親になったから、頑張らなくちゃと思って」
「そうか!」
むろん桃香は現在仙台で代理母さんのお腹の中で育っている子供のことだと思っている。
「だったら私も少し頑張ろうかな」
それで桃香は世田谷区内のケーキ製造会社にパートで勤め始めた。その間、早月(1歳3ヶ月)は託児所に預けておく。
もっともパートの給料が手取り10万円くらいなのに託児料は7万円くらいなので差し引き3万という感じで、実際問題として食費にも足りない(3万でやりくりできる人はいるが桃香には無理)。それで結局朋子(実は青葉)に依存する
それでも朋子は
「あんたが頑張ろうと思ったのは評価してあげる」
と言っていた。
ところで・・・。
40 minutesのオーナーは千里なのだが、その千里は“7月に夫が急死して傷心状態”にある、あるいは異説では!?ワールドカップのためずっと合宿したり海外に出たりしている(友人たちの間でも意見が別れる)。どっちみちオーナーの仕事はできない。
Rocutesのオーナーは冬子なのだが、彼女は春先から夏場に掛けて、上島先生の代替で大量の曲を書き、激しい疲労で歌唱力まで落ちている状態。とても今バスケットどころではない。
江戸娘のオーナーは政子なのだが、本人にそもそも事務能力が無く、これまでも実際には冬子が大半の仕事を代行していた。しかしその冬子が今年は無茶苦茶忙しくてとても手が回らない。
ということで実はこの3つのチームのオーナーの業務を6〜7月以降、§§プロのタレントさんたちが代行してくれていた。
青葉が空いていれば青葉が代行できたのだが、青葉も超多忙だった。
今年もまたお正月の全日本バスケットボール選手権に向けて予選が始まっていたのだが、千葉県予選は早い時期の6月23日〜7月1日に行われ、ローキューツが圧倒的な強さで千葉県代表に選ばれた。この予選は国体選手選考会も兼ねているので、ローキューツのメンバーから6人も国体選手に選ばれた。
この時は青葉は合宿中で動けなかったので、結局、品川ありさがオーナーを代行してくれた。彼女は元サッカー選手なので、スポーツチームの統率というので張り切っていた。彼女は身長176cmなので背の高いバスケガールたちの中にいても「背の高いセンターさんですね」と言われる。
なお、国体の関東ブロック予選は8月18-19日にひたちなか市で行われ、千葉県代表は初戦で栃木代表に敗れ、本戦出場はならなかった。
なお今年、全県代表になるのは少年男子である。
さて全日本の東京予選は8月25-26日に行われた。ここで江戸娘のオーナー代行は高崎ひろか、40 minutesのオーナー代行は姫路スピカがやってくれた。両者は決勝戦で激突し、40 minutesが勝ったが、負けた江戸娘の高崎ひろかは泣き出してしまい、選手たちが慰めるなどという一幕もあった。
打ち上げは例によって両チーム合同で行われたが、オーナーが未成年なので、アルコール無しということで実施した。
8月28日(火).
青葉は東京で◇◇テレビの2020年春入社希望者向け、上級セミナーがあるので出かけて行った。半月前のセミナーでは20名参加者がいたのが今回は10名である。半分は振り落とされたようだ。前回青葉に執拗に精神攻撃を掛けていた女性は落ちていた!彼女は他にも数人に同様のことをしていて目に余るので性格的に問題ありとみなされて落とされたのかも知れないという気がした。
会社は競争ではなく協同で成り立つので協調性に欠ける人は排除される。
セミナーの内容はメニュー的には似ているものの、より高度な思考を要求されるものが多く、青葉にしても他の参加者にしても「あ、そうか」と思う場面が多かったようである。
翌日8月29日(水)には今度は大阪のЭЭテレビ(東京の◇◇テレビと同系列)でやはり2020年春入社希望者向けのセミナーが行われた。こちらはニュースの原稿読みより、トークに時間が取られたが、青葉は「みんなすげー」と思った。さすが大阪の局を受けようという人たちだけあり、ユーモアセンスの豊かな人が多かった。東京の◇◇テレビのセミナーに来ていた人も結構いた。
私、お笑いセンスが欠如してるとよく言われるからなあと思いながらも頑張ってトークに参加していた。
松本花子システムは、7月中に演歌を書くシステム、8月中旬にケイ風の曲を書くシステム、8月末にアイドル歌謡を書くシステムがだいたいできあがり(日々の調整はずっと続けて行く)、9月に入ると自動編曲システムに取りかかった。
これは最初に、夏休みの間にイリヤさん、イリヤのお父さんの2A17さんと、鮎川ゆまの3人で話し合いながら試作品を書き、途中から、青葉の親友でプログラミングが得意な奥村春貴(K大学の情報数学コースに在籍中)が加わって、8月中にだいたい形を整える。そして9月に作曲システムの方が一段落して余力の出来た《せいちゃん》と矢島さんが入って、9月中旬にはアイドル歌謡の編曲システムがだいたいできあがった。
最初にアイドル歌謡をやったのは《せいちゃん》がアイドル歌謡の作曲システムをやっていたので、脳を切り替えずにそのまま入ることができたからである。
なおこの手のシステムには「完成」というものは存在しない。日々改良を続けていくのが宿命である。「だいたいできあがり」というのは、取り敢えず制作者の監視下のもとで運用を始めても差し支えない状態になったことを意味する。
そのあたりが、銀行勘定系システムや、販売管理システムのような、古典的なシステムとの大きな違いである。
ところで・・・。
編曲システムを開発しているイリヤ、2A17、鮎川ゆま、奥村春貴のグループは、東京の大田区に確保した3LDKの賃貸マンション(家賃11万円)で作業を進めていたのだが、作曲システムとの整合性確保のため、北海道の小樽市で作業をしている矢島さんが度々こちらに来訪した。
(羽田から近いことから大田区を選んだ)
矢島さんが最初にこのグループを見た時言ったのが
「性別が分からん」
ということだった。
「あら、私は女の子よ」
「私、だいたい男と思われること多いです。男子トイレ入っても何も言われないです」
「私、一応女のつもりですが」
「すみません。女の子の一種と思って下さると助かります」
「うーん・・・・男1人、女3人?」
「数え方によっては、男3人、女1人かも」
「戸籍上は男2人・女2人かな」
「ブラジャーつけてる人は?」
「多分3人」(イリヤ・2A17・春貴)
「女湯に入れる人は?」
「たぶん2人」(イリヤ・ゆま)
「ホテルのレディスルームに泊まれそうな人は?」
「たぶん3人」(イリヤ・ゆま・春貴)
「女子トイレで悲鳴をあげられない人は?」
「確実に2人」(イリヤ・春貴)
「ちなみに、そちらは女性ですか?MTFさんですか?」
と性別がいちばん怪しい50歳くらいの人(2A17)から尋ねられる。
「自分でも自信が無い。私、スカートとか1枚も持ってないのよね〜」
と矢島彰子は答えた。
なお、情報交換はだいたい週に1回、矢島がこちらに来る週と、2A17さんが小樽に行く週を設定していたが、2A17さんが小樽に行くと、間枝星恵が異様に喜んでいた。
「インスタグラムにあげたらダメ?」
「それやると学校首になるから勘弁して」
彼女(彼?)は一応学校の教師である。
なお2A17(ひまわり女子高2年A組17番)は堂々と性別Fの航空券を使っているし、マイレージカードも女性名義のものを使っているようであるが(女性名義のクレカも持っている)、だいたい搭乗口の所でGHさんが一瞬悩むような顔をするらしい。本当は女子高制服で出歩きたいらしいが
「さすがにそれだけはやめろ。警察に通報するぞ」
と娘(イリヤ)から言われ禁止されているので、出張の時は普通の女性用ビジネススーツのことが多い。
彼(彼女?)は女子トイレを使おうとすると高確率で悲鳴をあげられるので(*1)本人は不本意のようだが、だいたい多目的トイレを使っている。男子トイレに行くと「混んでるからって男便所に来るなよ」と言われるので、多目的トイレの無い所ではトイレに入れずに困るらしい。むろん彼は立っておしっこをすることはできない状態である。本人も「20年以上立ってしたことはない」と言っている。
「イリヤ・パパさん、まずは女の声を出せるようになりましょうよ」
「だいぶ練習しているけど、なかなか難しくて」
(*1)通報されたこともあるが、自分は性同一性障害であると主張し、ヌードになってみせたら
「ああ、性転換手術なさっているんですね。それならいいです。失礼しました」
といって解放されたらしい。
でも手術はしていない!女体偽装しているだけである。
ただ、彼は日頃の努力でウェストはくびれているし、体毛もヒゲもレーザー脱毛しているので、肩が張っていることを除けば、充分女らしい体型はキープしている。彼は63cmのスカートが穿ける。むしろヒップが94cmあるので実は男性用のズボンが穿けない。学校で教壇に立つ時のスーツはオーダーである。
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