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■春練(2)

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「しかしまあ、このプロジェクトはそもそも性別の怪しい参加者が多い」
「むしろ全く怪しくない人が居ない気もする」
 
「え〜?私は〜?」
と間枝星恵が言ったが
 
「いや、あんたも充分男らしい」
と2A17から言われていた。
 
「むしろ男の娘だと誤解されるでしょ?」
「それはありますね。あなたなら女子トイレ使ってもいいわよ、とか言われたことあるし」
と星恵。
 
「でも学校で、あの先生ちょっと変じゃない?とか言われたりしないんですか?」
と矢島から訊かれる。
 
「猫かぶってるからね。学校ではいつも男装してるし。眉毛も偽装してるし。でも女先生のお友だちは多いよ」
「やはりね〜」
 
「女生徒からの恋愛相談とかよく受ける」
「信頼されてるんですね〜」
 
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「まあ私は男心も女心も理解はするからね。あと若い女先生から化粧品のお勧めを訊かれることもある」
「だいたい性的な指向はバレてるわけだ?」
 
「学校の行事で水着になることはないんですか?」
「あら、私はちゃんと男の水着が着れるわよ」
「女の水着も着れますよね?」
「もちろん。ビキニも5つ持っているし」
「ああ」
 
「でも以前海浜学校をした時は『君は水着にならなくていいから』と教頭から言われて、結局リゾートウェアのままだった。せっかく私の泳ぐところ、生徒に見せてやりたかったのに」
 
「いやそれは教頭先生の判断が正しい」
 
「なぜか女子生徒の宿舎の入口の番をすることになった」
「それは最も適切な人選という気がします」
 
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松本花子システムの編曲システムはロジックのバリエーションや使用楽器により、固有名を付けた。
 
Lovely (Yamada-11) 美川月花(責:五島節也)
Cute__ (Yamada-12) 愛野礼奈(責:鮎川ゆま)
HotPop (Yamada-13) 南海妃呂(責:奥村春貴)
PopRock(Yamada-14) 北沢晶菜(責:清原空帆)
Ballade(Yamada-15) 上杉光世(責:イリヤ)
House__(Yamada-16) 下松香澄(責:2A17)
 
Kei電子(Yamada-17) 岡原加奈(責:鮎川ゆま)
Keiアコ(Yamada-18) 岡原世奈(責:イリヤ)
 
演歌旅情(Yamada-19) 立山陽菜(責:五島節也)
演歌都会(Yamada-20) 中島朱美(責:2A17)
 
これを編曲者名としてクレジットする。
 
各パソコンで動いているソフト(Perl)は基本のプログラム(責:矢島彰子)から各々の責任者の感覚と好みによって自由に改造していいことにしている。但し変更内容については必ず矢島さんに報告し、可能な限り共通ルーチンや管理データの変更で対応する。また、バグフィックスの時に各々のブランチに修正漏れが出ないようにするためバージョン管理ソフトを使ってしっかりと管理している。
 
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9月5日(水).
 
K大学水泳部のメンバーはインカレ(日本学生選手権水泳競技大会)に出るため、東京に出てきた。今回の会場は横浜国際プールである。今回の遠征メンバーはこのようになっている。
 
女子9名 布恋(4.部長&マネージャー) 青葉(3.部長代行) 杏梨(3) 蒼生恵(3) 希美(2) 百合花(2) 夏鈴(1) 美虹(1) 萌香(1)
男子9名 佐原(4.部長&マネージャー) 中原(3.部長代行) 春貴(3) 邦生(3) 皆橋(2) 裕夢(2) 高岩(1) 蓮沼(1) 小阪(1)
 
これに引率の角光先生と、もうひとりマネージャーとして4年生の幸花の合計20名である。男女とも部長が選手としての参加資格を持っていないので、選手しか入れない場での話し合いなどには各々選手として登録されている青葉と中原さんが部長代行として出て行く。
 
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女子はシード権を持っているので団体出場、男子も中部予選で2位になって団体出場の権利を取り、やはり団体で出てくることができた。ちなみにこのメンバー表は女子部長の布恋が書いたものだが、男子の中で苗字ではなく名前になっているのは“女子扱い”の部員で布恋は「女子更衣室使っていいよ」と言っていたが、各々の反応。
 
まずは奥山春貴。
「女子更衣室使わせてもらう。去年は男子更衣室でだいぶトラブった」
「今年はずっと女子更衣室使っているね」
「でもプールに入る時はおっぱい曝さないといけないって可哀相」
「開き直っているから」
 
彼女は男子選手扱いなので、FINAの規定により、公式大会では上半身を覆う水着を着けることができない(市の大会や北陸国立大学の大会などでは特に許可を得てふつうの女子水着を着けて男子の部に出ている)。しかし公式大会では男子水着にならないといけないので、結構発達したバストを曝すことになるし、そもそも女子更衣室でトラブルの元になる(男子更衣室ではもっとトラブる)。
 
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それで青葉−千里の仲介で、水着メーカーと相談の上、FINAマークの入った男子用水着と、それと共布で、彼女の身体サイズにピタリ合う上半身パーツを作ってもらったのである。女子更衣室ではこの上下を着た状態に着換える。両者はマジックテープで接続されるので、一体として着脱できる。そしてプールに入る直前に上半身パーツを取り外し、離水したらすぐにそれを着る。
 
そうすることで、彼女のバストはほとんど衆目に曝されずに済むのである。そのような運用をすることで、各々の大会の主宰者の承認を得ており、今回もインカレの運営に文書で承認をもらっている。もっとも男子種目で女子水着を着たままプールサイドまで行くと、知らない選手や観客には結構不審に思われる。(バストもあるし)
 
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次いで吉田邦生。
「なんで俺が女子扱いなんですか?俺が女子更衣室に入ったら逮捕されますよ!」
「じゃ男子更衣室でもいいや」
 
そして桜池裕夢は本人が発言する前に百合花が言った。
「裕夢が女子更衣室に入ってきたら、即切り落とすから」
と言って、いきなりペティナイフを取り出す。
 
「ちゃんと男子更衣室に行くよ。姉貴、なんで僕が女子扱いなのさ?」
「そういう発言をスカート穿いて言っても説得力が無い。ついでにユリちゃん、そのナイフ没収」
と言って布恋は百合花のナイフを取り上げた。
 
そういう訳で3人の内、春貴と裕夢は女装である。トイレも裕夢は堂々と女子トイレを使っている。しかも百合花とおししゃべりしながら並んでいる!
 
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「あと裕夢と百合花は大会中セックス禁止ね」
「さすがにこんな時にしませんよ!」
と2人は言った。
 

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その日は東京江東区のホテルに宿泊する。部屋はだいたいツインでこのようにしている。
 
角光先生・佐原部長/中原・皆橋/春貴・裕夢/邦生・小阪/高岩・蓮沼
布恋・百合花/青葉・杏里/幸花・蒼生恵/希美・夏鈴/美虹・萌香
 
春貴と裕夢を一緒にしているのは女装者同士だからである。実際には春貴はMTFだが裕夢はただの女装趣味であって、女の子になりたい訳では無い。しかし着換える時にお互いに気兼ねが無い。布恋と百合花を同室にしたのは百合花が裕夢と会ったりしないよう監視するためである。女性は8階のレディスフロアなのだが、女装している裕夢はそこに進入しても不審には思われない問題がある。
 

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6日は次の連絡で会場まで行く。
 
住吉9:22(半蔵門線)9:50渋谷9:59(東急東横線)10:18日吉10:26(地下鉄グリーンライン)10:35北山田
 
例によって春貴は入場でトラブるが布恋が事情を説明し、ADカードの写真と見比べて通してもらう。春貴は女子更衣室を使ったが、特に問題は無かった。この日は公式練習だけなので、春貴は大会で使用する特殊な水着ではなく、普通の女子用競泳水着を使っていた。
 
一方、裕夢は自粛して中性的な服装をしていたので問題なく入口は通れた。裕夢は男子更衣室を使ったが「へ?」という感じで目をやる人たちが結構いた。一応自粛して男子下着をつけているのだが、それでも体型や髪型、それに雰囲気でけっこう女の子に見えるのである。
 
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夏鈴は丸刈りで異彩を放っていたが、入場でも女子更衣室でも特に問題は起きなかった。スポーツ女子にはたまに丸刈りの子がいるので、女子更衣室でもチラ見される程度である。
 
「でも夏鈴ちゃん、日常では結構トラブるでしょ?」
「私ロッカーですーとか言っておくと納得されますよ」
「なるほどー。でも楽器やるの?」
「ベース弾きますよ〜。ドラムスも打てますよ。高校時代はほんとにバンドしてたんですけどね」
「おっ凄い」
「ガールズバンドの大会に出ていった時は、男子メンバーがいる場合、ガールズバンドとは認められないんですけどとか言われました」
「お約束、お約束」
「つまり高校時代も丸刈りだったの〜?」
「水泳部のトップ選手だったから、丸刈りにしてても何も言われなかったです」
「まあ普通は校則違反だな」
 
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「大学では水泳少女だけでいきます」
「それもいいよね」
 

この日は練習だけなので、このプールに慣れることを目的として軽く泳ぎ、監督者会議に出る角光先生以外は、すぐに引き上げた。そして江東区に戻ってからは深川アリーナに行き、ここのプールでたっぷり練習させてもらう。
 
ここには以前25m×4コースの小型プールがあったのだが、意外に利用者があるので、25m×8コースのプールに置換し、4コースのプールはサブ体育館の地下に移設した(FRP製なので掘り起こして搬出し、サブ体育館側に埋めた。工事も一週間で済んでいる)。それでこの8コースの方を時々近隣の中学や高校の授業や大会に貸している。実はその貸し賃がかなり美味しく深川アリーナの採算に大きく寄与している。
 
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夏の間は8コース、4コース、ともに運用し、9-11,4-6月はメインプールのみ、12-3月はサブプールのみの運用としている。いづれにしても24時間どちらかのプールは使えるようにしているのは“地球を股に掛けて活動している”千里の個人的な都合なのだが、玲央美やローザ、ソフィア、純子など、夜間の常連利用者もいる。
 
今回は9月2日(日)でいったん運用休止する予定だったサブプールを9月9日まで延長運用した上で、メインプールをまるごと5日午後から9日朝までK大に貸すのである。
 
それで昨日も実はホテルに到着した後、ここで練習していた。バスケ関係の利用者はこの期間サブプールを使うので、メインプールはK大で独占して使用できる。こういうのは公共のプールでは考えられないことである。希美や夏鈴などが喜んでたくさん泳いでいた。
 
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「24時間使えるって凄いですね」
「まあ私設の体育館ならではだね。基本的には一般に開放していないみたいだし」
「料金とかはどうしたんですか?」
「青葉が個人的に払ったから問題無い」
「へー」
「ここのオーナーがお姉さんだからね」
「あ、そうだったのか」
「実際には47%の株を所有しているらしい」
「すごー!」
「牛丼もおいしかった」
「体育館に牛丼屋さんがあるって面白いね」
「24時間営業だしね」
「牛丼屋さんにケーキが置いてあるのも面白い」
「そのケーキがかなり売れているようだ」
「ピザ頼んでいる子もいたね」
 
ケーキやピザは同じ資本系列の近隣のファミレスから持って来ている。ピザは注文してから配送を頼むので焼きたてが届く。
 
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この牛丼屋さんは最初は11-14時、16-21時の営業だったが、練習に来る選手が24時間いるし、近くにマンションやホテルも多く、夜間の利用者が結構いるので24時間営業にしたのである。しかし実は牛丼屋さんのスタッフの中に40 minutesやローキューツのメンバーがおり、夜間はこの子たちが中心に運用していて、お客さんがきたらスタッフ、いない時は練習していたりする。
 
「やりとりしてるの聞いたけど、お姉さんが『じゃ使用料金20億円ね』と言ったら青葉が『じゃ20円振り込んでおくね』と言っていた」
「昔の八百屋さんの大根100万円みたいな話だ」
「本当にいくら払ったのかはよく分からない」
 
なお会場が横浜なのにわざわざ東京都の、しかも東部に宿泊したのは、このプールを使うためである。
 
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9月7日(金).
 
競技が開幕する。この日は青葉の出番は無かった!青葉が出場する400mメドレーも800m自由形も明日以降である。今回青葉は400mリレーのメンバーにも入っていない。短距離に強い選手で構成したからである。うちの部も随分層が厚くなったなと青葉は思った。この日の結果は下記である。
 
女子400mレリーのメンバー:杏里(3)→美虹(1)→希美(2)→夏鈴(1)
 
自400 杏里(6) 百合花(11) / 春貴(3) 皆橋(8) 邦生(14)
背200 萌香(7) / 裕夢(7)
平100 美虹(10) / 蓮沼(12)
女子R400 (1) 男子R400 (15)
 
まずは女子400mリレーで金メダル1枚獲得である。春貴も銅メダルを獲得した。彼女は表彰台に昇る時は、上半身パーツも着けた状態で登っていたので、男子の表彰式に1人女子が混じっている感じであった。彼女は実際に競技をする時以外はこの格好で良いことになっている。実際この上半身パーツを着けていなかったらBカップの胸を公衆の前に曝すことになり、風紀上(?)の問題が生じる。
 
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春練(2)

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