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■春宴(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2015-01-30
 
夜中ふと目が覚めたら布団のそばに古めかしい服を着た女性が2人座っていた。
 
「こちらにお越し下さい」
と言われ何となく付いていく。
 
どのくらい歩いたろうか。結構歩いた気がしたのだがやがて一行は古いお屋敷のような所に入って行く。廊下を歩いて行くと、広い畳の部屋の奥に着飾った女性が座っていた。
 
「お入りください」
と言われたので、彼は部屋の中に入った。
 
高貴な女性のそばに仕えている女性が訊く。
 
「そなた琵琶が得意と聞いたが姫様に聴かせてくれぬか?」
「えっと琵琶は弾いたことないです。ギターなら弾きますが」
「ぎたーとな?」
「まあ琵琶と同じ撥弦楽器ですよ」
「それでよい。弾いてみよ」
「でも楽器が」
 
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と言ったら、ここまで導いてきた女性が自分の愛用ギターJ-45を取ってきてくれたので彼はそれを受け取り
 
「何かお好みの曲とかありますか?」
と訊く。
 
「何でも良い。弾いてみよ」
 
と言うのでGO!GO!7188の『ジェットにんぢん』を弾き語りする。
 
半ば受け狙いだったのだが、何だか真剣に聴いている!? 姫様が何だか涙を流している!?? 涙流すような曲だっけ??
 
そして演奏が終わると
 
「なんと素敵な歌じゃ。姫様はいたく気に入られたぞ」
などとお付きの人が言う。
 
「いや、こんなんで良ければいつでもお聴かせしますが」
と言ってしまったが、彼はこのことばを後悔することになる。
 
「そなた、実は亡くなった姫様の娘に似ているのだ。それで姫様が関心を持って、良かったらそなた、姫様の娘にはなってくれないか?」
「娘って・・・・私、男ですけど」
 
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彼がそういうと一瞬なんだかざわつく雰囲気。
 
え?俺まさか女に見えないよね??
 
「ではそなた女になったら姫様の娘になってくれるか?」
「ははは。それはいいけど、私男だし」
 
と言ったのだが、すると
 
「ではこちらへ」
と言われる。
 
どこか台の上に寝ている感覚がある。あれ?やはり夢を見ているのかなと思う。いつの間にか裸にされている。何されるんだ?と思うが、身体が動かない。
 
誰か柔らかい手でアレをつかまれる。
 
「サイズを測りなさい」
という声がある。何か冷たい金属製のものを当てられる感覚。
 
「6cmちょうどです」
「記録しなさい」
 
それで記録紙に記入されているようだ。しかし女に掴まれていると思うと反応してしまう。
 
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「大きくなりましたね」
「それも測って」
「16cmちょうどです」
 
「胸のサイズも測ります」
「アンダーバスト84cm, トップバスト88cmです」
「AAAカップだね」
 
AAAカップ? そんなのあるんだ? などと思う。
 
「では注射をする」
 
何それ〜?
 
と思ったが、注射針があそこの先に刺される感覚がある。
 
ぎぇー!と声をあげたくなる。でも声は出ない。痛いじゃんか!!!!
 
「そなた、そもそもまるで女人のように美しい顔をしているのに、お股にこんなものが生えているのは不便であろう。これが小さくなるようにしてやるから。小さくなって、やがて無くなってしまったら姫様の娘になってくれ」
 
何〜〜〜!?
 

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2014年春。青葉は高校2年生になった。
 
2年生になる時に普通科クラスは進路別の組み分けがなされたのだが、青葉たちの社文科と隣の理数科はクラス変更は無いので1年の時と同じクラスで持ち上がりである。担任も音頭先生が引き続き担当する。
 
この年青葉たちのT高校では「部活の統廃合」が実施された。生徒数が840人しか居ないのに、部活は昨年春の段階で38部・4同好会・6愛好会があった。
 
ここで昨年12月末段階で2年生以下の部員数が10人以下の部について他の近隣分野の部との統合が打診され、その結果11人以上になれなかった部は4月1日付けで同好会に格下げされることになった。あわせて5人以下の同好会は愛好会に格下げ、2人以下の愛好会は廃止となった(実際2人では学校の活動としてやる意味に疑問がある)。
 
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この結果、T高校の部は20、同好会が2、愛好会が3となった。
 
応援部、相撲部、華道部などが部員ゼロで消滅した。ソフトボール同好会は野球部と合流して日程が許す限り両方の大会に出ることになり、柔道部と剣道部が合体して格闘部に、硬式テニス部はソフトテニス部に事実上吸収されてテニス部の名称に、囲碁部と将棋部も合体して棋戦部になっている。
 

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「ソフトボール同好会は5人しか居なかったからね」
「試合できないじゃん」
「いつも助っ人を頼んで出場してたんだよ」
 
「バスケ部もやばかったんだけど、男子バスケ部と女子バスケ部が合同する形で廃部を免れた」
「その人数では試合に出られないのでは?」
「男子の試合では女子部員が男装して、女子の試合では男子部員が女装するとか」
「それはさすがに無茶」
 
「実際、男子バスケ部が6人、女子バスケ部が5人だったんだよね。バスケって公式大会ではバスケ協会の登録証持ってる選手しか出られなくて臨時の助っ人禁止だから正式部員が5人居ないと大会に出られないらしい」
 
「でもそれ誰かが退場になると即負け」
「いや、2人までは続行できるらしい。1人になったら没収試合」
「でも2人じゃ勝負にならないでしょ」
「まあディフェンスのしようが無いし囲まれたらパスもできないし」
 
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「C高校の女子バスケ部なんてインターハイとか皇后杯にも出てるのに」
「うん。だからバスケ強い女子はみんなC高校に行っちゃうみたいね」
 
さて、青葉たちのコーラス部は3年生を除くと10人、空帆(うつほ)たちの軽音部は7人でどちらも「肩たたき」をされた。それで夏の大会に合同して出場した経緯から部としても合流することにし、合唱軽音部という名前になることになった。部長はコーラス部の真琴さんと軽音部の郁代さんでジャンケンして真琴さんが部長、郁代さんが副部長ということになった。顧問は軽音部の顧問が3月で他校に転任してしまったこともあり、コーラス部顧問の今鏡先生が新しい合唱軽音部の顧問ということになった。
 
「でも私、軽音の楽器のことがよく分からない」
などと今鏡先生は言っている。
 
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「ギターとベースの区別ができたら充分ですよ」
と空帆は言ったのだが
「ベースってギターに似た楽器で弓で弾く奴だっけ?」
などと先生に言われて、空帆は何から説明すべきか悩んでいた。
 

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そういう訳でともかくも4月の中旬には新入生部員を迎えたのだが、
 
「私、ギターは弾けるけど音痴なんですけど」
などという子には、コーラスの大会に出る時は口パクでいいからと言って招きいれたし、逆に
 
「私、歌うのは好きだけど、楽器はカスタネットくらいしかできないです」
という子には
 
「うん。カスタネット担当で」
と言って招き入れた。
 
また1人男子で
「ここ女子だけですか?」
と訊いてきた子がいたので
「大丈夫。男子もOKだよ」
「別に女装させたりはしないから」
「まあ本人が女装したかったら協力するけど」
 
などと言ってその子も招き入れる。(かなり不安そうな顔をしていた)
 
それでとりあえず新入部員15名を入れて32名という、何とかコーラスの大会に出るのに恥ずかしくない人数になる。
 
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3年生 6人
川瀬真琴(MS2/Ten.Sax) 椿原康江(MS2/KB) 菅野都美子(A/Tb) 郁代(MS2/Gt2) 朝美(MS1/Tb) 美香(A/Bass)
 
2年生 12人
川上青葉(Sp/A.Sax)、上野美津穂(MS1/Cla)、大谷日香理(A/Tb)、呉羽ヒロミ(MS1/Tp) 杉本美滝(Sp/Tb)、沢田立花(A/A.Sax)、竹下公子(MS2/Tp) 吉田邦生(エア歌唱/Tuba) 清原空帆(Sp/Gt1)、黒川須美(MS1/Dr)、治美(MS1/Tp)、真梨奈(A/Tb)
 
1年生新入部員 15人
久美子(Sp/A.Sax) 佐絵(Sp/Cla) 真佑(Sp/Tp) 彩菜(Sp/Fl) 衿香(Sp*/Gt1) 和紗(MS1/Fidd) 麻季(MS1/Euph) 菜美(MS1*/Gt1) 佑希(MS2/Dr) 乙音(MS2/Gt2) 友絵(MS2/Bass) 亜耶(A/Fl) 芽生(A/A.Sax) 衣美(A*/KB) 谷口翼(Pf/Bar.Sax)
 
1年生のコーラス・パート分けは各自の音域をチェックして人数バランスも考慮して決めた。但し、衿香・菜美・衣美は「政治的判断」で大会では口パクすることになった。なお、ピアニストに関しては、唯一の男子部員となった翼君が結構うまいので、どっちみち女の子の声は出ないしということで、彼にピアノを弾いてもらうことにして、康江さんは本来のメゾソプラノに配した。
 
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「翼君、もし何だったら女子制服を着てアルト歌ってくれてもいいけど」
「アルトの声出ません!」
「去勢したら出ないかな」
という声が出るが
「あれは10歳くらいで去勢しないと無理だよ」
と青葉は苦笑しながら答える。
 
「でもうちの部、おちんちん手術して取っちゃって、男子から女子になった子が2人もいるんだよ」
「え〜〜!?カストラートなんて無くなったんじゃないんですか?」
「あそこが無くなればカストラートになるというか」
 
「君も取っちゃわない?」
「去勢は勘弁してください」
と本人はマジでおびえながら言っていた。
 
「むろん去勢は希望する子だけで。強制はしないし」
「希望しません!」
 
「女子制服だけでも着てみない?」
「OGからもらっちゃうよ」
「その先が怖いから遠慮します」
 
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楽器については何人か明確な希望があった人はだいたいその楽器に割り当て、後は経験や性格・体格!などを基準に割り振った。敏子さんが卒業して浮いたバリトン・サックスのパートは、身長167cmの翼君を体格優先で任命。昨年は助っ人の世梨奈が吹いていたフルートは、ファイフの経験がある彩菜とお祭りの篠笛の経験がある亜耶を割り当てる。ベースが須美1人しかいなかったので、新入生の中でリズム感が良く、小さい頃エレクトーンを習っていたという友絵に担当させる。また楽器はカスタネットしかできませんなどと言っていた佑希を「ドラムスもカスタネットも似たようなもの」と丸め込んでドラムス担当にした。ただし、全員バンドで演奏するときは、佑希も友絵もパーカッション担当とした。
 
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そういう訳でパート別にまとめるとこうなる。
 
トランペット 治美 ヒロミ 公子 真佑
サックス Alto.青葉 立花 久美子 芽生 Ten.真琴 Bar.翼
トロンボーン 真梨奈 朝美 都美子 日香理 美滝
ユーフォニウム 麻季
チューバ 邦生
クラリネット 美津穂 佐絵
フルート 彩菜 亜耶
キーボード 康江 衣美
ギター 1.空帆 衿香 菜美 2.郁代 乙音
ベース 美香 友絵
フィドル 和紗
ドラムス 須美 佑希
 
ソプラノ(8) 青葉 美滝 空帆 久美子 佐絵 真佑 彩菜 衿香
メゾ1(8)  美津穂 ヒロミ 須美 治美 朝美 和紗 麻季 菜美
メゾ2(7)  公子 真琴 郁代 康江 佑希 乙音 友絵
アルト(8)  日香理 立花 都美子 真梨奈 美香 亜耶 芽生 衣美
Pianist 翼
 
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これを人数分コピーして全員に配った。2年7組の教室で何気なくその紙を受け取った吉田君は「へー、今年はチューバも入れるの?」などと言う。
 
「うん。だから吉田、頑張ってね」
と空帆が言う。
 
「ちょっと待て。ここに書いてある邦生って、まさか俺のことかよ?」
「あんた、邦生でしょ?」
「俺、別に軽音部員じゃねーぞ」
「大丈夫。ちゃんと部員名簿に書いといた」
「ひでー!」
「練習出てこいよ。部費は特別に免除してやるから」
「なんでだ〜?」
「1年生に男子部員1人入って来たけど、女子ばかりなんで怖がってるからさ、吉田が出てきたら少し安心すると思うんだ」
 
「お前ら、そいつにセクハラしてるだろ?」
 

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