広告:まりあ†ほりっく 第3巻 [DVD]
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■クリスマス事件(8)

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ボクはまず自分のそばに立っている男の方へ突然銃口を向けた。
 
「え?」
と男が言う間もなく、ボクは正確に男の目と目の間を打ち抜いた。
 
男たちは防弾チョッキを着ているので、倒すには頭を撃つしかない。しかも、ヘルメットをしているから、狙える面積はひじょうに小さい。今朝突入した警官たちも、それで犯人を殺せなかったのである。
 
「な!?」
もうひとりの男が驚いたような声を出して自分の銃をこちらに向けようとしたが、その前にボクはその男の眉間に次の弾丸を正確に命中させていた。
 
犯人たちは続けざまに倒れた。
 
ピクリとも動かない。ボクは大きく息をしていた。
 
そこに様子をうかがっていた警官隊がなだれ込むように入って来た。ボクはピストルを手から落とした。
 
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アリナが近づいて来てボクをハグしてくれた。
 

男たちは銀行で行員と客を34人も殺し、警官隊との銃撃戦で警官が10名死んでいた。そして学校の警備員とボクたちの担任が殺され、男子生徒18人が犠牲となり、更に突入した警官7人が射殺されている。死者は71名にも及んだ。銀行での銃撃戦でホロウファントム側も2人死んでおり、警備員にひとり撃たれ、ボクが残りの2人を撃って、犯人も全員死亡である。
 
おびただしい犠牲者だ。
 
女子生徒の数人が目を瞑り合掌するようにして男子生徒の遺体に向かって祈りを捧げていた。
 
その時、その遺体の山の中からひとりの男子が起き上がった。
 
「きゃー」
と祈りを捧げていた女生徒たちが腰を抜かして驚いた。幽霊かゾンビか?とでも思ったのだろう。
 
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「ニッケ!?」
「もう大丈夫だよね?」
と彼は言った。
 
「生きてたの?」
「やばいと思ったから、やられた振りして真っ先に倒れた。そのあとじっと身動きひとつせずに死体の振りしてた」
 
「良かった」
と言ってボクはニッケに飛び付くようにして抱きしめた。
 
「どうせならサンドラにでも抱きしめられたかったな。でもお前の身体も柔らかいな。なんかほんとに女に抱かれているみたいだ」
とニッケが言う。
「だって私、女の子になったもん」
 
「ハルアは前から柔らかい身体だと思ってたよ。だからさっき犯人たちに抱かれても、女に成り立てとは思われなかったんだろうね」
とアリナが言った。
 
「でも腹減った。お前たちが差し入れの飯食ってる音聞いて、俺も食べてーと思ったけど、言うわけにもいかないしさ」
 
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「事件の前、お昼にチキン食べた時に死んでもいいと言ってたけど、死なずに済んで良かったね」
とイリヤが言う。
 
「そうそう。あのチキンの味を思い出してたよ」
とニッケが言うので、ボクはニッケに抱きついたまま言った。
「フライドチキンで良ければ、また揚げてあげるよ」
 
「お、食べてぇ。だけどハルア、格好良かったぞ」
「必死だったよ。撃たれる前に撃てってことば思い出した」
 
女性の警官がボクたちにドレスのような服を渡して着るように言った。ボクたちはそれを身につけた。トマスもそのドレスを着た。
 
「トマス可愛いよ」
とイリヤが言う。
「まあここは女の服でも我慢するよ」
とトマス。
 
ニッケは男子制服を着ていたのだが、他の子の血で酷いことになっているので、その制服を上下とも脱いだ上でそのドレスを着た。
 
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「なあ、トマス、女の服を着たら立たないか?」
とニッケが言う。
「お前元気だな。俺はもう疲れ切っててさすがに立たない」
とトマス。
「何だ。だらしない」
とニッケは答えた。彼は本当に立っていて、ドレスにテントができていた。
 
「犯人じゃないけどセックスしたい気分だぜ」
とニッケが言う。
「それも後で良かったら、させてあげようか?」
とボクは言う。
「マジ? この際、元男の女でもいいか」
「うふふ」
 
みんな各々の荷物(女子制服を含む)を持って、女性警官に導かれるようにして、外に出た。なんか記者のフラッシュがまぶしい。
 
親たちが居て、みんな一様に無事な娘たちとハグして親たちも娘たちも泣いている。ボクの母も飛び付いてきて、ボクを抱いて泣いた。ボクもようやく涙が出てきた。男子生徒がみんな射殺されたようだと聞いていたので、トマスの親とニッケの親は特に喜びようが大きかった。
 
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ここで自分の子供と会えなかった、男子生徒たちの親は男性の警官に導かれて教室内に入る。そして教室からは親たちの激しい慟哭が聞こえてきた。ボクはそれを悲しい目で眺めた。
 
なお、ボクは解放されてすぐに膣の洗浄をしてもらった。性感染症にやられていてはいけないというので抗生物質も処方してもらった。また、緊急避妊剤も飲まされたが、これが凄く気分悪く、ボクは半日くらいこの薬の副作用(?)に苦しんだ。
 

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事件が起きたのが24日の夕方で、解決したのは26日の深夜1時頃である。約33時間の人質事件だった。犠牲者の男子生徒たちと担任・警備員さんの合同葬儀が、27日に行われた。アリナが生き残った生徒を代表して弔辞を読んだ。ボクたちは献花していてまた涙が出た。
 
今年の終業式は中止となり、1月13日(日)まで休みと言われた。
 

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葬式の後、1組の生徒だけで簡単な会食をした。ただし23名の生き残った生徒の内出たのは15名である。残りの8名は精神的にひどくショックを受けていて、しばらく自宅で静養するという話であった。なお、死んだ担任に代わって、教頭先生だけが同席した。
 
「俺、男でひとりだけ助かって、何か申し訳無いような気がする」
とトマスが言うとニッケが
「俺も居るけど」
と言う。
 
「いや、お前が助かったので、俺ちょっとだけ救われた気分なんだよ」
とトマス。
 
するとイリヤが
「男だというのが申し訳無いのなら、男はやめて女の子になる?」
と言うが、トマスは
「それは嫌だ」
と答える。
 
「だけどあんた、私たちのおっぱい随分見たからなあ」
とイリヤ。
「できるだけ見ないようにしてたよ」
とトマス。
 
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「トマスは罰として女湯連れ込みの刑だな」
「勘弁して〜」
 
ボクは内務大臣賞をやると言われたが辞退した。クラスメイトの男子たちの犠牲を考えたら、そんなもの欲しくない。
 
「でもあんた性転換してなかったら、最初に殺されてたね」
とボクはネリカに言われた。
 
「うんうん。女の子になってて良かったね」
とケイカ。
 
「トマスじゃないけど、ボクもなんかそれが後ろめたい気分」
とボクは言う。
 
「だけどハルアが生き残ってなかったら、事件はまだ解決に時間が掛かってたよ」
とアリナは言った。
 
「同感。ふつうの子なら、完全武装した相手を一発で射殺できないもん」
「そうそう。警官が感心してたね」
 
「自分たちは防具に身を固めているし、女の子が撃つピストルだから、万一こちらを撃とうとしても大丈夫だろうと踏んで、ピストル渡したのだと思う」
とニッケが言う。
 
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「でも悪い奴とはいえ、人を撃ったのは正直良心が咎める」
「撃たれるよりは撃たないとね」
「それお父ちゃんも言ってたなあ」
 
「でもハルア、なんであんた自らセックスの相手を名乗り出たの?」
と訊く子がいる。
 
「だってボクはまだ女の子になりたてで、妊娠することないから。他の子がやられたら妊娠してしまう可能性あるじゃん」
とボクが言うと
 
「侠気(おとこぎ)があるな」
とトマスに言われる。
 
「女だから、女気(おんなぎ)だね」
とイリヤが訂正する。
 
「トマスも妊娠しなかったよ」
とボクは言う。
「だけど俺は男とはセックスできないよ」
とトマス。
「まあその時点でバレて射殺されていたな」
とネリカが言った。
 
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「やはりこの機会に、男とセックスできる身体になるため性転換手術を受けよう」
「だからそれは絶対嫌だって」
 

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1月上旬。予定より少し早く父が帰国したが、事件のことを向こうで聞いて、ボクの無事な顔を実際に見るまでは気が気じゃ無かったと言っていた。
 
「お父ちゃんはピストル使った?」
「今回は使わずに済んだ」
「良かったね。人を撃つのって、やはり気分良くないよ」
「しかしさすが青いリボンをたくさんもらっただけのことはある」
と父。
「それたくさんみんなからも先生たちからも言われた。射撃の先生から、お前、射撃だけは男子と一緒に授業受けない?とか言われたけど断った」
とボク。
 
「あんた料理の授業気に入っているみたいだしね」
と母が言う。
「うん。凄く楽しい」
「ここの所、ハルアが晩御飯作っているのよ」
と姉が言うと
「へー。やはりお前元々女の子になる素質があったんだよ」
と父は言った。
「へへへ。そうかも」
とボクは微笑んで答えた。
 
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1組の男子がトマスとニッケ以外全員死亡、担任も死亡という事態を受けて、1月からクラスの再編が行われ、ボクたちは複数のクラスに分散して授業を受けた。
 
1組の教室は死んだ男子生徒たちの血や、人質になっていた女の子たちがしたおしっこなどの跡、それに銃弾の跡などで、とても清掃不能ということで内装が全部交換されることになり、閉鎖されていた。4月からも普通教室ではなく、会議室として使うという話であった。
 
ボクは性感染症にやられていないか、1ヶ月おきに何度も検査されたが、特に異常はなく、無事だったようである。また妊娠した様子も無かった。
 
2月頃、ボクはクリスマスプレゼントにもらったピアスを初めてつけた。
 
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「ようやくクリスマスブーツの中身を全部使えた」
「良かったね」
と母が言う。
「まあ女の子の身体がクリスマスプレゼントみたいなものだったかもね」
と姉。
「女の子の身体はブーツには入らないからね」
と母は言った・
 
そして3月下旬、ボクは初めての生理を経験した。最初はどこを怪我したんだろう?と焦った。
 
「もう始まっちゃったのね!」
と母が驚いたように言った。ボクは初日はお姉ちゃんのナプキンを借りて使った。
 
「あとで薬屋さんに行って自分の好きなのを買ってくるといいよ」
「うん。アリナでも誘って見に行ってみる」
 
「でも早かったね」
と姉も言う。
 
「たぶんあの事件でセックスしたので刺激されたんじゃないかなあ」
とボク。
「事件自体のショックもあったかもね」
と母。
 
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事件はあっという間に風化していった。
 
4月からはボクたちは中学3年生になったが、あらためてクラスの再編が行われボクたちはまるで何事も無かったかのように、新しいクラスで勉学に励んでいた。ボクも随分女の子としての生活に慣れていった。そしてボクは5月頃にはもうAカップサイズのバストができていた。
 
「だいぶ膨らんで来たね」
と春の内科検診の時に、アリナがボクの胸に触りながら言った。
 
「なんかこういう場所に居るのに慣れた気がする」
とボクは検診を受けるのに待っている保健室の中で言った。みんな服を脱いでパンティだけの格好になっている。ボクはみんなのおっぱいを見ても特に何も思わなかった。
 
「ああ、去年までは男子たちと一緒に検診を受けたんだよね」
 
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「なんボクずっと前から女の子だったみたいな気がしてしまって」
「実際ハルアは自分が女らしい性格だということに気づいてなかったんだよ」
「そうなのかも」
 
「温泉とか結構行った?」
「お姉ちゃんに毎週のように連れて行かれた」
「それで女性のヌードがあふれている状態になれたのかもね」
「そんな気もする」
 

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「ところでニッケ君とはどこまで行ったの?」
とアリナから突然言われて僕はむせた。
 
「3回デートして、映画館と動物園と遊園地に行っただけだよぉ」
とボクは答える。
 
「セックスしてないの?」
「していいよと言ったけど、もう少しおっぱいが大きくなってから抱かせてと言うからOKした」
 
「キスした?」
「まだしてない」
「しようと言われなかった?」
「見つめ合って微笑んで、でもキスする勇気無くて。また今度にしようかと言い合った」
「それ絶対次はキスまで行くね」
「え〜!?」
 
「そのままセックスしてもいいよね」
「それは彼が求めたら応じる」
 
「避妊具ちゃんと付けてね」
「避妊具持ってる?」
「男の子とデートすると言ったら、お母ちゃんから1枚渡された」
「うん。いつも持っておいた方がいいよ」
「デートする時は10枚くらい持ってた方が良い」
「そんなに使うの!?」
 
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「でもハルア可愛いもん。ニッケもいいガールフレンドをゲットしたと思うよ」
とネリカ。
 
「そもそもハルアって、女の子になったらこの子もてるよね、と前からみんな言ってたんだよ」
とイリヤから言われる。
 
「まあハルアは小学校の内に性転換していてもよかったね」
とアリナ。
 
「ボク自身は、そんな気は全然無かったんだけどね」
 
「ところでハルア、いいかげん男の子みたいに『僕』と言うのやめたら?」
とネリカが言う。
「そうそう。『わたし』とか『あたし』と言いなよ」
とエミカが言う。
 
「ハルアはあらたまった場所ではちゃんと『私』と言っているんだけどね。それに男の子の前でも『私』と言ってる」
とボクをよく観察しているアリナが言う。
 
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「だったら女の子同士で話す時も使えばいいのに」
 
「なんか恥ずかしくて」
とボクは言う。
 
「でもハルアの使う『ボク』って男の子たちが使う『僕』とは微妙にイントネーションが違うんだよなあ」
 
「ああ、それは昔から思っていた」
 
「たまに居るボク少女のイントネーションだよね」
「やはりハルアは最初から女の子だったんだろうね」
 
 
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