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■神様のお陰・花育て(4)

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まどかは命(めい)の身体の上をずっとスキャンする。とにかく身体全体が衰弱している。胎児のころからの問題なのでさすがのまどかにもこれを丈夫にするのは難しい。女の子の服をずっと着せられていた時は女体側が活性化されて、男体側も支えられていた。でも、この子は取り敢えず男の子として生きていかなければならないだろう。
 
まどかは最初どこを入れ替えて、どこはそのままで・・・・と考えていたがだんだん面倒くさくなってきた。まどかは元々あまり精密なことを考えるのが苦手な性分である。(この付近も理彩と似ている)
 
まるごと入れ替えちゃえ! と思ったまどかは、手足と頭以外の部分を一気に女体側と入れ替えた。
 
「あれ?おちんちんなくなった」と命(めい)。
「あ、間違い間違い」と言って、まどかは性器だけ、男の子の方に戻す。
「あ、またできちゃった。無くてもいいのに」
 
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「ふふふ。でも、命(めい)はこれで7割くらいは女の子になったよ」
「えー?すごい。でも、どのあたりが女の子なんだろう?」
「これで、もう今回みたいな、ひどい熱で苦しんだりすることもないと思うよ」
「ほんと? こんなにねつがでるの、ぼくもつらいの」
「辛いよね。でも頑張ろうね。死んだら元も子もないしさ」
 
「しんだら、てんごくにいくの?」
「そんなものがあると聞いたことはないね。死んだら消えるんだと思うよ」
「ふーん。。。きえるってのも、よくわからない」
「まあ、そんなのは、死ぬ頃までに考えればいいよ」
「ぼく、いつしぬの?」
「今は考えなくていい。少なくとも、孫が何人かできるまでは生きてるよ」
 
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「へー。まごか・・・ぼく、リサとけっこんできる?」
「結婚出来るけど、それは命(めい)が理彩のお婿さんとして頑張ったらだね」
「おむこさんなの? リサのおよめさんじゃだめ?」
「理彩は女の子だからさ。命(めい)が理彩をお嫁さんにすればいい」
「あ、そうか」
「だから、命(めい)はお婿さんとして頑張んな」
「そうだね。がんばってみる」
 

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翌朝、命(めい)の熱が下がっていて、いたって元気なのに、母も医師も驚いた。
 
「うちの母が昨夜お百度を踏んでくれたらしいし、それもあったのかなあ」
「いや、もうこれは神様のお陰としか言えませんね」と先生も言う。
「でもほんとに良かった」
 
母はこの一週間の心労で体力的にも精神的にも疲れ果てていたが、元気になった命(めい)を見て、そんな疲れはどこかに吹き飛んでいきそうな思いだった。
 
命(めい)もさすがに一週間高熱で苦しんだので、身体がよく動かないようであったが、これなら2-3日で退院できますよと先生に言われた。
 
「ねぇ、命(めい)、退院したら、また女の子の服着て暮らすかい? 学校にも女の子の服で行っていいよ。私、先生にもお願いするから」
「うーんと。ぼく、リサをおよめさんにしたいから、男の子としてがんばる」
「へー!」
 
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命(めい)は月曜日には退院し、そのまま男の子として小学校に通い続けた。そして、そのような原因不明の高熱で倒れることは、その後全く無くなった。
 
それまで男子トイレに入っても個室でおしっこしていた命(めい)が、小便器で立っておしっこするようになったのも、それからであった。
 

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命(めい)が入院していた時期、高熱に苦しんでいた間は意識も途切れがちだったし、尿道にカテーテルを入れて導尿されていたが、熱が下がり意識も明確になってからは、尿器でおしっこをした。この時、最初男の子用の尿器を渡されたものの、命(めい)はこれをうまく使えなかった。
 
「使い方分かるかな? おちんちんの先を尿器の口の中に入れるんだよ」
と言われてやってみたのだが、先を入れて出し始めると、どうしても先が外れてしまうのである。しかも命(めい)のおしっこは、おちんちんの先端からまっすぐ飛ばず、実に不思議な方向に飛んで行く。それで、毎回服やシーツを濡らしてしまうので、下に防水シーツを敷かれてしまった。
 
ところがそんな悪戦苦闘をしていた翌日、年配の看護婦さんがたまたま同室の他の科の患者のところにまわってきて、命(めい)と若い看護婦さんのやりとりを聞いていて
「ねぇ、君。男の子用でうまく行かないなら、女の子用を使ってみようか?」
と言った。
 
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女の子用は口が広いので、おしっこがどこに飛んでも大丈夫である。ただし、漏れないようにぴたりと身体に密着させておく必要がある。命(めい)は教えられて、お股の付近全体を覆い、身体にしっかりとくっつけた。
 
おそるおそるおしっこを出してみると、確かに飛び出したりしない。一部が皮膚を伝わって流れていくが、身体に密着させているので、その密着部分でちゃんと尿器に回収される。あ、これいいな、と思った。
 
そういう訳で命(めい)は退院当日にやっと立ってトイレに行けるようになるまで、女の子用の尿器のお世話になったのであった。
 

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命(めい)が小学3年生の時である。
 
命(めい)たちの集落には遊具のあるような公園もないし、小学校にはスクールバスに乗って10分くらい行かなければならず、あまり遊び場が無いので、結果的に裏山で遊ぶ子が多かった。裏山には畑を作っている農家も多いし、キノコや山菜・山草などを取りに入る大人も多い。そこで、裏山で遊んでいても結構大人の人と遭遇することが多かったし、結果的に子供たちが裏山で遊ぶのを、大人たちも許容していた。
 
ふだんはだいたい集落から歩いて登って10分程度以内の「里山」「内山」の範囲で遊んでいるのだが、その日、理彩は命(めい)を連れてかなり奥の方まで登っていた。上級生の女子から、30分ほど登った所に温泉があるという話を聞き、そこまで行ってみようと命(めい)を誘ったのである。
 
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山歩きに慣れてない者なら大人でも迷ってしまうような場所だが、小さい頃からこの山で遊んできた理彩は、上級生から聞いた場所に辿り着けるという自信があった。命(めい)は外で遊ぶより、家の中で折り紙をしたり、お人形で遊んだりしている方が好きなのだが、活発な理彩に引かれて、付き合うことになった。
 
「リサ〜、そろそろつかれてきたよ〜」
「メイ、男の子でしょ。がんばりなさいよ」
「つかれるのに、男も女もないと思うけどなあ」
「わたしは元気だよ」
 
と理彩は言うが、実は自分もけっこう疲れている。ふたりは時計を持っていないが、たぶん1時間くらいは歩き続けているような気がした。理彩は少し前から『ひょっとしたら迷ったかも』という気が、し始めていたのだが、それを口にすると命(めい)が不安がると思い黙っていた。
 
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「ねぇ、ぼくつかれた。すこし休もうよ」
「しかたないなあ。じゃ、ちょっとだけね」
とは言ったものの、実は理彩も少し休みたかった。
 
山道の途中にあった大きなブナの木の下で、ふたりは座り込んだ。ペットボトルに入れて持って来た水をふたりで少しずつ分けて飲む。
 
理彩は上級生に描いてもらった地図を広げて再検討する。迷ったのは明らかだ。問題はどこで道を間違ったかである。場合によっては温泉まで行くのを諦めて下山優先で考えようと思い、理彩はあたりの地形を観察した。『最悪下に下にと行けば帰れる』と理彩は思ったが、少しでも山歩きしたことのある人なら分かるように、それはわりと危険な発想である。
 
その時、1匹の蝶がふたりのそばにやってきた。立羽蝶かな?と理彩は思った。赤地に黒の紋が多数あるのが美しい。その蝶が何となく自分たちを誘っているような気がした。
 
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「メイ、行くよ」と言って理彩は立ち上がる。
「えー?もう行くの?」と命(めい)は言うが、理彩はその命(めい)の手を取って歩き始めた。
 
蝶はゆっくりと飛んでいく。理彩は何となく蝶に付いていけば自分の分かる道に出そうな気がして、しっかりとその後を付いていった。命(めい)はさっき休んだので少し体力を回復したようで「リサ、その荷物持とうか?」などと言い出したので、理彩は遠慮無くバッグを命(めい)に預けた。
 
そして蝶の後に付いていくこと20分ほど。理彩は「あ、ここは来たことある」と思う場所まで辿り着いた。ただ、来たことはあっても、明確な道のつながりまでは覚えていない。理彩は更に蝶に付いていく。そしてそこから更に20分ほど歩いた時、硫黄の臭いがしてきた。理彩と命(めい)は顔を見合わせる。
 
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「これ、きっと温泉があるんだよ」
「うん」
「あと少しだよ。頑張ろう」
 
蝶が更に道案内をしてくれるので、それに付いていくと硫黄の臭いは段々強くなってきた。やがて、温泉から流れ出していると思われる暖かい水の流れに辿りついた。理彩が流れに手を入れて
 
「わあ、あたたかい。もうおんせんはすぐ近くだよ」と言う。
命(めい)も手を入れて
「あたたかいね。気もちいい」
などと言っている。
 
ふたりが暖かい流れに手を入れている間に蝶はどこかに行ってしまった。しかしここからなら充分辿り着ける。理彩は流れに沿った道を命(めい)の手を引いてしっかり歩いていった。5分ほどでその温泉にはたどりついた。
 

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「やった!」
「たどりついたね」
「入ろ、入ろ」
 
と言って、温泉に近づいていくと、先客がいた。
 
「あ、まどかお姉さん、こんにちは」と理彩が挨拶する。
「あら、理彩ちゃんと命(めい)ちゃん。久しぶりだね」
「こんにちは」と命(めい)も挨拶する。
 
「入っておいでよ。ここ気持ちいいよ。女三人でのんびりしよう」
とまどかは言って、ニコっとした。
 
その瞬間、命(めい)は身体の感覚が変わって『あれ?』と思う。
 
「女三人なのかな・・・・」と言って理彩は命(めい)を見るが、まどかとは旧知の仲だ。命(めい)のおちんちんくらい見ても。まどかさんは平気だよねと思い、命(めい)に
「服ぬいで、はいろう」と促す。
 
「うん」と言ったものの、命(めい)は何だかもじもじしている。
理彩は『ああ、やはり女の人の前で裸になるのが恥ずかしいのかな』と思い、
「ぬがないなら、ぬがせちゃえ」
と言って、命(めい)のシャツを引っ張って脱がせる。そしてズボンもぐいっと引き下げた。ブリーフを穿いているが、そのブリーフを見て理彩は何か違和感を感じた。「あっ」などと命(めい)は言っていたが、構わずブリーフも引き下げた。
 
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「あれ?」と声を出して理彩は驚いた。
「メイ、今日はおちんちん無いの?」
「なんだかさっき無くなった」
「じゃ、ちょうどいいね。女どうしだから、もんだい無しだよ」
 
と言って理彩は自分も裸になり、命(めい)の手を取って、その温泉の出ている岩の窪みに浸かった。
 
ここまでの道のり汗を掻いたし、足も酷使したのでお湯が気持ちいい。
 

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「ふたりとも大きくなったね」とまどかが言う。
理彩はまどかに会ったのは2年ぶりくらい、命(めい)も入院した時以来1年半ぶりである。
「小学・・・3年生くらい?」
「はい、3年生です」
 
「じゃ、来年くらいにはふたりとも少しおっぱいが膨らみ始めるかな?」
などとまどかはにこやかに言う。
 
「そうですね。私は大きくなるかも知れないけど、メイはどうかな?」
「ぼくもおっぱい大きくなるといいなあ」
「ふふふ。大きくなるといいね。この温泉はおっぱい大きくする作用もあるしね」
「へー。もし男の子が入るとどうなるんですか?」
 
「男の子でも、おっぱい大きくなるかもね。代わりにおちんちんは小さくなるかも知れないけど」
「わあ。じゃ、メイ今日はおちんちん無くて良かったね」
「そうだね」
と言って命(めい)はおちんちんを押さえようとして空振りする。あ、そうか。今無いんだった。
 
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「命(めい)ちゃん、理彩ちゃん、『月経』のこと分かる。『生理』といったほうが通じる?」
「あ、何となく分かります」と理彩。
「ぼくも何となく。おとなになると毎月1回、血が出るんですよね」と命(めい)。
 
「まあ、そんなものだね。理彩ちゃんも命(めい)ちゃんも、たぶん5年生くらいになったら始まるんじゃないかな」
「メイもですか?」と理彩。
「うん。だって命(めい)ちゃんも女の子でしょ」
とまどかは少しイタズラっぽい目で言う。
「そうですね。メイならセイリ来るかも知れないなあ」
 
「その生理が辛かったりした時も、この温泉に入れば治るから」
「へー」
「ふたりとも覚えておくといいよ」
「はい」
 

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「でもまどかお姉さん、どこか遠くに行っておられたんですか?」
「というか、私は元々遠くに住んでるからね。でも、ここに来ると、よく理彩ちゃんと命(めい)ちゃんに遭遇するんだよね。不思議だね」
「へー、そうだったんですか。村の人何人かに聞いたけど、まどかお姉さんのこと知らなかったから」
 
「そうだね〜。私、この村で生まれたけど、赤ちゃんの内によそに行っちゃったから。私を知ってたのは、神社の先代の宮司さんくらいかなあ。もう亡くなっちゃったけど」
「ああ・・・」
 
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