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■神様との生活・真那編(8)

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午前中に行われた4回戦ではE中学は桜井市内の中学と接戦の末6点差で勝利した。星はこの試合でスリーを3本も入れて勝利に貢献した。これでE中学はベスト8に進出した。
 
真那が悩んでいる。
 
「どうしたの?」
「スコア上の得点を数えても合計点数と一致しない」
 
「ああ、それはよくあること」
と好鈴。
 
「スコア付けている間に次の点数が入ったりするし」
「2ポイントと3ポイントの聞き違いとかもあるし」
「だからこそ公式記録はスコアラーとアシスタント・スコアラーの2人がかり。1人で全部把握するのは無理」
 
「慣れれば“あまり”ズレなくなるよ」
などと佐代は言っている。
 
しかし勝ったので楽しい気分でおしゃべりしながらお昼を食べた。
 
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午後3時から準々決勝が行われたが、相手は橿原市内の中学であった。昨年の夏の大会で準優勝しているチームである。
 
「明日もここに来るぞ!」
と気勢を上げてから出て行ったものの、実力差を見せつけられる。結局15点差で敗れた。
 
「ああ、最初は結構行けるかなと思ったんだけどなあ」
「まあまた頑張ろう」
 

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翌日は星のお父さん(理彩)が車を出してくれてそれに乗り、男子サッカーの3回戦が行われる御所市まで行った(行程の大半は自動運転だったのでこれもちょっと面白かった)。今日は先週休んでいた金田君が出てきていて、ちゃんと11人いるので、真那は選手としては出なくて済んだ。
 
試合はお互いなかなか点が取れない状況で進み、このままだとPK戦か(この大会では延長は行わずに引き分けになったらPK戦ということになっている)とも思われていた後半44分。相手コーナーキックから向こうの11番を着けていた選手がヘディングでゴール。
 
このまま試合終了。1-0で敗れた。
 
「ああ。惜しかったなあ」
「また夏の大会で頑張ろう」
 
「ね、ね、斎藤君。春の大会はわりとアバウトなんだけど、夏の大会はidカードのチェックがあるんだよね。斎藤君の名前、選手登録しておいていい?」
 
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「うーん。まあいいよ」
「性別はどうする?」
「どっちでもいいよー」
 
「奥田さん、奥田さんも念のため選手登録させてもらえない?」
「え〜!?」
「だって奥田さん、けっこう運動神経いいんだもん」
「んじゃまあ登録するだけなら」
 
「性別はどうする?」
「私は女でお願いします」
と真那は答えた。
 
すると部長の元原君が言った。
「奥田さんを女子として登録するなら、斎藤君も女子にしておいていい?そしたら、遠征とかする時、女子同士まとめて扱えて便利」
「うんいいよ」
 
この問題では数ヶ月後に真那は思わぬ事態に遭遇して焦ることになる。
 
ともかくもそういう訳で、星は女子バスケ部にも男子サッカー部にも女子として登録されてしまったのである。
 
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5月中旬の土曜日、星が「うちに遊びに来ない?」と誘ったので、真那は行ってみた。真那の母も
 
「うん。行ってらっしゃい」
と気軽に送り出してくれた。
 
お母ちゃんは星のこと女の子と思っているだろうしね〜と真那は思う。
 

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星の家は築後70-80年経ってそうな古い民家である。斜面に立っているのでこの地域特有の、横長の構造だ。但し2階を持つので部屋数が多い。1階に台所の他に5部屋(客間・居間・座敷・書斎・奥)、2階にも4部屋ある。
 
客間は本当に応接用で、しばしばお母さん(命)が職場の人や取引先の人を連れて来て接待しているらしい。
 
居間が家族や友人との団欒の間、座敷はお父さん(理彩)の居場所、書斎はお母さん(命)の仕事用スペースで物凄い量の本棚が置かれている。そして入居前に増築して作られたという真新しい奥の部屋には大きな祭壇が作られていて、いつも奉納の品が置かれていて朝晩祝詞をあげるのだと言っていた。
 

 
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なお、理彩の部屋には現在、光のベビーベッドが置かれ、日中光を世話するのに、理彩のお母さんか命(めい)のお母さんがよく来ているという。
 
2階の4つの部屋は客間・居間・座敷・書斎の真上に配置されている。つまり1階の奥の部屋の上は何もなくて屋根である。2階の4つの部屋の中でいちばん奥にある部屋を星、その次の部屋を月が使っている。要するに理彩のいる部屋の上が理彩の子供である月、命(めい)のいる部屋の上が命(めい)の子供である星の部屋なのである。実は月の部屋からハシゴ!で理彩の部屋に降りることもできる。あと2つの部屋は現在は未使用である。
 

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「広い家だね〜」
と真那は言った。
 
「元は1階と2階を別の家族が使っていたらしい。今兄妹3人だけど、たぶんあと1人できると思うんだよね。だから8部屋ある家を買うといいよとお母ちゃんに勧めた」
と星は言う。
 
「星が言うんだったら、実際あと1人できるんだろうね〜」
 
「お母ちゃんは今は男の人だけど、その内完全な女の人に変えてあげようと思っているんだよね〜。だって、ぼくにとってお母さんだもん。お母さんは女の人であってほしいから」
 
「それお母さん自身の意志は?」
「本人はけっこう揺れている気がする。でもぼくの希望」
 
「星ってわりとわがままだよね」
「よく言われる」
 

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「でも今『ぼく』って言っているよね。今は男の子なの?」
と真那は訊いた。
 
「真那だから見せてあげる」
と言って、いきなり星はズボンとトランクスを脱いでしまう。
 
「ちょっとぉ!」
と真那は抗議する(逃げるべきかと一瞬悩んだ)が、否が応にも、お股にある男の子の器官が目に入る。男の兄弟が居ない真那は、こんなのをまともに見るのは、小さい頃、お父ちゃんのを見た時以来だ。真那の父は真那が小学校に入った頃から、決して真那の前でこの付近を見せることがなくなった。たぶん母に注意されたのだろうと思う。
 
「必要だから見せた。触ってみて欲しいんだよね。ちゃんとお風呂に入って洗っておいたから」
と言って星は真那の手を取って、それに触らせる。
 
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うっそー!? こんなのに触るなんて!!!
 
「柔らかいね」
 
と真那はドキドキしながらも、少し意外な気がして言った。そして、これ・・・・小さいよね?と思う。とてもそんなこと言えないけど。たぶんこれ、小学1〜2年生くらいの子のおちんちんのサイズという気がした。
 
「ぼくの男性機能は封印されている。だからこれふつうの男の子みたいに大きくなったりしないし、実は感覚自体ほとんど無いんだよ。大きなイボみたいなもの。そもそもこれサイズも小さいでしょ?」
 
「いや、実はそう思った」
「多分3〜4歳くらいの子供のサイズ」
「へー!」
「だから実はこれが付いている状態でも女の子パンティ穿くと、股間に膨らみが無くて女の子の股間に見える」
「あのねぇ・・・」
 
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「ぼくたちは120歳になった時、その年に村の祈年祭で踊った子と“神婚”をして、その人に次の世代の神様を産んでもらう。男性機能はその時だけ使えるんだよ」
 
「祈年祭、再来年くらいに私踊るかも。私も星と結婚するの?」
「今の神様は、以前会ったまどかさんだよ」
「あの人が!」
「それに神婚するのは壬辰の年だけ。次は2072年」
「それなら、私たちの子供か孫くらいの時代か」
「そんな感じだと思う。その時に、まどかさんが神婚をする。ぼくが神婚をするのは、2132年」
「私生きてないと思う」
「ぼくたちの種族はだいたい400-500年生きる人が多い。長生きの人は1000年くらい生きる。でも力を使いすぎて200年も経たない内に消滅する人もある」
「個人差があるんだろうね」
 
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「ただ・・・」
「ただ?」
「祈年祭で踊った後って、卵子が活性化するから、その後1年くらいは妊娠しやすい状態が続く。その間にボーイフレンドとセックスするとかなりの確率で妊娠する」
 
「あははは」
と言ってから真那は星のおちんちんを見ながら小さい声で言う。
 
「実は私、セックスってよく分かってないんだけど」
 
なんか男の人と女の人が抱き合って・・・と思うのだが、具体的なイメージがつかめない。
 
「まあその内分かると思うよ〜」
と星は笑顔で言った。
 

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「じゃ女の子に変わるね」
と星が言うと、一瞬にして星のお股にあった男の子のものは消えて、そこには薄い毛に覆われた女の子の器官が出現した。
 
「すごーい」
「おっぱいも出来たよ」
「どれどれ」
と言って、真那は星の胸に触って確認した。女の子の身体に触るのは真那としても平気だ。これまでの緊張が一気に解ける気がした。
 
「女の子になった時だけおっぱいがあるんだね」
「男の子におっぱいがあっても困るし」
「確かに確かに」
 
「性別を変えると心理的にもかなり変わるんだよ」
「男の子の星と女の子の星はけっこう雰囲気も違うよ」
と真那は言った。
 
星は最初トレーナーにジーンズのパンツだったのだが、女の子に変わるとロングスカートを穿いた。下着も女の子パンティとブラジャーを着けた。
 
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「男の子の服を着ている時は中身も男の子で、女の子の服を着ている時は中身も女の子?」
「うん。だいたいそんな感じ。まあ男の子の身体でスカート穿いてる時もあるけど。男の子の時も私、結構スカート好きだし」
 
「ふーん。まあ男の子でスカート穿く子も時々いるよね」
「でも真那なら雰囲気で区別付くでしょ?」
 
「区別付くような気がする」
 

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その日は星が女の子になってしまったので、一緒にクッキーを作り、お茶など入れて飲みながらおしゃべりをしていた。真那はやっぱり女の子の星のほうが付き合いやすい気がするなぁと思う。
 
お昼は光のお世話で来ている理彩の母・眞穂(57)がスパゲティを作ってくれて一緒に食べた。(この日、理彩は病院でお仕事。命(めい)も果樹園の仕事で、月は命(めい)に付いて行っていたらしい)
 
「親戚でもあるし、いつでも遠慮無く来てくださいね〜」
と眞穂は笑顔で言っている。
 
「私のお父さんとお母さんは、大学生時代に私と月を産んだから、私と月は赤ちゃんの頃は、日中、眞穂お祖母ちゃんと淑子お祖母ちゃんに面倒を見てもらっていたんだよ。今は同じ方式で光の世話をしてくれている」
と星は言う。
 
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「うん。淑子さんと2人で交替で大阪に出てはこの子たちの面倒を見てたのよね。まあ半分は都会に出られるのが楽しかったけどね」
「ああ」
 
「冷凍しているお乳を解凍して飲ませたり、おむつ替えたり、色々遊んであげたり。まあ孫の世話って、責任感が希薄な分、純粋に楽しい」
「そう言いますよね〜」
 
「私のお股見て悩んでいたとか言ってたよね」
と星が言うので、眞穗は一瞬、それ言っていいのかと考えたような気がしたが、どうも構わないようだと判断したようである。
 
「そうなのよ。星ったら、おしめ替える度(たび)に男の子のお股だったり女の子のお股だったりするんだもん。最初の頃は『え〜!?』と思ったけど、そのうち慣れた。むしろ『今は男の子かな?女の子かな?』と予測しながらおしめ外したりしてた」
 
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「予想、当たりました?」
「全然。むしろ外れることの方が多いような気がしてた」
「確率2分の1のはずなのに」
「なのよね〜。わざとこちらの予想と逆の性別にしてるんじゃないかという気もしたよ」
と眞穗は笑顔で言っていた。
 
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