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■神様との生活・真那編(4)

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「でも偶然下に斎藤君が居て良かったね」
と運転しながら南原先生は言った。
 
「ダメ!という声を聞いて、そちらを見たら、真那が落ちる所だったので駆け寄ったんですよ。間に合って良かった。手摺りが折れる時間だけ、落下が遅れたおかげだと思います」
と星は言う。
 
「なんか私まだ事態がつかめてない。でも星、ありがとう」
と真那は言った。
 
「真那が軽かったからぼくでも受け止められたね」
と星。
「星が男の子だったから、私助かったのかなあ」
と真那は言ってみた。
 
たぶん星は男の子の時と女の子の時で筋力も違う気がする。先日の引越の時も筋力を使うから作業中は男の子になっていたのではないかと今更ながら思い起こしていた。
 
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「真那の体重なら、ぼくが女の子でも受け止められるよ」
「ふーん・・・」
「まあ瞬間的に男の子に変わる手もあるけどね」
「なるほど」
 
先生にはどうもふたりの会話の意味がよく分からないようで首をひねっている。
 
「あそこの手摺りは去年の秋頃からぐらぐらして危ないというので、予算が取れ次第修理しようという話になっていたのよね。一応貼紙は貼っていたんだけど、みんなにもあらためて言っておくべきだったね」
と先生は言っていた。
 
それで病院でふたりともCTを撮ってもらったものの、問題は無いですということになった。ちょうどそこに、禎子と命(めい)も病院に駆けつけて来て、「何事もなくて良かった」とふたりとも言っていた。また禎子が、星に助けてくれてありがとうと言い、あらためて何か御礼の品でも持ってくるなどと言っていた。
 
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「でも星ちゃん、なんで学生服とか着てるの?」
と禎子は訊いた。
 
禎子は星を女の子だと思っている。
 
「ああ、これコスプレです」
「へー。びっくりした。でもよく女の子の腕力で真那を受け止めきれたね」
と禎子もその点を指摘した。
 
「真那ちゃん軽いから。体重35kgくらいしか無いでしょ?それに私はバスケとかサッカーとかやるから筋力はあるんですよ」
「なるほどー。スポーツ少女だったね」
と禎子が言うのを南原先生はまた首をひねりながら聞いていた。
 
それで真那は禎子の車で自宅に戻ったものの、帰って夕飯を食べてから改めて今日の事件を考えていたら、男の子の星もたくましくていいのかも、と考えてしまった。そしてその時想良が言っていた『だったら結婚可能なんだ?』という言葉が脳裏にエコーするかのように響いた。
 
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でも・・・・今日落下した時の動き、何か変じゃなかった???
 

真那は小学5年生の時からコーラス部に入っていたので、中学でもそのままコーラス部に入った。
 
「星は何部に入るの?」
と真那が訊くと
「そうだなあ。どうしようかなあ」
と星は悩むように言っていた。
 
「斎藤君、なんか運動神経良さそうだよね?野球部に入らない?」
と誘いに来た子がいる。
「野球はルールがよく分からなくて」
と星は言っている。
 
星の所はお父さんもお母さんも女だからテレビの野球中継なんか見てないかもね〜と真那は思う。
 
「小学校の時、何部だったの?」
「えっと、調理部」
「文化部かぁ〜?」
 
「助っ人でバスケとかサッカーもしてたと言ってたね」
と真那が言うと、星は一瞬嫌そうな顔をした。あちゃ〜、まずかったかなと少し後悔するが、星は
 
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「人数合わせだけどね」
と言った。
 
「あ、だったら今度の日曜のサッカーの試合に出てくれない?うち選手が11人ギリギリだから、交代ができなくてさ」
とサッカー部の佐藤君が言う。
 
「うーん。まあいいかな」
と星。
 
「あ、だったらうちは土曜日にバスケの試合が出てくれない?うちも選手が5人ギリギリでさあ。小学校の時はミニバスは10人居ないと出られないからE町の小学校と合同チームだったんだよ」
とバスケ部の馬場君が言った。
 
「ま、いっか」
というので、結局、星は土曜日にバスケの試合、日曜日にサッカーの試合に出ることにした。
 

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真那は自分の発言がきっかけで、星が試合に出ることになったので、責任を感じて、2つの試合を見に行くことにした。
 
土曜日、バスケの大会がK町の中学校の体育館で行われるので、真那は母に頼んで送迎係をしてもらい、結局真那の母の車に真那・星、バスケ部の須藤君まで乗って1時間ほど掛けてK町まで行った。ここは「町」ではあるものの、人口も2万人を越えており、私立大学のキャンパスもある大きな町である。マクドナルドやミスタードーナツにファミレスもあり、田舎暮らしの真那たちにとっては「プチ都会」という感覚であった。
 
真那はマネージャーとか頼めない?と言われたものの、スコアの付け方が分からない!というのでパスさせてもらい、客席から応援することにした。
 
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1回戦はS村の中学だった。真那は客席から見ていて「どっちも弱〜い」と思ってしまった。ドリブル失敗する、パスが通らない、シュートが全く入らない。ファウルも無駄に多いが、それで得たフリースローが全く入らない。それで前半終わっても18-20というロースコアである。
 
第3ピリオドで星が出ていく。
 
スローインのボールをもらったのでドリブルしながら攻めていく。相手ディフェンスが来て目の前で手を広げて防御している所で、星はそちらに視線をやらずにバウンドパスで馬場君に送ったが、馬場君は虚を突かれたようで、取りきれずボールはアウトオブバウンズになる。うーむ。。。
 
ピリオド終了間際、須藤君がボールを取られ、相手選手がドリブルで走り出したのをたまたま近くに居た星が回り込んできれいにスティールする。そしてそのままターンオーバーして攻めていく。相手の選手が防御に来る。そこはちょうどスリーポイントラインの外側だった。
 
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星がシュートする。
 
相手選手はそんな遠距離からシュートに行くとは思ってもいなかったようで、かなり遅れてブロックにジャンプした。むろんボールはとっくにゴールに向かって飛んで行っている。
 
きれいに入る。
 
この3点でE中学は逆転。そこで第3ピリオドは終わった。
 

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インターバルでは
 
「斎藤、よくやった」
「あんな遠い所からよく入ったな」
 
などと言われている。星も
「まぐれ、まぐれ」
 
と言っていたが、星がシュートした時の表情を見たら確信して撃った感じがあった。たぶん星はロングシュートが上手いのだろうと真那は思った。実際、星は運動神経は良さそうだが、(男子としては)体格が無いので、ゴール近くの乱戦には弱そうな気がした。
 
いい感じのシュートを決めたので、星は第4ピリオドも出ることになった。
 
そしてこのピリオドで星はミドルシュート2本とスリーもまた1本決め大活躍。おかげでE中学は1回戦を突破した。
 
「やったやった」
「対外試合でうちの中学が勝ったのって、たぶん5年ぶりくらい」
などと言っている。
 
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まあ、あのレベルじゃ勝てないよなあ、と真那は頬杖を突きながら思った。
 

2回戦は地元K町の中学であった。ここは、そう強い訳でもないものの、「まともに」プレイするチームで、E中学は全く歯が立たなかった。途中から星も出たものの、結局90-18の大差で負けた。ただし18点のうち星が入れた点数が半分の9点である(スリーとミドルシュートが1本ずつ、フリースロー4本)。
 
「ああ、残念」
「せっかく1回戦勝ったのに〜」
 
などと言っている。
 
「でも斎藤君、バスケうまいね〜」
「ロングシュートがうまいんだね!」
「また出てくれない?」
 
「じゃ、時間があったらね〜」
と星は気乗りしない感じで答えていた。
 

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翌日はG市にサッカーの試合を見に行った。この日も真那は真那の母の車に真那、星と、サッカー部の塚田君、葛城君を乗せて5人乗りでG市まで行った。
 
この日も、うちマネージャーが居ないんで、やってくれない?などと言われ、サッカーなら何とかなりそうだったのでベンチにも入った。開始前の各チームへの伝達事項なども聞いてきて、みんなに伝えた。
 
この日はそもそも部員の金田君が風邪を引いてしまったということで、星を入れて11人という状態でスタートした。
 
「斎藤君が来てなかったら10人でやらないといけなかった」
と佐藤君が言っていた。
 
「11人そろってなくてもいいんですか?」
「サッカーは最低7人いれば試合成立するんだよ」
「へー!」
「でも人数が相手チームより少ないと、圧倒的に不利だけどね」
「たしかに」
 
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それで試合をやっていたのだが、バスケ部とちがって、こちらはわりとまともなチームという気がした。それでも相手も似たようなレベルなので、ゲームは互角に進む。
 
0-0で前半を終わり、後半になって途中相手ゴール前で激しい乱戦になった時、3年生の道山君が足を抱えて倒れた。
 
審判が試合を停める。
 
顧問の先生や真那なども行き、様子を見るが、星が
 
「これ骨折してる」
と言った。
 
「病院に運ばなきゃ!」
 
ということで、星が、あり合わせの板を、真那の持っていたタオルとハンカチで足に巻き付けて固定した。担架を持って来て、まずはフィールド外に出し、顧問の先生が自分の車を場内に入れ、みんなでそっと乗せた。それで先生が病院まで連れていくことにした。
 
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真那は
「私も付いていきましょうか?」
と言ったのだが、部長の元原君が
「奥田さん、むしろ道山の代わりに選手で入ってくれない?」
と言った。
 

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「え〜〜!?でも私、女子ですよ」
と言うと、元原君は
「サッカーでは男子の試合には女子選手が出てもいいんだよ」
と言う。
「逆はダメだけどね」
と佐藤君。
 
「ああ、真那は運動神経わりと良さそうだもん。ぼくも女子なのに男子の試合に出ているから大丈夫」
などと星は言っている!
 
それで金田君用に持って来ていたユニフォームを借りて、真那は道山君と交代で試合に参加することになった。
 
この間10分近く中断したが、これは長いロスタイムとして処理されるはずである。
 
(本当は試合開始前に提出した名簿に載っている人しか出られないはずだが、この大会はそもそも名簿提出が行われなかった。アバウトな大会のようである)
 
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それで真那はフィールドに出て行ったが、むろんサッカーなら、だいたいルールが分かるし、真那は走るのはわりと得意なので、たくさん走ってパスを受けたら誰か他の選手に回したりして、結構楽しくプレイした。
 
星が相手選手に取り囲まれたが、その時、星がチラっとこちらを見た。真那は佐藤君へのパスが通る場所に走り込む。そこに星が相手選手の頭の上を越える弓なりのパスを正確に送ってきた。真那はそのボールを身体に当てて停めると、すぐ佐藤君にインサイドキックで送る。相手選手が運動神経の良い星の居る側に集まっていたため、佐藤君の居た側は手薄になっていた。そこで彼がそのままドリブルでゴール前まで持ち込みシュート。
 
これが入ってE中学は貴重な1点を得た。
 
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その後、両者とも攻めあぐねる展開が続き、45分が経過。更に12分ものロスタイムを経て試合終了。
 
E中学が1-0で勝った。
 
「佐藤の点数が効いたな」
と部長が言うが
 
「あれは斎藤・奥田の連係プレイからボールもらえたおかげです」
と佐藤君は少し照れ気味に言っていた。
 
なお、道山君は星が言ったように骨折していたものの、しっかり固定して病院に運んだことから1ヶ月程度で退院できるという話であった。ただサッカーができるほどまで回復するには2〜3ヶ月掛かるだろうということである。
 
 
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神様との生活・真那編(4)

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