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■女たちの親子関係(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2014-08-18/2020-04-08改
 
披露宴が終わった所で、阿倍子の母は彼氏と一緒に名古屋に帰っていった。
 
30分の休憩をはさんで二次会をしたのだが、これには桃香も早月・由美と一緒に出席するし京平も出席する。晴安の3人の子供も出席する。そして晴安の(女性の)友人も3人出席したのだが、彼女たちに唆されて晴安は青いウェディングドレス(ちゃんと用意してあった)を着せられ、白いウェディングドレスの阿倍子と並んだところを記念写真を撮られていた。桃香は晴安に女装趣味?があるとは知らなかったので仰天していたが、持って来ていたルミックスで写真を撮っていた。
 
その後、阿倍子は普段着に着替え、晴安も普通の女物の服!を着て、二次会は始まった。
 
京平は女装の晴安を見て
「ハルちゃんきれいだよ」
と言ってあげて、晴安は照れていた。
 
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「ありがとう。京平もスカート姿可愛いよ」
「えへへ」
 
しかし二次会で京平がスカート穿いてたら、賢太と仲良く話してた!何なんだ?この2人!?
 

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京平との生活が始まってから、京平は結構早月と由美の面倒を見てくれた。早月の遊び相手になってやっているし、ひらがな・カタカナが読めるので絵本を読んであげたりもしている。でもおやつの取り合いで喧嘩したりもする。
 
また由美のおむつを替えてくれたりもしていたが、由美のおむつを替えてあげていると、当然見ることになる「女の子のお股」にも興味津々な様子である。
 
「この割れ目の中におしっこでてくる所あるの?」
「そうだよ。でもあまりじろじろ見るもんじゃないよ。京平だって女の子におちんちん、じろじろ見られたくないでしょ?」
「見られたくなーい!」
「だったら、あまり見ないようにね」
「でも目を瞑ってはおしめ替えられないよ」
「あまりじろじろとは見なきゃいいんだよ」
「そっかー」
 
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「でも、うんこしてた時に、割れ目ちゃんにうんこが少し付いてたりしたら、それは取ってあげてね」
「うん、その時は、割れ目ちゃん、開けてもいいの?」
「開けていいけど優しくね。京平がおちんちん触られるのと同じくらい感じるから、荒々しくは触られたくないでしょ?」
「うん。ボク優しく開けてあげるよ」
 
優しく開けるんじゃなくて、優しく拭くのだけどと思ったが、まあいいかと思った。
 

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2020年7月4日(土)は信次の三回忌であった。
 
法要は一周忌の法要と同じくお寺でおこなった。コロナの問題もあるので、ごくごく身内だけでおこなった。出席したのは、康子、千里&由美、太一、波留&幸祐の6人だけである。高岡に住む優子には
「危険だから移動しない方がいい」
と告げた。亜矢芽(太一の元妻)にも、
「人数が多くなるのはヤバいから」
と言って、出席は無用と伝えた。
 
由美と幸祐の“名前問題”では太一が
 
「それホントに男と女で良かったな」
とあらためて言っていた。
 
「全く全く。同性だったら同名になってる所だった」
「万一の時は性転換させて」
「どちらを性転換させるかはじゃんけんかな」。
 

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お坊さんの読経がおこなわれ、その後、風通しの良い部屋で、“充分な距離”を空けた状態で、お互いに近況報告や世間話などをした。むろん全員マスクをしているし、エアコンはかけずに、窓を開けて扇風機を掛けている。
 
普通は故人の想い出を語り合う所なのだが、困ったことに喪主の千里にしても兄の太一や母の康子にしても、信次との想い出がほとんど無い。結局この三回忌では羽留が最も多く信次のことを語り、
 
「あの子、そんなことしてたんだ!」
と母の康子が驚く場面もあった。
 
康子は
「七回忌は多分しないと思う。やるとしても仏檀にお花とか供えるだけ」
と言った。つまり今回の三回忌で実質打ち上げにする。
 
実際問題として七回忌に出席可能なのは康子と太一・由美・幸祐・奏音の5人くらいだろうなと千里は思った。自分は間違いなく出席できない。少なくとも喪主にはなれない。羽留や優子も4年後までには新たなパートナーを見つけている気がした。
 
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太一が亜矢芽の再婚を報告した。
 
「へー。再婚したんですか?」
「うん。実は妊娠中なんだよ。翔和の妹か弟が来年お目見え予定」
「おめでとうございます!」
「まあ俺は関係ないけどね」
と太一は言ってから、
 
「千里さんも今、子供3人いるよね?」
と確認する。できるだけ集まる人数を減らすという観点から京平と早月は今日は連れてきていない。由美だけは信次の子供なので連れてきている。
 
「うん。由美と早月には去年も会ってるかな?その後、ふたりのお兄ちゃんの京平が加わったんだよ」
「へー、もしかして、子連れ再婚?」
と羽留が尋ねる。
 
「いや何というかちょっと複雑で」
と千里がどう説明していいか悩んでいたら
 
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「そもそも川島家は複雑すぎる」
と太一が言った。
 
「うん。私も時々訳が分からなくなる」
と康子まで言った。
 
「信次さんの純粋な遺族って、由美と幸祐ちゃんと奏音ちゃんにお母さんだけかも」
と千里は言う。
 
「私も三百箇日が来たところで信次の妻を辞めてしまったし」
 
「あ、籍を抜いたんだっけ?」
と羽留。
「まだ抜いてない。でも霊的に切れてしまった」
と千里。
 
「なんか良く分からないけど、信次との関わりを切らないと仕事に復帰できなかったと言ってたね」
と康子が言うと
 
「あ、何となく分かる」
と羽留も言った。今羽留は週に3回パートに出ているらしいが、パートに出始めた頃から、信次のことをやっと思い切ることができたらしい。
 
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「でも千里さんも俺と信次の関係、知ってるよね?」
と太一が言う。
 
「信次と結婚していた当時は気付いていなかった。でも今は分かるよ」
と千里。
 
「ん?」
と羽留が訊く。
 
「太一さんと信次は全く血が繋がってないんだ」
と千里。
 
「え?そうなんですか?」
と羽留は驚いている。
 
「信次は康子さんと亡くなったお父さんとの間の子供だけど、太一さんはそのお父さんが別の愛人に生ませた子。でも実は他の男性のタネ」
 
「今一瞬意味が分からなかった」
と羽留が言うので、太一が図に描いてみせて、やっと羽留も納得したようだ。
 
「前の奥さんは戸籍上は太一さんと信次を産んだことになってるけど、本当はどちらの母親でもないんだよね」
と千里が言うと
 
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「なんか複雑ですね」
と羽留も言っていた。
 
「藁の上からの養子ってのですか?」
 
「それそれ。だから俺は実はこの家の相続権がない。母さんが亡くなった後は、遺産は由美、幸祐、奏音の3人で分けてくれ」
と太一が言うと
 
「勝手に殺さないでくれ。私はコロナを生き抜くからね」
と康子は不快そうに言った。
 
「ほんとに川島家は複雑すぎるよ。彼や信次の結婚式の時は親族水増しして義理の親族のそのまた義理の親族みたいなのまで呼んだけど、本当の親戚は母さんの兄さんの成政さんくらいなんだよ」
と太一は言った。
 

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話ながら食べるのは良くないということで、いったん会話を中断して台所に移動して仕出しを無言で食べたあと、また仏間に戻って少し会話をした。むろん全員またマスクをしている。
 
「ああ、お母さん、運転免許取ったんですか?」
と羽留が言う。
 
「先月取ったばかり。五十の手習いで頑張ったよ」
と言って、康子はグリーンの帯の入った運転免許証を見せる。
 
「まだ若葉マークだけど、車何買おうかと悩んでいるんだよね。キューブもいいなあ、ブーンもいいなあ、スイフトもいいなあと」
「コンパクトカー狙いですか」
 
「軽も試乗してみたけど、150で走ろうとするとエンジンが変な音立てて」
「お母さん、日本の道路に150出してよい道は無いはずです」
 
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「でも引っ越してから買おうかなと思って。あれ違う県に移動する時は手続きが面倒みたいだから」
「お母さん、引っ越すんですか?」
 
「実はこの家の場所に新しい道路通すらしくて、結果的には立ち退かないといけないんですよ」
と康子は言った。
 
「そういうのは、やっかいですね」
と羽留。
 

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