広告:元祖Mr,レディ ひかるちゃん [DVD]
[携帯Top] [文字サイズ]

■女たちの親子関係(2)

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8 
前頁次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

結局千里たちはこのマンションを借りることにした。不動産屋さんに行き、現物を見て確認した上で即契約した。情報誌で見た時は6階が空いているということだったのだが、そこは埋まっていたものの8階に新たな空きができているということでそこを契約した。2月3日以降入居できるということだったので、2月3日付けの契約とした。
 
桃香と千里は1月25日にも神戸に行き京平とデートした。
 
2月4日(火)に引越をおこなった。女2人だけでは大変かとも思ったのだが、千里のバスケ関係の友人が4人来てくれて、バスケ女子なので全員男並みの筋力があり、千里が持って来た4トントラックに2時間で荷物を乗せ、さいたま市まで千里が運んで(友人たちはアテンザで移動)、現地で2時間で荷物を運び入れてくれた。千里は友人たちに焼き肉屋さんの御食事券を8枚渡していた。
 
↓ ↑ Bottom Top

「お友達とかも呼ぶの?」
と桃香が尋ねたが
「彼女たちが1人で2人前食べるんだよ」
と千里は説明した。
 
「さすがバスケ女子!」
 

↓ ↑ Bottom Top

友人たちがタンスや食器棚・机やテーブルなど大型の家具を桃香がマークしていた位置に置いてくれているので、桃香と千里の2人ですぐ使う食器や寝具などの梱包を解いた。
 
翌日(2.5)、お昼頃、朋子が早月と由美を連れて浦和まで出て来てくれた。そして午後に阿倍子に連れられて京平がやってきた。
 
取り敢えず、引越祝いを兼ねて焼肉をする。桃香−早月−朋子−千里−京平−阿倍子とテーブルを囲んで座って、お肉を焼いた。京平は美味しい美味しいと言って、たくさん食べる。
 
「焼肉ってひさしぶり〜!」と京平。
「そうだね。2ヶ月ぶりくらいかな」と阿倍子。
「僕、マクドも食べたいけどなあ」
「ごめんねー。なかなか連れていってあげられなくて」
 
↓ ↑ Bottom Top

「京平、《お姉ちゃん》が明日マクドナルドに連れて行ってあげようか」と桃香。
「ほんと?わーい! 《ももかおばちゃん》、ありがとう」
 
桃香が一瞬ムッとしたが、千里は苦しそうにしている。
 
「だったら、今日は京平ここに泊まる?」
「うん」
と言ってから、京平は少し心細そうに
「ママも泊まるの?」
と阿倍子を見て言う。
 
「うん。私も泊まろうかな」
 
「京平、今日は私のそばで寝ない?」
と千里がいうと
 
「うん。ちさとおばちゃんと一緒なら寝てもいいかな」
と京平は嬉しそうに言った。
 

↓ ↑ Bottom Top

翌日(2.6)、早月と由美を朋子に見ていてもらい、4人で近隣の遊園地に出かけた。マクドナルドで朝御飯を食べてから園内に入る。主として桃香と京平でジェットコースターやボート、お化け屋敷やボールプールなどで遊ぶ。桃香は今回もほんとに童心に返ったかのようであった。
 
「こないだもだったけど、なんか京平以上に桃香さんが楽しんでいる気が」
「あの子実は子供なんですよ」
「男の人で童心を強く残している人はよくいるけど、女性では珍しいですね」
「ええ。女の子は成長して女になるけど、男の子って30になっても40になっても男の子のまま」
 
と言って千里はふたりの様子を見ながら言う。
 
「桃香さんってほんとに純真な心を持ってるんですねぇ」
 
↓ ↑ Bottom Top

「桃香は実は“男の子”なんですよね」
と千里が言う。
 
「あ、思った。“女の子”に返ったんじゃなくて“男の子”に返ってますよね?」
「だいたい昔から男の子の中に埋没してたらしいですよ」
 

↓ ↑ Bottom Top

京平は自分の扱いについて、分かっていた。
 
千里は夕方京平に言った。
「京平、良かったらずっと私と一緒にこの町で暮らさない?」
 
京平は少し考えているようであった。
「いいよ。マクドナルドにつれていってくれるなら」
「うん。連れていくよ」
 
「ママは、どうするの?」
と京平は母を見ずに訊いた。
 
「ママは時々京平の様子を見に来てくれると思うよ」
「分かった。じゃ、僕、千里おばさんちに居てもいいよ」
「よしよし」
 
と言って千里は京平を抱きしめた。
 
「ママは、はるやすおじさんとくらすんだよね?」
と京平。
「うん。ごめんね」
と阿倍子。
「ママ、お嫁に行っちゃうんだよ」
と桃香が言う。
 
「じゃ、しかたないね。けんたやかずみのママになってあげるの?」
「うん。でも私、京平のママでもあるからね」
「だったらいいよ。ママ、げんきでね」
 
↓ ↑ Bottom Top

京平がそう言ったのを、阿倍子は泣いて抱きしめた。
 

東京駅で神戸に帰る阿倍子を3人で見送った。阿倍子はまた京平をハグしてから、列車に乗っていった。
 
京平は笑顔で手を振って阿倍子を見送った。
 
新幹線の車体が消えていくのを見て千里が呟く。
「恋しくば尋ね来てみよ和泉なる信太の森の恨み葛の葉」
 
「何何?」と桃香が訊くが「何でも無い」と千里は微笑んで答えた。
 
「ちさとおばちゃん、きょう、いっしょにねていい?」
「うん。一緒に寝ようよね」
「ゆみちゃんは?」
「由美は早月と一緒に桃香おばちゃんのそばで寝るよ」
 
「ももかおばちゃんも、ちさとおばちゃんも、おっぱいでるんだね。おんなのひとって、おおきくなると、おっぱいでるの?」
「赤ちゃんを産んだ人だけが出るんだよ」
「へー」
「早月は桃香おばちゃんが、由美は千里おばちゃんが産んだからね」
「ふーん」
 
↓ ↑ Bottom Top

「京平、早月と由美を妹だと思ってあげてくれない?」
「いいよ。じゃ、ぼくさつきとゆみのおにいちゃんになってあげる」
「よしよし」
 
千里は京平の頭を撫でた。
 

↓ ↑ Bottom Top

「京平は、早月と由美のお兄ちゃんだから、私の息子だな」
と千里が言う。
 
「ああ、それでいいよね」
と桃香も同調する。
 
「京平、だから私のこと、お母ちゃんと呼んでもいいよ」
「いいの?」
「京平、阿倍子さんのことママと呼んでたろ?だから私はママではなくてお母ちゃん」
「それいいね。だったらおかあちゃんとよんじゃおう」
と京平は嬉しそうに言う。
 
(ここまで千里と京平の壮大なお芝居である)
 
「千里がお母ちゃんか。だったら私は?」
と桃香か言うので
 
「ももかおば・・・ももかおねえちゃんは、おとうちゃんでもいい?」
と京平は言った。
 
桃香はむせ込んだ(千里も吹き出した)が
 
「いいよ、いいよ。だったら私は京平のお父ちゃんだ」
と桃香も笑顔で答えた。
 
↓ ↑ Bottom Top

桃香は、来紗・伊鈴の“パパ”でもあるから今更である。
 

「でもももかおとうちゃん、おんなのひとでもおとうちゃんでいいのかなあ」
と京平は悩んでいる。
 
「桃香は本当に女かどうか怪しいから構わないと思う」
などと千里は言っている。
 
「でも京平連れて温泉なんかに行ってて、京平からお父さんとか呼ばれたら、温泉のスタッフさんから『あなたちょっと来て』とか言われたりしてね」
と千里。
 
「いや、その手のエピソードは別に子連れでなくても、過去にあるから気にしない」
と桃香。桃香はOL時代は自粛して長めの髪にしていたものの、大学生時代もずっと短髪だったし、今もかなりの短髪である。
 
「女湯で咎められたら男湯に入ったの?」
「それはさすがに無理。裸になって女だというのを確認してもらった」
「なーんだ」
 
↓ ↑ Bottom Top

「千里は中学生くらいの頃、温泉や銭湯で『あんたちょっと』とか言われたことはないか?」
 
「中学生の頃はさすがにそういうのはないけど、小学生の時は男湯に入ろうとして『混浴は幼稚園まで』と言われて、つまみだされたことある」
 
「ふむふむ。やはり男湯から摘まみ出されるのか? その後どうしたの?」
「しかたないから女湯に入ったよ」
「やはりね〜。中学の頃にそういうのが無かったというのは、千里が男湯には入ろうとしなかったからなのかなあ、女湯には入ろうとしなかったからなのかなあ」
 
「私、小学3年生以降は男湯には入ってない」
「なるほどねぇ」
と言って桃香は楽しそうであった。
 

↓ ↑ Bottom Top

「おかあちゃん、おとこゆに入ったことあるの?」
と京平が訊く。
 
「京平も知ってる通り、私は子供の頃は男の子だったからね。ても今は女の人になったから女湯に入るし。桃香は子供の頃は女の子だったけど、今はやや怪しいよね」
などと千里は悪ノリして言っている。
 
「おかあちゃんがおとこのこだったのはしってるけど、ぼくは、おとこのひとになるのかなあ」
 
「そうだね。女の子は女の人になるし、男の子は男の人になるよ、普通は」
 
「おとこのこがおんなのひとになることもあるの?」
「わりとあるよ。お医者さんに行ってちょっと手術してもらうんだよ」
 
「へー。しゅじゅつするのか。みちるちゃんのおにいさんがおんなのひとになって、おねえさんになったんだよといってたから」
 
↓ ↑ Bottom Top

まあ最近そういうの多いよね。でもみちるちゃんって誰だろう?近所に居た子かな?
 
「京平、女の人になりたい?」
「さつきやゆみがおっぱいすってるのみていいなあとおもって。ぼくもおっぱいあげられたらいいのに」
「京平はおっぱいを自分で吸いたいんじゃないの?」
「違うよ!」
と京平は少し怒ったように返事した。結構図星だったっぽい。
 

↓ ↑ Bottom Top

「でも男の子が女の人になるには、手術で、おちんちん取っちゃわないといけないよ。京平ママと一緒にお風呂に入った時、ママのおまた見てるでしょ?ああいうお股に変えるんだよ」
 
「おかあちゃんは、ちんちんなくて、なにかきずあとみたいなのあった。あれ。ちんちんをとった、あとなのかなあと思って見てた」
 
「別に傷跡とかではなくて、女の人には生まれた時から、あそこに
割れ目ちゃんがあるんだよ」
 
「そうだったのか。でもぼくおちんちんなくなったらこまる」
 
と言ってから京平は
「おんなのひとは、おしっこどうするの?」
などと訊く。
 
「ちゃんと、おしっこが出てくる穴があるんだよ。割れ目ちゃんの中に」
と千里は答える。
 
↓ ↑ Bottom Top

「へー。あなからおしっこがでるのか。うんこでるところとはべつ?」
「うん。べつの場所だよ。京平、やはり女の子になってみる?病院に
行って先生に、女の子にしてくださいと言ったら、すぐ手術してもらえるよ」
 
「それおんなのこになってから、いやだったらまたおとこのこにもどしてもらえる?」
「それはできない。いったん女の子になったら、ずっと女だよ。そして中学生くらいになると、おっぱいができて、その内結婚したら赤ちゃん産んで、京平がママになって、赤ちゃんにおっぱいあげるんだよ」
 
「うーん。おっぱいはほしいけど、おちんちんはなくしたくないし」
「ふふふ」
 
「おかあちゃんは、ちんちんとられるの、いやじゃなかったの?」
「私は、ちんちん要らないと思ってたから取ってもらったんよ。男の子だった頃もいつもスカート穿いてたから、実際問題として女の子だと
思ってた人も多いかもね」
 
↓ ↑ Bottom Top


↓ ↑ Bottom Top

前頁次頁目次

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8 
女たちの親子関係(2)

広告:めしべのない花―中国初の性転換者-莎莎の物語-林祁