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■△・葉月救済大作戦(4)

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「ところでさあ、千里、俺の男性能力、そろそろ返してくんない?俺、立たないのが辛くて辛くて」
 
「あんた立たない方が真面目にお仕事しそうだし、被害者も減るけどなあ」
 
この春に(虚空の指示で)葉月を去勢しようとした時、《こうちゃん》は千里(千里2)から罰として、男性能力を奪われたのである。彼は今目の前に居るのがその千里2だと思い込んでいる。
 
「そんなこと言わずに、頼むよ。カブラスケの件も協力するからさ」
 
「まあいいか。あんたもだいぶ反省しているみたいだし。でもここではできないから、ちょっと河岸(かし)を変えようか」
 
「うん」
 
それで千里はお勘定を済ませて《こうちゃん》と一緒にお店を出た。次の瞬間、2人はどこかの浜辺に居た。
 
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「わっ。ここは?」
「伊豆の地内島。無人島だから人目を気にしなくても済む」
 
千里って瞬間移動技が使えるの?すげー、と《こうちゃん》は思ったが《わっちゃん》に移動してもらっただけである。
 

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「本来の姿に戻りなさい」
「ああ」
 
それで彼は龍の姿に戻った。
 
「じゃ男の能力を復活させてあげるから、以後は私に従うこと、浮羽小碓よ」
「ちゃんと従ってるじゃん」
 
浮羽小碓の名前は長年の付き合いである虚空さえも知らない彼の真の名である。多くの人が“本名”と思っている紹嵐光龍の名前では実は彼を拘束することはできない。だから虚空に付いていた頃は、彼女に従っているふりをしていただけである。この名前は誰にも教えたことがない。母親しか知らなかったはずだが、彼の母はもう亡い。それなのに、千里がこれを知っていることを彼は驚異に思っていた。美鳳はさすがに知っていたが、美鳳が千里に教えるとは思えないし。
 
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「はいと言いなさい」
「はい。千里に従います」
「よしよし」
 

千里は後ろ足の付け根の所にある“割れ目ちゃん”の中に左手を突っ込む。
 
「そこに突っ込むの〜〜?」
「触らなきゃ治療できないからね」
「そこを人間に触られるのは生まれて初めてだよ」
「初体験できてよかったね」
「千里に俺の子供を生ませたい気分。凄い優秀な子供ができそうだし」
「私を襲ったら去勢するからね」
「千里なら本当にやりそうだな」
 
千里は彼の“割れ目ちゃん”の中に収納されている男性器の根元を掴み、結構な力で押さえつける。彼らの男性器はクジラなどと同じ収納式である。確かにぶらぶらしていたら空を飛ぶ時に邪魔になりそうだし攻撃のターゲットにされやすい。
 
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「痛いんだけど」
と《こうちゃん》は言う。
 
「このくらい強く掴まないと注入できないからね。ちなみにこのまま、もぎ取ることも可能だけど」
「勘弁してよぉ」
 
本当は必要以上に強く握っている。度々勝手な行動をするので、これもお仕置きである。
 
「だけどおちんちんには鱗が無いんだね」
「そんなものあったら引っかかって入れられないじゃないか」
 
「じゃパワー注入」
 

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千里は彼の男性器に“起動力”を注入してやった。実はこれも瞬嶽のワザなのである。春の時は千里2が彼の男性器を握ってその起動力を奪い取った。せっかく葉月を男女共学のJ高校に入れるようにしてあげたのを台無しにされたので千里2は酷く怒っていた。そもそも虚空の指示で色々動いていた“裏切り”に対するお仕置きであった。
 
「なんか凄く気持ちいい。セックスしてぇ」
「今動いたらだめだよ」
「我慢する」
 
力の注入は10分ほどで終わる。と同時に彼の男性器は“割れ目ちゃん”から飛び出し、大きく屹立した。
 
「こんな状態を千里に見られるのは恥ずかしい」
 
「後ろ向いててあげるから出しちゃいなよ」
「そうする」
 
それで彼は自分で処置したようである。
 
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「気持ち良かった。男に戻れた。嬉しい」
「よかったね」
「バイアグラもシアリスも効かなかったんだよ」
「勃起力自体が無いんだから立つ訳無いね」
 

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《こうちゃん》は千里を八王子の山の中に連れていき、カブラスケ(禿助)に会わせた。美少年だなと思う。“かぶら(禿)”という名前の通り、おかっぱ頭である。白いカットソーにブルーのスリムジーンズを穿いていて、女の子と思えば女の子にも見える。
 
「ああ、西湖ちゃんの代役?いいよ」
と彼はこの話に同意してくれた。
 
「でもあの子、女の子になっちゃったんじゃないの?」
 
「でも心は男の子だからね。だから声変わり前の男の子が代役としては最適なんだよ」
「ああ、そういうこと?じゃやってもいいから、御飯たくさん食べさせてよ」
「御飯は人間の男の子の5人分くらいでもいい?」
「10人分くらい食べたいなあ」
「いいよ、それで」
 
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「じゃ契約成立だな」
と《こうちゃん》は言い、千里とカブラスケは握手をした。
 
「期間は西湖が高校を卒業するまでの2年半ということで」
「OKOK」
「取り敢えず週に1回くらい代理してもらえばいい。それだけでもかなり西湖は休めると思うし」
「うん。いいよ。週3日72時間くらいまでは平気」
「ではその付近は状況を見て」
 

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「愛称は《かぶちゃん》でいいかな」
「うん。姉ちゃんからもそう言われてたから、それでいい」
「ああ、とうふちゃんね」
「ボクの姉貴、知ってんの?」
 
「名前だけはね。凄く強い子らしいね」
「実は僕、姉貴に喧嘩で勝てたことない」
「ああ。お姉ちゃんって一般にずる賢いから」
「そうなんだよ。うまく欺されちゃうんだよ。姉貴のことよく知ってるね」
 
「そういう話を聞いただけ。ところでかぶちゃんに声変わりが来たら困るから、睾丸は取っちゃおうかという話もあるんだけど」
 
「何それ?」
「お前の声変わりが起きたら代役できなくなるから、その予防で睾丸を取ろうかという話をしてたところなんだけど」
と《こうちゃん》。
 
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「嫌だよ。取られたら困る」
「そうか。じゃ取り敢えず預かる」
と言って《こうちゃん》は彼のお股の付近を掴むとギュッと引っ張った。
 
「うそー!?玉だけじゃなく棒もなくなってる」
 
結局取っちゃったのか。こうちゃんなら、やるような気もしたが。しかし棒まで取る必要は無いのに。
 

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「別に無くてもいいだろ?」
「無いと困るよお。だいたいおしっこどうすればいいんだよ?」
「座ってすれば問題無い。西湖も龍虎も立っておしっこなんかしないからちょうどいい」
「そんなあ」
「2021年の春には返してやるから」
「本当に?」
「俺が約束破ったことあるか?」
「何度も欺されてるんだけど」
 
ああ、この子もかわいそうにと思う。
 
しかし《かぶちゃん》はこれ以降、葉月の代理をだいたい週1回くらいしてくれることになるのである。彼はあまり女装の経験は無いと言っていたが、実際には女の子の服とか下着をつけて
 
「これ、ハマりそう」
と言って、なんだか嬉しそうにしていた。
 
「気に入ったらそのまま女の子に変えてやろうか?」
「やめてー。さっきトイレ入ってみたけど、なんか凄く変な気分だった」
「慣れたらこの方が楽になるよ」
 
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なお、彼と葉月本人との入れ替えは《わっちゃん》にやらせることにした。アクアの入れ替えを《こうちゃん》がしているので、分担するのである。
 

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「なんかエンジンの調子が凄くよくない?」
と早矢香は健二に言った。
 
「そうなんだよ。まるでエンジンを新しいのに交換したんじゃないかと思うくらい調子いい」
「以前はなんか凄く怪しげな音を立ててたのに、すごくいい音してるよね」
「うん。今年末の車検で車買い換えなきゃいけないかなと思ってたけど、これなら、まだ5-6年乗れる気がするよ」
 
健二はフェアレディZで新東名を快適に走行しながら早矢香にそう言った。
 
「でも赤ちゃんできたらどうする?」
「その時はもう1台買ってもいいかも。ノートか何かって、まさか赤ちゃんできたの?」
 

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《かぶちゃん》の拠点として《こうちゃん》は用賀駅の隣の桜新町駅近くに1DKのアパートを借りてやった。それで彼は八王子の山の中の洞窟からそこに引っ越した。彼が葉月の振りをできるように、S学園の(女子)制服をはじめいくつか葉月のお気に入りの服のコビーも作って彼のアパートにどっさり置いた。
 
「あれ?ボクの男物の下着が見つからないんだけど」
「ああ、あれは全部捨てた」
「なんでー!?」
「だってお前、ちんこ無いんだから、男物の下着とか着けたって使えないだろ?ブラジャーもたくさん買ってやったから着けるの練習しとけよ」
 
「ブラジャー・・・?」
 
《かぶちゃん》はくらくらとする気分だった。タンスにたくさん入っている女の子パンティを1枚取り出すと
「これを穿くの〜?」
と情け無さそうな顔をして言った。
 
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「慣れたら楽しくなるぞ」
 
「胸はどうする?ブレストフォームを貼り付ける?それとも実際に大きくしてやろうか?」
「ブレストフォームでお願い」
 
そんなことを言っていたが、彼はスカートは何だか喜んで穿いていた。
 
「これで歩くの、不思議な感じ。膝の周りでスカートの裙がまとわりつく感じが気持ちいい。まるで本当に女の子になったみたいで面白い」
「よかったな。トイレはちゃんと女子トイレ使えよ」
「それはちょっと楽しみ。近くで女の子もおしっこしてると思うと興奮しそう」
「危ない奴だな」
 
「でもこんなの穿いてたら立ちそう。ね、ね、パンストとか履いてもいいよね?」
「そのくらい自分で買って履けばいい」
「でも立つ物が無くてオナニーできないのが辛い」
「女の子オナニーができるようにクリちゃんをつけてやろうか?」
「要らない!そんなこと言って完全に女の子の形に変えるつもりでしょ?」
「よく分かるな」
「それでボクに光龍さんの子供を産ませるつもりじゃないの?」
「お前も若い内に一度母親というの経験してもいいと思うぞ」
「興味はあるけど、子供産んだりしたら、もう男の子に戻れなくなりそうだからパス」
「俺が男から女に変えてやった奴で男に戻りたいと言った奴はいないな。みんな女になってよかったと言った」
「だったらなおのこと、女にはなりたくない」
 
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《かぶちゃん》は10月17日(水)から葉月の代行を開始した。しかしどうしても土日の仕事が多いので、その疲れが火曜日くらいにピークになると《こうちゃん》が言ったので、この後は、主として火曜日に代行をすることにする。その日は原則として葉月は1日眠らせて体力を回復させることにした。おしっこがたまりすぎるようだったので、《かぶちゃん》のお姉さんの《とうふちゃん》に頼んで、途中で火曜の朝と夕方の2回、尿道にカテーテルを入れて、おしっこを膀胱から直接吸い上げてもらうことにした。この作業はさすがに女性にしかさせられない。《とうふちゃん》は弟が睾丸を取り上げられたと聞いて大笑いし
 
「このまま、こいつ女の子に変えてやって。私、妹が欲しかったし」
と《こうちゃん》に言い
 
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「それだけはやめて」
と本人は抵抗していた。この子が2021年の春まで男の子(男の娘?)のままでいられる確率は半々かなと千里は思った。
 

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10月27-28日は西湖は北里ナナのPV撮影で北海道まで往復してきた(アクアは28日のみ)。《こうちゃん》は《かぶちゃん》にスタンバイさせておいたが、この撮影は葉月は元気に乗り切った。
 
でも29日(月)はダウンしていたので、学校・仕事ともに《かぶちゃん》にやらせた。でも女子校初体験の《かぶちゃん》は
 
「女の子たちのスキンシップ怖いよ。抱きつかれたり膝に乗られたりしたら、とても平常心が保てない。もう女子校は勘弁して」
 
と言ったので、30日(火)の学校は姉の《とうふちゃん》に代行をさせた(西湖はこちらでは何も操作していないのに丸2日眠り続けた)。
 
以降、火曜日は西湖本人は眠らせておいて代わりに《とうふちゃん》が登校することにする。彼女は普段の葉月をよくよく観察し、うまく葉月っぽく行動してくれた。でも長時間の代行は厳しいので午前中だけで早引きすることにした。《こうちゃん》=山村マネージャーの指示でお昼に誰かに迎えに行かせる。(昼休みの級友との会話などが厳しい。授業中だけなら何とかなる)
 
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しかし普通の男の子に女子高生生活は無理なんだなと《こうちゃん》は改めて認識し、いくら女の子の身体に変えてもらったとはいえ平気で女子高生をしている葉月はどう考えても《普通の男の子》ではないと確信した。
 
 
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△・葉月救済大作戦(4)

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