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■△・葉月救済大作戦(2)

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2018年4月1日現在の§§ミュージック関係者の年齢は下記の通りであった。
 
1444 山村勾美(アクア担当)
60 紅川勘四郎(会長)
28 高村友香(アクア副担当)
26 秋風コスモス(2007/2015社長)・唐本冬子(この年の8月に副会長になる)
25 川崎ゆりこ(2009/2015副社長)・沢村朋代(デスク兼ありさ担当)
24 月原美架(ひろか担当)・中村知花(信濃町ガールズ担当)
23 桜野みちる(2010)・緑川志穂(アクア副担当) 本田覚(2017.リズム・スピカ担当)
22 鱒渕水帆(サマーガールズ出版に出向。R+L担当)・小野市花(FC担当) 海浜ひまわり(2011)
21 山本明(ネオン担当)・桜野レイア(研修生)
20 明智ヒバリ(2014)
19 桜木ワルツ(2017/兼葉月担当)・山下ルンバ(研修生)・河合友里(ありさ・葉月の副担当)
18(高卒) 品川ありさ(2014)・高崎ひろか(2014)・西宮ネオン(2016)・花咲ロンド(2017)
17(高3) 姫路スピカ(2016)
16(高2) アクア(2015)・松梨詩恩(2015)
15(高1) 今井葉月(2015)
14(中3) 石川ポルカ(2018)
13(中2) 白鳥リズム(2017)
 
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明記した以外のマネージャー分担
沢村 ありさ・コスモス・ゆりこ
月原 ひろか・ワルツ
小野 ロンド・ポルカ
 
山村=こうちゃんは厩戸皇子(聖徳太子)と同時に生まれた。皇子を守護させるために偉大なる存在によって誕生させられたらしい。つまり敏達天皇3年(574年)1月1日の生まれである。このことを知っているのは千里とコスモスだけ。
 

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ありさに副担当(河合)が付いているのは正担当の沢村がデスクとして多忙だからであるが、河合は週2回は葉月の送迎にも駆り出されている。山本明は唯一(?)の男性タレントである西宮ネオンを担当するために雇用されたが、男手が少ない事務所なので、力仕事の雑用が多い。彼の負担があまりにも大きいようなので、コスモスは昨年、2人目の男性社員で過去に他の事務所でアイドルの付き人をした経験がある本田覚を雇い、リズムとスピカのメイン担当とした。更にこの年の秋には3人目の男性社員・田崎仁を雇うことになる。
 
しかしリズムとスピカを男性の本田が担当しているのに、紅川もコスモスもアクアや葉月に男性の担当をつけることは1度も考えなかった!
 
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なお、桜野みちる・明智ヒバリは§§プロ所属、松梨詩恩は♪♪ハウス所属である。
 
桜野レイア(21)・山下ルンバ(19)はこの当時はまだ研修生である(とは言っても他の子の伴奏をしたりテレビに端役で結構出ている)。原町カペラ(15)は入所前。この年夏のロックギャルコンテストで優勝して§§ミュージックと契約する。
 
海浜ひまわりは2014年に引退したのだが、足立区の寮では頻繁に見かけるので寮生たちにはおなじみである。彼女は一応研修生と同様のB契約をしている
 
ひまわりは、ここの寮に荷物を大量に置いていて、それを取りに来たり、更にここ宛で荷物を受けとったり、どこかから段ボール箱を運び込んで来たりもしているようで、それで寮で頻繁に見かけるのである。彼女が何の荷物を寮に置いているのかは誰も知らない。寮生たちの間では
 
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「家に置ききれないお洋服?」
「ファンからのプレゼントのあふれた分?」
「自爆営業して買った自分のCD?」
「麻薬とか覚醒剤とか?」
「拳銃とかRPG-7とかカチューシャとか?」
「大量の金塊か宝石」
「趣味の自動車の改造用部品?」
「アクアを女の子に改造するための手術用具」
「アクアに飲ませようとして買った大量の女性ホルモン剤?」
 
など様々な説が出ていたが、ひまわりはゆりこに
「決して違法なものではありません」
と言っていた。
 
(ひまわりはアクアのファンクラブ会員番号100番で、熱心な“アクア性転換派”のひとりである。マリ主催の“アクア拉致改造手術プロジェクト”作戦会議にもほぼ毎回出席している。なおひまわりの愛車はMark-IIだが魔改造されている。その車には§§ミュージックのタレントや研修生は乗せてはならないとコスモスから厳命されているが、そもそも誰も乗りたがらない)
 
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以前は彼女の荷物は1部屋占有していたが、ゆりこの命令で倉庫に移動されている。でも倉庫を1個完全に占有している。更にこの倉庫にはいつの間にかワーキングテーブルにビニール製衣装ロッカー、パソコンと電子キーボード、カラーボックスに本棚、食器棚、簡易ベッドまで運び込まれていて“個室化”している。しばしば寮のコインランドリーや来客用シャワールームを使っている姿も見られる。
 

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アクア・葉月以外のタレントは原則としてマネージャーを伴わず1人で電車で移動する。ただし“新宿駅からアルタに辿り着けなかった”という伝説がある方向音痴のありさには“安全のため”女子大生の付き人を付けているが基本的には一緒に電車などで移動している。仕事の終わりが深夜になる場合や、交通の不便な所には誰かが送迎するが、誰が送迎するかは定まっていない。人手が足りないとルンバ・レイア・ひまわりなど、運転のできる研修生(?)が駆り出されることもある。むろんひまわりが運転する場合、使用するのは事務所の車である!(ひまわりは結構雑用でこき使われている)
 
この他に常時15-20人程度のマネージャー・チームを社員・バイト・他のプロダクション(多くは弱小)やイベンターからの出向社員などで構成しているが、どうしても入れ替わりが多い。他に大量に送られてくるプレゼント類の検査・仕分けチームも常時4-5人雇っている。(それ以外に薬剤師と博士号を持つ化学技士も常駐している。ここには金属探知機・X線透過装置とか成分分析計とかもある)。このプレゼントチームはバレンタイン・ホワイトデー・七夕・クリスマス・各タレントの誕生日などの時期にはかなり増員する。特にバレンタインやアクアの誕生日の時期には最大50人くらいまで増員する。
 
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2018年の春は“上島騒動”とともに始まった。
 
昨年秋に死亡したP代議士のグループによる大規模な不公正土地取引が発覚し、上島雷太はこの事件に連座して起訴こそされなかったものの、無期限の謹慎となった。これに伴い、上島の楽曲が使えなくなってしまったのである。
 
これまで上島が書く楽曲があまりにも広く使用されていたため、JPOP業界は大パニックになる。大量の回収騒ぎが起き、オンラインストアやストリーミング配信などからも該当楽曲が消え、多数のCDの発売予定がキャンセルになった。この結果歌うべき楽曲が無くなり、活動停止に追い込まれる歌手が相次ぎ、ライブが中止になって、返金騒動になり、プロダクションやイベンターで経営危機に陥る所も続出する。多数のドラマの主題歌などが差し替えになり、クラシック曲をバックにドラマの出演者紹介などが流れる番組も多数あったし、CMもBGM無しでタレントが商品名を連呼するような古いスタイルのものが多く発生した。
 
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損害額はどう考えても100億を超えた。
 
その中で◇◇テレビの響原部長が音頭を取って、UDP (Ueshima Diversion Project) が発足。上島作品の代替を多数の作曲家で分担しておこなうことになったが、人気作家はほとんど余分な作曲の余力は無く、書いてくれたのはローズ+リリーのケイ・醍醐春海(=千里1)を含むほんの10人程度で、楽曲の絶対数が極端に不足する事態が夏頃まで続くことになる。
 
実際にはケイと醍醐以外の作品数は少なく、その醍醐も7月に夫死亡のショックで活動を停止するので、一時期、ケイが1人でこの業界を支えることになる。ケイは物凄いスピードで楽曲を次から次へと書き続けたが、それを心配した鱒渕マネージャーはコスモスに相談し、台湾のサンフラワー音楽製作工房で一部ケイの代理をさせることにする。しかしそれでもケイの負荷を充分下げるには至らなかった。
 
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丸山アイは昨年7月にP代議士が死の床にあるという情報を得た段階でこの流れを予測し、この機会に前から考えていたスーパーコンピュータによる自動作曲をしようと考えた。スーパーコンピュータを動かす土地として、原子力発電所があって電力にゆとりがあると思われた鹿児島県S市に目を付け、廃工場を買い取って茨城県のTS大学から買い取った一世代前のスーパーコンピュータを搬入し、故障箇所を直したりして2018年2月下旬に動くようにした。
 
それで以前からTS大の山鳩が研究していた自動作曲システムを動かし始める。
 
アイは、楽曲のデータベースを作るのに、音源図書館の松前社長に協力を求め、1億円の使用料を払って多数のCDからメロディーの“つながり”のデータベースを構築した。このシステムは4月になって、やっと(アイが手動で調整すれば何とかなるレベルの)まともな作品を生み出すようになる。
 
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アイは新し物好きで知られ、“バーチャルアイドル”の宮城イナイでも大きな収益を上げているЮЮレコードの三方社長にこの曲を持ち込み、今後どんどん人工知能に楽曲を作らせるので、そちらで使ってくれないかと売り込んだ。三方社長は「面白そうだね!」と言って話に乗ってくれた。そして近々デビューさせるつもりだったものの、突然降って湧いた“上島騒動”のおかげで楽曲が確保できずにいた島田春都にこの歌を歌わせることにしたのである。
 
作曲者のクレジットは夢紗蒼依である。
 
島田春都のデビュー曲は大いにヒットして、ЮЮレコードはこの後、夢紗蒼依作品のおかげで、前年度の倍のセールスを上げ、レコード協会の準会員から正会員に昇格することになる。なお、夢紗蒼依が人工知能であることは社長以外には公開していない。夢紗蒼依はJASRACには作曲家集団名として登録され、その著作権管理はЮЮレコードで処理して、原盤印税とJASRACからの入金は手数料を差し引きAI-Museに振り込まれる。
 
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ここで夢紗蒼依の作曲料は、最初20万円に設定していた。しかしこの20万円という価格設定では実は大赤字であった。
 
それは当初1曲生み出すために掛かる費用(電気代!がメイン。他にシステムを動かしているスタッフの人件費も掛かる)が80万円ほど掛かっていたからである。これはプログラムの品質向上で夏頃には30-40万円まで下がってくるのだが、それでもひたすら赤字を垂れ流すビジネスとなった。
 
そこでアイはこの赤字を分担するため、経済的なゆとりがあり、かつ以前から自動作曲に興味を持っているように思えた千里に、このシステムに乗らないかと打診してみることにした。ここでアイが連絡したのは千里2である。
 
ところが千里2は機械音痴・システム音痴である!アイから聞いた話をほとんど誤解したまま、冬子に連絡した。冬子も一応興味を持ってくれたので、結局、丸山アイ・山吹若葉・村山千里・唐本冬子の4者による会談が2018.7.12に行われた。
 
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その結果アイから聞く話が千里から聞いた話とまるで違うので冬子は呆れるが、このプロジェクトに参加することにするとともに、様々な提案を行った。その結果夢紗蒼依の収益は大幅に改善され、秋以降やっと採算ベースになるとともに、スーパーコンピュータの2号機を早急に組み上げることにした。2号機は1号機と同じ仕様ではあるが最新の素子で組んだので1号機の5倍の速度で動いてくれた。
 
一方、夢紗蒼依の作曲料は、殺到する依頼をさばけなくなって段階的に引き上げ、2018年末には50万円まで引き上げさせてもらった。
 

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丸山アイより僅かに遅い2017年8月1日にP代議士の死が迫っていることを知ったのが千里3である。
 
千里3は上島の作品を大量に使用していていちばん影響を受けると思った§§ミュージックの秋風コスモスを巻き込み、共同で、自動作曲システムを開発することを考えた。丸山アイがスーパーコンピュータの利用を考えたのに対して、千里は“東郷誠一”の名前で大量の“埋め曲”をこれまで書いて来た経緯から実際に不足するのは、上島の作品のほぼ9割以上を占めていた“埋め曲”ではないかと考え、それをパソコンに作らせることを考える。
 
その基礎技術を固めるのと、前提となる楽曲データベース作りに必要な技術も開発してもらうため、千里はこの方面に明るい《せいちゃん》を2017年9月、偶然の出会いを演出して、音楽学院の校長と会わせ、自動採譜システムの制作をさせることにした。
 
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半年近く掛けてこのシステムを構築し、その後しばらく宮崎で休養していた彼の所に千里は出かけて自動作曲システムについて相談する。それで彼と《きーちゃん》との協力で、北海道の小樽にこの開発のための拠点を構築するのである。
 
丸山アイはスーパーコンピュータを使ったので廃工場を買い取ったが、千里たちはパソコンで作業するので用意したのは小さな古民家である。アイは原発の電力を頼りにしたが、千里たちは民家の屋根に乗せた太陽光パネルで必要な電気を全てまかなった。
 
千里3はこのシステムに青葉と鮎川ゆま、更には峰川イリヤも巻き込み、また冬子が所有している大量の楽曲のMP3データを借りて膨大な楽曲データベースを築き上げた。千里は冬子に使用料を払おうとしたが、冬子はそんなの要らないと言って無償で協力してくれた。
 
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そして丸山アイたちのプロジェクトとほぼ同時期にこちらの自動作曲システム《松本花子》も動き出し、こちらは最初、§§ミュージックの歌手向けに楽曲の出荷を始めるのである。
 
また、このプロジェクトに最初から参加していたコスモスは、このシステムの製品でケイの作業を代替させようと考え、和泉・コスモス・マリ・鱒渕4者の話し合いで、ケイ自身には作曲禁止が言い渡された。
 
「こんなペースでこれ以上書いていたら、冬子はもう永久に作曲ができなくなる」と和泉は冬子に警告した。実際この作曲禁止令以降、ケイ自身もここまでの反動で全く発想が浮かばない状態になり、回復には翌年夏まで1年近くかかることになる。
 

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