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■少女たちの初めての体験(7)

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4月下旬。
 
N小女子ソフトボール部は連休明けの春季大会を前に、K小学校女子ソフトボール部との練習試合をおこなった。事前の話し合いで、実質女子ではあるが戸籍上は男子である千里を使ってもいいことを認めてもらっている。向こうとしては、男子ならきっと凄いボール投げるだろうから、良い練習になるという思惑があったし、N小としてもエースの敏美を大会前にあまり曝したくないというのもあった。
 
向こうの5年生ピッチャーと千里の投げ合いで試合は始まった。
 
千里がとても遅いボールを投げるので、向こうは、期待外れだという顔をしていた。
 
最初は。
 
「その子、ほんとに男子なの?見た目女子にしか見えないんだけど?」
と向こうから言われる。
 
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「ほとんど女子です。実はちんちんも無いらしいです(と5年生の子たちから言われて監督は信じている)。それで野球部には入部を拒否されたんですよ。でも戸籍上は男子なんで、公式戦に出せないんですよね」
とこちらの監督は説明した。
 
向こうの監督は試合後、
 
「いや、こういうボール投げるピッチャーなら、女子の試合に出しても全然問題無いと、最初は思ったよ」
と言っていた。
 

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ところが、この遅いボールを投げる千里を、相手チームは全く打てない。
 
正キャッチャーの6年生亜美が、ストライクゾーンぎりぎりを要求し、千里がそこに正確に投げ込むので、向こうはつい見逃してしまうのである。そういう投球を見せておいて、しばしばストライクゾーンのぎりぎり外側にも投げて空振りさせカウントを稼ぐ。
 
それでK小は4回まで1人ランナーを出しただけで完全に千里に抑えられてしまったのである。一方N小側はフォアボールで出たランナーをバントで2塁に進め、今日打者専任で出場している敏美がタイムリーを打って貴重な1点を取っている。
 
試合は5回表まで終わった所でこの敏美が取った1点のみが入った状態、1−0であった。
 
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5回裏、千里は先頭の5番打者を三振に取る。
 
そして2人目の6番打者にはかなり粘られたもののセカンドゴロに打ち取った。
 
そして3人目。代打が出る。柔道でもやっているのかと思うような大柄な女子である(後で聞くと本当に柔道部からの助っ人だった)。初球外角高めの球に手を伸ばして強引に当てる。
 
しかし当たりそこないである。ファースト方面に転がったので千里も追うが、ファーストの由姫も出てくる。セカンドの啓子がカバーのためファーストに走っていく。
 
結局ファーストの由姫が取ってカバーに入ったセカンドの啓子に送球したが、僅かに送球がそれた。啓子は飛びつくようにしたが届かない。
 
ボールが転がる。
 
一瞬バッターランナーは1塁を蹴って2塁に向かおうとした。
 
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しかし、ライトの柚花が物凄い勢いで前進してきてボールを抑えたので、すぐに停止し、急いで一塁に戻る。柚花から一塁カバーに入った千里にボールが送られたが、帰塁のほうが早い。セーフの判定である。
 

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由姫が「ごめーん」と手を合わせて謝っているが、みんなで「ドンマイ、ドンマイ」と声を掛ける。千里も彼女にドンマイと声を掛け、指1本を立て「あと1人」とみんなにあらためて示す。
 
そして気を取り直してピッチャーズサークルに就く。
 
K小は8番の打順だが、再度代打を出してくる。今度は背の低い選手である。130cmくらい。2年生くらいだろうか。しかし左バッターボックスに入る。左打ちの選手のようである。
 
しかし小さいとストライクゾーンも狭いので狙いにくい。最初に投げた外角高めギリギリの球をボールと判定される。
 
うーん。。。入れたつもりだったけどなあとは思うものの、すぐに忘れて新たな気持ちでバッターに向かう。キャッチャーの亜美は内角低めギリギリのボールになる玉を要求する。そこに投げ込む。
 
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ところが投げた次の瞬間、1塁ランナーがスタート。バッターは空振り。キャッチャーの亜美がすぐに二塁に投げるがセーフの判定。
 
千里のボールは遅いので、実は盗塁に弱いのである。
 

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「ランナー気にしないで。さすがにホームスティールはされないだろうから、3塁盗られても気にするな。バッターに集中しろ」
とピッチャーの所まで来た亜美が言う。
「うん」
と千里は頷いてピッチャーズサークルに就く。
 
カウントは1−1である。一度2塁ランナーを見てから、プレートを踏んでキャッチャーとサインを交換する。2秒静止してからボールを投げる。
 
要求された内角高めに外す球を投げる。
 
バッターはバットを強振。
 
快音がしたものの、ボールはゴロである。元々あまりパワーのある子では無いようだ。
 
打球は1・2塁間に飛ぶ。セカンドの啓子が飛びつくようにして停める。そして1塁に送球しようとしたが、ファンブルしてしまった。
 
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慌てて握り直して1塁に投げるが、バッターランナーは1塁に滑り込む。
 
判定はセーフ。
 

左打者だったので走るべき距離が短かったのも打者側に有利に働いたようだ。それに身長は無いのに物凄く足の速い選手だったようである。
 
これで2アウト1・3塁になってしまった。
 
啓子が「ごめんなさい」というポーズを取っているが
 
「ドンマイ、ドンマイ」
「ツーアウトだよ」
と声を掛ける。
 
打順は9番だが、三度(みたび)代打が出る。千里はその選手を見ただけで強そう!と思った。
 
亜美が駆け寄って千里に言った。
「このバッターは本来のエース・4番なんだよ」
「温存してた?」
「いや。足を引きずるようにしてるからきっと怪我してるんだと思う」
「じゃ長打に気をつけないとね」
「うん。シングルヒットなら最悪でも同点だから」
 
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亜美はベンチにいる監督と視線を交換した上で、押し出すような仕草をし、後退守備をみんなに指示した。長打を防止するためである。
 

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2人のランナーを見てからピッチャーズサークルに入り、プレートを踏んでから、サインを交換する。亜美は初球、外角低めを要求した。
 
最も長打しにくい(と特にアマチュアでは言われている)コースである。
 
ところがこの投球の直後、1塁ランナーが走った。
 
亜美は捕球後、2塁に投げるポーズをした。
 
が投げなかった。
 
投げてしまうと3塁ランナーがホームに走り込んでくる危険がある。だから亜美はわざと3塁ランナーを見ずに2塁に投げようとした。
 
それでもし3塁ランナーが飛び出したら三本間に挟んでやろうという魂胆でもある。しかし3塁ランナーはひっかからなかった。
 
このあたりはさすが強豪である。
 

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盗塁成功で2アウト2・3塁と変わる。
 
「気にしない、気にしない」
と声を掛け合う。
 
「どうする?満塁にしちゃう?」
と集まった内野手で話し合う。
 
満塁にすればフォースプレイになるのでアウトにするのにタッチが不要になる。
 
「じゃ、千里ギリギリに外すボール中心にして、フォアボールでも構わないということにしようか」
「うん、分かった」
 
それで各自守備位置に戻る。亜美は次の投球、外角高めギリギリに外す球を要求した。千里が投げる。
 
バッターは手を伸ばすようにして思いっきりバットを振った。
 
カーンという高い音がした。
 
芯で捉えられた!?
 
千里はボールの行方を見て外野の方に振り返りながら三塁方面にダッシュする。
 
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ボールは左中間でワンバウンドしてから、そのまま場外ラインを越えてしまった。
 

千里はこういう場合、どういう扱いになるのか知らなかった。
 
K小の子たちが物凄く喜んでいる。千里はそれを呆然として見ていた。
 
「これどうなるの?」
と千里は駆け寄ってきた亜美に訊いた。
 
「エンタイトルド・ツーベース」
「それって?」
「2塁打扱い。バッターは2塁に行ける。ランナーは安全に2つ進塁できる」
 
「ということは?」
「2塁ランナーまで帰って、逆転サヨナラ」
 
千里はショックでそのまま座り込んでしまった。
 
そんなぁ。ここまで1安打に抑えてきたのに・・・。
 
「大丈夫?」
と言って亜美も座り込んで肩を抱くようにしてくれた。
 
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「ごめん。最後の最後に打たれちゃって」
 
と言いながら、千里は『悔しいーー』と思っていた。心の中に激しい怒りの炎が燃え上がるが、その炎を向ける対象が無い。
 
こんな思いをするのは千里は初めてであった。
 

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試合終了後のミーティングで、あらためて千里は最後に打たれたことをみんなに謝ったが、その前に送球ミスした由姫と、ファンブルした啓子が「いや、私がミスしていなければ」と謝った。
 
「千里ちゃんはK小の強力打線をほとんど抑えていた。充分よくやった」
とキャプテンの紀子は言った。
 
「でも最後の最後で打たれて負けました」
と千里は言った。
 
「私、どうしたらもっと強くなれますか?」
と千里は紀子を見ながら訊いた。
 
「練習だな。特にボールのスピードを上げることが課題だと思う。ボールに速度が無いから、目の良いバッターはボールのコースを見て芯に捉えることができる。それにランナーがいると容易に盗塁される」
 
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「どうやったらスピードが上がるんでしょうか?」
「千里ちゃん、腕が細いからなあ」
と言って紀子は千里の腕に触る。
 
「腕立て伏せとかで鍛える手もあるけど、腕だけ鍛えると腕投げになってしまうと思うんだ。それよりも今はまず足腰を鍛えた方がいい」
と紀子は言う。
 
「足腰ですか!?」
と千里は驚いて言った。
 
「ボールは腕で投げるものではない。身体全体で投げるんだよ。だから足腰を鍛えて発射台を強くする。その方が千里ちゃんの場合は効果が大きいと思う」
とエースの敏美も言っている。
 
あれ?そういえば去年ボウリングに行った時に留実子もそんなこと言っていたなというのを千里は思い出していた。
 
「だったら、ジョギングとかした方がいいですか?」
「うん。千里ちゃん、打撃練習とか当面はノックとかも免除するから、その間に校庭をひたすら走りなよ」
 
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「分かりました!」
 
千里の場合、どっちみち腕力が無く、打撃でジャストミートしても内野ゴロにしかならない。だから、この時期、監督にしてもキャプテンたちも千里は守備専門プレイヤー(FP)にして、打撃は打撃力はあるが足の遅い路代さんを指名選手(DP)として使えばいいと考えていたのである。それで千里は5年の時はほとんど打席に立っていない。
 
(プロ野球の指名打者(DH)に相当するシステムとしてソフトボールにはDP/FPの制度がある。野球は投手だけだが、DP/FPの場合は投手以外にも適用できる。実際問題としてアマチュアでは野球でもソフトでも、投手が一番の強打者というチームがわりと多いのでプロ野球のDHは馴染まない)
 
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「でも千里ちゃんの肩を抱いた時、千里ちゃんって普通の女の子と同じような身体の感触じゃんと思ったよ」
と亜美が、ミーティングが終わった後で言った。
 
「どれどれ」
と言って、副主将の友恵が千里を後ろから抱きしめる。
 
「きゃっ」
 
「ほんとだ。これは普通に女の子の感触」
 
「ほんと?」
と言って、みんなから千里は抱きしめられた。
 
「普通に華奢な女の子だね」
「というか脂肪が女の子みたいについてる」
「だいたい丸みを帯びた体型だという気がした」
「細いわりに脂肪が付いてるんだよね」
「霜降り肉っぽい」
 
千里も「女の子になって」から半年経つので、その間にかなり体型の女性化が進んでいるのである。
 
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「ねえ、男の子だってのは嘘ということは?」
という声も出るが、千里と同じ5年1組の初枝が言う。
 
「千里は噂によると、おちんちんやタマタマは2年生の時に取っちゃって、既に女の子の身体になっているらしい」
 
「え?そうなの?」
 
「生理もあるという噂がある」
「へー!」
 
それは千里が月に1度くらい数日間女子トイレを使う時期があることから経った噂のようだが、噂というより真実である!
 
「でも日本の法律では戸籍上の性別を変更できないらしいんだよね」
 
「女の子なのに男扱いされるって可哀相」
 
「そういうの何とかならないんですか?」
と監督に訊く子もいる。
 
「スポーツの世界では性染色体で性別を判定するんだよ。だから手術して女になっても元々男だった選手は女子の競技には出られないんだよね」
と監督は言う。
 
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「可哀相」
 
「まあ公式戦以外の練習試合をたくさん取ってくるよ」
と監督は笑顔で言っていた。
 
IOCが性転換した選手を一定条件の下で女子選手として認めるようになったのは2004年アテネ五輪直前である。ただしゴルフのミアン・バッガー(Mianne Bagger)はそれ以前の1999年頃から各競技団体の判断で女子ゴルファーとしてプレイすることを容認されていた。むろん彼女のような人は特殊な例外であった。
 

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そういう訳で千里は5年生の頃、昼休みは音楽室で合唱サークルの活動をし、放課後は女子ソフトボール部の練習に出て、実際にはほとんどの時間、ひたすら走っていた。剣道部にも在籍しているのだが、基本的に晴れている日は外でソフトボール部をして、雨の日は体育館で剣道部をしていた。もっとも11月以降は積雪でソフトボールができないので剣道部の方に行っている確率が高かった。
 
千里が経済的な問題で自宅ではあまりお肉を食べられないので、小春は宮司に言って、バイトついでに結構ごはんを食べさせてあげるようにした。それで千里は女性的に脂肪がつくと同時に最低限の筋肉も発達した。この小学5〜6年生の間に後のスポーツ選手としての基礎的な身体が作り上げられるのである。(心臓が大きくなっていわゆるスポーツ心臓になるのもこの時期)
 
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神社のバイトは千里に経済的なゆとりも与えており、それで千里はやっと自前の竹刀を買うことが出来た。防具に関しては結局先輩の小さくなった防具を譲ってもらった。
 
神社の作業は主としてお祭りや行事の前くらいの期間によく手伝いに行っていた。また、しばしば夜間に大神様から呼ばれて出て行き、様々な作業のお手伝いをしたり、お留守番!をしたりもしていた。こちらはお金にはならないものの、ご褒美がかなり美味しいことが多かった。
 

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少女たちの初めての体験(7)

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