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そして・・・・
この後千里はAチームの1〜3番打者を全員三振に取ったのである。
1回裏はBチームの1〜3番がAチームエースの敏美さんの剛速球を打てず三者凡退となる。
しかし2回表、千里はAチームの4〜6番を全員三振または凡打に討ち取った。エースで4番の敏美さんも、内角低めにピタリとボール決められ、三振になってしまい天を仰いでいた。
そしてこのあと5回まで千里と敏美さんの息詰まるような投手戦が展開されたのであった。
「終了〜。今日は0対0の引き分け」
と顧問の先生が宣言した。
「村山さん、凄いね」
「球威はないけど、物凄くコントロールが良い」
「村山さんの球を受けるのに、私はミットを動かす必要が全く無かったです。ミットのある所にピタリと投げてくれるんですよ」
と麦美は言った。
「青沼さんが『優秀なピッチャーだから』と言ってた訳が分かった」
「村山さん、これで球威が出れば本当に凄いピッチャーになれるよ」
「ああ、でもそんなに優秀なのに公式戦に出せないって残念」
「ねえ、村山さん、女の子になりたいんでしょ? ちょっと病院に行って手術受けて女の子になってきてくれない?」
「手術受けたいですー」
と千里も言った。
4月中旬に身体測定が行われた。
昨年度1年間の身体測定では、最初我妻先生が千里のカルテを女子の方に、留実子のカルテを男子の方に入れていたのだが、保健委員の蓮菜と田代君でその2つのカルテを交換し、千里は男子の測定が行われる理科室に行ったのだが、男子たちに追い出されてしまう。
困ってしまった千里が女子たちの身体測定が行われる保健室の方にくると女子たちから「なぜこちらに来る?」と非難された。しかし蓮菜は「私に任せて」と言って、千里を先頭に並ばせ、結果的に他の女子と接触しないようにして、乗り切ったのである。女子の中で唯一、出席番号の女子先頭である大沢恵香だけが、下着姿を千里に見せることになるが、恵香は千里の親友で、もともと過去に何度も千里とはお互いに下着姿を見ているので問題は無かった。
我妻先生は昨年1学期の終わりに、やっとふたりの性別を勘違いしていたことに気付いたのだが、先生はわりと適当なので、学校のデータベースで千里は女子、留実子は男子に分類されたままであった。それで身体検査のカルテも毎回、千里は女子の並び、留実子は男子の並びで出力されていた。
保健委員のふたりは話し合い、留実子のカルテは女子の方に移すこと、千里のカルテはそのまま女子の方に入れておくが、必ず先頭に置くことを決めた。実際ふだんの月の身体測定は体重と身長だけが測られ、(女子の場合)着衣でよいので千里はふつうに女子と一緒に受けても問題無かったのである。
しかし4月の学年初めの身体検査では、内科検診も行われる。
今年も保健委員になっている蓮菜と田代君は再度話し合って、千里と留実子のカルテはいつも通りに処理することにした。それで留実子は女子の並びで受けるし、千里は女子の先頭で受ける。
いつものように、女子は保健室に行き、男子は理科室に行って、まずは着衣のまま並ぶ(男子はこの段階でパンツ一丁にされてしまうらしい)。
「最初の人こちらに来てください」
とクロススクリーンの向こうでテーブルに就いている蓮菜が声を掛ける。
千里がこちらに来て身長と体重を測り、今年新任の保健室の先生・祐川先生がデータをパソコンに入力する。
その後、服を脱ぐように言われるので千里は着ていたトレーナー・ポロシャツ・Tシャツ、ズボンと脱ぐ。それでもうひとつのクロススクリーンの向こうに行くように言われるので千里はそちらに行く。お医者さんが居る。ブラジャーを外してその前の椅子に座る。お医者さんは聴診器で千里の診察をする。
「体調の悪い所とかありませんか?」
「ありません」
「生理は・・・来てるよね?」
と医師は千里の胸を見ながら言う。
「はい。来ています」
と千里は答える。
「前回の生理は?」
「3月下旬に来ました」
「その前は?」
「2月下旬です」
こんな受け答えをするのは千里にとっては初体験のことである。
「規則的に来てる?」
「はい。ほぼ28日おきに来ています」
「だったら問題無いですね。はい、もういいですよ」
それで千里は一礼して席を立ち、ブラジャーを付けてクロススクリーンの向こうに戻るが、その会話を結果的に聞くことになった蓮菜は頷くようにしていた。
既にブラとパンティだけになっていた恵香と手を振り合う。恵香がお医者さんのいる方に進む。千里は下着姿のまま、今身長・体重を測っている出席番号が女子で2番目の木村美那とも手を振り合う。
千里が服を身につけるのと、美那が服を脱ぐのが同時進行になるが、美那も千里のヌードを見たことがあるので気にしない。むしろ美那は千里の胸に触って
「けっこう膨らんで来たね」
と言った。
「小春、千里の体内に放り込んでいる卵巣と子宮だが」
とその日大神様は言った。
「移植してから半年ほど経ったが、いつ母ちゃんに戻す?」
小春は言った。
「お母さんの放射線と抗癌剤の治療はまだ続いているんですよ。ですから終わってからでいいですか?」
「うーん。その状態なら戻す訳にはいかんな。分かった。まだしばらくそのままにしておくか」
「はい」
小春としては、今自分自身の体内で育てている本来の千里の女性生殖器がちゃんとできあがるまでは、あまり戻す気が無い。現在その女性器はまだ生まれたての女の赤ちゃんの女性器くらいのサイズである。
「だけど千里から預かっているこのちんちん、結構楽しいなあ。これも千里には戻さず、ずっと私が持ってようかなあ。どうせあの子、要らないよね?」
などと小春は独り言を言っていた。女性器を移植しているので邪魔になるため取り外し中の千里のおちんちんは、実は小春が自分の身体に接続しているのである。それで実はしようと思えば、立ち小便もできる(女湯に入る時は割れ目ちゃんの中に入れて隠しておく。小春はバストはあるから女湯に入れる)し、そのほかに“個人的な楽しみ”にも使用していた。
もっとも小春は自分自身が女(メス)だし、更に千里の女性器まで育てているので女性ホルモン優位であり、千里のちんちんは少しずつ縮んで行っているような気もした。このおちんちんは千里が中学に進学した時の“グラフティング”の結果千里の身体に戻ることになるが、その時のサイズは外に出ている部分が2cm程度であった(毛の中に隠れてしまうので、一見ついてないようにも見える)。
なお千里の中学時代の睾丸の出自、つまり成人式翌日の千里と桃香のセックスによって受精し、谷山宏香が代理出産した子供・谷山小空の遺伝子上の父については、多分来年くらいに語ることになるだろう。
(千里と桃香が保存した冷凍精液の方は実際に射精したのは武矢なので本物の千里の精液である。従って桃香が産んだ早月の遺伝子上の父はやはり千里である)
※遺伝子上の両親の一覧
2012.04.15 _0:20:29(長崎) 谷山小空 ????/高園桃香
2013.02.14 22:22:22(長崎) 谷山小歌 細川貴司/高園桃香
2015.06.28 15:30:00(豊中) 篠田京平 細川貴司/村山千里
2016.08.19 19:09:25(高岡) 府中奏音 川島信次/府中優子
2017.05.10 11:12:13(東京) 高園早月 村山千里/高園桃香
2018.08.23 15:02:12(豊中) 細川緩菜 川島信次/村山千里
2019.01.04 _8:58:11(仙台) 川島由美 川島信次/高園桃香
2019.04.01 _8:46:00(久喜) 水鳥幸祐 川島信次/水鳥波留
桃香は4人の子供の遺伝子的母だが自分で産んだのは早月だけである。また、桃香は女性同性愛で、男性との性交経験は少ないが、小空はその数少ない男性との性交でできた子供である。しかし桃香はこの子の存在を2018年5月になるまで知らず、流産したものと思っていた。
信次は男性同性愛で女性恐怖症なのに4人の子供の遺伝子的父になった。しかも由美だけが体外受精であとの3人は母となる女性との性交で作った子供である。信次は女性とのP→V型性交は数えるくらいしか経験していないのに、それが高確率で子供の誕生につながっている。何とも命中率の高い男である。
男の娘である千里は1人の子供の遺伝子的な父となると同時に2人の子供の遺伝子的母になった。もっとも2人とも本当に人間なのか、微妙に怪しい。
“谷山光太郎”の名前は実は小空・小歌の姉弟が共用している《ブランド名》である。2人はほとんど同程度の霊的なパワーを持っている。但し得意分野は全く異なる。
小空は男装が好きだし小歌は女装が好きで、2人は顔立ちも似ているので、しばしば入れ替わって遊んでいる。入れ替わらなくても服を共用しているし、お揃いのスカートを買ってもらったりもしている。戸籍上の母、そして実際に出産した母でもある谷山宏香は、しばしば上の3人の娘と一緒にこの2人にもお揃いの女の子の服を着せて連れ歩き
「うちは女の子ばかり5人なのよ」
と言って
「なるほどー。次は男だろうと思って作っている内に5人女の子ができちゃったパターンですか?」
などと言われている。
小空と小歌は年子だが、同じ学年なので、よく双子と思われているし本人たちも「私たち双子だよ」と言っている。
ちなみに「双子の男の子」と思っている人が3割くらい、「双子の女の子」と思っている人が5割くらい居て「男女の双子」と思っている人は少ない。(本当は男女の年子)
なお、小空は結構男の子になりたいがGIDではない。普通の女子が持つ「男の子だったらよかったのに」程度の気持ちである。小歌は女の子になる気はないが、女装している時は平気で女子トイレを使う。小空がしばしば
「女の子するんだったら、私にちんちん譲ってよ」
と言うが、小歌は
「いやだ。ちんちんはあげられない」
と言っている。
しかし小歌はしばしば朝起きてトイレに行った時に仰天させられる。
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少女たちの初めての体験(6)