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■少女たちの初めての体験(3)

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千里は秋大祭が終わった翌日10月30日(月)から11月3日(金祝)までの夜間、神社の“本殿内部”に行き、神様の代理をした。昼間代理をしている小春と交替である。しかし大神様が何かしてくれていたようで、この一週間千里は寝ていないのに全然眠くなかった。
 
大神様は11月4日の朝帰還した。
 
「千里お疲れ様」
「疲れましたぁ、少しも気が抜けないんだもん」
「神様は週七日・24時間勤務だからね〜」
「神様って大変なんですね」
 
「じゃご褒美」
と言って大神様は千里のお腹の下の方に手を当てた。
 
何か暖かいものが身体の中に入ってきて、おへそより少し下の付近に収まったような気がした。
 
「子宮を入れてあげたよ(本当は既にあったけどね)」
「え〜〜〜!?」
「要らない?」
「要ります!」
「じゃOKね。これで千里は生理が来るようになるから」
「わぁ・・・」
「生理自体は憂鬱だけどね」
「頑張ります。こないだ旭川行った時にナプキンも買ってきたし」
 
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「あんたは閉経するのがたぶん60歳くらいだから、このあと50年間、生理と付き合わないといけないけどね(12歳の時に寿命が尽きるのを何かの間違いで乗り越えられたらだけど)」
 
「問題ありません」
 
「あと、卵巣・子宮が体内にあれば、あんたはどんどん女らしい体つきに変わっていくと思う」
 
「それとっても嬉しいです」
 
こないだ《きーちゃん》に男っぽい身体付きだなんて言われたしなあ、などと千里は考えていた。
 
「もう男の子には戻れないよ」
「男の子にはなりたくないです」
 

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2ヶ月ほど前。
 
津気子が乳癌の手術を受ける前夜、大神様は小春の提案に乗って、津気子の卵巣を放射線から守るため、津気子の卵巣→千里、千里の睾丸→武矢、武矢の睾丸→翻田宮司、というドミノ移植をしたのだが、その時、小春が大神様に尋ねた。
 
「千里の睾丸がお父さんの武矢さんの身体に入っていた場合、万一、武矢さんと津気子さんの間に新たな子供ができたら、その子は母と息子の間にできた子になってしまいませんか?」
 
「それは大丈夫だ。津気子の子宮は乳癌の治療、特に放射線の照射の影響で機能を失ってしまうから、今後津気子が妊娠することはない」
 
「そうだったんですか。あれ?でもどうせ機能を失ってしまうのだったら、それも千里の身体の中に放り込めませんか?」
と小春が提案したのに対して
 
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「卵巣や睾丸はあまり拒絶反応が起きないのだけど、子宮はわりと拒絶反応が起きやすいから、移植は無理」
と大神様は答えた。
 
「そっかー。残念」
と小春も納得したのだが、あとからふと思って再度大神様に尋ねた。
 

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「確かに子宮は拒絶反応起きやすいですけど、卵巣とセットで移植したら割と拒絶反応が起きないということは?」
 
「ああ・・・それは確かだ」
「じゃ、お母さんの子宮も卵巣のついでに千里の身体に放り込みましょうよ」
「そうするか」
 
「膣はどうしましょう?」
「さすがに膣が無くなったら母ちゃんが驚愕するだろう」
「確かに」
 
「千里には生理が出てくる程度の小さな穴を開けてやるよ」
「ということは千里は生理が来るんですね?」
「卵巣を放り込んだ以上、当然来る」
「でも生理って脳下垂体が指令を出して起きるんじゃないんですか?男の子の千里の脳下垂体でちゃんと生理が起きます?」
 
「ふつうは生理周期を起こす回路は男の子の場合、胎児の間に破壊されてしまう。しかし千里の場合は、それが残っているんだよ」
 
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「残っているんですか!」
「あの子は胎内での男性化が中途半端に留まっている」
「それはそんな気がしました」
「前立腺とかも凄く小さい」
「へー!」
「あの子は半陰陽とまではいかないけど、2陰8陽くらいなのさ」
「そうかも!」
 
それで9月上旬に千里の胎内に卵巣とともに放り込まれた母の子宮は、当面は千里の身体に“慣らす”目的もあり、機能を眠らせてあった。それをこの神社お留守番のご褒美に、大神様は起動させたのである。
 

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12月2日(土).
 
この日は「学校のある土曜日」である。
 
千里は2〜3日前から何だかお腹が痛いような感覚があった。何か変なもの食べたかなあ、などと思うが心当たりはたくさんある! 村山家では食費を節約するため、半額シールなどの貼られた商品をいつも買ってくるので、消費期限を数日過ぎたようなものをよく食べている。それがたまに“当たって”しまうことも割とある。
 
あの蒲鉾がいけなかったかなあ、賞味期限1ヶ月超過していた豆腐かなあ、などと考えていたのだが、3時間目の授業中、どうにも我慢ができなくなり、先生にことわってトイレに走り込んだ。
 
人目の無いのをいいことに女子トイレに入り、個室に飛び込む。そしてズボンを下げると、パンティが真っ赤になっているのに驚愕する。
 
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何?何?どうしたの?どこ怪我しちゃった?
 
と焦ったが、小春が千里に言った。
 
『生理が来たんだよ』
『あっ・・・』
 
『初潮おめでとう』
『これおめでとうなの?凄く気分がよくないんだけど』
『千里もこれでおとなの女の仲間入りだね』
『おとなの女なのか!』
『おとなの男じゃないでしょ?』
『おとなの男にはなりたくなーい』
 
『処理方法分かる?』
『何とかなると思う』
 
それで千里はトイレットペーパーで血だらけになっているお股をよく拭いた。小春がパンティの換えを渡してくれたので穿き換え、初めてナプキンを装着した。それでショーツをあげると、ナプキンの感触が千里に『大人の女になった』という思いを持たせた。
 
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『このパンティどうしよう?』
『私が処分しておく』
『ありがとう』
 
これが千里の生理初体験だったのである。
 
(但しこの頃の“女性体験”は中学入学以降記憶から消えている)
 

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初めて生理があった日学校が終わってから、千里はスーパーに寄り晩御飯の買物をするが、小春に唆されて、金時甘納豆を買って帰った。
 
この日は餅米でごはんを炊く。普通のお米と同様、餅米を洗って炊飯器に入れ、食紅を少しだけ落とす。時間を置かずにすぐに早炊きでスイッチを入れる。
 
ごはんが炊けている間に今日のおかずに豚汁を作る。やがてごはんが炊きあがったら水洗いして甘みを落とした甘納豆と味付けの塩を入れて混ぜる。
 
(北海道の赤飯は小豆ではなく甘納豆を混ぜる)
 
そんなことをしている内に母が帰宅した。
 
「あら、今日はお赤飯なんだ。何かあったの?」
「ううん。急に食べたくなったから作ってみた」
「へー」
 
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玲羅は「私あまり赤飯って好きじゃないんだけど」などと文句を言いながらも食べていた。ちなみに豚汁の豚肉は大半を玲羅が食べた!
 
なお、この日千里は「漏れないか」心配でたまらなかったことと、ナプキンを使うのが何だか楽しかったことからナプキンを10回も交換している。
 

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なお、これ以降千里は生理中に限っては、ナプキンを交換するのに学校でもしばしば女子トイレに入るようになった。それは男子トイレの個室には汚物入れが無いからである!
 
むろん千里が女子トイレにいても誰も何もいわない。
 
むしろ千里が(実は生理中以外の時期に)男子トイレを使っているほうが問題にされていた。
 
「千里、女の子の癖に男子トイレ使うなんて、女を捨てたおばちゃんのすること」
「え〜?でも私が女子トイレ使っていいもの?」
「しばしば女子トイレでも千里を見るのだが」
 

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12月17日(日).
 
この日は留萌市内で留萌支庁主催のクリスマスイベントが行われる。千里たちN小学校合唱サークルはそのステージ演奏に参加した。
 
なにしろ田舎のイベントなので参加者がなかなか凄い。
 
THE RUMOI BAND (支庁職員有志のバンド)
R幼稚園 ソーラン節・ジングルベル
M小学校吹奏楽部
稲原越子(増毛出身)オンステージ(1)
留萌商工会女声合唱団
ヘリング・ボーン(バンド)
お元気会集団演技
N小学校合唱サークル きよしこの夜・キタキツネ
稲原越子オンステージ(2)
クリスマスツリー点灯式
 
地元の子供たちや、おじさん・おばさん(おじいさん・おばあさん?)に出てもらったという感じである。
 
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ヘリング・ボーンというのは地元の40-50代の人たちで作っているバンドらしい。“ヘリング”というのは鰊(にしん)のことで、要するに「鰊の骨」ということなのだが、一般に鰊の骨に似た↓のような模様のことを言う。
 

 
実はギターの名品マーティンD-28や000-28のバインディング(表板と横板をつないでいる端材)がこのヘリングボーン模様になっていたのが名高い。かまやつひろしがD-28を愛用していた。
 
このバンドのリーダーの人(かまやつひろしの信奉者らしい)もD-28の愛用者で、留萌がかつては鰊漁で賑わっていたことに掛けて、このバンドにヘリングボーンという名前を付けたらしい。
 
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(ローズクォーツの星居隆明(タカ)もD-28の愛用者)
 

ともかくもN小学校合唱サークルは最後から2番目の出演で、この日はやっと伴奏のピアノが弾ける!と張り切っている鐙さんも含めて24名(一部の部員は都合がつかず欠席)で会場となっている体育館に出かけて行った。
 
例によって会場で着換えるのだが、この日は千里の父は在宅だったので自粛してトレーナーとジーンズで家を出てきたのだが、合同庁舎に入ってから用意されている“女性用控室”で合唱サークルの制服であるチュニックとスカートに着換えた。
 
むろん千里は普段着で女性用控室に入っても誰にも咎められない。むしろ男性用控室に入ったら
 
「君、ここは男の控室だから女の子は入って来て欲しくないな」
と言われるだろう。
 
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着換えた上で、みんなで他の出演者のステージを見ていたが、狭い会場なので、観客の半分くらいが出演者なのではという気もした。千里たちは最初数少ない座席を占有するのは悪いので2階通路から見ているのだが、1階の座席は3割も埋まっていなかった。それで途中で運営係の人が来て「座席が寂しいから下におりて座席に座っていて欲しい」と言われたので、結局稲原越子さんの1回目のステージ以降は座って見ていた。
 
稲原越子さんというのは演歌歌手のようであったが、名前も初めて聞いたし、歌っていた曲も知らない曲だった。更にお世辞にも上手いとは言えない歌だった!
 

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やがてN小の出番が来る。この日は指揮台に楽譜を置いてくる役目は副部長の野田さんがした。思えば彼女は地区大会の時は突然指揮をしてくれと言われてあがってしまい、拍を間違ってしまうという失態をおかして泣いてしまったのである。あの時はまさか全国大会まで行けるとは思いもよらなかったろう。
 
全員ステージ上に並ぶ。
 
馬原先生と鐙さんがアイコンタクトをして『きよしこの夜』を歌う・・・・つもりだったのだが、前奏が違う!?
 
鐙さんはその「前奏が違う」ことに全く気付いていないようである。
 

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この前奏は『もろびとこぞりて』の前奏だ! みんな焦って顔を見合わせる。先生もどうしたものか焦っている。
 
小野部長が後ろを向いて「もろびとこぞりて」とみんなに言った。それでみんな前奏が終わった所で
 
「もろびと、こぞりて、迎えまつれ」
と歌い出した。
 
もろびとこぞりて、迎えまつれ。
久しく待ちにし、主は来ませり、
主は来ませり、主は主は来ませり
 
この世の闇路(やみじ)を照らし給う。
妙なる光の、主は来ませり、
主は来ませり、主は主は来ませり
 
しぼめる心の、花を咲かせ。
恵みの露おく、主は来ませり、
主は来ませり、主は主は来ませり
 
それでともかくも歌い終わって、みんなホッとしたが、鐙さんは予定と違う曲を弾いたことに全く気付いていないようだ。
 
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小春が篠笛を持って指揮台のそばまで出て行く。それでまた鐙さんと先生がアイコンタクトをし、
 
今度はちゃんと『キタキツネ』の伴奏が始まった。みんなホッとしている。次は何の曲を歌うことになるのか不安だったのだが、ちゃんと予定通りの曲である。
 
美しいハーモニーに小春の篠笛が彩りを添える。
 
終曲とともに物凄い拍手があった。
 
馬原先生が観客の方に向き直り、一緒にお辞儀をした。そして退場した。
 

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