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■娘たちの卒業(2)

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2014年1月27日(月).
 
貴司たちは第1回目の体外受精を行なった。
 
阿倍子は24日(金)から入院して卵巣の状態をモニターされている。そして月曜の午後に麻酔を掛けて卵巣から卵子を12個採取した。
 
千里は日本時間の26日(日)午前4時頃に試合が終わったので、その後、日本に転送してもらって、阿倍子が入院中なのをいいことに、千里(せんり)のマンションで貴司と会った。
 
但し阿倍子が寝室のベッドは普段使用しているので、そこは使いたくないと言って、隣の客間に布団を敷いて、貴司と丸1日イチャイチャした。
 
できるだけ濃い精液を作るため、丸一日寸止め・生殺し状態で貴司を性的に興奮させ、寝ている間にうっかり射精してしまわないよう、寝る時は貞操帯を取り付けた。
 
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「これ触れない」
と貴司が情け無さそうに言う。
「触れないようにするためのものだもん」
 
触れないのでよけい興奮して、安眠できなかったようであるが、千里はスヤスヤと寝た。そして27日(月)の朝、貞操帯を取り外してあげて、そのあと千里が握ってあげたら、手を動かす間もなく射精した。
 
「みこすり半とかいうけど、今のは0こすり半だったね」
「もう限界だったもん」
 
貴司が射精した後、力尽きて眠ってしまったので、仕方なく、《りくちゃん》に貴司の振りをして、精液を病院に届けてもらった。
 

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それで午後から採取した卵子に(活性化処理をした)精液を掛ける。
 
12個の内8個が受精した。受精しなかった4個の卵子は品質が悪いようなので、顕微鏡受精はさせずに廃棄することにした。
 
受精した8個の卵子の内、5個が分裂を始めた。残りの3個は分裂しないので廃棄処分にした。
 
その5個の内1個を29日(水)に阿倍子の子宮に投入した。残りの4個は取り敢えず冷凍保存した。
 
着床するかどうかは数日おかないと分からない。
 

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なお、貴司は月曜日は午前中いっぱい眠っていて、お昼を食べた後、午後から病院に行き、卵子採取と精液投入を見守った。卵子採取の時は麻酔は掛けているものの、阿倍子がかなり痛がっていたので、ずっと手を握ってあげていた。
 
夕方マンションに帰って千里の手料理を食べて、客間に敷いた布団で千里と一緒に寝た。むろんセックスはしないのだが、“眠っている千里”の手を勝手に借りて、快楽をむさぼった。
 
眠っているのなら、やっちゃってもバレないってことはないだろうか?とチラッと考えたものの、千里を怒らせたら怖い気がして、自粛した。
 
28日(火)は、千里に朝御飯とお弁当を作ってもらい、
「あなたいってらっしゃーい」
 
と千里に送り出してもらって会社に出勤した。この日はいつもの日のように15時で仕事をあがり、夕方まで桃山台の練習場でMM化学のチーム練習をした後、新快速で市川ラボに移動し、市川ドラゴンズの練習に参加する。そして0時頃練習が終わって市川ラボの居室に入り、シャワーを浴びて寝るが、29日朝起きると千里が傍に添い寝してくれているので感動する。
 
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(千里はスペインでの練習を終えて朝5時頃日本に戻っている)
 
そして千里と一緒に朝御飯を食べて、バイクで駅まで送ってもらい、6時前に甘地駅で千里に「あなた行ってらっしゃい」と見送られて会社に出勤する。この日は午前中だけで早引きして、病院に行き、胚移植に立ち会った。
 
夕方一緒に退院。阿倍子をA4 Avantに乗せて千里(せんり)のマンションに戻り、その晩は阿倍子と一緒のベッドで添い寝した。
 
この時期貴司は実は、寝室で阿倍子と同衾し、客間で千里と同衾するということをしていた。ただ、この日の同衾については、千里が
 
「阿倍子さんは不安だろうから付いててあげなよ」
と言ったので、貴司としてもあまり罪悪感を感じずに添い寝することができた。
 
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「胚移植に付いててくれてありがとう。貴司のおちんちんいじってあげようか?」
と阿倍子は言ったが
「ごめん。僕のは女性にいじられても立たないから、いいよ」
と貴司は答えた。
 
「うん。分かった」
 
と阿倍子は答えたが、やはり貴司さんってゲイなのかなぁ〜?などと思っていた。確かにいじっても全然反応しないのだが、精液が存在するということは射精する方法があるはずで、たぶん男性のヌード写真とかを見るか、あるいは、あそこを使ったオナニーをして射精するのかもと阿倍子は想像していた。それで病院の採精室ではできないのだろう。
 
なお、体外受精のため月曜1日と水曜の午後、会社を休んだ件については正直に体外受精のため、と高倉部長に言ってあるが、高倉部長は貴司と千里の間で体外受精をするのだろうと思っているようであった!
 
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一方、29日朝に甘地駅で貴司を見送った後、千里は東京に転送してもらい、秋葉夕子・河合麻依子と待ち合わせ、3人で一緒に東京都クラブバスケットボール連盟の事務局を訪れた。そして40 minutesのクラブ連盟への登録を申請した。
 
東京に登録することにしたのは拠点にしている練習場が東京都江東区にあるからである。
 
そして千里は少し悩んだのだが、自分自身を40 minutesに選手としても登録することにした。
 
スペインで2014年度も活動することが確定したことで、レオパルダとWリーグのチームを兼任するのは困難になった。シーズンがどちらも秋〜冬の土日に集中している。時間帯はズレるが1日に2試合するのはさすがの千里にも辛い。
 
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それで日本ではクラブチームに所属しておく道を選んだのである。その場合、クラブ連盟の試合は春から秋にかけてが多いし、そもそも数が少ないから、何とかスペインリーグとも兼任できそうなのである。
 
そういう訳で千里は40 minutesの活動にも正式に参加することにした。それでも日本バスケット協会の籍が1年ぶりに復活する。無所属状態からは卒業である。今回は麻依子にしても桂華にしても、復活組が多い。登録カードは全員一昨年まで使用していたもの(千里の場合は高校2年の時に女子選手として登録された時にもらったもの)がそのまま使用出来るということであった。
 

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「だけどチームとして発足するのなら、チームで少し練習用のボールとか買わない?」
と翌1月30日の40 minutesの練習の時、意見が出た。
 
「ああ。今は各自のを持ち寄っているからなあ」
「ゴム製のボールじゃなくて、皮製の、できたら公式球が欲しいよね」
 
「じゃ公式球20個くらいとラックを買おう」
と千里は言った。
 
「千里、常総ラボのゴールに取り付けている自動得点カウント装置、あれこちらに持って来れない?紅白戦する時に、時々点数が分からなくなる」
 
「だったらもう1セット買おうか?連動する24秒計も要るよね?」
「高いんじゃないの?」
「常総で使っているような小型のものなら定価でも1000ユーロくらい。実際にはあれは中古を400ユーロで買った」
 
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「ユーロで言われてもよく分からん」
 
「でも千里お金持ちみたいだから、それもお願い」
「OKOK」
 

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「でもボールとか得点板とか買って、どこに置いておく?」
「ふだんは体育館に置かせてもらえると思うよ。館長の立川さんに話してみるよ」
「大会とかの時はどけとかないといけないかもね」
「邪魔にはならないかも知れないけど、間違ってどこかに持って行かれたりする危険もあるよな」
 
「その時はうちに置いてもいいよ」
と後藤真知が言った。
 
「真知ちゃん、どこに住んでるんだっけ?」
「江戸川区。(総武本線)小岩駅と(都営新宿線)篠崎駅の中間くらい」
「中間?」
「どちらの駅にも歩いて20分掛かる」
「それ真知ちゃんの足でだよね?」
「そそ。お母ちゃんは30分以上掛かると言う。だからタクシー呼ぶ」
「ああ・・・」
 
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「でも一戸建てだから、収納に余裕があるんだよ」
「おぉ!都内で一戸建てって凄い」
 
「昔からそこに住んでんの?」
 
「おじいちゃんが昭和40年代に600万円でボロ家付きの土地を買って、ボロ家を多少の改修をして使っている。窓ガラスはサッシにしたし、トイレは洋式の水洗にしたし、お風呂もタイル貼りの浴槽・石炭焚きだったのをホーローの浴槽でガス風呂・シャワー付きにした。でも廊下は鶯張り」
 
「あはは」
 
「泥棒が入ったら音ですぐバレる」
 
鶯張りというのは二条城など、昔のお城の廊下に設定されていたもので、そこを歩くと大きな音が鳴るようになっているものである。侵入者を検知するために作られた。その制作方法は現在では不明であり《失われた技術》である。
 
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むろん真知が言っているのは、廊下の板が傷んでいるために歩くと、きしむということである。
 
「いや、昭和40年代にボロ家だったものをまだ使っているというのは、かなり凄い」
「たぶん築100年くらいという気がする」
「その内、博物館になるかも」
 
「今はS体育館にはどうやって来ているんだっけ?」
「篠崎駅まで歩いて新宿線。電車に乗れば住吉まで15分」
「歩いて20分・電車で15分の合計45分くらいかな」
「うん。そんなもの」
 

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「それ車ならS体育館まで30分くらいだよね?」
「混雑してなければね」
「真知ちゃん、車は?」
「免許は持っているけど、車はお父ちゃんが仕事で使っていることが多い」
 
「まあ移動する時は千里のハイゼットか、私のレガシーで運べばいいね」
と麻依子が言う。
 
「千里、ハイゼットも持ってるの?」
「あれはバイクのレースに出る時に、そのバイクを運ぶ用なんだけど、荷物がよく乗るんだよね。だから軽トラ代わりによく使っている。普段は常総ラボに駐めている」
 
「千里、バイクレースに出るんだっけ?」
「ライセンスも持ってるよ〜」
 
「千里は活動範囲が広い」
 
「実は常総ラボの意義の大半がたくさんある車やバイクの駐車場らしい」
と麻依子。
 
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「そんなにたくさんあるの!?」
「まさか、あそこの1階に駐まってた車って全部千里の?」
 
「私の先生に当たる人が、気まぐれで車やバイクを買っては飽きたら私にくれるんだよ」
と千里は困ったような顔で言った。
 
「もらえるのは嬉しい」
「でも駐車場代が大変だったんでしょ?」
「そそ。あそこを買うまでは毎月30万くらい払ってた」
「ひぇー!恐ろしい」
 
「駐車場代も高いもんね〜」
 

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その日、千里がスペインでの練習(1/30 22:00 - 1/31 5:00)を終えてからふと携帯を見るとその雨宮先生からメールが入っている。
 
《1月31日の天文薄明までにここに来なかったら罰金10億円》
 
うっそー!?
 
添付されている地図はどうも川崎市内のようである。慌てて東京天文台のサイトでこの日の川崎市での天文薄明時刻を調べる。
 
5:15!!
 
千里は緊急事態なので《くうちゃん》にその指定された場所に転送してもらった。大きな庭のある事務所のような所である。何だか車がたくさん駐まっている。千里は事務所の呼び鈴を鳴らした。
 
「誰よ?」
と不機嫌そうな声。
「村山です。天文薄明前に来いということでしたので参りました」
と千里は答える。
 
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1分ほどで先生はド派手なネグリジェ姿で起きてきて空を見上げた。
 
「まだ天文薄明前か。良かったね、10億円払わなくて済んで」
「先生も***とのスキャンダルをバラされなくて済んで良かったですね」
「ちょっと、あんた!」
「で、何の御用事ですか?」
「これ見て」
 
と言って先生は事務所の前に駐まっている車の所に千里を連れて行った。
 

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