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■娘たちの地雷復(6)

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スミレの花に感動した女王であるが、エレーナとライザに、この花はどこで摘んできたのかと尋ね、自分をそこに連れて行けと言った。しかしふたりはそれをアーニャから聞いていないので答えられない。女王の機嫌が悪くなる。
 
「連れて行けないのであればお前らを朝日とともに処刑する」
「分かりました!お連れします」
 
それで結局、女王、家庭教師、大臣A・大臣Bが犬ぞりに乗り、警護の兵士たちも付き添って、エレーナたちに先導されて、いったん彼女たちの家まで行く。そして死んだように眠っていたアーニャを起こしスミレの花の咲いている所まで連れて行けという。
 
ところが森の中を歩いている内に吹雪が吹いてきて、警護の兵士たちは風に飛ばされてしまう。犬ぞりを引いていた犬たちもどこかに行ってしまう。
 
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エレーナとライザ、女王と家庭教師が吹雪の中まとまって歩き、大臣A・Bがソリを持って歩く。一行は雪の森の中を奥の方へ歩いて行った。
 
「これでは死んでしまう。スミレの花の咲く楽園はどこにあるのだ?」
と女王。
 
「私の指輪を姉が取ってしまったのです。あれがないと神様たちに会えません」
とアーニャ。
 
「指輪を取っただと?妹に返してやれ」
と女王。
しかし女王から追及されたエレーナは指輪を向こうの方へ投げてしまう。
 

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吹雪が止む。
 
そして12の月の神様たちが現れた。
 
「お前たちは何をしている?」
 
「申し訳ありません。道に迷ってしまったのです。助けて頂けませんでしょうか?」
と家庭教師。
「それは難儀だね。まあ、新年だし、願いなら聞いてやるよ」
と7月(細井)。
 
女王が言う。
「私たちをお城まで案内しなさい。褒美に金貨を授ける」
 
しかし7月は答える。
「金貨などたくさん持っている。今更いらない」
 
家庭教師は女王に言った。
「陛下。命令するとかではなく、ちゃんとお願いしてください」
 
「お願い?そんなことしたことがない。私は一番偉いのだから命令する」
「ここにおられる方々はきっと神様です。神様にはお願いする必要があります」
 
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女王は戸惑うような顔をする。本人も言うように他人にお願いするなどということをしたことが無い。しかし女王は神様に言った。
 
「私たちを助けて。このままだとみんな凍え死んでしまう。この者たちは私の大事な者たちなのだ」
 
そして最後に女王は
「お願いします」
と付け加えた。
 
7月は言った。
「よいだろう。お前の願いは聞き届ける」
 
「他の者たちも何か願いがあるか?」
と10月が言う。
 
「私は、暖かい所に行けたら充分です」
と大臣A。
 
「うん。すぐに暖かい所に行けるだろう」
「私は犬の毛皮のコートでも着たい」
とエレーナと母。
 
「そうか。犬の毛皮が着たいか?」
と10月が言うとふたりは
「あ〜れ〜?」と
 
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言いながらぐるぐる廻りながら、やがて四つん這いになり、女王のソリの前に座った。黒子の衣裳をつけた桐絵がふたりの所に犬の頭のかぶりものを持ってきて、ふたりはそれをかぶる。
 
「あら?このふたり犬になっちゃった」
と家庭教師。
 
「ちょうどいい。こいつらにソリを曳かせましょう」
と大臣Bがいう。
 

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その時、女王が大臣Bに言った。
 
「例の男だが、死刑は免除してやれ。3年の流刑でどうだ?」
「御意。陛下の御慈悲をきっと国民が褒め称えますよ」
 
そして大臣Aにも言う。
「あのチェスのチャンピオンだが、本人がもし望むなら男に戻してやれ」
「分かりました。明日女になる手術を受けてもらう予定でしたがキャンセルで」
 
それでソリに女王と家庭教師、2人の大臣を乗せ、2匹の犬にソリを曳かせて彼らは去って行く。
 
「お母ちゃんとお姉ちゃんが犬になっちゃった」
とアーニャは戸惑うように言う。
 
「春になったら元に戻るから大丈夫だよ」
と7月が言う。
「もっともお前がお城まで返してもらいにいけば、すぐ元に戻るけどね」
と4月。
 
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「すぐ返してもらいにいきます」
とアーニャが言うと、4月たちも満足そうに頷いた。
 

結局残ったのは、アーニャと老兵士、それに神様たちである。
 
「神様たちごめんなさい。私、指輪を無くしてしまいました」
とアーニャが謝るが
「指輪ならちゃんとあるよ。君の姉さんに返してもらったよ」
 
と言って4月がエレーナの投げた指輪をアーニャに再度填めてくれた。
「わあ、ありがとうございます」
 
「お前たちは疲れたろう。少し休んでいきなさい」
と神様たちは言い、アーニャの周りを12人の神様たちが取り囲む。そして季節の歌を歌いながらアーニャの周囲をグルグルと回ると、アーニャは美しいドレスを着て、髪にはティアラも着けていた。
 
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「おお、可愛いですな」
と老兵士が言う。
 
5月と6月がたくさんの料理を、11月と12月がお酒や飲み物を持って来た。
 
「美味しそうな料理!」
とアーニャ。
「美味しそうなお酒だ」
と老兵士。
 
そして神様たちと一緒にアーニャと老兵士は楽しい宴をするのであった。
 
(ナレーション・黒子・プロンプター:桐絵)
 

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10月4日(金).
 
貴司と阿倍子は第1回目の人工授精をおこなった。手順は一週間ほど前から阿倍子の自然な排卵の兆候を確認しておき、10月4日が精液を子宮に投入する最適なタイミングということだったので、当日採精することにしていた。
 
貴司は市川ラボに泊まり込んでいるので、採精の日は千里がここに来てくれることになった。千里は夜間は作業があるからと言って、A4 Avantを持ち出していたようである。明け方4時すぎに千里が車で到着し、朝食を作ってから貴司を起こす。朝御飯を一緒に食べ、A4 Avantに乗って大阪方面に向かう。そして西宮名塩SAで小休憩して、ここで車の中で30分ほどイチャイチャして睾丸を活性化(?)させてから採精容器の中で射精させる。30分ほど仮眠した後で千里が車を運転して豊中市の産婦人科まで行き、名前を書いた封筒の中に入れた採精容器を病院の当番の人に渡す。
 
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そして千里が貴司を桃山台駅(車が停めやすいので)まで送っていき、貴司は会社に出社する。千里は車を市川ラボに戻す。
 
そういう訳で人工授精の日も貴司と阿倍子は顔を合わせないのである。病院が通常営業の中で対応できるのは平日の日中だが、その時間に貴司はあまり会社を空けることができないので、このような手順になったが、結果的に人工授精の日、貴司は法律上の妻であり人工授精の相手である阿倍子とは会わずに千里と会って、束の間の逢瀬を楽しみ射精の快楽も得る。このパターンが妊娠成功までの約1年間続くことになる。
 

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ただ千里としては心中複雑であった。貴司と会うのは楽しいし、射精させてあげて貴司が本当に嬉しそうにしているのを見るのも心地よい。しかしその射精された精液が自分ではなく、他の女性の子宮に投入されることに、言いようのない不快感を持っていた。
 
私って結果的には貴司の射精係?それとも愛人だったりして?
 
最初の人工授精の後、千里はどこへ持って行きようもない怒りのようなものを抱えたまま、市川ラボまで戻った。その後、市川ラボ地下にある作曲作業室(ここの存在を貴司は知らない)で曲を書いていたのだが唐突に
 
「やめた!」
と叫んだ。
 
千里は1階にあがると、駐車場に泊まっているSuzuki Gladius 400のエンジンを掛け外に出る。駐車場を施錠して市川南ランプに向かった。
 
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千里は福崎ICから中国道に乗り加西SAで満タン給油した後、名神・新名神・東名阪・伊勢湾岸道と走り、刈谷PAで短いトイレ休憩をしてここでまたガソリンを入れる。どちらにしようかな?と考えて、中央道に行くことにし、東海環状道・中央道・長野道・上信越道と走り、東部湯の丸でまた短いトイレ休憩と給油をする。
 
そして藤岡付近まで来た所で唐突に高崎のだるまが欲しくなったので高崎ICで降りた。取り敢えずお腹が空いた(朝から何も食べていない)のでラーメン屋さんに入って豚骨ラーメンを頼む。ラーメンを持って来てくれたおばちゃんに「高崎のだるまってどこのがいいですかね?」と訊いた。
 
「うーん。。。みんなそれぞれ好みがあるけど、私は門田さんかなあ」
というので地図の上で場所を教えてもらった。
 
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それでラーメンを食べた後行ってみたら、あまりお店という感じでは無い。取り敢えず建物の傍にバイクを駐めて工房のような感じの所に行き声を掛ける。
 
「ごめーん。うちは製造元で、ここでは売ってないんだよ」
と言われた。
「そうでしたか。すみません。こちらのだるまを売っているお店を教えていただけませんか?」
と千里が訊くと
 
「あんた、どこから来たの?」
と訊かれる。
「えっと・・・(私の住所どこだろう?)今日は姫路から走って来たのですが」
 
「遠い所からきたね!」
と言って
「だったら売ってあげるよ」
と若社長さん(?)は言って、
 
「このあたりが完成して出荷を待っている子たちなんだけど、どれか気に入ったのある?」
と訊かれる。
 
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「これ左側にあるのは量産品で、右側が手作りですか?」
「そうそう。よく分かるね」
「手作りのでもいいですか?」
「いいよ。高いけど」
 
千里はじっと見ていて、1人気になる子がいた。
 
「この白い子がいいです」
「OKOK」
 
それで箱に入れて売ってくれた。15cmくらいの高さの子で2500円だけど2000円に負けとくよと言われた。このサイズの量産品は700円らしい。
 
「この白いだるまは、芸事とかスポーツとかで頑張る子を応援してくれるんだよ」
「へー。実は私バスケットボールの選手なんですよ」
「おお、それならピッタシの子かもね」
と社長さんは笑顔で言っていた。
 

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だるまの箱をバイクの荷室に入れ、さて葛西に帰ろうかなと思って、インターの方に走っていたら、見知った顔を見て思わずバイクを停める。
 
「美緒!」
「千里!」
 
美緒は晩御飯を商店街のマックで食べた後、パチンコにでも行こうかと思っていた所らしかった。取り敢えず近くのプロントに入って話すことにした。バイクは店の前に駐めておけばいいよと言われた。
 
「千里、なんか暗いね。失恋でもした?」
「失恋かぁ。好きだった彼が先々月結婚したんだけどね」
「ふーん。そういう時は次の彼氏をゲットするんだよ」
 
さっすが美緒!
 
「でも先月、その彼と密会した」
「新婚なのに!?」
「そして実は今朝も会って射精させてあげた」
「すげー!」
 
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とさすがの美緒も驚いている。
 
「私、彼と毎月会って射精に協力する約束しちゃった」
「なんて大胆な」
「私って、あいつの愛人になったも同然かなあ。これまであいつの奥さんのつもりだったのに」
 

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美緒は少し考えていたが言った。
「妻と妾とか、正妻と愛人とか、正室と側室とか、そういうのは西洋文明に毒された考えだと思う」
 
「ほほお」
「平安時代の通い婚というのが、やはり日本の基本的な恋愛の形なんだよ」
「ふむふむ」
 
「男はたくさん妻を作る。その時、誰が正妻でだれが愛人かなんて考えはない。みんな自分の妻なんだよ」
「ああ、わりと男って自分の好きになった女は全部自分のものと思ってるよね」
 
「そうそう。それで結果的には、跡継ぎになるような男の子を産んだ妻と、天皇に差し上げられるような女の子を産んだ妻が特に大事にされる。男女両方を産んでいると理想的」
「なるほどー」
「要するに産んだものの勝ちだな」
 
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「うーん・・・」
「その点、千里は子供を産めない分、圧倒的に不利だから法的に結婚してもらえなかったのは、とりあえず仕方ないと開き直ればいい。毎月会ってHすることを約束したということは、今でも千里はその彼の奥さんなんだよ」
 
「あ、そうなるのかな・・・」
「これまでもずっと彼としてたんでしょ?」
 
「何百回とセックスしてる。実は彼とはもう10年半付き合ってきたんだよ」
「例の彼か!だったら千里とその彼の関係は今までと何も変わらない。千里、もっと自信を持って、その彼との関係を続けなよ」
 

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恐らく元々男女関係に関する観念が崩壊しているに近い美緒でなければ、こんなとんでもないアドバイスはしなかったろう。普通の人なら相手が結婚したのなら潔く諦めて不倫などしないようにと言うだろう。
 
「私も、奥さんのいる男2人と今付き合ってるよ」
「相変わらず凄いね!清紀とは?」
「同居してるけど」
「うっそー!?」
 
美緒は地元の高崎に戻って就職したのだが、彼女が大学時代に同棲していた紙屋清紀は前橋の大学の大学院に進学して、結局一緒に住んでいるらしい。
 
「彼、どこに進学したんだっけ?」
「群馬県立女子大学」
「嘘!?入れてもらえたの?」
「受験票出したけど、男はダメって却下されたらしい」
「ああ」
「性転換したら入れてあげるよと言われたけど、進学のために男を捨てる決断はできなかったと」
「ふむふむ」
「それで結局群馬大学」
「あそこに理学部の大学院あったっけ?」
「今年新設されたんだよ」
「そうだったのか!」
 
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しかし・・・紙屋君と同棲しているのに美緒は更に2人の男と付き合っているのか!?
 

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娘たちの地雷復(6)

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