広告:まりあ†ほりっく 第3巻 [DVD]
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■娘たちの地雷復(3)

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貴司は8月11日に新婚旅行から帰ってきた後、12日以降は国体大阪代表の練習に参加。夜遅くまでなので市川への移動は諦めて、その間は大阪市内のビジネスホテルに泊まった。17-18日に近畿ブロック大会に出たが、大会が終わると、会社と市川ラボを往復する生活に戻り、千里(せんり)のマンションには帰らない。
 
貴司が8月23日に郵便物チェックのため一時帰宅したら、ヴァイオリンのことを阿倍子から尋ねられ、それで千里に連絡したので24日(土)に千里が桃香と一緒にマンションを訪れ、ヴァイオリンを引き取って行った。
 
この時、なぜか貴司の男性器は復活してしまった。千里が帰った後もそのままである。
 

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貴司は首をひねったものの、これはチャンスだと思った。
 
千里を待つ間、久しぶりにマンションで阿倍子と数時間過ごしたこともあり、千里が帰った後で、妊娠作戦のことも話し合った。それで週明けの8月26日(月), ふたりで一緒に不妊治療に定評のある産婦人科に行き、医師と話し合った。
 
医師は以前受けていた不妊治療のことを聞くと、自然妊娠は厳しいかも知れないですねと言い、取り敢えずその日は、貴司・阿倍子ともに検査をされた。貴司は
 
「男性ホルモン濃度が低い」
 
と言われた。やはり睾丸がずっと無かったからだろうなと思った。
 
精液を検査するのでとってきて下さいと言われてシャーレを渡されると、どうしよう?と悩んだ。たとえ男性器があっても、千里がいないと射精できないのである。ところが採精室の中で悩んでいたら、唐突にシャーレ内に精液っぽいものが入り、貴司はびっくりした。それを提出すると
 
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「精液はいたってノーマルですね」
と言われた。
 
誰の精液なんだ〜!?と思ったが、取り敢えず今日はいいことにした。
 

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阿倍子の方はやはり卵巣の機能が低いこと、子宮の機能も低いことを指摘されていた。卵管も検査されたが、卵管自体には異常が無いという話であった。
 
「これはやはり体外受精がお勧めです」
と医師は言った。
 
「でも取り敢えず何度か人工授精でやってみてもいいですよね?」
「そうですね。確率は低いですけど、できるだけ負荷の少ない方法から試してみましょうか?」
 
それで阿倍子の生理周期を確認し、次の生理周期で投薬により卵胞がよく育つように支援した上で、10月上旬に第1回の人工授精を試みることになった。
 
なお、貴司は8月27日以降は、また市川ラボと会社を往復する生活になり、マンションにはほとんど帰宅しなかった。阿倍子はちょっと寂しい気はしたものの、元々ひとりでいるのは嫌いでないし、生活費の心配をすることなく、自由にしていられるので、こういう生活も悪くないかもと思い始めていた。
 
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「亭主元気で留守がいい、なんて言葉もあったしね〜」
 
なお貴司は市川に行っても男性器が消失せずに、逆に困った。男性器があるのがバレないように、睾丸は体内に押し込み、ペニスは後ろ向きに収納してガードルで押さえ、外から触っただけでは男性器など無いように感じるようにしておいた。またブレストフォームを買って練習中はそれを貼り付けた上でスポーツブラをしていた。
 

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その日の夜中、龍虎は変な夢を見て夜中に起きてしまった。それでトイレに行ってから寝ようと思い、便器に座りぼーっとした状態でおしっこをした。拭こうとしたとき何か違和感があった。
 
ん?
 
と思いよく見ると、割れ目ちゃんがあるような気がする。指を入れてみると前の方にコリコリしたものがあり、触ると気持ちいいし濡れているのでこれがおちんちんのようだ。一番後ろには何か穴があった。これ何だっけ?と思う。
 
まだ夢見てるのかな?もう一度寝ようと思い、トイレを出ると自分の部屋に行って何となく気分でナプキンを付けてから布団に潜り込んで熟睡した。セーラー服を着て彩佳たちと町を歩く夢を見た。
 
朝起きてからトイレに行って確認すると、龍虎の股間はいつもの通りで、ちんちんもタマタマもいつもの状態だったし、割れ目ちゃんは無かったので、やはり夜中のは夢だったんだなと思った。
 
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2013年9月1日(日).
 
日本女子代表候補の第四次合宿がNTCで行われた。第3次合宿があったのが6月下旬であり、これは2ヶ月ぶりの召集であった。
 
今回召集されたメンバーの中に栃木K大学1年生の永岡水穂の姿があった。アンダーエイジでは何度も召集されているが、フル代表に招集されるのは初めてである。
 
「ワットちゃん、召集されたんだ?」
「私もびっくりしましたー!シューターは層が厚いのに。まあ今回はお勉強ということなんでしょうけど」
 
今回召集されているシューティングガードは、三木エレン、花園亜津子と彼女の3人である。亜津子と水穂の間に伊香秋子・神野晴鹿(大学3年)もいるのであるが。
 
玲央美は絵津子や王子などとワイワイ話している水穂をじっと見つめていた。そして三木エレンもまた彼女を見つめていた。
 
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合宿が始まってみると、水穂は亜津子には全くかなわないものの、三木エレンとの対決では、3〜4割くらい彼女が勝つ感じであった。成績としては三木エレンの方が良いものの“伸び代(のびしろ)”を考えると、今回は水穂が代表に選ばれるのでは?と馬田恵子や月野英美などは話していた。
 
「それにしても村山ちゃんはどうしたのかね?」
と恵子は言う。
「何か色々噂があるよ。去年の秋に何か大きな手術を受けたらしいというのは聞いた。そのリハビリに時間が掛かっているのかも」
「結婚して引退したという噂もあるよ」
 
「ああ、相手は男子代表の細川君でしょ?」
「そうそう。年末に結婚式を挙げたという噂があった」
「でも先月結婚式を挙げたという噂もある」
「結婚式2回挙げた訳?」
「年末に結婚して離婚して、また先月結婚したんだったりして」
「それは忙しすぎる」
「性転換したという噂もあるが」
「まさか!」
 
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9月7日(土).
 
桃香と千里は9月中旬まで高岡に滞在するつもりだったのだが、桃香が
「夏休み中に書かないといけなかったレポートがまだ全然出来てない!」
と叫び、この日一緒に千葉に戻ることにした。
 
例によってちゃんと千里が(本当は《せいちゃん》が)チケットを手配して、朝から、はくたか+新幹線での移動である。
 
高岡8:44-10:54越後湯沢11:04-12:20東京
 
それで一緒に東京駅まで行ったのだが、千里は作曲依頼が溜まっていたので、「私ちょっと用事があるから」と言い、(東西線で葛西にいくのに)桃香と別れて大手町駅方面への地下通路を歩いていたら、バッタリと三木エレンに遭遇する。
 
「サン!あんたどこに居たのよ?」
「うーん。。。地球上かな?」
「そりゃ、あんたが火星とか金星にいたら、さすがの私もびっくりするわ」
と言ってから、
 
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「あんたについて色々噂があるけど」
「噂というと?」
「結婚したとか、離婚したとか、引退したとか、大きな手術を受けたとか、性転換したとか、死亡したとか」
 
「うーん。。。。引退と死亡以外は事実ですね」
「性転換したの!?」
「性転換手術を受けて女になりました。大きな手術ってそのことですよ」
「元から女だったじゃん」
「そうなんですよね〜」
「結婚とか離婚とかしたの?」
「微妙ですね。結婚指輪なら、このくらいありますが」
 
と言って千里は金色のステンレスの結婚指輪、プラチナの結婚指輪、更にアクアマリンの指輪まで左手薬指に填めてみせる。
 
「たくさんあるね!」
と言ってから、エレンは言った。
 
「あんた引退していないのなら、私と手合わせしてよ」
「いいですよ」
 
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それでエレンは千里をNTCに連れていった。京浜東北線で東京から赤羽に移動するルートである。エレンはずっと合宿をしていたのだが、バッシュが破れてしまい、彼女がいつも買っているスポーツ用品店まで買いに行くのに外出してきたらしい。彼女は大手町から東京駅に戻るのに通路を歩いていて千里と遭遇した。
 
NTCは本当はIDカードがないと中には入れないのだが、千里は顔パス!で入れてしまう。しかし千里がここに来たのは昨年6月11日以来、1年3ヶ月ぶりであった。
 
千里がNTCに来たのを見て、女子代表候補のメンバーたちがざわつく。
 
「まあ死亡説だけは間違っていたようだね」
などと広川妙子が言っている。
 
「性転換もしていないようですよ」
と王子。
 
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「美樹ちゃん、手伝ってくれない?」
とエレンが言う。
 
「ディフェンスですか?」
「そそ」
 
それで石川美樹がディフェンスしている状態で、三木エレンと千里が1本交替でスリーを狙うというのをやる。
 
10本ずつやって、エレンは3本入れたが、千里は8本入れた。
 
千里の圧勝だが、エレンは言った。
「サン、本調子じゃ無い。なんかしばしば心ここにあらずの状態になってた」
 
「そうなんですよ。だからリハビリしているんです」
「ああ。やはり特別メニューで練習していたのか」
「私はまだ昨年6月の調子を取り戻していません」
「確かにそう思った」
 
その後、今度は千里とエレンの1on1をやる。1回ずつ攻防を入れ替えてやったが、これは千里の全勝だった。
 
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代表選手たち、そして途中から姿を見せていた川口ヘッドコーチと戸田アシスタントコーチ、更に話を聞いてやってきた高居代表も腕を組んでこの対決を見ていた。
 
エレンは言った。
「去年より遙かに進化している」
「でも本調子じゃないんですよ」
 
「うん。それも分かった。サンはもっとできる。でも今は自分のパワーの3割も出ていない」
「ええ。ですから、自分が納得できるプレイができるまでは、私は修行を続けなければいけない気がしています」
 
「来年は来るよね?」
「来られたらいいですね。私がエレンさんを引き摺りおろすまで、代表落ちしないでくださいよ」
「当たり前だよ」
 
それで千里は
「皆さんお騒がせしました。東アジア競技大会、アジア選手権、頑張ってください」
と笑顔で言って、NTCの体育館を出て行く。
 
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「千里、私とも勝負してよ」
と亜津子がその後ろ姿に声を掛けた。千里は振り向いて笑顔で言った。
 
「私まだ精神的にボロボロなんだよ。今あっちゃんとやったら間違い無く私が全敗する。武士の情けで今日はパスさせて」
 
それで千里は出て行った。
 
「コーチ、彼女を追加招集しなくていいんですか?」
と羽良口英子が川口ヘッドコーチに言った。
 
「戸田君、今の彼女のプレイをどう見た?」
「多分3ヶ月後には使えると思います」
「うん。僕も同じ意見」
 
「どうしてですか?彼女、どう見ても去年より強くなっていますよ」
と羽良口。
 
「でも本人も言ってたけど、精神的な脆弱さを感じた」
と戸田アシスタントコーチ。
「うん。あの状態では試合中、精神力を維持できないと思う。何があったの?」
と川口ヘッドコーチは玲央美に尋ねた。
 
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「長年付き合っていた彼氏と破局したんですよ」
「そうだったのか」
「結婚したんじゃなかったの?」
「実質結婚したんですよ」
「別の男性と?」
「いえ。その破局した相手とです」
「意味が分からない」
 
「多分本人も意味が分かってないです。でもいい加減、復活すると思いますよ。アジア選手権に間に合うかどうか微妙と思ったのですが、少なくとも今はまだ無理っぽかったですね」
と玲央美が言うと
 
「あのプレイで代表を張れないのなら、私とかどうなるんです?」
と石川美樹が言う。
 
「石川君は落とされないように頑張ろうね」
と戸田コーチは笑いながら言った。
 

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しかし千里とのこの公開対決以降、エレンのプレイが見違えた。
 
それまで亜津子に全敗、水穂にも3〜4割負けていたのが、亜津子にも1〜2割勝つようになり、水穂には全く負けなくなった。
 
「レンさん凄すぎる!」
という声が圧倒的だが
「いや、頑張りすぎてぽっくりいかないか心配になるくらいだ」
という陰口も一部で叩かれていた。
 
9月11日、日本バスケットボール協会は10月の東アジア競技大会とアジア選手権に出場する日本女子代表の最終的なメンバーを発表した。
 
シューティング・ガードには、エレンと亜津子が選ばれた。
 

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娘たちの地雷復(3)

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