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■娘たちの仲介(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2018-05-05
 
5日(日)のライブが終わった後、ケイは6日(月)大学の授業に出るため北九州で1泊して朝5:30のスターフライヤーで羽田に飛んだことになっているが、実際には《しーちゃん》はそのまま北九州市内で休み、6日朝大学に出ていったのは東京にずっといた冬子である。
 
この日の夕方にはテレビに出演してAYAが上島雷太と抱き合っているように見える写真は、通行人にぶつかって倒れそうになったAYAを上島が抱き留めてあげただけであることを説明。当時の状況を実演してみせた。冬子たちと百瀬の証言でAYAの疑いは晴れ、翌週からAYAが歌う『天使に逢えたら』が放送できることになった。
 

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そしてケイはその夜から、『天使に逢えたら/影たちの夜』のCD発売用音源の制作も進めた。4日深夜の制作はあくまで翌朝の放送に間に合わせるための暫定版であり、特にマリとケイの歌はあまり質が良くなかった。曲のアレンジ自体も練り不足だった。それでケイとスターキッズは5日夜から7日に掛けて再度伴奏を録り直し、8日には朝からAYAのゆみ、ローズ+リリーのケイとマリ、更に成り行きでボーカルに参加することになったスターキッズの七星の歌を録音して伴奏に乗せた。
 
音源は(ミクシング・マスタリング作業を除いて)8日の13時半にやっと完成した。それで夕方までにマスターを作って工場に持ち込みプレスを開始しようということになる。発売は一週間後の2月15日である。
 
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どうもローズ+リリー絡みのCDは無茶なスケジュールで制作・発売されることが多い。
 
13時半に演奏が完成したとき、ハッとして七星が言った。
 
「ケイ、今日のローズクォーツのライブは?」
「今から行く。バイク便を待機させているんだよ。バイクなら東京駅まで10分で行くから、13:50の広島行きに乗れるんだよね。それで17:58に広島駅に到着するんだよ。でもこの後のミクシングは七星さんお願い」
 
「分かった。こちらは何とかする。でもそちらは体調大丈夫?」
「新幹線の中では寝ていくから平気」
「頑張るね!」
 
実際にはケイはスタジオを出ると、タクシー!を停めて、大田区のマンションに移動し、ぐっすりと寝ていた。そして広島のライブは《しーちゃん》が務めた。
 
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ところで『天使に逢えたら』の歌い手については、面倒な論争が引き起こされた。
 
2週目にAYAが歌う主題歌を流すとローズ+リリーのファンが
「ローズ+リリーが歌っていたのに」
 
と文句を言い、更にAYAが
 
「本当はマリちゃんたちと一緒に歌いたかったのよね」
 
などと発言したので(AYAは事務所社長からきつく叱られた)、急遽両者が参加する音源も製作し、4週目には、AYAがメインボーカルを取って、ケイとマリも参加したバージョンを流した。このバージョンはCDの増刷の際に追加された。元のバージョンを持っている人は新しい版と交換可能としたのだが、実際には交換を希望した人はほとんど無かった。大半の人は元のを希少な記念品として持ったまま追加購入したものと思われる。
 
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ところがこの新しいバージョンが流れると、AYAのファンは
 
「AYAが単独で歌っていたのに」
 
と文句を言い、ローズ+リリーのファンは
 
「最初はケイがメインボーカルだったのに」
 
と文句を言い、どうにも収拾が付かなくなってしまった。
 
結局この問題は、AYA・ケイ・マリ、ついでに七星さんまで加わったトーク番組を放送し、AYAとローズ+リリーがとても仲良しであることをアピールしたところ
 
「まあ仲良しならいいか」
と言って多くのファンが喧嘩の矛を収めてくれたのである。
 
視聴者の声にいちいち反応していたら、どうにもならなくなるという好例(悪例?)である。
 

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2012年2月8日、日本バスケット協会は8月18-26日に台湾で開かれるウィリアム・ジョーンズ・カップに出場する男子日本代表の候補選手32名を発表した。
 
男子代表は昨年のアジア選手権では7位に終わり、ロンドン五輪代表を決める最終予選(今年7月2-8日)にも進出することができなかった。ロンドン五輪は7.28-8.12に開かれるが、ウィリアム・ジョーンズ・カップはその五輪の後に行われる。
 
貴司はこの32名に含まれており、貴司にとって初めての日本代表候補活動となった。
 

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「代表候補選出おめでとう。頑張ってね」
と千里は電話を掛けて言った。
 
「ありがとう。でも千里に煽られたから言う訳じゃないけど、候補になった以上は、ロースターに残れるように頑張るよ」
と貴司は言っている。
 
「スターターになれるよう頑張りなよ」
「千里はほんとによく煽る!」
「男なら頂点を目指さなきゃ」
「うん。頑張る」
「それとも女になる?」
「それも大変そうだ」
 
「合宿はいつからだっけ?」
「2月下旬に第1回があるみたい。最初は顔合わせみたいな感じになるらしい」
「まずはそこでアピールだね」
「うん」
 

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2月12日、千葉県冬季クラブ大会が開かれたが、これに重なる日程の2月11-12日と18日には第9回シェルカップが開かれた。ローキューツでは両者の日程が重なることからAチームとBチームを編成した。
 
Aチーム(冬季クラブ大会に参加)
西原監督。5.麻依子(PF主将) 8.千里(SG) 15.聡美(SF) 16.凪子(PG) 17.薫(SF) 22.岬(PF) 23.国香(SF) 24.元代(PF) 33.誠美(C) 35.桃子(C) 25.翠花(PF)
 
Bチーム(シェルカップに参加)
谷地コーチ。4.浩子ひろこ(PG主将) 7.茜(PF) 11.玉緒(SF) 14.菜香子(PF) 18.瀬奈(SF) 20.司紗(SF) 32.夢香(PF) 34.夏美(SF) 28.ソフィア(SG)
 
茜については玉緒が「頭数が足りないからおいでよ」と誘ったところ、年末年始の繁忙期が過ぎたから、この時期なら何とかなるかもというので参加してくれることになった。
 
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また先日ローキューツへの入団が決まったソフィアはクラブバスケット連盟及び実業団バスケット連盟の移籍規定により3月末までは公式戦に出場することができない(*1)。それでオープンな大会であるシェルカップの方に参加してもらうことになったが、司紗が
 
「ソフィーの参加は頼もしい!」
と喜んでいた(2人は共に旭川N高校出身で、ソフィアが司紗の1学年下である)。
 
(*1)円満移籍の場合でも出場できるのは翌年度から。非円満の場合(移籍元チームが承諾書を出さない場合)は翌々年度からになる。これは実は、強引な引き抜きから選手を守るための規定である。なお、同じ会社の別支店で結成されているチームへの移籍、在籍していたチームが活動停止した場合は、この限りではない。ソフィアの場合は、チームは現時点では公式に活動停止した訳では無く単に活動していないだけなので、この規定が使えなかった。
 
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2009年度に途中加入の千里・誠美・来夢が出場できたのは、誠美・来夢は協会側の事情による特例移籍だったためで、千里の場合は日本代表だったからである。
 

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まず2月11日に行われたシェルカップ(土浦市・霞ヶ浦文化体育館)の1回戦では水戸市の中学生チームと当たる。
 
割と手応えのあるチームだったが、前半にだけ出場したソフィアがその前半だけで5本もスリーを放り込む活躍で快勝した。ソフィアも久しぶりの試合で水を得た魚のように気持ち良さそうにプレイしていた。
 
「ローキューツのシューターさんってあまりにも強すぎるからこういう大会には出ないと聞いていたのに」
「でも美しいフォームだったなあ。さすが日本代表だね」
「うん。それを間近で見られただけでも幸せ」
 
と敗れた相手チームの中学生が話していたので、ソフィアは困惑した表情。司紗が笑いをこらえきれない感じだった。
 
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「MURAYAMA と MIZUSHIMA だと、最初の M と最後の MA しか合ってないのに」
などと、菜香子が言っていた。
 

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12日の午前中に行われた2回戦では東京から来たという20歳前後の選手が“5人だけ”のチーム《晩餐》と対戦した。
 
が向こうに原口揚羽がいるのでびっくりする。
 
取り敢えず手を振り合って試合を始めるが、このチームが強い、強い。第1ピリオドで22-16と6点差も付けられる。
 
「負けそう〜!」
という声も出るが、司紗は今のピリオドでだいたい相手選手の癖をつかんでいた。各選手に指示を出す。
 
「あっちゃんはソフィーに任せた」
「うん。頑張る」
 
それで第2ピリオドは揚羽とソフィアの対決が主軸になった。司紗も相手のキャプテン・後藤さんと対峙する。他の選手の所も司紗の指示に従って相対し、夏美・夢香・瀬奈が真田さん・毛利さん・明石さんを何とか押さえていく。それで第2ピリオドは第1ピリオドより随分マシな20-18で終えることができた。前半は42-34である。
 
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「このゲームでは私たちの出番は無いね」
と浩子が言うが、司紗は
「ごめーん」
と言う。
「体力だけはあるから40分頑張るよ」
と夏美。
「いや最近こんなに出番のある試合が無かったから嬉しい」
と夢香。
 

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それで第3ピリオドに入っていたのだが、相手の明石さんが攻めてきて、ゴールそばで夢香と接触した時、笛が鳴る。明石さんがファウルを取られたのだが、審判をしていた高校生がテーブルオフィシャルに何か確認している。テーブルの所に座っていた同じチームの部員と思われる子が掌を広げている。
 
「ファイヴ・ファウルで退場」
と審判は宣告した。
 
「えっと・・・交代要員が居ないんですが、どうしましょうか?」
と向こうのキャプテン・後藤さんが訊いているが、審判の高校生も不確かなよう。
 
するとこの試合を見ていた社会人のチームの人が出てきて
「バスケットボール規則21.1。プレイできる選手が1人になってしまったら没収試合。それまでは試合は継続できる」
と審判の子に教えた。
 
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「ありがとうございます。それでは白チームはそのまま4人でプレイを続けてください」
 

それで試合は再開されたが、4人対5人では、絶対的に4人側は不利である。どんどん点差が縮んでいく。あと4点で追いつく所まで行くが、揚羽が頑張ってこちらの制限エリアに飛び込み得点して6点差にする。
 
司紗とソフィアがアイコンタクトする。
 
ボールを審判からもらった司紗が密かにセンターライン付近まで移動していたソフィア目掛けてロングパスを出す。ソフィアはかなり足が速い。虚を突かれた向こうの選手の中でいちばん向こうに居たキャプテン後藤さんが必死に追いかけていき、手を伸ばしたら、ソフィアを押す形になった。
 
「あっ」
 
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ソフィアが転びそうになった所をすんでで持ち堪えたものの、ボールは向こうに飛んで行った。
 
審判が笛を吹く。手首を握って頭上に掲げている。
 
いわゆるファストブレイク妨害であり、アンスポーツマンライクファウルを取った。これがアンスポになることは2008年競技規則で明記された。オートマティック・アンスポとも呼ばれる。後藤さんが青い顔をして手を挙げている。
 
「ファイヴ・ファウルで退場」
と告げられる。彼女もこれが5つ目だった。後藤さんも退場になってしまい、相手チームは3人になる!
 

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キャプテンが退場になったので毛利さんがキャプテンマークを付ける。しかし3人対5人では全く勝負にならない。この後はローキューツ側が一方的に攻める展開になってしまった。
 
第4ピリオドになると更に1人毛利さんも退場をくらって、揚羽ともう1人真田さんの2人だけで戦う形になった。真田さんがキャプテンマークを付ける。しかし2人だけで頑張る。
 
バスケットの規則ではとにかく2人いれば試合継続可能だし、勝手に放棄するのは制裁対象になる場合もある。
 
それで結局55-80で決着した。
 
たった2人で最後まで頑張った揚羽と真田さんに観客から大きな拍手が送られた。
 

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娘たちの仲介(5)

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