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■娘たちの1200(3)

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千里たちは7日夜も桃香のアパートで過ごした。この日も桃香は彼女の家に外泊である。実は桃香はお正月になってから、日中に何度かこのアパートに寄っただけで、夜勤しているか彼女の家に行っているかである。
 
この日は夕方、朱音が来て、貴司がいるのを見て
「ごめん。他を当たる」
と言ったが
「平気平気。泊まっていって」
と言って中に入れる。
 
「邪魔じゃない?」
「音を立てずにやるから大丈夫だよ」
「まあいっか」
 
それで3人で一緒に晩御飯を食べた。この日は貴司のリクエストでカレーを作っていたので、それほど大食家ではない朱音が加わるのは全く問題無い。
 
「いや千里の作るカレーは美味しい。貴司さんがいなかったら私がお嫁さんにしたいくらいだ」
「実はさっきバスケのチームでお茶飲んだときもお嫁さん欲しいと言ってた子がけっこういた」
「だよね〜。あ、そうそう。BEST8おめでとう」
「ありがとう。もうひとつ上まで行きたかったんだけどねぇ」
「やはりトッププロは強いよね」
「うん。思い知ったよ」
 
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「でもその内優秀な家事ロボットができたら、そういう需要が無くなるかも」
「それは恐い」
「家事ロボットと掃除ロボットとセックスロボットができたら、女は要らんという男性がかなり増える可能性はあるよね」
「セクサロイドかぁ」
「貴司さん、どうですか?セクサロイドがいたら?」
「やはり僕はロボットと恋愛はできない気がするなあ」
「まあ肉体的な快楽と精神的な充足は別かもね」
 

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「でも実は昨夜は私ひとりでここに泊まったんだよ」
と朱音は言っている。
 
「桃香は随分**ちゃんに熱をあげているみたい」
「あの子とは以前にも一時期付き合っていたことあったね」
「へー。それが復活したんだ」
「あの世界って世間が狭いから、お互いに相手を求めて仲が復活することはあるみたいだよ」
 
その晩は6畳に千里と貴司が寝て、4畳半に朱音が寝たのだが、朱音の安眠を妨害しないように、声出し禁止・震動禁止というのでしたら、これも(千里は)なかなか楽しかった。振動禁止だと男性側が生殺しになるので、貴司は辛かったようであるが。
 

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翌1月8日(日)。
 
朱音とは朝御飯を一緒に食べたところで別れる。今日は代々木第1で14:00から女子の決勝戦がある。千里はローキューツのユニフォームを着てウィンド・ブレイカーも着た上に、防寒用のコートを着て貴司と一緒に電車で代々木まで行った。
 
試合は結構な接戦であったが、若手主体で戦ったレッドインパルスがベテラン中心に戦ったエレクトロウィッカを倒して優勝した。
 
決勝終了後、表彰式・閉会式になる。千里は事務局の人が呼びに来たのでコートを脱ぎ、ウィンドブレーカー姿で下に降りていき、来賓席に座った。隣の椅子が空いていたが、表彰式がもう始まろうとしていた時に、高梁王子がE女子校の顧問の先生に連れられてやってきた。
 
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「何とか間に合ったね」
と千里は声を掛ける。
 
「遅くなって申し訳無い」
と顧問の先生。
 
「すみませーん。眠ってしまっていたので」
と王子は言っている。
 
優勝のレッドインパルス、準優勝のエレクトロウィッカ、3位のビューティーマジックとブリッツレインディアが表彰されて、賞金・賞品のカタログなどをもらう。その後、個人成績が発表された。
 
得点女王は岡山E女子高の高梁王子、リバウンド女王はエレクトロウィッカの馬田恵子、アシスト女王はレッドインパルスの広川妙子、そしてスリーポイント女王は村山千里と発表される。
 
全員アジア選手権の日本代表である。
 
各々賞状をもらった。
 
MVPには優勝したレッドインパルスからアシスト女王も取った広川妙子が選ばれた。これは誰も文句ないであろう。
 
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広川さんが出て賞状と楯をもらう。
 
そしてベストファイブはレッドインパルスの広川妙子・黒江咲子、エレクトロウィッカの武藤博美・馬田恵子、の“4人”と発表された。
 
“ベスト5”なのに“4人”という発表に会場がざわめく。大会長が説明した。
 
「本来でしたら5人選出しなければならないのですが、5人目をめぐって選考委員の間の意見がどうしてもまとまらず、今回は4人とさせて頂きました」
 

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「まあ5人目というか多分1人目をきみちゃんにしようとしたのに対して、3回戦で負けたチームからというのはおかしいという意見が出てまとまらなかったんだろうね」
と千里は小声で王子(きみこ)に言う。
 
「え?そうですか。私は花園さんを選ぼうとしたけど、個人成績で千里さんの方が上なのにおかしいという意見が出たのかと思いました」
と王子は言う。
 
他に森下誠美、佐藤玲央美、母賀ローザなどを推す意見もあったのではと千里は思った。
 
おそらく多数決を取ると一部の委員が辞任しかねない状況だったため、決はとらずに5人目空席ということにしたのではと想像した。
 
今回は個人的に活躍した人が準々決勝までで消えてしまっているし、女王のサンドベージュも3回戦で消えてしまったし、かなり選びにくかったのであろう。
 
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オールジャパンが終わった後、ローキューツのメンバーは応援してくれたチアの人たち、河合さんと貴司も入れて、2012年オールジャパン総括打ち上げを都内の洋食屋さんでした。
 
「まあそういう訳で私は就職するので3月いっぱいで退団しますので、後任のキャプテンを決めてほしいのですが」
と浩子が言う。
 
「副キャプテンのまいちゃんの昇格で」
という声が出るが
「私は結婚するので、というか既に結婚したんですが、夏くらいに結婚式もあげるし赤ちゃんも作りたいので、やはり3月いっぱいで退団しますので」
と麻依子は言う。
 
「待って。3月いっぱいで退団するのは誰々?」
と国香が訊く。
 
「就職に伴って退団するのが、私と夏美。仕事が忙しくなりそうなので退団するのが夢香、結婚に伴って退団するのが麻依子と千里」
と浩子が言う。
 
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「千里も辞めちゃうの!?」
「ごめーん。来期は前半は日本代表で忙しいし、後半は卒業準備と結婚準備で忙しくて、まともにこちらに顔出せないと思う」
 
「随分ガバッと居なくなるなあ」
「その5人は全日本クラブ選手権までは出られる?」
「出る。よろしく」
 
「頑張って新人スカウトしないといけないなあ」
 

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「千里が辞めた場合、スポンサーの方は?」
と玉緒が訊いた。
 
「フェニックストラインは引き続きローキューツを支援するよ。だから遠征費用とか大会参加費とか体育館の使用料とかのことは心配しないで」
「それは助かる」
と玉緒。彼女は最近このチームのマネージャーという感じになっている。
 
「体育館の事務室へのカップ麺とかアイスクリームの差し入れは?」
と聡美。
 
「それも続けるから心配しないで。欲しいものがあったらリストにして学校で聡美が渡してくれてもいいし」
「じゃリスト作っていくね」
 
「メールじゃないんだ?」
という声も出るが
「千里はメールを行方不明にする天才」
などという声が出る。
 
「千里は理系なのにコンピュータに極端に弱い」
「理系なのに機械にも弱い」
「計算もできない」
「千里の暗算は80%くらいの確率で間違っている」
「それなのに数学科というのが理解できん」
 
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「千里、教員の課程は取ってるの?」
「無理〜。日本代表の活動で授業自体欠席が多いのに」
「ああ、教育実習とか日程的に無理だろうね」
 

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「じゃキャプテンは誰に?」
「薫でいいんじゃない?」
と国香が言った。
 
「おお。何か頼りがいがありそうだし」
「いつも偉そうにしているから薫でいいね」
「ちょっと待って〜!それに私、元男だし」
「性別については女かどうか疑わしいメンツは多いから気にしない気にしない」
「ちんちんは付いてないんでしょ?」
「さすがに付いてない」
 
「では薫でいいと思う人、拍手」
と国香が言うと、拍手がたくさんある。
 
そういうことで、次期キャプテンは薫が務めることになった。
 
国香の実情としては、このままでは自分がキャプテンをやらされそうだったので、先手を打って薫を推薦したというところであった。
 

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打ち上げが終わった後、みんなと別れて貴司と一緒にAUDI A4 Avantに乗る。そして東名に乗って大阪方面に走った。
 
決勝戦があったのが14:00-15:30で、16:30頃に表彰式も終了した。その後18:00くらいまで打ち上げと来期に向けての話し合いなどもした。
 
それで大阪に向けて出発したのが18:30頃である。夕方なのでどうしても道は混むが、焦らず急がずのんびりと走っていく。
 
途中のSAで休憩したり軽食を取ったりしながら走って、結局翌1月9日(祝)の朝7時頃に豊中市のマンションに到着した。
 
疲れを癒して昼過ぎくらいまで寝ている。午後から起き出して、まずは駐車場に駐めっぱなしにしていたZZR-1400のシールを交換した。
 
雨宮先生が貼り付けていた翠星石・蒼星石のシールを剥がして、代わりに貼ったのは、右側がレイアップシュートをしている人物の影絵、左側はジャンプシュートをしている人物の影絵である。右側は男性のように見え、左側は髪の長い女性のように見える。むろん貴司と千里をイメージして造形したものである。これに小さな狐のシールも左右に貼った。右側の貴司がレイアップシュートしているシールの下には女の子狐、左側の千里がジャンプシュートしているシールの下には男の子狐である。
 
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「この男の子狐は京平だよね」
「もちろん」
「女の子狐は?」
「カンナ」
「誰?」
「私と貴司の2番目の子供の名前」
「2人目もできるのか・・・。やはり伏見の子なの?」
「さぁ」
と千里は言った。実はさっき「カンナ」と言った自分に驚いたのである。
 
「絵を描いた時は、デザイン上、男の子狐と女の子狐を対にしてみただけなんだけど、ひょっとしたら私たちの子供って2人できるのかもね」
 
「さっきの言葉は『降りてきた言葉』か」
「そうみたい」
 

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千里は9日夜に一晩掛けて東名を走って帰ると言ったのだが、夜間走行は危ないから、昼間走りなよと貴司は言った。
 
それでその晩は貴司のマンションに一緒に泊まり、翌10日朝、朝御飯を一緒に食べ、お弁当も作ってあげて(凄く喜んでいた)、
 
「あなたいってらっしゃーい」
と言って送り出した。
 
その後で、千里はZZR-1400に乗って、名神・東名を東京方面に向かった。
 

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横浜町田ICで降りて横須賀方面に行く。
 
横須賀市内の雨宮先生から言われていたスナックの前に到着したのはもう夕方16時半である。
 
スナックの中に入って、カウンターに座ると
 
「さがみビールを開けずに」
と注文した。
 
するとカウンター内に居たマスターは驚きもせずに
「OKOK」
と言って、冷えたさがみビールの瓶を置いてくれた。
 
やがて大きなバイクの音がして店の前に停まる。大柄な男性が入ってくる。店内で何か探しているようだが、千里の前にあるさがみビールに気付く。
 
「まさかあんたが、ZZR-1400の主?」
「はい、そうです。お初にお目に掛かります」
 
と言って、千里は名刺を交換した。
 
「女だったのか。でもあんたの書いた曲聞いたけど、けっこう気に入った」
「ありがとうございます」
「でもあれワルキューレじゃなくてゴールドウィングで書いたでしょ?」
「凄いですね。分かっちゃうんですね」
「あの曲を聴いてたらゴールドウィングのイメージが湧いた」
「それは凄いです。霊感が強いんですね」
「いや、ちゃんとバイクのイメージを織り込んで曲を書ける作曲家が凄いと思ったよ」
 
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