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■娘たちの2012オールジャパン(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2018-04-27
 
2012年1月1日。オールジャパンの1回戦が行われ、下記のような結果になった。
 
1400 宮城TG大(大6)×−○愛知AS大(大4)
1400 ビッグS(W12)×−○宮城TG大(大6)
1540 越光女朋(北信)×−○岡山E女(高校)
1540 山形S大(大7)×−○札幌C大(北海)
1720 岡山RP大(中国)×−○神奈川J(関東)
1720 京都R大(近畿)×−○東京Y大(大5)
1900 嬢ちゃん(四国)×−○Rocutes_(社2)
1900 妃妻武士(東海)×−○千葉K大(大8)
 
渡辺純子を擁する札幌C大は、インカレ経由ではオールジャパン進出を逃したものの、北海道総合で、湧見絵津子を擁する札幌F大学とのシビアな決勝戦を制してオールジャパンにやってきた。そしてその勢いでインカレ7位の山形S大を破り2回戦に進出した。
 
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Wリーグ最下位で来季は実業団に降格するビッグショックはこのオールジャパンでも初戦で大学チームに敗れてしまった。
 
大野百合絵や竹宮星乃を擁する神奈川J大学は岡山RP大学に快勝した。J大学には旭川N高校に居た海原敦子も所属している。敦子は高校時代はスモールフォワードだったのだが、J大学に入ってからはポイントガードに転向し2010年以降毎回オールジャパンに出てきている。ある意味、N高校の千里たちの学年の出世頭である。もっともスターターになったのは今年が初めてであった。
 
旭川N高校出身の佐々木川南や札幌P高校出身の宮野聖子などのいる千葉K大学は強豪がひしめく東海地区のクラブチームを倒して2回戦進出である。宮野聖子はむろんスターターであるが、川南は1年の時には3軍に居たものの、2009年冬の旭川N高校合宿で刺激を受けて、その後、頑張って1軍まで這い上がった。昨年はチーム自体がオールジャパンに出られなかったものの今年は出てきて、スターターではないもののベンチに座っているから大したものである。
 
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そして高梁王子を擁する岡山E女子高は、北信越のクラブチームをトリプルスコアで破って2回戦に進出した。このチームは「穏やかに勝つ」という道を知らない感じである。常に全力投球である。客席からは「すげー!」とか「恐ろしい!」といった声が聞かれていた。
 

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2012年1月2日(振)。オールジャパンは2回戦が行われる。
 
今日の千里たちの相手はインカレ1位のW大学である。千里が高校3年の時に千里を勧誘した大学でもあり、現在関東実業団のJP運輸に入っている旭川N高校出身の田崎舞や千里と日本代表で一緒になった月野英美が所属していたチームであり、また高校時代は北海道で千里とスリーポイント争いをしていた札幌P高校出身の伊香秋子が所属しているチームでもある。
 
W大学監督の中久さん自身が元々千里を高く評価しており、また伊香秋子は当然、千里・麻依子・薫・誠美などの恐ろしさを知っているので、ローキューツに対して最大限の警戒をしてきた。
 
向こうのエース・三村さんが最初からピタリと千里に付き、厳しいマークをした。そのおかげで、第1ピリオドでは千里のスリーが1本に留まり、スコアも18-16とW大学側がリードしていた。
 
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しかし第2ピリオドで千里が激しく動き回ると、次第に三村さんの足が停まり始める。ついに第2ピリオドの途中から千里が彼女を振り切るシーンが出てきて、このピリオドでは千里はスリーを3本入れ、スコアも16-21として、前半合計34-37と逆転した。
 

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ハーフタイムを経て、第3ピリオド。前ピリオドより更に激しく動き回る千里を三村さんが全然追い切れない。ついに交代して、3年生で180cm近くある永田さんが出てきた。彼女を見た時どこかで見た記憶があったのだが、どうも高校の時に1度対戦したことがあったようである。
 
彼女はここまで試合に出ていなかったので、元気いっぱいであった。しかしさすがに三村さんほどはうまくない。あっさり千里のフェイントに引っかかってしまう。千里を全然停めきれないので、結局3分で交代することになる。
 
それで伊香秋子が出てくる。秋子は最初から必死の形相であった。
 
過去に対戦経験があるゆえに、千里の癖については結構分かる。簡単にはフェイントにひっかからない。しかしスピードで千里に全然かなわない。千里がダッシュするとどうしても置いて行かれる。
 
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それで結局このピリオドは相手選手の誰も千里を停めることができず、千里はスリーを5本放り込んで点数も14-26と大差が付いてしまった。ここまで合計48-63である。
 
第4ピリオド。結局三村さんが復帰して千里と対抗する。やはり彼女が一番千里を停めた。それでも彼女は前半ずっと出ていて体力を消耗しきっている。第3ピリオドの途中とインターバル合わせて10分近く休んではいるものの、全くスピードや瞬発力が衰えない千里に付いてこれない。
 
結局このピリオドも千里はスリーを3本入れて、点数は18-24となり、合計点数66-87の大差でローキューツが勝利した。
 
これでローキューツは3回戦に進出する。
 
試合終了後千里とハグした三村さんは
「スタミナが凄い。完敗です」
と千里に言った。秋子も
「千里さん凄すぎるー!」
と言っていた。彼女ともハグした。
 
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この日は12時からの試合で終わったのも13時半だったので、試合終了後、打ち上げを兼ねた昼食会となった。この日も河合さんはスカートを穿いて打ち上げに参加。貴司もうまく彼に乗せられて、用意されていた!貴司のウェストに合わせたスカートを穿いて打ち上げに参加することになってしまった。
 
「僕たちはスカート穿かなくてもいいんだっけ?」
と西原監督・谷地コーチが言うが
 
「おふたりは名誉女性ということで」
などと麻依子が言っていた。
 
昨日は焼肉屋さんで打ち上げをしたらしいが、今日はしゃぶしゃぶ屋さんである。黒毛和牛の食べ放題で料金は1人5000円だったのだが
 
「女子の料金でいいの?男子並みに食べる子が多いけど」
という声がある。
「いや、むしろ男子以上に食べる子が多い」
「特に試合の後だから普段の倍入る気がする」
 
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「このお店は男女共通料金だから気にしなくていいよ」
と会計係の玉緒が言うと
 
「おお、それなら安心して食べられる!」
と声があがっていた。
 
実際、この日は特に試合に出たメンバーは並みの男性の3〜4倍食べたようである。
 
「明日勝てたらお寿司がいいな」
「OKOK。予約入れておく」
「負けた場合は?」
「お正月のお餅食べ放題で」
「それも悪くない気はする」
「餅だけでは寂しい。お雑煮にしよう」
「じゃ大きな鍋を持ち込んで業務用コンロでお雑煮鍋かな」
 

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なお、この日、実際に打ち上げでお酒を飲んでいた“千里”は実は女子眷属の中で最もお酒に強い《びゃくちゃん:白虎》である。千里本人は実は三村さんとのシビアな対決が効いて、葛西のマンションでひたすら寝ていた。
 
『私は酔っても虎になるだけだし』
と《びゃくちゃん》。
 
『最初から虎のような気がする』
と《いんちゃん》がお約束通り突っ込む。
 
『俺は酔うとウワバミになる、と言われている』
などと《こうちゃん》。彼の本性は龍である。
 
『龍頭蛇尾ってやつか?』
と《げんちゃん》が突っ込んでくれていた。
 

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打ち上げが終わった後《びゃくちゃん》と入れ替わった千里は、貴司を誘い、モノレールで千城台駅まで行き、その後、ジョギング!で体育館まで行った。
 
「ここにAUDIを駐めていたのか」
「これで帰りは心配無いから、アルコールが抜けるくらいまで練習しようよ」
「よし」
 
それでふたりでたくさん練習をした。もっとも今日の貴司は全く千里を停めきれない。
 
「貴司、飲み過ぎでは?」
「ごめん。打ち上げの後で練習が入るとは思わなかった」
「バスケ選手は日々の練習が肝心」
「肝に銘じる。だけど千里も結構飲んでなかった?」
「私はお酒に強いからね」
「凄い」
 
ふたりで3時間くらい汗を流し
「何とかアルコールが抜けたかな」
 
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と貴司が言った夕方近く、お互いにアルコールチェッカーで確認すると、千里は完全にシラフ(本当は飲んでないから当然)、貴司も酒気帯び運転には問われない水準まで行っている。
 
「まあ私の方がアルコール度は低いから私が運転しよう」
と千里が言って、千葉市市街地まで行き、いつもの立体駐車場(インプは葛西に移動してもらっていた)に駐め、桃香のアパートに入る。
 
「今日はお友だちは?」
と貴司が訊くが
 
「今夜はあの子は彼女の所」
と千里は答える。
 
「彼女??千里、男子と同居してるんだっけ?」
「まさか女の子だよ。でもあの子は女の子専門で男性には興味無い」
「へー!」
「だから私は安心して同居できるんだけどね」
 
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「ごめん。今一瞬意味が分からなくなった」
「男なら細かいことは気にしない」
と言いつつ、桃香と時々セックスをしてしまっている問題については千里は少し後ろめたい気持ちがある。
 

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1月2日の結果。左側が1回戦から勝ち上がったチーム、右が2回戦から登場したチームである。
 
愛知AS大(大4)×−○ステラS(W8)
宮城TG大(大6)×−○茨城TS大(大3)
岡山E女(高校)○−×大阪HS大(大2)
札幌C大(北海)○−×Fロースト(W11)
神奈川J(関東)○−×クレンズ(九州)
東京Y大(大5)×−○Bバニーズ(W9)
Rocutes_(社2)○−×東京W大(大1)
千葉K大(大8)○−×ハイプレ(W10)
 
茨城TS大学には松前乃々羽・中嶋橘花・中折渚紗・前田彰恵・橋田桂華といった強烈な面々が居る。現在彼女たちは3年生だが、この5人の実力は上の学年の部員を凌駕しており、現在彰恵が3年生ながら部長を務めている。大学チームではあっても実業団並みの力を持っていて、宮城TG大に圧勝した。
 
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渡辺純子たちの札幌C大、大野百合絵たちの神奈川J大、佐々木川南たちの千葉K大はいづれも勝っている。昨年度ローキューツに居た小杉来夢の所属するハイプレッシャーズは川南たちのK大に敗れている。
 
そして高梁王子の岡山E女子高は今日も大学生チームにダブルスコアで勝って3回戦進出である。
 

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1月3日。この日からオールジャパンは代々木第1・第2に舞台を移す。この日のローキューツの試合は19時からで、相手はWリーグ1位、つまり日本国内の女子チームで最強の《サンドベージュ》。三木エレンが所属するチームである。他に山西遙花と宮本睦美は日本代表で千里と顔を合わせている。
 
試合は13時からの本日第1時間帯だ。
 
「ですから、このチームはプロ並みと思った方がいいです」
とキャプテンの三木エレンは前日、監督に訴えた。
 
「えぇ?それはさすがに買いかぶりじゃない?たかがクラブチームじゃん」
「とにかくシューターの村山千里は恐ろしい選手ですし、森下誠美はゴール下で圧倒的です」
 
「そんな強いチームならクラブチームじゃなくて少なくとも実業団にはなってるでしょ? オールジャパン出てくるのも初めてだし。しかも社会人2位だよ。本当にプロ並みに強いのなら1位で上がってくるでしょ」
と監督は言う。
 
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三木があまりに熱心に訴えるので、千里を代表チームで見ている山西と宮本にも訊いてみた。
 
「そうですねぇ。まあうまい選手とは思いましたけど」
と山西。
「2010年は日本代表候補として召集はされましたけど、三木さんとエレクトロウィッカの花園亜津子が代表になって彼女は落ちていますし」
と宮本。
 
「2011年はシューターを3人入れるという方針になって彼女も入れられましたけど、スリーポイント女王は花園亜津子が取ってますからね」
 
「まあ三木エレン、花園亜津子に次ぐ、第3のシューターという所じゃないですか?」
 
宮本は実は2009年に千里とエレンのシュート対決を見ているのだが、そのことはこの時点ですっかり忘れていた(エレンもその時宮本がいたことを忘れていた!)。
 
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それで結局、監督は
「そんなに警戒すべきというなら、君がその村山君を押さえなさい」
とエレンに言った。
 
また誠美についても
「身長184cmというのは確かに大きいけど、エレクトロウィッカに入りはしたものの、すぐクビになっているから大したことないと思う。この子は高見、君に任せる」
などと監督は言い、182cmの高見も
「身長差2cmなら大丈夫ですよ。押さえてみせます」
と答えた。
 

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娘たちの2012オールジャパン(5)

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