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■女子高校生・3年の春(4)

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「村山さん、笛吹いて」
「はい」
 
それで千里が龍笛(花姫)を吹く。和弥はその笛に合わせて大祓の祝詞を奏上した。
 
「何か清々しい感じになりましたね」
「うん。きれいになった。やはり大祓の祝詞は効くね」
 
「ここは神明社だったようですね」
と和弥は言った。
 
「そうなんですよ。30年ほど前までは神職も居たのですが最後の宮司さんが亡くなったあと、荒れに荒れてしまったようで」
 
「でもここは大元はK神社の御旅所のひとつだったんですよ」
と和子が言った。
「そうだったんですか!」
「K神社の神様が三柱の神なので3つの御旅所を作ったんですよ。それが立花北町と立花東町と立花西町だった。この場所は昔は東町と言ってたけど“東”という字は“あがり”とも読むから“あがり町”というようになりやがて字が変わって上町と書くようになった。更には読み方が「かみまち」に変わった。西町の御旅所は明治時代に陸軍の訓練場になって神社は無くなり、上町も社守さんが居なくなって荒れるにまかせていると夫が言っておりました」
「へー」
 
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和弥はK神社の松岡さんから聞いた話と微妙に違うなと思ったが口は挟まなかった。松岡さんからはこういう話を聞いていた。
 
K神社の神様は元は戦国武将・赤松政則の居城“おしお城”に祭られていたものである。後に赤松一族は羽柴秀吉に降伏し、城は取り壊されて姫路城の材料にされた。その時城に祭られていたのが三柱の神だったので城外3箇所に移転された。その内のひとつが“おしお城”のすぐそばに建てられたK神社であると。だから神社の紋は赤松氏の家紋“三つ巴”が使用されている。神社が創建された当初は秀吉公に遠慮して“二つ巴”を使っていたが徳川の世になってから幕府のお許しをもらって三つ巴に戻したという。和弥が留萌の遙拝所に納めた銀杯にも三つ巴の紋が入っていた。
 
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ただあの銀杯を見て千里ちゃんは
「三つ巴の紋って神様は三柱なのでしょうか?」
などと言っていた。霊感豊かな千里ちゃんがそう感じたのなら、本当にK神社の御祭神自体が三柱の神である可能性はある気がする。例えば、豊受姫命・大幡主命・天照大神とか?立花北町が豊受姫だが、この東町のは神明社だったようで天照大神。そして明治時代に潰されたという西町のが大幡主命だったりして。それだと和子さんの話とも合致する。三柱の神のひとつが更に三柱の神という入れ子構造??
 

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「まそれで、立花K神社さんでここの面倒も見てもらえませんかね」
と神社庁の人は言った。
 
「ここの所有者は?」
「プリンセスという地場のスーパーだったんですよ」
 
千里は思わぬ名前が出て来てびっくりした。
 
「10年くらい前に取引先の企業から借金の形(かた)に入手したらしいです。それで社員寮建てようと思って工務店に依頼して工事始めた途端に事故が起きて職人さんが何人も怪我したらしいです。それで神社とか潰そうとするからですよと言って工務店は工事を降りてしまったらしくて、結局寮を作る計画は中止でこの土地は処分もできないまま宙ぶらりんになっていたそうです。毎年固定資産税かかって困っているから、買ってくれるなら買ってほしいというので、立花上町の町内会長さんが個人で買ったんですよ。だから現在は町内会長さんの所有物件です。神社で使うのなら自由に使ってくださいと言っておられます」
「熱心ですね」
「この近所の年配の人たちには思い入れがあるようですね」
 
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和弥は答えた。
「どっちみち私の一存では決められませんし、有明町のK神社本社さんにも相談する必要がありますから、それでまたご連絡していいですか」
「確かに調整も必要でしょうね」
 
ということで追って返事することにした。ただ境内のゴミとか雑草とかは神社庁で業者を手配して片付けてくれるという話だった。
 

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和弥は戻ってからまゆりに相談した。まゆりは松岡さんとも相談しようと言い、連絡すると、松岡さんはわざわざこちらに来てくれた。
 
「神職が常駐する必要は無いと思う。御札とかを扱う事務の男性をひとり置いておけばいいよ」
「男性ですか」
「女性を1人では置けないでしょう」
「不用心ですからね」
 
それで和子はバイトの巫女さんたちに知り合いの信頼できる男性で、立花上町の“上町神社”にひとりで常駐する仕事をしてくれそうな人の心当たりが無いか聞いてみた。すると美鈴が
「私がやりましょうか」
と言ったのである。
 
「男性がいいんだけど」
「私男並みに仕事する自信あります。握力50kgありますし」
「すごいね」
「私剣道四段ですから」
「すご」
 
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千里は驚いた。彼女を見た時、この人剣道するみたいとは思ったが四段とは思わなかった。そんなに強そうには見えなかった。
 

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「そこ時給いいですよね」
「1300円くらい出すつもり」
「だったら是非やりたいです」
 
ちなみにここの巫女さんの時給は人によっても違うが、弓佳さんなどは1100円くらいのようである。恐らく美鈴さんも同じくらいだろう。
 
“剣道四段”については越智さんが手合わせして
「確かに君は女子四段の力がある」
と認めていた。千里も彼女が越智さんと結構よく対戦したので驚いた。
 
それで上町神社には美鈴さんが常駐することになったのである。護身用に竹刀を携行する。
 
(特殊警棒などは法的規制が厳しいが竹刀には規制とか無い。本人も使い慣れている。相手を死なせてしまう危険も少ない。女を襲おうとする気持ちをくじけさせれば充分である)
 
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千里は神社庁が手配した業者の手でゴミの片付けが終わった後に万奈たちを動かし、神社内に御札頒布所を建てさせた(ユニットハウスに少し手を加えた)が参拝客と対面するところはガラスの板で区切り、客に襲われることが無いようにした。また所有者である町内会長さんと話し合い、地元の人に交代で詰めてもらうことにした。それで千里は御札頒布所の向かい側に集会所を建て、そこで町の人が寄り合いなどをできるようにすることにした。また近隣の派出所にも巡回コースに入れてくれるよう要請した。
 
この“集会所”だが、その後の話し合いでコンビニに変更され、営業時間が7:00-23:00という深夜は営業しないセブンイレブンができることになった(本当に7時から11時まで)。神社のほうは10:00-18:00の営業(13:00-14:00昼休)とする。月曜・火曜を定休日とする。月火はおみくじの機械だけが動いている。
 
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(集会所自体も建てるだけは建てた(ユニットハウスを置いただけ)ので、近所の人の寄合所・兼・コンビニのバイトさんの休憩所になっていた)
 
なお「ご祈祷は北町神社で」と案内した。地図も用意した。年寄りあるいは子供連れなどは電話で連絡して花絵や光貴などが車で送迎することにする。
 
“北町神社”というのは、実は上町のも正式名は“立花K神社”で、古くは両者を上町社・北町社と呼び分けていたことから来ている。その後上町社が消滅してしまったので立花K神社といえば北町社を指すようになった。しかし上町の人は今でも上町社・北町社という呼び名を使っていた。しかしまあ、まゆりが居なければ、北町社も消滅していたところだった。
 
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千里は御祭神問題と分社問題についてK大神御本人に訊いてみた。そのお答。
 
赤松氏の居城“置塩城”には、三柱の神が祭られていた。伊勢明神・羽衣明神・祇園明神。落城した時、お社は3つに分割して祭られることになった。伊勢明神をJ神社、羽衣明神をK神社、祇園明神をL神社。明治の初めに、この3つの神社は遠いので遙拝所が作られた。それが東町J神社、北町K神社、西町L神社。しかしその後J神社とL神社は衰えK神社に合祀された。それで東町と西町の遙拝所も東町K神社・西町K神社と呼ばれるようになった。また北町社は立花稲荷と、東町のは神明社と、西町のは祇園社と合祀された。
 
後、西町のは陸軍の訓練場になり、戦後は米軍に接収された後民間に払い下げられて西山服飾学苑になった。今は服飾専門学校になっている。
 
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上町は最後の宮司が車を土建屋さんの会社に突っ込ませて亡くなり、神社の土地もその賠償で取られてしまった。回り回ってプリンセスの所有になっていたが、お前がプリンセスを買ったからその内復興してもらおうと思っていた。
 
羽衣明神は最初は私と###姫と大Δ姫の3人居たがあとの2人はどこかに行ってしまって自分だけが残った。
 
三つ巴の紋は基本的には伊勢明神(天照大神)・羽衣明神(豊受姫)・祇園明神(稲田姫≒歳徳神)と考えてよいと思う。
 
神様がどこか行っちゃうということもあるのかと千里は思った。
 

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しかしともかくもそれで美鈴さんは月20万円ほどの仕事を得たのである。
 
「資格持ってない女でこれだけもらえる仕事は少ないですよ」
と彼女は言っていた。
 
また地元の人は
「この場所は空気がよどんでいて近寄りがたかったし日没後はここの前を恐くて歩けなかったけど神社が復活したら清々しくなって、安心して歩けるようになった」
と言っていた。
 
深夜はコンビニは営業してないのに(タバコと飲み物の自販機のみ)それでも歩きやすいらしい。千里が九重たちに“お掃除”させた効果が大きいのではと千里や和弥は思った。なお神社の前の通りには防犯効果があると言われる青い街灯も灯された。
 

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千里は近所で野良猫をしていたヴァイスとシュワルツという白猫と黒猫の姉弟?(夫婦ではないと本猫たちは言っていた)を美鈴や参拝客の警備役として雇った。報酬は毎朝夕のカリカリ(銀のスプーン)、週1回の“金のだし”、月1回のちゅーるである。これはお近(ちか)というキツネの女の子に餌やりを担当してもらうことにした。お近の報酬は油揚げである。猫には万が一にも保健所に処分されたりしないように首輪も着けた。ちゃんと予防接種も受けさせている。2匹は元は飼いネコだったようで色々躾ができていた(ただしその分お世話も大変。放置できない)。
 
神社にはかつて狛犬が置かれていた台座が拝殿の左右に残っていたが、しばしばこの2匹が台座の上に座っている(向かって左が黒猫のシュワルツ、向かって右が白猫のヴァイス:2匹は自分達の座る場所を決めている様子)のが目撃されるようになる。地元の人は
「この神社には狛猫がいる」
と言ってこの子たちを可愛がってくれたようである。2匹は地元の人たちからは「白ちゃん」、「黒ちゃん」と呼ばれた(ヴァイスとシュワルツは本猫たちの自己申告。でも“白ちゃん”とか“黒ちゃん”と呼ばれても寄ってくる)。餌をくれる人もあった。昼間は結構美鈴に遊んでもらっているようである。(美鈴が猫たちに遊んでもらっているのだったりして)
 
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この子たちは雨の日は社殿の床下とかに入っているようである。冬は暖房の効いた社務所内や社務所の床下に居ることも多い。(九重たちが“猫用ドア”を作ってあげたのでそこから社務所内に勝手に入ってくる。猫は暑いのは平気だが寒いのは苦手。猫たちのためにここは1日中エアコンを入れている。冬季は美鈴が出勤してくると高確率で中で寝ている。猫のトイレ掃除はお近がしてくれている)
 
でも出勤してきた美鈴が暴漢に襲われそうになったのを助けてくれたこともあるし、散歩していたお年寄りが倒れているのをコンビニの人に報せてくれたこともある。それでまた地元の人に愛されたようである。
 

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4月20日、島根県出雲市の出雲大社で、約60年に一度の本殿改修工事に伴い、御神体を仮神殿へ遷宮する儀式が挙行された。
 

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4月20日、長野県長野市の国宝善光寺本堂回廊の6ヶ所に落書きが発見される。長野県警察は北京五輪の聖火リレー問題に絡んだ心無い悪戯の可能性があるとして、建造物損壊罪と文化財保護法違反容疑で捜査を開始した。
 

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4月23日、公正取引委員会は、音楽著作権管理事業において新規事業者の参入を不当に締め出した独占禁止法違反の疑いで、JASRACに立ち入り調査をした。
 

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玲羅は赤の千里に電話した。
「私、吹奏楽部に入ったんだけど、クラリネットとサックス吹いてくれと言われてるのよ」
 
「ああフルートじゃなかったのね」
「フルートも吹くよ」
「クラリネットとサックスとか言ってた?」
「フルートが鳴る箇所ではフルート吹いてクラリネットが鳴る箇所ではクラリネット吹いて、サックスが鳴るところではサックス吹く」
「忙しいね」
「実はティンパニも打つ」
「ほんとに忙しい」
「15人しか居ないから」
「よくその人数で吹奏楽にするね」
「トランペットとフルートとトロンボーンを兼任する人もいる」
「ああ」
 

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「クラリネットやサックスは一応学校の楽器を使う予定だけど、安いのがあったら練習用に1本買ってくれたりしない?」
「だったら私が使ってるのあげるよ」
と言って千里は普段使いのクラリネットとアルトサックスを玲羅に送ってあげた。さすがの玲羅がこの楽器には驚いた。
 
「プラスチックのクラリネットやサックスなんてのがあるのね(*3)」
「どちらも中国製だよ。管楽器の有名メーカーでセルマー (Selmer) ってあるでしょ。これはケルマー(Celmer) なんだよね」
「面白ーい」
 
しかし玲羅はこの格安クラリネット・アルトサックスを高校3年間使ったのである。野球の応援に持っていったこともあるが「凄い安そうなクラリネットにおもちゃみたいなサックスだ」とみんなに言われていた。しかし千里が使っていた楽器だけあり、どちらも一応正しい音が出ていた。千里は翌年まともな真鍮製のサックスも送ってあげたが玲羅は屋外での演奏ではプラスチックのを使っていた。
 
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(*3) プラスチックス製のサックスは実際に売られているがとてもまともな音が出るとは思えないし簡単に壊れそうな気がするので筆者も手を出していない。
 

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ちなみに玲羅はテニス部の関連では青の千里に、吹奏楽部の関連では赤の千里にねだっている。
「お姉ちゃんが複数いると便利」
などと言ってグレースが苦笑していた。
 
(各々の懐具合も見ている。テニスの道具は1〜2万程度だが、楽器は1桁上である。グランドピアノなんて400万した)
 

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4月25日
 
公正取引委員会は、再生紙の古紙利用比率偽装による不当景品類及び不当表示防止法違反で、日本製紙グループ本社、王子製紙、紀州製紙、大王製紙、中越パルプ工業、北越製紙、三菱製紙、丸住製紙の8社に排除命令。
 

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4月26日
 
2000年の三宅島噴火以来8年間停止されていた三宅島空港への定期旅客航空便が再開。
 
 
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女子高校生・3年の春(4)

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