広告:放浪息子-4-DVD-あおきえい
[携帯Top] [文字サイズ]

■女子高校生・3年の春(3)

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8 
前頁次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

春の大会は、男女ともシードされていて3回戦からである。女子の3回戦・準々決勝は香織だけで相手全員を倒した。準決勝B高校との試合では、香織が相手副将までを倒し、相手大将が香織と光を倒したが双葉に敗れる。決勝のW学院!との試合では双葉が相手の1年生大将・花本涼世を倒して優勝を決めた。本当に王者E高校が3位に沈んだ。
 
しかしこの2年間でいちばん伸びたのがもしかしたら双葉かも。
 
男子もH大姫路が優勝したが、2位はE高校だった。
 
表彰式では清香と公世が優勝旗を受け取り、千里と福田君が優勝の賞状を受け取った。
 

↓ ↑ Bottom Top

針間工務店の万奈が千里に言った。
 
「うちが仕入れていたサッシ屋さんが潰れたんですよ」
 
“潰れそう”というのは今までにもあったが今度はどうも完了形のようである。
 
(千里は針間工務店自体が潰れないのが不思議でならない)
 
「そこの営業を引き継いでもらえませんか」
 
それは播磨アルミという会社だった。調べてみると、先代の社長の時は手堅い商売をしていたが、2年前に継いだ息子が放漫経営で高級ブランドスーツを著て夜な夜な神戸やミナミで遊びまくり外車を乗り回し車で事故を起こしたのを機に資金繰りができなくなって倒産させてしまったようである。
 
千里はそこの資産を暫定的に所有していた地元の銀行、西宮銀行から株と資産を5億円で買い取った。
「ああ、播磨合板さんならお売りしますよ」
と銀行の人は言った。
 
↓ ↑ Bottom Top

ここではサッシの製造とかはしていない。北陸にあるメーカーから仕入れてそれを販売しているので基本的には卸売店である。しかしこのサッシ屋さんを買ったことで千里はアルミ製品に関して随分勉強することになった。
 
最初に窓のサッシとかだけでなく玄関ドアとかも売っているのに驚いた。
 
万奈と2人で富山にあるメーカーにも見学に行った。
 
「高圧線で電気を持って来てるんですね」
「普通の工場では電気はただの動力だけど、アルミの場合は電気は原材料ですから」
「なるほどー」
 
輸入したボーキサイトと電気を合成してアルミができるイメージである。だから輸入したボーキサイトを水揚げできる港と、豊かな電力のある富山でアルミ産業は発達した。YKK(黒部)・三協立山(高岡)なと日本の大手アルミメーカーが北陸に集中している。
 
↓ ↑ Bottom Top

アルミニウムはありふれた元素なので、その辺の土や岩からも原理的には精製可能だが、通常効率の良いボーキサイトを原料に使う。ボーキサイトはオーストラリアや中国などから輸入している。(日本では戦時中にボーキサイトの輸入ができなくなったため、礬土頁岩を原料にしたアルミ生産が行われていた)
 
なお電力コストが高すぎるため日本国内でのアルミニウム精製は2014年に全て打ち切られ、その後は中国などからの輸入に頼っている。2014年以降は日本国内ではアルミ製品の成型だけが行われている。
 

↓ ↑ Bottom Top

千里は店を潰した息子が国道沿いに出していた直売店を廃止し、工務店やホームセンターなどへの卸売りだけに営業形態を戻した。お父さんの時代の営業形態である。それによりかなりの人員を整理することになる。千里の事業で人員整理をしたのはこれが初めてである。しかしみんな会社の倒産で諦めていたようであった。それどころか退職金をもらえて喜んでいた。一部のスタッフは、ホームセンターの“めでた”や山山家具、播磨製紙・播磨合板などにも受け入れた。めでたは結果的にはここの小売り部門を引き継いだような形になった。
 
社長には、山山家具の先代社長の娘婿に当たる北嶋さんという人を据えた。この人は若いがしっかりした考えの人で、そのうちどこかで使おうと思っていた。彼はSEで実はアルミ製品の見積もりシステム構築の経験があり、アルミ製品にも詳しかった。女性と結婚してはいるが実は女装者であることを今回知った。
 
↓ ↑ Bottom Top

「女装で勤務したいなら最初から女装で通して。途中で性別変わると従業員が動揺するから」
と言ったら最初から女装で仕事をした。名前も“かすみ”という女性名を使用した(本名は剛)。彼の女装は奧さん公認であり、服を奧さんと共用したりしているらしい。
 
「可愛いのとかすぐ取られちゃうんですよ」
などと言っていた。
「通販の失敗物は押しつけられるし」
「よくある話ですね」
 
子供が3人できたら性転換してもいいというお許しをもらっているらしい。逆に子供が3人できたらパイプカットしてほしいと言われ、パイプカットの代わりに睾丸カットでもいいかと言って認められたらしい。睾丸のついでにペニスもカットする予定である。彼はパートナーが女性なのでヴァギナまでは造らず、いわゆる女陰形成術(Vulvoplasty)を受けるつもりのようである。膣まで形成する vaginoplasty に比べて痛みが小さく回復も早い。zero-depth vaginoplasty とも呼ばれる(日本ではしばしば簡易性転換手術とも呼ばれる)。この手術でも性別の変更は可能だが、彼は奧さんとの婚姻維持のため法的な性別は変えないつもりである。
 
↓ ↑ Bottom Top


4月19-20日(土日)、“西の千里”が剣道の春の大会をしていた時、旭川の“東の千里”もバスケットの地区大会をしていた。バスケットの大会が終わった後、東の千里は雨宮先生からメールが来ていることに気付いた。
 
取り敢えず電話したらいきなり叱られる。
「メールしたらすぐ連絡しなさい」
「すみませーん!」
 
雨宮は驚くべきことを言った。メジャーデビューを目前にしていたAYAのあおい・あすかが辞めたというのである。事務所は、2人に代わるメンバーをオーディションで選んであらためて新しい3人組としてデビューさせる方針をいったん決めた。しかし上島雷太が
「AYAはゆみだけでいい」
と言い、AYAは、ソロプロジェクトとしてデビューすることになる。それで3人で歌った音源から、あおい・あすかの声を除去して、ゆみのソロ音源に改変することになった。
 
↓ ↑ Bottom Top


「録り直さないんですか〜?」
「ゆみも決して歌唱力が高い訳ではない。録り直すと、商品品質になる歌にするのに1週間かかる。でも営業政策上、どうしても連休前に発売したいんだよ」
 
それで千里が深夜のスタジオでその作業をすることになったのである。東京では新島さんがもうひとつの曲の調整作業をする。雨宮自身はPVからあすか・あおいを消す作業をするということだった。それで千里は大会の後の疲れた身体ではあったが、夜のスタジオに入ったのである。スタジオには高速回線で東京からProToolsのデータが送られてきていた。
 
AYAは、キャンディーズのようなハーモニー歌唱では無く、モーニング娘。のようなリレー歌唱方式である。複数のメンバーが一緒に歌った所は無く、全て誰かがひとりで歌っている。ただしその割り当ては音源制作中に何度も変更されており、完成していた発売予定音源ではゆみのパートは全体の8割程度だったものの、ProToolsのデータの中にはそれ以外の子が最終的に歌った部分にもゆみの声がかなり記録されていた。千里はそれをできるだけ活かした。
 
↓ ↑ Bottom Top


ゆみの声が無い部分については千里は自分でフルートを吹いて代替した。歌詞が切れてしまうが仕方無い。この作業中に千里は眠ってしまった。大会の後で作業しているから仕方無い。Gは代わりに出て行ってフルートを吹いた。30分ほど眠らせておいてから起こした。
 
午前4羽頃、音源はひととおり調整が終わったが、千里は大胆にも新しいトラックを定義し、そこに何か録音しようとしたがそこで再び千里Bはダウンした。司令室ではGも疲れて寝ていたが、Vが出て行き、その新しいトラックにウィンドシンセで新たな旋律を吹き込んだ。そのあとBを起こして司令室に戻った。Bは新しいトラックに既に音が入っているので驚いたが、技師さんが「ご自分で吹いてたじゃないですか」と言うので記憶の混乱だろうと思って気にしないことにした。そのあとトラック間のボリュームを調整し、データは8時頃完成した。そして東京に高速回線で送信した。
 
↓ ↑ Bottom Top


4月19日、神社庁の人が立花K神社を訪れて言った。
「ちょっと古い神社跡について調べたいのですが、宮司さんにも少しご相談したいので一緒に来ていただけませんか」
「生憎宮司は出産したばかりなので、禰宜(ねぎ)の私が参ります」
と和弥は答えた。ところがそれを耳にした和子さんが
「古い神社のことでしたら私の方が分かるかも。私は先代宮司の妻です」
と言ったので和子さんも同行することになる。和弥はふと思いつき
「村山さん、ちょっと荷物持ちで付いてきて」
と言ったので、千里も同行することになった。
 
神社庁の人の車の後を、和弥が運転するウィングロードが続き、そのウィングロードに和子と千里が同乗した。一行は立花上町にある神社跡にやってきた。ここは鳥居は立っているものの、中はかなり荒れているっぽい。不法投棄されたゴミがかなりある。洗濯機とかテレビとかの大型ゴミが散乱している。
 
↓ ↑ Bottom Top


「実はここの神社を復興できないかと地元の人から陳情がありましてね」
と神社庁の人は言う。
 
ここを?復興する??
 
千里は我慢できなくなり、九重・清川 ・南田兄弟を召喚した。そして命じた。
「ここを“お掃除”して」
「これもらっていいんですか」
「よろしく」
 
それで彼らはこの神社?の境内に居る大量の雑霊・悪霊を捕獲(捕食)してくれた。和弥たちが神社の建物の場所まで辿り着くまでには境内は“霊的には”きれいになってしまった(物理的にはかなり酷い)。
 
拝殿だったとおぼしき建物の中に入る。
 

↓ ↑ Bottom Top

↓ ↑ Bottom Top

前頁次頁目次

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8 
女子高校生・3年の春(3)

広告:キレイストア-レディース■水着関連小物■パッド-パット■036BE■トップパッド■F