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■女の子たちの高校入学(6)

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トイレを済ませて今度は手洗いの列に並ぶ。ここでも当然何の騒ぎも起きない。それどころか、同じクラスの子と目が合って、笑顔で手を振るので、こちらも手を振る、なんてことまで起きる。それでつい、列に並びながら数人でおしゃべりなどもしてしまう。
 
「でもこの学校、トイレきれいだね」
「あ、思った。思った」
「毎年夏に一番古いトイレの設備を更新するようになっているんだって。だから、7-8年単位で新しいものになっていく」
 
「音姫が付いてるのびっくりした」
「まあ2度流しを防止して水を節約する効果が大きいんだけどね」
「ウォーム便座にウォッシュレットだし」
「ウォーム便座は嬉しいよね」
 
「ただ、さっき入った個室のドア、何か緩いみたい」
「ロックも掛かりにくい」
 
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「あ、そういうの気付いた時に先生に言っておいた方がいいかも」
「してる最中に、いきなり開けられたりしたら、やだもんね」
「それはお互いにやだね」
 

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3時間目は体育なので、着替えて体育館に集合ということだった。
 
それで着替えは当然、男子は男子更衣室、女子は女子更衣室である。千里が体操服を持って、男子更衣室に入ると
 
「お前なんだよ?」
と言われて、速攻で追い出される。
 
うむむむ。と思っていたら、蓮菜と留実子が来て
「ああ、男子更衣室から追い出された?」
と言うので、千里が頷くと
 
「まあ千里は女子更衣室で良いはず」
と言って、結局この2人に女子更衣室に連れ込まれてしまう。
 
「だいたい中学の時も、千里、部活では女子更衣室使ってたじゃん」
「まあ、そうだけどね」
 
千里が制服を脱ぐと、下にはブラウスを着ている。
「ああ、ワイシャツでなくてブラウスか」
「まあ見えないからいいかなと思って」
 
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それでブラウスを脱ぐと、下はキャミで、ブラも着けている。
 
「男子を主張する癖にこの下着は無いよな」
「だって、ボク、男物の下着なんて持ってないし」
「だから、女子で通しちゃえばいいんだよ」
 
ちなみに留実子は今日はちゃんと女の子下着をつけていた。
 
着替えていると、鮎奈が寄ってくる。
 
「ああ、やはり千里ちゃん、女の子の身体だよね」
「そそ」
「胸はあまり無いみたいだけど、ボディラインが完璧に女子だし、お股には変な膨らみは無いみたいだし」
 
「いつも私たちと一緒に着替えてたんだよ」
と留実子が言うと
「じゃ、高校でも私たちと一緒に着替えようよ」
と鮎奈は言った。
 
「ちなみに、本当にこの子は女の子になりたい男の子なんだよ」
「ふーん。それ建前で、実は既に女の子になっている元男の子ということは?」
 
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「ああ、その疑惑は昔からあった」
と留実子。
「少なくとも小学校の3年生頃以降で、千里のおちんちんを見たことのある人は、この世に存在しないから」
と蓮菜。
 
「ということは、やはりおちんちんそのものが存在しないのでは?」
と鮎奈。
 

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体育館に行くが、男子は東体育館(青龍)、女子は西体育館(白虎)に集合である。
 
千里は東体育館の方に行こうとしたが、留実子たちに確保される。
「千里は多分こっちだよ」
と言われて、女子の集まる西体育館に連行された。
 
うーん。いいのかなあと思っていると体育の先生が点呼をする。果たして、千里は、留実子、鮎奈の次に名前を呼ばれ、やはり体育でも女子の方に組み入れられていることが判明した。
 
その日の体育では男子は東体育館内でサッカーをしたようであった。女子はそのまま西体育館でフォークダンスをした。
 
「千里、ダンスへた〜」
「だって、あまりしたことないもん」
「千里は中学でも女子の方で体育すれば良かったのにね」
「へー、千里、中学では男子の方で体育してたの?」
 
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鮎奈は昨日今日で急速に千里や留実子たちと仲良くなり、もうお互い呼び捨てになっている。
 
「そそ。でも他の男の子たちが結構困っていた感じもあった」
「柔軟体操で誰も組みたがらないから、結局いつも先生と組んでた」
「でも先生もあまり気が進まないような顔してた」
「そうだろうね〜」
 
なお、このN高校では体育の時間の柔軟体操はだいたい留実子と組んでやるようにした。留実子が休んでいる時は、蓮菜か鮎奈とすることが多かった。
 

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4時間目は音楽である。
 
「今日はパート分けをします。男子はバスかテノール、女子はアルトかソプラノですが、自分が歌えそうな方を歌って下さい」
 
それでベートーヴエンの『喜びの歌』の混声四部で、先生が順に、テノール、バス、ソプラノ、アルトと各パートを弾いてみせて、みんなそれに合わせて歌ってみた。
 
「ボク、テノールかなあ」
などと千里が言ったが
「千里、テノールよりオクターブ高い、千里はソプラノだよ」
と留実子から指摘される。
 
「そうそう。千里って、話す時はわざと低い声で話しているけど、歌う時はのびやかに高い音が出てる」
と鮎奈が昨日今日の観察結果から言う。
 
「会話は低い声だけど、『はい』とか返事する時は高い声で返事してるよね」
と後ろの席にいた梨乃が言う。
 
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「千里は電話でも高い方の声で話してるから、普段でも高い声で話せるはず」
と留実子。
 
「るみちゃんの低い声は安定してるけど、千里の低い声はやや不自然」
と鮎奈。
 
「ああ、それは最近特に不自然になって来ている気がする」
と留実子。
「もしかした声変わりの兆候かなぁ」
と千里が言うと
 
「多分低い声が出なくなって、より女らしい声になっていく兆候だね」
などと留実子は言う。
 
「ああ、千里の声変わりはそういう声変わりか」
 
「うーん。ほんとにそうだったら嬉しいけど」
 

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先生が
「自分のパート分かりましたか? じゃ席替えします。教室の窓側から、バス、テノール、アルト、ソプラノ、の順に並んで下さい」
と言う。
 
「千里、こっち行こう」
と言って、鮎奈が千里の手を引いて、ソプラノの席に移動した。蓮菜もこちらに来ている。留実子はアルトである。
 
「千里、手を触った感触が女の子の手」
と鮎奈に言われる。
「ああ、この子、身体に触っても女の子の感触」
と蓮菜が言うので
「どれどれ」
と鮎奈が触る。
 
「うん。確かに女の子だ。みんなも触ってごらんよ」
などというので周囲の女子たちが千里に触る。
 
「ほんとだ。千里ちゃん、女の子だよ」
「髪を勘違いで丸刈りしちゃったのは仕方無いけど、このあとずっと伸ばしなよ。夏頃までには女の子的な長さになるよ」
 
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「いや、学校側との約束で丸刈りにすることになってるから」
「千里ちゃん本人を見たら、丸刈りにするのは犯罪に近いと思ってもらえると思うけどなあ」
 

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その日はそのまま『喜びの歌』を歌ったのだが、
 
「千里、歌うまいじゃん」
と鮎奈から言われた。
 
「千里は小学校の頃は凄い音痴だったのに、中学になってからどんどんうまくなった」
と蓮菜が言う。
 
「へー。凄く練習したんだ?」
「千里は元々バイオリンを弾くんだよ。バイオリンが弾けるってことは音感は良いはずなのに、歌が下手だったのは、要するに練習不足じゃないかと思ってたんだよね。でもだいぶ練習したみたい」
 
「そうだね。首の運動とか、顔の筋肉の運動とかもよくやって、喉の筋肉を鍛えたかな」
 
と千里は言う。実はそれは歌の練習というより、女声を安定して出せるようにするためだ。やがて避けられないであろう声変わりが来た時にも、できるだけ女の子らしい声が出せるようになるために。ただ、留実子にも指摘されたように、最近低い声が出にくくなってきていることが気になっていた。
 
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「すごーい。努力の人なんだね」
と鮎奈は単純に感心している。
 
この時間は、ピアノの伴奏係を決めるのに、お稽古行ってる人・行ってた人?と先生が訊き、3人手をあげたので取り敢えずそれぞれに弾かせてみる。
 
「ああ、だいたいみんな弾けるね。じゃその3人で順番でお願い」
と先生は言ったのだが、その時、留実子が
 
「先生!村山さんもピアノうまいです」
などと言っちゃう。
 
「あら、それなら弾いてみて」
などと言う。
 
千里は頭を掻きながら出て行き
「私、自己流なんですけどー」
 
と言って、ピアノの前に座って、指定された『翼をください』を教師用テキストのピアノ譜を見ながら弾いてみる。この曲は以前練習したことのある曲だ。ただその時の譜面とは調も違うし、アレンジもかなり違うので、多少戸惑いはあったものの、千里は何とか弾きこなした。
 
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「うまいじゃん!」
と先生。
 
「確かに自己流だね」
と先に選ばれていた一人の布施君が言う。
 
「指使いがなんか無茶苦茶」
と同様に既に選ばれている智代。
 
「指替えが無計画だよね」
と布施君。
 
「左手の指を置くタイミングがややバラついてる」
ともうひとりの伴奏係の孝子。
 
「うん。でもそれが凄く微妙だから、ピアノ弾く人や耳の良い人以外は気付かない」
と布施君。
 
「ボク、一度もピアノ教室とか通ったことないんですよー。うちにもピアノ無かったし」
 
「いや、それで、ここまで弾けるのは逆に凄い」
 
何か褒められているのか、けなされているのか分からない。
 
「だいたい、今全然譜読みしなかった」
と布施君。
 
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「あ、私も思った」と智代。
 
「私たちみんな弾く前に譜面を1−2回読んだのに」
と孝子。
 
「え? そういうものなの?」
と千里が言うと
 
「普通初見といっても、いったん楽譜を最後まで読んでから弾き始める。初めて見た譜面をいきなり弾けるのは凄い」
 
「この曲弾いたことあった?」
 
「弾いたことはあったけど、アレンジ違ったから、そこは合わせながら弾いたよ。あと、この譜面はイ長調だけど、私が前練習していたのはト長調だったから和音を頭の中で修正しながら弾くの大変だった。シャープ3つもあるし」
 
3人が顔を見合わせている。
 
「千里ちゃん、それ凄いことだよ」
と智代が言う。
 
「そうだっけ?」
 
「じゃ伴奏係はその4人の当番制でお願いね」
と音楽の先生は言い更に
「布施君、4人の中の唯一の男子だし、あなたがリーダーになって当番のスケジュール決めて」
と付け加えた。
 
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「分かりました」
と布施君が答える。
 
布施君が唯一の男子ということは、私はやはり女子なのねー。
 
「千里ちゃん、おうちにはピアノ無いの?」
と孝子。
 
「うん。今下宿している叔母さんちには一応電子キーボードはあるし、自分でも小型のカシオトーンは持ってるけど」
 
「だったら、昼休みとかにここか音楽練習室かで練習しない?」
と智代。
 
「そうだね。女の子3人で一緒に練習しようよ」
と孝子。
 
「うん。やりたい、やりたい」
と言いつつ、千里は自分が完璧に女の子としてカウントされていることを再自覚していた。
 

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お昼休みは食堂に行って、定食などを注文して食べる子もいたが(留実子などはそう)、千里は教室でお弁当を食べる。最初自分の席で食べようとしていたのだが
 
「千里、こっちこっち」
と呼ばれて鮎奈、京子の机の所に行く。鮎奈と京子はどちらも小学校あるいは中学校の吹奏楽部でトランペットを吹いていたというので急速に仲良くなったようである。
 
「千里のお弁当すごい」
「なんか揚げ物が入ってる」
「これ揚げるだけにして小分けして冷凍してるから、5分で作れるよ」
「わあ、冷凍食品じゃないんだ!」
 
「お弁当は下宿してる所のおばさんが作ってくれたの?」
「ううん。自分で作ったよ。ボク結構料理好きだし。実家でも夕食はボクがたいてい作ってたし」
「えらーい」
 
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「私、料理少し覚えろとよく言われてたけど、全然駄目ー。これは下宿先の伯母ちゃんが作ってくれてるんだよね」
と鮎奈。
「私は一応自分で作ってるけど、オール冷凍食品」
と京子。
 
「京子は寮で調理していいんだっけ?」
「自分の部屋にオーブントースターがあるから、大半はそれでチンしてるしIHヒーターでインスタントラーメン作ったり、レトルトカレー温めたりはするよ。一応部屋の中では火を使うのと揚げ物は禁止だけどね。でも食堂にはシンクもあるしコンロも置いてあるから、結構そこで夜食とかお弁当自分で作ってる子もいる。こないだは鱒をさばいてた子いた」
 
「それは凄い」
「1匹248円だったから思わず買って来たとか言ってた」
「それでさばいちゃう所が凄い。私はお魚さばけないや」
と鮎奈。
「私はイワシや小アジくらいは何とかなるけど、大きな魚は無理」
と京子。
 
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「私は漁師の娘だから、お魚のさばき方は小学生の内に仕込まれたよ」
と千里。
 
「・・・・」
「ん?どうしたの?」
「いや、やはり漁師の《娘》という意識なのね?」
「え?何か変だった?」
「ううん。いいんだよ」
と言って、鮎奈も京子も楽しそうにしていた。
 

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女の子たちの高校入学(6)

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