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■女の子たちの間違い続き(7)

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「留萌のS中、キャプテン佐々木さんですね?」
などと言われる。
「いえ、柴田ですが」
「え?S中のキャプテンは佐々木兼嗣さんになってますよ」
「それは男子の方では・・・」
「いや、これは女子の登録ですけど。あれ?そういえば男子みたいな名前ですね」
「まさか? ちょっとメンバー表見せてください」
「はい」
 
久子が運営委員さんから《S中女子》の名簿を見せてもらうと、何とそこにはS中男子の名前15人が書かれている。
 
「うっそー!?」
 
慌てて男子キャプテンの佐々木君に電話してみようとしたら、向こうから久子の携帯に掛かってきた。
 
「大変な事態が起きてる」
「もしかして、そちらに女子の名簿が行ってる」
「うん」
 
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要するに男子の名簿と女子の名簿を誤って逆に提出してしまったようなのである。
 
取り敢えず8時までに各キャプテンが各々の第1試合のある会場で署名をしなければならないということであったので、佐々木君と久子が各々タクシーで反対側の会場に駆けつけ、佐々木君はF中学体育館で、久子はR区市民体育館でキャプテンの署名を済ませた。
 

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それで開会式の後、男女両チームとも、取り敢えずR区市民体育館の方に全員集合して善後策を練る。
 
「僕のミスです。本当に申し訳無い」
と佐々木君がみんなに頭を下げる。
 
「私も確認が甘かった。申し訳無い」
と伊藤先生も謝る。
 
「それで運営委員に掛け合ってみたんだけど、今日になってからのメンバーの変更は認められないと言うんだ」
と伊藤先生は言う。
 
「どうするんですか? 男子が女子の試合に出て、女子が男子の試合に出る?」
 
「男子の試合に女子は出ても構わないらしい。しかし女子の試合に男子の出場は認められない、と」
 
「うーん。男子チーム全員性転換する訳にもいかないし」
とひとり冗談を言ったが、貴司に睨まれて、冗談を言う場では無かったことに気付き、居心地悪そうな顔をする。
 
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「それで、運営委員側も、名簿を受け取った時に、女子の名簿に並んでいるのが明らかに男名前で、男子の名簿に並んでいるのの大半が明かな女名前であったことに気付かなかった落ち度もあると認めてくれてね。こういう提案をしてきた」
 
「はい」
「女子チームはそのまま男子の試合に出てもらう」
 
「いいですよ」
と久子。
 
「男子チームについては練習試合を毎日2試合ずつ組む」
 
「成績に関係ないけど、試合はできるということですか?」
と細川君。
 
「うん。今日・明日・明後日、各々第2試合が早めに終わるチームに、夕方くらいにもう1試合、練習試合をできないかと打診してOKが取れている。向こうも本番であまり出番の無かった選手を中心に出してもいいか?と訊いてきたので、それでいいと返事した。こちらは連続になってしまうけど」
 
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「それは頑張りましょう」
「でも控組相手か」
「まあ仕方無い」
 
「とにかく試合ができるというだけでもいいですよ」
と貴司。
 
「うん。札幌までわざわざ出て来て何もせずに帰るのは辛すぎるから」
 
そういう訳で、S中女子組は男子の試合に出ることになったのである!
 

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「これで千里が出られるから、かえっていいよ」
「うん。どうせ6試合して6敗の予定だったからね」
「そそ。どっちみち負けるんだから、男子相手に負けた方が楽しい」
などと友子さんと久子さんが言っている。
 
「鞠古君、プレイできないよね?」
と友子さんが訊くと
 
「万全じゃ無いですけど、休みながらなら、何とかなると思います」
と鞠古君が言う。
 
「じゃさ、第1ピリオドと第3ピリオドに出て、第4ピリオドも後半から出てくれない?」
「やります」
 
それでスターティングメンバーは、久子(PG)・友子(SG)・数子(C)・千里(SG)・鞠古(PF)の5人で行くことにした。留実子(PF)と伊都(SF)が交代要員である。
 

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1日目最初の相手は稚内の学校だった。全員180cm超の選手が揃っている。こちらは鞠古君が178cm、留実子が170cm、千里が165cmの他は全員150cm台だ。整列すると、まるで親子の対戦のようである。そもそも、男子の試合のはずなのに対戦チームが1人(鞠古)を除いて全員女子なので、客席がざわめく。
 
相手チームには事情を話しているのだが、向こうはどうもそれで控え組をスターティングメンバーにしてきたようである。背の高い選手がみんなベンチに居る。出て来たのは170cm台の選手ばかりだ。
 
最初のジャンプボール(ティップ・オフ)は鞠古君がやってくれて、こちらにボールを確保してくれた。久子がドリブルで相手陣地に攻め込んでいく。相手がガードしようとするが、巧みにかわしていく。友子と千里がその後を追う形になる。
 
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相手に完全に行く手を阻まれる。千里にパスする。千里がそのまま撃つ。ゴールして3点。
 
相手が攻めてくる。こちらは概ねゾーンで守るが、向こうはどうも女子との身体接触をためらっている雰囲気。その戸惑いの隙を突いて久子がスティール。速攻で攻める。友子と千里も全力で走ってボールに先行する。相手は長身の千里と、《唯一の男子メンバー》鞠古君にガードを集中させている。それで友子にパスする。友子が撃ってゴール! 6対0.
 
元々相手チームの選手は控え組っぽく、実戦経験が少ないようで、久子は相手とのマッチアップにほとんど勝利していた。その上、多くの選手が女子との接触にためらいがあるので、そこを突いてガンガン攻めた。千里と友子のダブルシューターを警戒していると鞠古君が単独でゴール下まで攻め入って、ゴールを稼いでくる。
 
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それで第1ピリオドを終わって、20対8と大差を付ける。
 
「これ勝てたりして」
と第1ピリオドでは出番の無かった数子が言ったが
「いや、次のピリオドでは向こうは本気になる」
と久子は言った。
 

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久子の言葉通り、相手チームは第2ピリオドでは選手を総入れ替えしてきた。こちらも病み上がりの鞠古君と、持続力の無い友子を休ませ、留実子と伊都が出る。
 
第1ピリオドに出て来た選手とは格が違う。みんな巧い。こちらのディフェンスが全然利かない。あっという間に得点を奪われる。
 
しかしこちらも負けてはいない。ゴール下から千里が大きく振りかぶって長いパスを投げる。それを攻め上がっていた数子がキャッチし、まだ充分迎撃の態勢ができていなかった相手ディフェンスの微妙な混乱を突いてゴールを決める。
 
しかし向こうは攻めは確実にしてくる。慎重にドリプルでボールを運んでくるが、相手フォワードは第1ピリオドに出て来た選手とは違い、女子との身体接触は全く気にせずに攻め込んできて確実にレイアップシュートを決める。
 
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さきほどのような速攻を警戒して、相手チームは全員すぐ戻っている。久子がドリブルでボールを運ぶ。相手チームはどうやら、S中で最も警戒すべきは千里と見た感じで、強そうな人が千里をマンツーマンでマークしてくる。それを見て、久子はゴール近くに居る伊都にパスする。伊都がドリブルしながら制限区域内に攻め込み、ガードしようとした男子選手を押しのけてシュートする。
 
が外れる!
 
リバウンドを狙って、相手選手も、こちらの千里・留実子もジャンプする。いったん相手選手が確保したかに思えたが、こぼしてしまう。そこを数子が確保し、そのまま撃つ。
 
入って2点!
 
ともかくも第2ピリオドはシーソーゲームとなった。基本的には地力に勝る相手チームがどんどん点数を取るのだが、S中女子組も千里のロングパスからの速攻カウンターや、久子ドリブル→千里3ポイントの黄金パターン、数子や伊都・留実子の男子選手に気後れしないボディアタックで、確実に反攻する。
 
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それで第2ピリオドを終わって32対30で、まだS中が2点リードしていた。
 

「やはり男子は強い」
「次で逆転されるかな?」
「いや、こちらも負けてなかったよ」
と第2ピリオドは休んでいた友子。
 
「千里、ロングパスが正確! 私がフリーになれる場所にピタリと飛んでくるんだもん」
と伊都。
 
「第3ピリオドは突き放そうぜ」
と鞠古君が言う。
 
第3ピリオドは第1ピリオドと同じメンツで出る。久子が起点になる場合は友子・千里という2人のシューターを見比べて、防御の少ない方にパスして3ポイントを狙う。千里から速攻を掛ける場合は鞠古君や伊都の所へロングパスを投げ、そこからゴール下へ攻め込む。リバウンドは病み上がりの鞠古君に無理させないよう千里と伊都で主として拾う。
 
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こちらは複数の攻撃パターンを使い分けるし、千里と友子のダブルシューターのパターンは防御しにくく、また身体能力の差とあまり関係無い。千里のロングパスも正確で、パスミスがほとんど発生しない。
 
こちらの攻撃ではほとんど取りこぼしが無く、相手の攻撃ではちょこちょこミスがあるので、結果的に点差が開いていく。
 
それで第3ピリオドを終わって、54対44と点差は10点に開いた。
 

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「さて、向こうは女子チームに負けたくないだろうから、最後必死で来るだろうね」
「まあ、こちらは最初から負けて当然という開き直りがある」
 
「楽しくやろうぜ」
という鞠古君の言葉にみんな頷き、メンバーが出て行く。
 
確かに第4ピリオド、向こうは女子チーム相手などというのは忘れて必死に攻めてきた。猛攻、全力リバウンド、全力防御。
 
それで第4ピリオド前半で63対58と点差を縮めてくる。ゴール自体はこちらは3回、向こうは7回と大差なのだが、こちらは全部3ポイント、向こうは2ポイントなので、ゴール数の差ほどに点差が縮まらないのである。
 
こういう身体能力が遥かに格上の相手にこそ、遠くから点数を取れる3ポイントは有効である。向こうも何度か3ポイントを撃ってきたが全部外れていた。こちらは千里が1本も外していない。
 
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後半、留実子・伊都の助っ人コンビが下がって、友子・鞠古君のスターティングメンバーが復帰する。
 
変幻自在の攻めを繰り出す。千里と友子がどんどん3ポイントを稼ぐ。千里は全く外さないし友子も調子が良くてほとんど外さない。鞠古君もゴール下に攻め入って点数をもぎ取ってくる。
 
結局79対70でS中女子が勝った!
 
みんな抱き合って喜ぶ。千里は近くに居た数子と抱き合ったが、鞠古君はちゃっかり留実子と抱き合っていたので、あとでみんなから追求されていた。
 
「そういや、鞠古君とるみちゃん、同時にはコートに入らなかったね」
と数子が言うと留実子は
 
「うん。ボクとトモはふたりでひとつだから」
などと、ぬけぬけと言うので、ブーイングが出ていた。
 
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午後の試合では向こうは5人ぎりぎりのチームで、しかも対戦した感じではほんとうにバスケをしているのは2人だけ、残り3人は助っ人という感じであった。それで鞠古君にあまり無理させないように出す時間を減らして残りの6人で頑張ったが、50対32で勝利した。
 
夕方近くになって、男子チームの試合を見に行った。最初の相手は釧路の強豪チーム・・・・の控え組ということだったが、貴司や田代君がどんどんボールを奪い、点を取りまくり、名簿提出で大失敗をやらかした佐々木君も名誉挽回にとリバウンドを拾いまくり、あっという間に30対6と大差が付く。
 
たまらず向こうは控え組を下げて、レギュラー組が出てくる。そこからは結構なシーソーゲームになったが、最初の点差が利いて、結局50対38で勝利した。
 
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続けて行われた第2試合の相手は函館の中学であった。向こうは第1試合を見ていたからだろうが、最初から結構本気であった。序盤からかなりの競り合いになる。そうなると続けて試合をして疲労が回復していないこちらはどうしても不利である。最後は体力差という感じで40対32で負けた。
 

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