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■女の子たちの強化合宿(6)

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「ところで千里は『男の子』には該当しないんだっけ?」
とある時貴司は訊いた。
 
「私、男の子に見える?」
と千里は訊き直す。
 
「見えないんだよなあ。女の子にしか見えん。一度裸にしてみたいけど」
「貴司とふたりだけの場所だったら、裸になってもいいよ」
 
「うーん。。。ちょっと考えてみる」
「うふふ」
 
しかし貴司が千里の中学在学中にふたりだけの場所で千里を裸にしてみることは無かった。
 
「まあどっちみち千里は全然腕力無いからな」
「そうだね」
 

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ある時、貴司が来ている時に、宮司さんが
「ちょっと荷物運ぶの手伝ってもらいたいんだけど、貴司君、来てたよね?」
と訊いた。
 
「あ、私、呼んできます」
と言って千里は席を立ち、貴司がいるはずの倉庫部屋に行った。
 
千里は障子を開けるなり
「貴司〜。宮司さんが荷物運ぶの手伝ってって」
と言った。
 
ところがその時、貴司は何かを掴んで盛んに上下させていた(ように見えた)。
 
「何してるの?」
と千里が声を掛けると、貴司は焦ったような顔で
「見るな!」
と言う。
 
慌てて千里は後ろを向く。
 
えーー? 今、貴司が握ってたの、何?  ズボンのお股の付近で・・・まさかおちんちん!? おちんちんってあんなに大きくなるもんなんだっけ?
 
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千里は父のも見たことがないので、男の子の大きくなったおちんちんというのを知らないのである。
 
でも、おちんちんを握って何してたんだろう?まさか部屋の中でおしっこしないよね? 千里は頭の中が混乱していた。
 
やがて貴司が
「もういいよ」
と言うので千里が振り向くと、貴司は立ち上がって、何やらティッシュの塊をビニール袋に入れて自分のバッグに入れるところだった。
 
「何してたの?」
「何って・・・分かるだろ?」
 
千里が首を振るので貴司は困惑した様子。
 
「いや。だって。。。。千里もしないの?」
「何を?」
 
「本気で知らないんだっけ?」
「貴司がおちんちん握ってたような気がして。でも部屋の中でおしっこする訳無いし、何してるんだろうって、私分からなくて」
 
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貴司は、千里がカマトトぶっているのか、本当に知らないのか、判断に苦しんだ。
 
「千里、射精したことあるよね?」
「あ、それが経験無いんだよ。あれって、女の子とセックスしなくても射精することあるの?」
 
「千里マジで聞いてるんだっけ?」
「え?」
 
それで貴司は本当に千里が何も知らないのかも知れないと思って説明してやることにした。千里は説明を聞いて驚いたように言う。
 
「えーー!?そうやって精子を出すんだったんだ?」
「まあ、普通の男の子はほぼ毎日やってる」
「私、全然知らなかった!」
 
「セックスの仕方を知っててオナニーの仕方を知らないなんて信じがたい」
「女の子のオナニーの仕方なら知ってたけど」
「・・・・それ今度教えてよ」
「えーー!? でも貴司、クリちゃん無いよね?」
 
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「多分。でも千里はクリトリスあるの?」
「内緒」
 
「千里、チンコは付いてるんだっけ?」
「秘密」
 
「内緒と秘密とどう違うの?」
 
貴司は首を傾げながら、千里と一緒に神殿の方に向かった。
 

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8月14日。世間的にはお盆休みに突入しているが、神社はお盆とは関係無く開いているので、千里は朝から(母の目を盗んで)セーラー服を来て出かけたが、ちょっと早く出過ぎたかなと思い、町をぶらぶら歩いていた。
 
ふと、4月に入院した&&病院の前に居ることに気付いた。
 
あの時自分が体調を崩したのは、髪を切らないといけないし学生服を着ないといけないのが嫌だったことと、やはり晋治と別れた後で、精神的に不安定になっていたのがあるんだろうな、などと思いながら、病院の建物を見上げていた。自分が入院していた部屋はどこだっけ? 千里は周囲の景色を見回してみたがよく分からなかった。
 
まあいいかと思い、少し早いけど神社に行ってお掃除でもしてようかな・・と思った時、
 
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「あれ? 村山さんだったね?」
と声を掛けられた。
 
見ると、4月に入院した時に診てくれたお医者さんである。
 
「あ、先生、4月にはお世話になりました」
と礼をして挨拶する。
 
「診察受けに来たの? 3ヶ月くらいしたら様子を見せてと言ったもんね」
 
ああ、そう言えばそんなこと言われた気もするが、何度も受診してたら女の子でないことがバレそうだしと思い、来るつもりは無かったのだが。
 
「うちの病院、明日はお盆休みだけど、今日はやってるよ。入って、入って」
などと先生が言う。
 
えー?別に診てもらわなくてもいいんだけど、と千里は思ったが、言われるとその通りにしてしまうのが千里の性格である。
 
「あ、済みません。じゃ、よろしくお願いしまーす」
と言って、先生と一緒に中に入ってしまった。
 
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受付で再来であることを告げ「Chisato Murayama Sex:F」と刻印された診察券(バッグに入れたままになっていた)を出して、番号札をもらう。お盆前なので個人病院などが休業しているのもあるだろうか。待合ロビーにはかなり多くの人が居た。千里は、まだ時間があるから病院の後で充分神社の出勤時間には間に合うな、と思った。
 
内科は患者も多い(大半はお年寄り)が、医師も3人いるので比較的順調に、はけていく。待合ロビーに座って5分ほどで名前を呼ばれたので行くと、血液と尿の検査をしますと言われ、処置室に案内されて採血される。そして名前の書かれた紙コップを渡され、おしっこを取ってきてと言われた。
 
処置室のそばのトイレを案内されたので、男女表示を見て、当然!女子トイレに入り、個室内でおしっこを出して紙コップに取る。提出用の棚にコップを置き、手を洗って待合ロビーに戻った。
 
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15分ほど待って名前を呼ばれ、診察室に入った。
 
「尿も血液もチェックしたけど、問題無いね。春に診た時はHbA1cが少し高めかなと思ったけど、今回は低くなっている。ただ、春には中学生女子にしては鉄分が結構あると思ったのに今回は低いね。生理はいつあった?」
 
「あ、3日前に終わりました」
 
HbA1cが下がったのは春からずっとバスケをしてカロリー消費しているからだろうなと千里は思う。小学校の頃はあまり筋肉がつかないように敢えて運動を避けていた。でも多分一緒に鉄分も下がったのだろう。
 
「ああ。生理の直後だからかな。最近は生理は乱れてない?」
「春頃まではけっこう乱れていたのですが、ここ3ヶ月は規則的に来てます」
「おお、良かった良かった。ちょっと聴診しようか。上半身の服を脱いで」
「はい」
 
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セーラー服の上とブラウスを脱ぎ、ブラも外す。胸に聴診器を当てられた後で背中にも当てられる。
 
「春に診た時は、ほんとに胸が未発達だったけど、乳首が立っているし乳輪も大きくなってきたね」
「はい。ノーブラだと乳首がすれて痛いです」
 
「ブラはちゃんと着けた方がいいよ。胸自体も少しだけ膨らんで来ている」
 
「私、小学校卒業する頃までは男みたいな胸だってさんざんからかわれたんですけどね」
 
「うん。もうこれは男の胸じゃないよね。ちゃんと女の子の胸になっているよ。これからきっとどんどん大きくなるよ。胸が発達してなくて、生理が不安定なら婦人科の方でも診てもらった方がいいかなとも思ったんだけ、大丈夫かな?念のため診てもらう? カルテ回すけど」
 
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「婦人科に行くと、内診台に乗せられそうだから、遠慮しておきます。あれ、恥ずかしいです」
「あ、乗ったことある?」
「いえ、友だちが乗せられてもう恥ずかしくて恥ずかしくてたまらなかったと言っていたので」
 
さすがに内診台に乗せられると自分の性別はバレて、あんたふざけてんの?とか言われるだろう。
 
「あはは。そういう時は、お医者さんはそこら辺の石か棒きれくらいに思っておけばいいんだよ」
などと先生は言う。
 
「検査数値でエストロゲンとプロゲステロンの濃度も低いけど、3日前まで生理だったのなら、生理の時期は低くなるから、このくらいでもそう問題は無いかな。春に比べるとぐっと濃度はあがっているし」
 
ここ数ヶ月、何度も女性ホルモンの注射打たれたからだろうな、と千里は思った。最後に女性ホルモンの注射をしたのは6月20日だが、その後もここの病院で4月にもらった錠剤で補充している。
 
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「でも女性ホルモンの注射してから生理周期が安定したなら、もう1回くらい注射しておこうか?」
 
「あ、はい、お願いします」
 
それでお医者さんは、千里にエストロゲンとプロゲステロンの混合製剤の注射をしてくれた。この先生はやはり腕に注射する。例によって千里は注射されてすぐに、とても気分が良くなった。
 
「友だちで、やはりエストロゲンの注射された子が、お尻にされたと言ってたのですが、これって腕にするのとお尻にするのは先生の流儀ですか?」
 
「まあその医者の好みもあるかもね。一般にはお尻にする方が痛くないと言われるけど、個人差もあるようだよ」
 
「私、先生に注射されても全然痛くないです」
「まあ、僕は注射は割と自信ある」
 
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「わあ、私、良い先生に当たったんですね!」
「褒めても何も出ないよ」
 

それでまた3ヶ月後に様子を見せてと言われ、またまた3ヶ月分の女性ホルモン製剤を処方してもらった。病院代・薬代は最近バイト代で懐が温かいので、余裕で払うことができた。
 
しかしこのお医者さんは今回も千里のことを女の子と信じて疑わなかったようである。だいたい4月に運び込まれた時も女の子下着を身につけてたし、今日もセーラー服を着てるし。男の子と思えという方が無理かもね〜。
 
でもさすがに3度目はバレるかもしれないよなあ。そもそも今日病院に掛かったのは後で母に医療費明細から知られそうな気がするし。さて、どう言い訳したらよいのか。
 
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北国では夏休みはだいたい8月20日前後で終わる。今年は8月21日(木)が二学期の始業式であった。それでその直前、8月17-19日にバスケ部の合宿をやった。
 
貴司は
「どうせ休みの日は朝から晩までバスケしてるんだから、わざわざ泊まり込むなんて意味ねー」
などと言っていたが、同じ2年生の佐々木君は
 
「まあ細川はそうだろうけどね」
などと言っていた。
 
17日朝合宿所となるお寺に集合する。まずはロード10km走らされる。千里とか友子のように体力の無い子は、他の人から、かなり遅れてゴールの体育館に辿り着いた。体育館では体操で身体をほぐした後、フットワークの練習を30分やるが、10km走った足だから、千里は足がガクガクで全然踏ん張れない。
 
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「こら、そこ頑張れ」
と3年男子の水流部長の声が聞こえたので、自分かと思ったら、2年生男子のシューター田臥君だった。思わず友子と顔を見合わせる。どうもシューターには、しばしば体力があまり無い子が居るようだ。
 
その後、午前中はドリブルの練習をする。
 
「千里、前から思ってたけどドリブル下手ね」
と節子さん。
 
「すみませーん。何かボールが思う方向に行かないんです。変な方向に行くから、それを追いかけて自分でもどこに行くか分からないという」
 
「千里のドリブルは簡単にスティールできる」
と言って実際、久子が易々とスティールしてみせる。
 
「ボールを撞く位置が高すぎるんだ」
「久子のドリブル見てみなよ。低い位置で撞いてるでしょ?」
と友子。
 
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「久子さん、ボールが長時間手に貼り付いてますよね?」
と数子。
 
「その状態が長くないとボールを盗られるんだよ」
と久子。
 
「千里、身体が曲がっているんだよね。まずそれが悪い」
「うんうん。身体はまっすぐ立てて」
「それからボールの重心をつかまえる。千里は元々勘がいいから、意識すればちゃんとできるはず。重心じゃない所に手を当てるから、変な方向に行く」
 
千里のドリブル能力が上がると、ボールを受け取ってから撃ちやすい場所に移動して撃つことができるようになり得点力があがるので、女子5人で一緒に千里のドリブルを指導してくれた。
 
それでこの1時間ほどの間に、千里のドリブルはかなり改善された。
 

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このドリブル練習の後、体育館からお寺まで1kmジョギングして帰ってからお昼となる。お寺の御飯というのでお肉も入らない質素のものを想像していたら、フライドチキンの山盛りだ!
 
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女の子たちの強化合宿(6)

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